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5月1日(木)

2025-05-01 00:00:00 | 5/1~5/31

おしながきもうしばらくおまちください
野上啓三インスタグラムsushi43nogami2←こちらに変更しました。
すべての魚・貝、天然ものです。
◇営業時間について◇火曜~土曜17:30~21:55※ラストオーダー(酒類・酒類以外全て)21:25まで
日曜お子さんデーは11:30~17:30です。※日曜はお子様の日です
店には月曜(+第一日曜日)以外10:30~営業終了+aおりますのでお気軽にご連絡ください!03-3356-0170
※レストラン予約代行サービス『オートリザーブ』でのご予約は日付・時間帯にかかわらず受け付けておりません。
2025年5/1(木)
~6/16(月)のご予約状況
※御予約状況の変動があります(更新が追いつかない場合あり)
5/ 1(木)あと3席です
5/ 2(金)
あと5席です
5/ (土)満席となりました
5/4(日)定休日
5/5(月)定休日
5/6(火)豊洲市場休市のため休
5/7(水)あと4席です
5/8(木)満席となりました
5/9(金)満席となりました
5/10(土
)満席となりました
5/11(日)満席となりましたお子さんデー
5/12(月)定休日
5/13(火)あと6席です
5/14(水)あと6席です
5/15(木)あと8席です
5/16(金)あと8席です
5/17(土)あと3席です
5/
18(日)あと2席ですお子さんデー
5/19(月)定休日
5/20(火)あと4席です
5/21(水)あと8席です
5/22(木)あと8席です
5/23(金)あと8席です
5/24(土)あと8席です
5/25(日)満席となりましたお子さんデー
5/26(月)定休日
5/27(火)あと8席です
5/28(水)あと5席です
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5/31(土)あと4席です
6/ 1(日)定休日
6/ 2(月)休日
6/ 3(火)あと8席です
6/ 4(水)あと6席です
6/ 5(木)あと8席です
6/ 6(金)あと6席です
6/ 7(土)あと6席です
6/ (日)あと2席ですお子さんデー
6/ 9(月)休日
6/10(火)あと8席です
6/11(水)あと8席です
6/12(木)あと8席です
6/13(金)あと8席です
6/14(土)あと5席です
6/15(日)あと6席ですお子さんデー
6/16(月)休日
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お子さんデー
6/22(日)あと9席ですお子さんデー
6/29(日)満席となりましたお子さんデー
7/ 6(日)定休日
7/13(日)あと9席ですお子さんデー
7/20(日)あと6席ですお子さんデー
7/27(日)あと9席ですお子さんデー
8/ 3(日)定休日
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おかみノート
主人の実家はお寿司屋さん。私はなんにも知らないドシロウト。
今まで見たり聞いたり体験した 寿司屋のいろんなことを書いておきたいと思います

『広島の古葉』
イワシには三種類の大きさがあり、それぞれに呼び名があるなんて知らなかった。
四年前お品書きを毎日書き始めた頃に気付いた。
「今日はイワシ。銚子のおおばイワシね」
主人は仕入れて来たメモを見ながら私に言った。
「おおば?おおばってどういう字」
「大きいの“大” に “羽” と書いておおばって読むんだ」
【大羽鰯=おおばイワシ】 と、一応頭にインプットした。
「あとね、小さいイワシは“小”に“羽”でこば、中くらいのイワシは、“中”に“羽”でちゅうばって読むから」
ちょ…ちょっ、ちょっと待って。私の脳みそは一気に憶えられない。
自分が既に認識している言葉に変換しないと無理なので
【小羽鰯⇒広島の古葉竹識⇒こば】
【中羽鰯⇒番場の忠太郎⇒ちゅうば】
【大羽鰯⇒大場久美子⇒おおば】 
と、脳に上書き保存した。 
その憶え方を主人に言うと
「広島の古葉ね。ガハハハ…」
と笑った。そして
「そんな憶え方しなくてもわかるでしょう」
とも言われた。
そりゃあ三十何年、生まれたときから寿司屋の環境に身を置いている人には当たり前のことかも知れないが、
私にとっては初めて聞く耳慣れない言葉なのだ。


『 ウニの店 』
店を始めるというのはどこか転校生と似ていると思う。
地元の業者さん同士は古くからの知り合いで、地元のお客様同士も知り合いで、そして業者さんとお客様も知り合いで。
そんなコミュニティがすっかり出来上がっているところに新規参入するというのはけっこう大変なことなんだなと思った。
いざ店をオープンさせてからしばらくはどうやって自分たちのことを知ってもらうか説明ができずに困っていた。

周囲の方はもっと困っていたようだった。
せっかく新しく出来た若い板前さんの店を盛りたててやろうと心を砕いてくれるのだけれど、寿司屋を始めたというだけで私たちが何か語る糸口になるようなことをひとつも出さないので何がどうなんだか情報が掴めない。
主人はもともと多くを語らない上に仕込みや調理などやらなければいけないことがいっぱいでそんなことをアピールできるわけがない。
残る私はといえば始めたばかりのこの店のどこを具体的に伝えればいいのか、他の店との違いは何か、想いは強くても言うべき言葉が出てこなくてずっとオウオウと唸っていた。

しばらく経って皆さんが会話の中から導き出してくれたのが「ウニにはうるさい店」だった。
六月中旬、北海道利尻島の蝦夷ばふんウニの漁が解禁になってからおよそ二ヶ月間ウニ漁が終わるまで仕入れて、あと九月から五月は質と仕入値の折り合いがつかない限りウニは置かないと決めて主人はそれをお客様に説明し続けた。
「ウニの店」というキャッチフレーズはその後の「かんぴょう巻と煮タコがうまい店」にシフトするまで続いた。

