四谷三丁目すし処のがみ・毎日のおしながき

新子・新イカ大きくなってきました。生すじこ粒がまだ小さいですが入ってきました。イクラは生しか扱いません。秋と冬だけです。

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2007-04-01 20:43:00 | 04 どんこ・しいたけ

青色申告会で帳簿を見てもらいながら

年度末までの売上予想などを話していたら

店の存続がこのままだと厳しいのではという

結論に達した。

店を立ち上げてから四年半。

店が本当に潰れるかもしれないという現状を

目の当たりにしたら

もうとにかくなんでもやってみようという境地になった。

「ホームページやってみます」

いままで否定していたものをそっくりそのまま肯定してみたら

逆に店が続けられるんじゃないかと思った。

まだやれることはいっぱい残っている。


翌日図書館に行った。

『ホームページビルダーvol.6』、『HTML形式のデザイン辞典』

よく解らないweb関連の本が並んでいる。

止めようか。

いや。

ホームページを既に開いている私と同じ立場の女性に

言われたひとことを思い出した。

「あらぁ、ホームページなんて簡単よぉ。出来ないのぉー?」

「出来ないんじゃなくて、あえてやってないんです。手作りの

 チラシで温もり感を出したくて」

言い返したものの、これは負け惜しみだった。

実際にやったことがないわけだから出来ないと言われても

仕方がない。

とにかく何か少しでもわかりそうなものはないかと

本棚を眺めているとパソコン関係にしては

異質な一冊が目に留まった。


   『 豆炭とパソコン 』  糸井重里 


 ・・・・まめたんとぱそこん?

借りてエレベーターの中でページを開いた。

80代からのインターネット入門という副題がある。

夢中になって読みはじめた。

全部読んでしまいたくなって、店に行く時間になっても

新宿御苑の入り口手前の芝生に寝っころんで

草の匂いを嗅ぎながらページをめくっていった。

80代の方がはじめてのことに挑戦している。

自分はまだこんなに若いのに

踏み出せないなんて恥ずかしいと思った。

うちの店がインターネットの俎上に載って

ほしくないというご意見はわかっていた。

ひっそりと店をやってくれ、と。

私たちも同じ意見だった。

どこを検索しても載っていない、そんな店が

一番かっこいいんだと思ってきた。

その結果、ひっそり過ぎて多くの方に気付かれないまま

消えてしまいそうな寿司屋がここにあった。

貫けなかったことをその方々に、心の中で詫びた。

でもやるからには

どこにも負けないものを作ろうと思った。

御苑から帰るなり主人に言った。

「私、ホームページやるよ。できないかもしれないけど

 やってみる」

その足でヨドバシカメラへ向かった。

「ホームページビルダーの一番新しいやつください!」

自転車のカゴに『ホームページビルダーvol.8』を入れ

新宿通りをぶっ飛ばして帰ってきた。

わけもわからず箱をあけ、とりあえずCD状のソフトを入れ

インストールした。

なんとかプロフィールと地図と表紙が完成したが

インターネットに繋ぐまでには一ヶ月もかかってしまった。



あれから一年半。

毎日もがき続けている。

なりゆきで始めたけれど

それもまたいいのかなと思う。