明日は『傷口の話』『私の手』です
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1dayアーカイブ2024年~2001年5月1日のおしながき[2024年]
[2023年] 野上啓三が見ている豊洲市場の風景 寿司屋の七十二候
[穀雨・第十七候・霜止出苗しもやんでなえいずる ]4/25~4/29
冬から春に出ていた赤貝、そろそろ終わります。
[2022年] 野上啓三が見ている豊洲市場の風景 寿司屋の七十二候
[穀雨・第十七候・霜止出苗しもやんでなえいずる]4/25~4/29
[穀雨・第十八候・牡丹華ぼたんはなさく]4/30~5/4
・江戸前 千葉船橋 コハダ 今、豊洲
・久しぶり生インドマグロ ニュージーランド 今、店
・青森八戸 イガウニ 今、豊洲
・兵庫明石 目板(めいた)カレイ 今、豊洲
・酢〆の光り物 今、店
・兵庫 室津 浅利 今、店

[2021年]*お知らせ*4/26~5/12まで休業いたしました
[2020年][2019年][2018年] [2017年]

5月~6月上旬に出回るもの その2 アナゴ20120111nogami_013



[2016年][2015年]

蝦蛄・生とり貝、ミンク鯨 畝須ベーコン、小あじ、ヒラマサ、新規入荷です。 003[2014年]明石の真鯛、築地に三枚しか入らなかったうちの一枚を仕入れました。今日は佐島のタコを煮ます。(足のみ)001002
日本酒、仕入れてきました。

004
001[2013年]008_4 山口・貴(たか)、純米吟醸と純米の攻め(責め)だけを詰めた新酒入りました。

005[2012年]コハダ二種あります。佐賀の丸付けサイズの小さめのコハダと、江戸前のナカズミです。

001

[2011年]ミョウバン不使用の箱うに、ぜひおためしください!

Photo

[2010年]

アワビのように大きいとこぶしです。

004

003

[2009年]今日は紅鮭の筋子、紅子(べにこ)があります。

002 もうすぐ立夏。 コチ、いさき、赤イカ、初がつを、かれい…ゴールデンウィークあたりを境目に、魚も一段と夏らしくなります。

049

001

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4月30日(水)

2025-04-30 20:10:00 | 4/1~4/30



野上啓三インスタグラムsushi43nogami2←こちらに変更しました。
すべての魚・貝、天然ものです。
◇営業時間について◇火曜~土曜17:30~21:55※ラストオーダー(酒類・酒類以外全て)21:25まで
日曜お子さんデーは11:30~17:30です。※日曜はお子様の日です
店には月曜(+第一日曜日)以外10:30~営業終了+aおりますのでお気軽にご連絡ください!03-3356-0170
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2025年4/30(水)
~6/16(月)のご予約状況
※御予約状況の変動があります(更新が追いつかない場合あり)
4/30(水)受付終了
5/ 1(木)あと3席です
5/ 2(金)
あと5席です
5/ (土)満席となりました
5/4(日)定休日
5/5(月)定休日
5/6(火)豊洲市場休市のため休
5/7(水)あと4席です
5/8(木)満席となりました
5/9(金)満席となりました
5/10(土
)満席となりました
5/11(日)満席となりましたお子さんデー
5/12(月)定休日
5/13(火)あと6席です
5/14(水)あと6席です
5/15(木)あと8席です
5/16(金)あと8席です
5/17(土)あと3席です
5/
18(日)あと2席ですお子さんデー
5/19(月)定休日
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5/25(日)満席となりましたお子さんデー
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6/ 2(月)休日
6/ 3(火)あと8席です
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6/ 5(木)あと8席です
6/ 6(金)あと6席です
6/ 7(土)あと6席です
6/ (日)あと2席ですお子さんデー
6/ 9(月)休日
6/10(火)あと8席です
6/11(水)あと8席です
6/12(木)あと8席です
6/13(金)あと8席です
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お子さんデー
6/22(日)あと9席ですお子さんデー
6/29(日)満席となりましたお子さんデー
7/ 6(日)定休日
7/13(日)あと9席ですお子さんデー
7/20(日)あと6席ですお子さんデー
7/27(日)あと9席ですお子さんデー
8/ 3(日)定休日
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おかみノート
主人の実家はお寿司屋さん。私はなんにも知らないドシロウト。
今まで見たり聞いたり体験した 寿司屋のいろんなことを書いておきたいと思います

『海苔の背を叩く』
白い帯で封をされた海苔は100枚で束になっている。
帯をちぎり、30~40枚くらいまとめて持つと、厚さは5cmくらいある。
細巻用の大きさにするには正方形を半分にしなければならない。
分厚い海苔の束は、そろーっと端と端を合わせようとするとU字の磁石を少し押しつぶしたような状態になる。
そこで主人の動作は止まった。
「このままバリッと上から押すと、真半分にならないんだ。長いのと短いのができちゃうんだよね。だからこうするの」
五木ひろしのモノマネかと思えるような仕草で右手を拳にし、折れ曲がりそうになった背の部分を、斜め45度の角度で慎重にトン、トン、トン、トンと叩き出した。
「えー、そんなんで切れるの?」
「そりゃ、一枚ずつ包丁で切ったらきれいに切れるよ。でもそんなことしてたら仕事が終わらないでしょ。素早くいっぺんにまとめて切ろうとしたらこうするのが一番早い」
「ひぇー、すごい。こんなの誰に教わったの?」
「兄貴かなぁ」
やっぱり清二さんはすごい。


『お弁当屋さん』
ランチタイムを辞めて昼の売り上げがポコンと抜けたので目の前にある生きて行くために必要な数々の支払いがより早く迫ってくる感じがして焦っていた。
「お寿司のお弁当を売るっていうのはどうかな」
ランチを辞めて一ヶ月半が経った頃主人に訊ねてみた。
「どこで売るの?」
主人は大根のツマをむく手を止め、カウンターに座る私に言った。
「んー、店の前とか」
「ビルの一階のとこで?」
「そう」
「・・キビシイんじゃない」
「何が?」
「何個も出ないでしょきっと」
「おいなりさんとかさ、十セットくらい売れないかな」
「どうかな」
「仕込みが終わったら少し横になって身体を休めることができるだろうし、そのあいだ私が声張り上げて売ればいいんだからさ」
「新宿通りで売るわけでしょ。・・ちょっと店のイメージがね、どうなのかなーと思ってさ」
主人はまた大根に目を向けカツラむきを始めた。
「店を離れて売るのはいいの?」
「そうねぇ。目の前で売るよりは」
「ちょっと遠くなら?」
「うーん・・」
「どのくらい?四谷?市ヶ谷?」
返事はない。するすると薄紙のように繋がってむかれた大根がまな板にただ折り重なっていった。
「ちょっと行ってくる」
「どこ?」
「市場調査」
「何の」
「お弁当事情の」
「何で」
「だって実際どんなふうなのか見てみないとわかんないじゃん」
「歩きで?」
「チャリだよ」
「・・気を付けてよ」
「わかってるよ」
もう五年は着ている“ガチャピンコート”と呼んでいる鮮やかな緑色のチェック柄のコートを羽織り、着ぐるみのジッパーを上げるように前を締めた。お財布をポケットに突っ込み十一時半を過ぎた時計の針を見た。
「ほんとに気を付けてよ」
「わかってるって。ぐるって回ってくるだけだから」
階段を駆け降り自転車に飛び乗った。

数寄屋橋交差点で交通事故を起こした時「ランチを辞めたい」と主人が言った。この事故は疲れが溜まったのが原因だ、と。
今回は軽傷だったけれどいつまた睡眠不足が祟って集中力が切れ大事故になるかわからない――。
それならば夜一本にして今以上に仕込みをきっちりとやり、少しだけでもいいから身体を休めて――とにかく店をできるだけ長く続けたいのだと言った。
数ヶ月前の出来事を思い出しながら走っていると、JR駅とJR駅のちょうど間くらいのオフィスビルが乱立している場所にたどり着いた。
飲食店もコンビニもそのあたりにはなく、坂の途中の信号機の横に小柄な女性が立っているのが見えた。
足元には折りたたみ式のコンテナが三つ積んであった。
片足を着きブレーキを握ったままその女性の後ろ姿を見ていた。
信号が青になってもその女性は渡らない。
するとオフィスビルから出てきたふたりの男性が小走りで信号を渡りコンテナの蓋の中を覗き込みながら女性と何やら会話をすると、弁当とおぼしきものをそれぞれビニールの手提げ袋に入れてもらいまた戻っていった。
私はブレーキの手を弛め惰性で坂を下り、自転車を止めて話しかけた。
「お弁当、見せてもらってもいいですか?」
女性は「あ、はい」と言って三つのコンテナにほぼ満杯に入っているお弁当の説明を始めた。白身魚のあんかけ、鶏の唐揚げ、肉じゃが。メインの場所に入っているものの違いはこれだけで全部六百円。
あとのスペースのお新香とマカロニサラダとカツオの角煮は皆いっしょだから好きなのを選んで、と言った。
「じゃあ、唐揚げと肉じゃがのをください」
注文のお弁当を取るため、被せてある発泡スチロールの蓋を取ったりしながら女性が話しかけてきた。
「お近くなんですか?」
「・・・あ、はい。まぁ」
「こんなに寒いのにありがとうございます」
「いえ」
白いビニールの手提げに割り箸を入れながら
「じゃあ千二百円になります」
と言って手渡してくれた。
千五百円を出すとウエストポーチのファスナーを開けおつりをくれた。
「・・ここでもう、長いんですか」
勇気を出して訊いてみた。
「え、あぁそうですね。ずっとここでやってますので。あ、でも月金で土日はやってません、またぜひよろしく」
そう言うとまたコンテナの蓋がぴっちりと閉まっているかを確認して真っ直ぐに立ちなおし、さきほど後ろから見ていた姿勢になってしまった。
ああ、ただ単に新規の普通のお客さんだと思われている。
でもここで引き下がっては何も進まない。頑張るんだ、もし断られてもひょっとしたらこの人の横でお弁当を売らせてもらえるかもしれない。
そうだとしたらこんなにうれしいことはない。
「あの、ここでもしお弁当屋さんをやるとしたら大変でしょうか?」
「はい?」
「実は寿司屋をやってまして、昼を外で売ろうかと思ってるんですがここら辺の事情はどんなものかな・・と思いまして。すいません、先に言えばよかったんですけど・・」
あちこちから吹き上げるビル風からコンテナと蓋を守るように抑えながら女性は言った。
「四十五歳でこの仕事を始めましてね」
「・・はい」
「五年間、月金で一日も休まずこの位置に立ってます」
「・・・・」
「雨でも雪でも」
「・・・・はい」
「そういうことです。それでやっと少しだけ知られるようになったっていうくらいです」
「・・そうなんですか」
「ほかにも場所はあると思います」
「・・・・」
「ご自分で探して、一からそこに立って、築いていかれたらいかがですか?」
「・・・はい」
「きっとあると思いますよ」
女性はチラっと腕時計を見ると
「十二時半からこの先の予備校の前に移動します。仲間が車で迎えに来ます。もしよかったら見に来ますか?」
と言ってくれた。
「あ、いえけっこうです。あの、ありがとうございました。勉強になりました」
と私が言うと「いえいえ」と言いながら毛糸の茶色い帽子を取り、髪を振ってまた被りなおした。
「あ、来た来た」
数十メートル先のライトバンを素早く見つけるとコンテナを道路ギリギリの積みやすそうな位置まで運び、指先が出ている皮の手袋を外してウエストポーチの脇に挟んだ。
積み込みを終えると
「じゃ、がんばってくださいね」
と私に声を掛けてくれた。
口の中で小さく「はい」と言って頷き車の方向にお辞儀をして見送った。
生半可な気持ちじゃ出来ないなと思った。

明日は『広島の古葉』『ウニの店』です
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1dayアーカイブ2024年~2001年4月30日のおしながき[2024年][2023年]2023年4月からAEDを備えました。

2022.11.28普通救命技能講習修了2023.2.20上級救命技能講習修了しました(野上有紀子)
[2022年][2021年]*お知らせ*4/26~5/12まで休業いたしました

[2020年]
[2019年][2018年]
今、築地
徳島 車海老 (2014.5.27築地撮影)

[2017年]5月~6月上旬に出回るもの その1 イワシ  [2016年]初がつを・本まぐろ・アジ・蝦蛄・ヒラマサ・スミイカ・マコガレイ・このこ、新規入荷です。[2015年]活けじめアジ、蝦蛄、サザエ、青柳、いがキタ紫うに、赤うに、ほっきがい、活けじめ虎魚、生とり貝、あおりいか、あん肝、活けじめマコガレイ、活け車海老、コハダ(天草)新規入荷です。[2014年]001
002

012_2010_2 009_2[2013年] きんき、あんきも、マコガレイの肝です。

004[2012年]沼津の生しらすです。

こちらで出回っているしらすは釜揚げ後に冷凍し再び解凍したものがほとんどの中、昨年は釜揚げ後に冷凍していない “未凍結”のものが出ていました。

それはしっとり感がすごいというか、いままで食べたことのない味わいでした。

今年も築地で見かけたら仕入れるそうです。

002

[2011年]すずき、今シーズン初入荷です。

串木野のあじバッチリ、

カンヌキ(さよりの大きいもの)、

春子鯛(かすごだい)やや大きめ、006

おしながきを眺めてみると、やはりゴールデンウィーク頃から急速に夏っぽいラインナップになると実感します。

005

[2010年]

750gのマコガレイ、小ぶりながらすんごい厚みなのだそうです。

005


[2009年]
またがいとは“まだかあわび”のことなのだそうです。

よく見ると身は大根の下に003隠れています。
はずした方の貝殻は一緒に蒸します。

そうすることによって出るうまみがあわびに滲み込んでいきます。
なんといっても今日は小柴のシャコです。
禁漁になって、もう四年くらいでしょうか。

ごく稀に調査なのか、獲って少しだけ築地に出回ることがあります。
「のがみさん、これ要る?」
と主人はいつも通っている仲買いさんに声を掛けられ振り向くと、その手には茹でて剥かれきちんと並べられたシャコのプレートがあったのだとか。
小柴は剥きシャコしか出荷しておらず、そのプラスチックのプレートに整然と並べられたシャコの姿を見れば小柴のものだというのはすぐわかるとのこと。
「これ、小柴じゃないですか…!」
「少ないから競りの前に皆で分けたんだ」
「いいんですか?」
「うん、よかったら」
「でもこれ、仲買いさん一軒あたり何枚くらいの割り当てだったんですか」
「三枚」
主人がふと脇に目をやると、他のシャコ二枚に行き先を書いたメモがそれぞれ貼られていて。
「オレんとこでいいんですか」

「こんだけ数が限られちゃうと、よろこんでもらえるところに渡したいから」

という経緯で仕入れたシャコです。
 煮はまぐりは先週と同じ千葉・飯岡ですが、黒丸ではありません。
スタンダードな蛤です。
001 小田原の塩だけで〆たあじ、大阪湾の小羽いわし、三河の生トリ貝、いずれも新規で今日入荷です。

いし鰈、まこ鰈、カレイがだんだん出てきました。

もう夏はすぐそこです。

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046

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4月29日(火)

2025-04-29 17:47:00 | 4/1~4/30


野上啓三インスタグラムsushi43nogami2←こちらに変更しました。
すべての魚・貝、天然ものです。
◇営業時間について◇火曜~土曜17:30~21:55※ラストオーダー(酒類・酒類以外全て)21:25まで
日曜お子さんデーは11:30~17:30です。※日曜はお子様の日です
店には月曜(+第一日曜日)以外10:30~営業終了+aおりますのでお気軽にご連絡ください!03-3356-0170
※レストラン予約代行サービス『オートリザーブ』でのご予約は日付・時間帯にかかわらず受け付けておりません。
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おかみノート
主人の実家はお寿司屋さん。私はなんにも知らないドシロウト。
今まで見たり聞いたり体験した 寿司屋のいろんなことを書いておきたいと思います

『 数寄屋橋交差点 』
携帯が鳴った。
ゆっくり上体を起こし焦点の合わない目を凝らしながら画面を見ると 野上啓三PHS の文字が出ていた。
「・・どうしたの?」
点けっぱなしのテレビは『特ダネ!』をやっていた。
「寝てた?あのさ、いま数寄屋橋なんだけど」
「え?数寄屋橋って数寄屋橋の交差点?」
「そう。交通事故起こしちゃって。今から救急車乗るから」
「きゅ、救急車?ちょっと、だいじょぶなの!?」
「大丈夫、バイクですっころんでちょっと膝打っただけだから。今からタクシーの人が魚を持って店の前にくるからとにかく冷蔵庫に全部突っ込んどいて」
「・・えぇ?」
タクシーで魚?
とにかく顔を洗い急いで店に行く。
シャッターを開けて電気を点けていたらバンジュウという河岸で仕入れた魚を入れる箱を持たされた見知らぬ男性と主人が上がって来た。
「ここ、カウンターに置いてくれればいいですから」
主人の指示で降ろされたバンジュウの中には砕いた氷が沢山入ったビニール袋が
無造作に載っており、その下には魚や貝が見えた。
「はい、あの、この度はとんだご迷惑を・・すいません」
私に向かって男性がお辞儀をした。
「その話はあとでいいですから。先に病院連れてってください」
「・・はい」
その男性は階段で先に下りて行った。
「怪我、どこ?大丈夫なの」
「いきなり前のタクシーが左折してね。直進しそうになってたからわざと転倒して。膝がね、ちょっと。体重を支えちゃったからね。そしたら数寄屋橋の交番からお巡りさんが一斉に飛び出してきて、タクシーの人と交番の人みんなで道路に散らばったスズキとかヒラメとか拾ってくれて。オレは大丈夫だって言ったんだけど、絶対病院に行けって無線で救急車呼んでくれて。で、いっぺん病院に行ったんだけどやっぱり魚のほうが大事だからさ。加害者に乗せてきてもらっちゃったよ」
「いまの人?」
「車ん中さ、ずーっと気まずいの。黙っちゃって」
「病院どこ?」
「木挽町病院」
膝を庇いながら歩く主人を見送り窓から新宿通りを見ると九時出社にはまだ早いからなのかゆったりと歩いている人が数人見えるだけだった。トイレで鏡を見たら目の下にクマがあった。とりあえず仕入れたものをすべて冷蔵庫に入れた。主人が帰ってくるまで少し時間がある。となりのコンビニで缶コーヒーを買ってきてカウンターで飲んだ。
今回は何故かそんなに驚いたりうろたえたりしていない。慣れか。いや、救急車に慣れてどうする。
未熟ながらも二年ほど店をやっていることで妙に度胸がついたか。
いずれにしても、築地に通う途中に何があるかわからない。
そしてもっと可能性を言えば包丁を使っているのだから大きな怪我だってしないとも言えない。
いろんなことを覚悟しなければいけない商売なんだなと思った。
処置を終えて戻ってきた主人が冷蔵庫を覗きながら大声をあげた。
「あっれぇ?いくら捜してもワサビが二本見つからねぇ。どこ行っちゃったんだ?オレたしかに買ったのに」
その日の数寄屋橋交差点はおそらくタイヤに何回も砕かれ潰されたワサビでツーンとなっていたに違いない。

明日は『海苔の背を叩く』『お弁当屋さん』です
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1dayアーカイブ2024年~2001年4月29日のおしながき
[2024年]野上啓三が見ている豊洲市場の風景 寿司屋の七十二候
[穀雨・第十六候 葭始生あしはじめてしょうず]4/19~4/24
[穀雨・第十七候・霜止出苗しもやんでなえいずる ]4/25~4/29
・北方四島 根室加工 無添加北ムラサキウニ 今、店
レモンの葉と皮のウオッカ漬け出来ました。トニックウォーター割り又は炭酸割りでどうぞ
・兵庫 淡路島 由良 ムラサキウニ 今、豊洲[2023年][2022年][2021年]*お知らせ*4/26~5/12まで休業いたしました[2020年]

[2019年]野上啓三が見ている豊洲市場の風景 寿司屋の七十二候
[清明・第十五候・虹始見にじはじめてあらわる ]4/15~4/19
[穀雨・第十六候・葭始生あしはじめてしょうず ]4/20~4/24
[穀雨・第十七候・霜止出苗しもやんでなえいずる ]4/25~4/30
・北海道噴火湾 活けボタンエビ【動画】
・宮城気仙沼 生本マグロ カマトロ 今、店
・鹿児島出水 イサキ 今、店
・シーズン2回目 静岡由比 生サクラエビ 今、店 
・ヒカリモノ そろいました 今、店
・千葉富浦 くろむつ 今、店
・徳島吉野川 天然うなぎ 白焼き用に切りました 今、店
・徳島吉野川 天然うなぎ 今、店
・宮城七ヶ浜 シャコ 今、豊洲
・ニュージーランド 生インドマグロ 今、店
・三重和具 初鰹 今、店
・兵庫香住 豆ノドクロ 今、店

[2018年][2017年]
[2016年][2015年]日本酒入りました。

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今、店002
[2014年]島原 星カレイ なう

 


003[2013年]日曜日の営業 AM11:30~PM5:30『にちよう☆ひるのがみ』を始めてから10回が過ぎました。窓からの日差しが気持ちいいです。いまの季節、平日の夕方も明るいです。

007[2012年]昨日切り分けた“伝説の人が扱う”本鱒の焼き用は‥005_2 ラストひとつとなりました。

 

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005006[2011年]さきほど、かんぴょう煮あがりました。013 お通しは能登の新モズクです。

わたしの魚(ウォ)キペディア 第52回 最終回 すし

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金曜日です。

『わたしの魚(ウォ)キペディア』に一年間お付き合いくださりありがとうございました。

『おかみノート』のネタが尽きて早三年。日々仕入れてくる魚を見ると思い出すあのこと、このこと。

それを忘れないうちに書いておこうというのが『わたしの魚(ウォ)キペディア』でした。

今回のテーマは「鮨」。

いろいろ考えたのですが・・

やっぱりまだ

書けません。

いつになったら書けるのか

それもわかりません。

ウンウン唸って何パターンか書いているうちに残った言葉があります。

あこがれ

そうなんです

わたしは鮨にあこがれをいだいています

 

                         おわり

読んでいただき、ありがとうございました。

おしながきはいつもどおり毎日更新していきます。

そしてまた『わたしの魚(ウォ)キペディア』も更新する日が来ると思いますが、ひとまず終了です。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。 

                    すし処のがみ 野上有紀子

 

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[2010年]麦いかの一夜干し、肝が入ったまま焼くのが好評です。002

 

あいなめは先ほど締めていました。004

 

あじは三重と和歌山から勝山と焼津に替わります。

 

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[2009年]しまあじの熟成が進んでおります。しまあじは野締めだったからです。新生姜の仕込みがまた新たに始まりました。010

 

 

 

 

 

 

 

 

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月曜定休です。4/29火曜は営業です。4/28は10〜15時仕込みで店におります。03-3356-0170

2025-04-28 15:52:00 | 4/1~4/30

4/28(月)は豊洲市場に仕入れに行きますので

10時〜15時頃まで仕込みで店におります。03-3356-0170

野上啓三インスタグラムsushi43nogami2←こちらに変更しました。
すべての魚・貝、天然ものです。
◇営業時間について◇火曜~土曜17:30~21:55※ラストオーダー(酒類・酒類以外全て)21:25まで
日曜お子さんデーは11:30~17:30です。※日曜はお子様の日です
店には月曜(+第一日曜日)以外10:30~営業終了+aおりますのでお気軽にご連絡ください!03-3356-0170
※レストラン予約代行サービス『オートリザーブ』でのご予約は日付・時間帯にかかわらず受け付けておりません。
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おかみノート
主人の実家はお寿司屋さん。私はなんにも知らないドシロウト。
今まで見たり聞いたり体験した 寿司屋のいろんなことを書いておきたいと思います。

『ステン』
「お父さんから引き継いだ道具ってこれだけなの」
私が訊くと、主人はしばらく考えて
「そうだなぁ、包丁は兄貴や先輩からもらったものばかりだし、これだけだな」
と言った。
「店の準備の時さ、実家にある寿司桶とか土瓶蒸しの器とかもらいに行ったじゃん。そしたら親父がさ、このバット出してきて“持ってくか”って言うからけっこう軽く“あぁ”って言ったんだ。で、開店を手伝いに来てくれてた時にマグロのサクを入れながら“このバットはな、オレが店を始める時に買ったものなんだ。ものすごく高かったんだぞ。道具屋が安いのと高いのを持ってきて、両方ステンレスだけど安いのは錆びたりするから少し無理をしてでも高いのにしたら三代使えますよって言うから思い切ってそっちを買ったんだ。こうして見るとやっぱり一生もんだよなぁ”ってしみじみ言うんだよ」
最近売っているバットはネタを入れやすく薄型で重ねる収納が出来るものが多いけれど、父のそれは深型のたっぷり入るものだった。
小さい頃、大事なものを仕舞っておいたお菓子の缶を思い出した。
大きさから言うとそんな感じだが四十数年経ったこの分厚いステンレス製のバットにはゆったりとした独特の佇まいがある。
マグロや白身がきちんと収められ、冷蔵庫の一番下にいつもある。

明日は『数寄屋橋交差点』です

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1dayアーカイブ2024年~2001年4月28日のおしながき[2024年]

[2023年][2022年][2021年]*お知らせ*4/26~5/12まで休業いたしました[2020年][2019年][2018年]

[2017年][2016年][2015年][2014年]
今、築地今、築地4/25→4/29 [穀雨・霜止出苗しもやんでなえいずる] 今、店今、築地4/30→5/4  [穀雨・牡丹華ぼたんはなさく] 今、築地

 

002[2013年]平政(ひらまさ)6.6kg、腹の部分を仕入れました。

011[2012年]主人が仲買さんから聞いた話ではこの本鱒を扱っているのは“石巻のサバをブランド化した伝説の人”だそうです。006_2胸囲というか胴囲というか、魚の幅が圧倒的にすごいとのことです。

塩焼き用に五切れとり

あとはルイベにまわします。-50℃の冷凍庫へ。

蝋燭背黒(ろうそくせぐろ=背黒イワシ)、光っています。

 

 

 

 

 

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[2011年]夏らしいラインナップに少しずつなってきています。

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[2010年]どうでしたでしょうか、初の試み店主の築地朝レポート『いま、築地』。とりあえずやってみる、ということでスタートします!

今日は殻入りの青柳“なう”ということでしたので、何か感じるものがあったのではないでしょうか。

気が付けばいか祭りです。麦いかはするめいかの子供です。今回は初めてワタ=肝を付けたまま一夜干しにしています。下足にだけ塩分が濃くならないよう気を配った仕事をしています。炙った麦いかは横に割きながらお召し上がりください。今日は佐島のタコを煮ます。(足のみ)

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[2009年]アオシロ 祭りです。

 

上からイナダ、ヒラマサ、シマアジです。白身は大きく二つに分かれ、ひとつはシロシロと呼ばれる真鯛、平目、鰈などの白いもの、もうひとつはアオシロと呼ばれるブリ、ヒラマサ、シマアジ、カンパチのような身の感じのものです。うには青森で、塩水にもミョウバンにも浸けていないとったまんまの瓶詰めうにですが、先週の濃厚さとは打って変わってあっさりとした味です。006

小田原の真あじは塩のみで〆めてあり、酢には浸けていません。わずかに水分を抜くだけであじの身の味の濃さ、甘味を感じていただけると思います。 (写真左) 今日は佐島のタコを煮ます。(足のみ)

 

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第442回にちよう☆ひるのがみ(お子さんデー)

2025-04-27 01:41:00 | 4/1~4/30


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すべての魚・貝、天然ものです。
◇営業時間について◇火曜~土曜17:30~21:55※ラストオーダー(酒類・酒類以外全て)21:25まで
日曜お子さんデーは11:30~17:30です。※日曜はお子様の日です
店には月曜(+第一日曜日)以外10:30~営業終了+aおりますのでお気軽にご連絡ください!03-3356-0170
※レストラン予約代行サービス『オートリザーブ』でのご予約は日付・時間帯にかかわらず受け付けておりません。
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おかみノート
主人の実家はお寿司屋さん。私はなんにも知らないドシロウト。
今まで見たり聞いたり体験した 寿司屋のいろんなことを書いておきたいと思います。

『サヨリの福玉』
ある日の午前中、仕込みをやりながら主人が話しかけてきた。
「水産会社の社長が言うんだよ。“サヨリの頭捨てちまうのか!エラの中に虫みてぇのがいるだろ。あれ焼いて食うとうめぇんだぞ”って」
「なにそれ、前に勤めてた店の話?」
掃除の手を止めて私は訊いた。
「そうそう。サヨリのエラを覗くと、五尾中三尾くらいにその虫が入ってるんだよ。泳いでいるとエラにいろんなものが付くでしょ、でも魚は手が無いから何も出来ない。で、虫が寄生しながらあれこれ動いてあげて、その代わりに虫はエラの中で外敵から守られているんだ。でもさ、うまいって言うけどその社長が実際に食べてるところはみたことないよ」
「水産会社の社長さんが言ってたってことは、本当においしいんじゃないの」
「かなー・・」
「だよ、絶対そうだよ!やってみようよ」
「あ、そう。オレは食わないけど」
「私は食べる」
すると主人はサヨリの頭を落とし、エラを覗きながら数匹の虫を取り出した。半透明の白っぽいふっくらとしたモスラの卵みたいなヤツが出てきた。
「うわっ、エラのスペースより虫の方が大きくない?よくこの中に収まってたね」
「人間で言ったらほっぺたパンパンに膨らました状態だよな」
笑いながら金串に刺して主人は言った。
「塩まぶして焼く?」
「そ、そうだね。塩味があったほうが食べやすいかな~、なんて」
好奇心でここまで事を運んでもらっていたが、いざ食べる瞬間が近づいてくると決心が揺らいだ。お腹の中に入れたらこのモスラの卵がまた卵を隠していて、どんどん増殖していったらどうしよう… 死ぬかもしれない… 
でも食べてみたい。
考えていたら顔に血が昇ってきて、心臓も乱れ打ちをしていた。
「はい、どうぞ。よく焼けたよ」
香ばしい感じに焼けたモスラを前に一瞬たじろいだ。
でもここまでしてもらって要らないとは言えない。思い切って前歯でちぎってみると、薄い殻とパサパサした中身で、噛んでいると少しシャコのような味がした。
「う~ん、おいしいような、あんまり味がないような」
食べて食べられないことはない、そんな感じだった。
「これ、名前なんていうの」
「さぁ、なんだろうなぁ。あ、でもこれに近い形は絵でみたことがあるよ。
 たしかこの本…」
江戸時代に描かれた、鯛の骨の部位を図説している絵にモスラはあった。【鯛の鯛】や【鳴門骨】と並んでそれは【鯛之福玉】と書いてあった。
「鯛のふくだまぁ~?」
二人で同時に叫んだ。 インターネットで調べたら、シマアジなんかにもいるらしく画像を見ると、やっぱりあいつだった。
「あ、今日、真鯛も仕入れているから見てみるか」
「おっと、それを早く言ってくださいよ」
興味津々で鯛のエラを覗き込むと、三倍くらい大きいのが入っていた。
「ギャー!でかっ 寒いっ」
「生きてるよ、オレの指をギュ~って足で掴んでるもん、ほら離れないよ」
人差し指をブンブン振り回している。
「ひぇ~・・」
「塩ふって焼く?」
「もう、けっこうです」
即答した。

『ホームページ』
青色申告会で帳簿を見てもらいながら年度末までの売上予想などを話していたら店の存続がこのままだと厳しいのではという結論に達した。
店を立ち上げてから四年半。
店が本当に潰れるかもしれないという現状を目の当たりにしたらもうとにかくなんでもやってみようという境地になった。
「ホームページやってみます」
いままで否定していたものをそっくりそのまま肯定してみたら逆に店が続けられるんじゃないかと思った。
まだやれることはいっぱい残っている。翌日図書館に行った。
『ホームページビルダーvol.6』、『HTML形式のデザイン辞典』よく解らないweb関連の本が並んでいる。止めようか。いや。
ホームページを既に開いている私と同じ立場の女性に言われたひとことを思い出した。
「あらぁ、ホームページなんて簡単よぉ。出来ないのぉー?」
「出来ないんじゃなくて、あえてやってないんです。手作りのチラシで温もり感を出したくて」
言い返したものの、これは負け惜しみだった。実際にやったことがないわけだから出来ないと言われても仕方がない。とにかく何か少しでもわかりそうなものはないかと本棚を眺めているとパソコン関係にしては異質な一冊が目に留まった。
   『 豆炭とパソコン 』  糸井重里 
 ・・まめたんとぱそこん?
借りてエレベーターの中でページを開いた。八十代からのインターネット入門という副題がある。夢中になって読みはじめた。
全部読んでしまいたくなって、店に行く時間になっても新宿御苑の入り口手前の芝生に寝っころんで草の匂いを嗅ぎながらページをめくっていった。八十代の方がはじめてのことに挑戦している。自分はまだこんなに若いのに踏み出せないなんて恥ずかしいと思った。
うちの店がインターネットの俎上に載ってほしくないというご意見はわかっていた。
ひっそりと店をやってくれ、と。私たちも同じ意見だった。
どこを検索しても載っていない、そんな店が一番かっこいいんだと思ってきた。

その結果、ひっそり過ぎて多くの方に気付かれないまま消えてしまいそうな寿司屋がここにあった。

貫けなかったことをその方々に、心の中で詫びた。でもやるからにはどこにも負けないものを作ろうと思った。御苑から帰るなり主人に言った。
「私、ホームページやるよ。できないかもしれないけどやってみる」
その足でヨドバシカメラへ向かった。
「ホームページビルダーの一番新しいやつください!」
自転車のカゴに『ホームページビルダーvol.8』を入れ新宿通りをぶっ飛ばして帰ってきた。
わけもわからず箱をあけ、とりあえずCD状のソフトを入れインストールした。
なんとかプロフィールと地図と表紙が完成したがインターネットに繋ぐまでには一ヶ月もかかってしまった。
あれから一年半。
毎日もがき続けている。
なりゆきで始めたけれどそれもまたいいのかなと思う。

明日は『ステン』です
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1dayアーカイブ2024年~2001年4月27日のおしながき[2024年][2023年][2022年]

[2021年]*お知らせ*4/26~5/12まで休業いたしました
[2020年][2019年][2018年] [2017年][2016年][2015年]春飛びに対して夏飛びと呼ばれるトビウオが入りました。だんだん初夏のラインナップになってきます。スズキ、白イカ、カレイ、鰯、鯵、メソ穴子、アワビ、いさき、
コチなど、これからです。[2014年]第45回 にちよう☆ひるのがみ

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002いがウニ、あります。書き忘れました。002[2013年]三陸の黒アワビ、今シーズン初入荷です。003_2

 

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[2012年]秋田の黒アワビ、ひさびさに入りました。

 

 

 

 

006[2011年]

 

愛知・師崎(もろざき)の平貝(たいらがい)が入りました。一尾か二尾、貝の中に小さなエビが隠れていることが多いです。

 

メジ、〆鯖、黒アワビ刺、ひさびさ入荷です。

 

店主の築地朝リポート『いま、築地』、2010・4/28スタートでしたのでちょうど一年経ちました。引き続きよろしくお願い致します!

 

 

 

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[2010年]

築地から帰ってきて仕込みを始め‥008

 

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わりと前半の段階で喜知次(きちじ)のエラと内臓を取っていました。

 

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Img_1178[2009年]真ダコの仕込み風景です。吸盤を使って洗い桶にへばり付きながら逃げようとするタコと格闘しているこの方法は数年前までのスタイルです。当時はビニール袋に海水と酸素を充填させたフーセンと呼ばれる袋に生きたまま入れて持って帰っていました。最近では築地で絞めてもらってから持ち帰ります。暴れるタコの目と目の間に包丁の切っ先を立て、動きを止めます。「目と目の間にツボみたいなところがあって、ジャストミートするとサーって皮が真っ白になっていわば瞬殺されて、それが成功したっていうしるし。少しでも逸れると白くならない。赤い肌のままなんだ。だからもう一度刺してもらう。大概二回も刺せば急所にあたるから」と主人は解説します。タコは生命力が強く、バイクで二~三十分運ぶくらいではビクともしません。それでも万が一店に到着する前に弱ってしまうより築地で先に絞めてもらった方が、タコの味にとってはいい影響の方が多いのだそうです。そのあとの仕込みは今も昔も同じです。頭を裏返し、墨袋とワタを切り取り、大量の塩をまぶして揉んでヌメリをとり、足と足の間の膜のところに包丁で切り込みを入れ、吸盤の汚れをひとつずつ丁寧に落とし、流水で洗い、また塩で揉んで水を流し…と手の感覚をフルに使っておこないます。洗い終えたら水気を絞り、やわらかく煮るために足の一本一本を棒でまんべんなく叩き繊維を断ち切ります。水に大根・番茶・醤油・砂糖・酒を入れた煮汁を沸騰させてタコを投入します。中火で三十分ほど煮れば出来上がりです。

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