野上啓三インスタグラム、sushi43nogami2←こちらに変更しました。
すべての魚・貝、天然ものです。
◇営業時間について◇火曜~土曜17:30~21:55※ラストオーダー(酒類・酒類以外全て)21:25まで
日曜お子さんデーは11:30~17:30です。※日曜はお子様の日です
店には月曜(+第一日曜日)以外10:30~営業終了+aおりますのでお気軽にご連絡ください!03-3356-0170
※レストラン予約代行サービス『オートリザーブ』でのご予約は日付・時間帯にかかわらず受け付けておりません。
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おかみノート
主人の実家はお寿司屋さん。私はなんにも知らないドシロウト。
今まで見たり聞いたり体験した 寿司屋のいろんなことを書いておきたいと思います
『海苔の背を叩く』
白い帯で封をされた海苔は100枚で束になっている。
帯をちぎり、30~40枚くらいまとめて持つと、厚さは5cmくらいある。
細巻用の大きさにするには正方形を半分にしなければならない。
分厚い海苔の束は、そろーっと端と端を合わせようとするとU字の磁石を少し押しつぶしたような状態になる。
そこで主人の動作は止まった。
「このままバリッと上から押すと、真半分にならないんだ。長いのと短いのができちゃうんだよね。だからこうするの」
五木ひろしのモノマネかと思えるような仕草で右手を拳にし、折れ曲がりそうになった背の部分を、斜め45度の角度で慎重にトン、トン、トン、トンと叩き出した。
「えー、そんなんで切れるの?」
「そりゃ、一枚ずつ包丁で切ったらきれいに切れるよ。でもそんなことしてたら仕事が終わらないでしょ。素早くいっぺんにまとめて切ろうとしたらこうするのが一番早い」
「ひぇー、すごい。こんなの誰に教わったの?」
「兄貴かなぁ」
やっぱり清二さんはすごい。
『お弁当屋さん』
ランチタイムを辞めて昼の売り上げがポコンと抜けたので目の前にある生きて行くために必要な数々の支払いがより早く迫ってくる感じがして焦っていた。
「お寿司のお弁当を売るっていうのはどうかな」
ランチを辞めて一ヶ月半が経った頃主人に訊ねてみた。
「どこで売るの?」
主人は大根のツマをむく手を止め、カウンターに座る私に言った。
「んー、店の前とか」
「ビルの一階のとこで?」
「そう」
「・・キビシイんじゃない」
「何が?」
「何個も出ないでしょきっと」
「おいなりさんとかさ、十セットくらい売れないかな」
「どうかな」
「仕込みが終わったら少し横になって身体を休めることができるだろうし、そのあいだ私が声張り上げて売ればいいんだからさ」
「新宿通りで売るわけでしょ。・・ちょっと店のイメージがね、どうなのかなーと思ってさ」
主人はまた大根に目を向けカツラむきを始めた。
「店を離れて売るのはいいの?」
「そうねぇ。目の前で売るよりは」
「ちょっと遠くなら?」
「うーん・・」
「どのくらい?四谷?市ヶ谷?」
返事はない。するすると薄紙のように繋がってむかれた大根がまな板にただ折り重なっていった。
「ちょっと行ってくる」
「どこ?」
「市場調査」
「何の」
「お弁当事情の」
「何で」
「だって実際どんなふうなのか見てみないとわかんないじゃん」
「歩きで?」
「チャリだよ」
「・・気を付けてよ」
「わかってるよ」
もう五年は着ている“ガチャピンコート”と呼んでいる鮮やかな緑色のチェック柄のコートを羽織り、着ぐるみのジッパーを上げるように前を締めた。お財布をポケットに突っ込み十一時半を過ぎた時計の針を見た。
「ほんとに気を付けてよ」
「わかってるって。ぐるって回ってくるだけだから」
階段を駆け降り自転車に飛び乗った。
数寄屋橋交差点で交通事故を起こした時「ランチを辞めたい」と主人が言った。この事故は疲れが溜まったのが原因だ、と。
今回は軽傷だったけれどいつまた睡眠不足が祟って集中力が切れ大事故になるかわからない――。
それならば夜一本にして今以上に仕込みをきっちりとやり、少しだけでもいいから身体を休めて――とにかく店をできるだけ長く続けたいのだと言った。
数ヶ月前の出来事を思い出しながら走っていると、JR駅とJR駅のちょうど間くらいのオフィスビルが乱立している場所にたどり着いた。
飲食店もコンビニもそのあたりにはなく、坂の途中の信号機の横に小柄な女性が立っているのが見えた。
足元には折りたたみ式のコンテナが三つ積んであった。
片足を着きブレーキを握ったままその女性の後ろ姿を見ていた。
信号が青になってもその女性は渡らない。
するとオフィスビルから出てきたふたりの男性が小走りで信号を渡りコンテナの蓋の中を覗き込みながら女性と何やら会話をすると、弁当とおぼしきものをそれぞれビニールの手提げ袋に入れてもらいまた戻っていった。
私はブレーキの手を弛め惰性で坂を下り、自転車を止めて話しかけた。
「お弁当、見せてもらってもいいですか?」
女性は「あ、はい」と言って三つのコンテナにほぼ満杯に入っているお弁当の説明を始めた。白身魚のあんかけ、鶏の唐揚げ、肉じゃが。メインの場所に入っているものの違いはこれだけで全部六百円。
あとのスペースのお新香とマカロニサラダとカツオの角煮は皆いっしょだから好きなのを選んで、と言った。
「じゃあ、唐揚げと肉じゃがのをください」
注文のお弁当を取るため、被せてある発泡スチロールの蓋を取ったりしながら女性が話しかけてきた。
「お近くなんですか?」
「・・・あ、はい。まぁ」
「こんなに寒いのにありがとうございます」
「いえ」
白いビニールの手提げに割り箸を入れながら
「じゃあ千二百円になります」
と言って手渡してくれた。
千五百円を出すとウエストポーチのファスナーを開けおつりをくれた。
「・・ここでもう、長いんですか」
勇気を出して訊いてみた。
「え、あぁそうですね。ずっとここでやってますので。あ、でも月金で土日はやってません、またぜひよろしく」
そう言うとまたコンテナの蓋がぴっちりと閉まっているかを確認して真っ直ぐに立ちなおし、さきほど後ろから見ていた姿勢になってしまった。
ああ、ただ単に新規の普通のお客さんだと思われている。
でもここで引き下がっては何も進まない。頑張るんだ、もし断られてもひょっとしたらこの人の横でお弁当を売らせてもらえるかもしれない。
そうだとしたらこんなにうれしいことはない。
「あの、ここでもしお弁当屋さんをやるとしたら大変でしょうか?」
「はい?」
「実は寿司屋をやってまして、昼を外で売ろうかと思ってるんですがここら辺の事情はどんなものかな・・と思いまして。すいません、先に言えばよかったんですけど・・」
あちこちから吹き上げるビル風からコンテナと蓋を守るように抑えながら女性は言った。
「四十五歳でこの仕事を始めましてね」
「・・はい」
「五年間、月金で一日も休まずこの位置に立ってます」
「・・・・」
「雨でも雪でも」
「・・・・はい」
「そういうことです。それでやっと少しだけ知られるようになったっていうくらいです」
「・・そうなんですか」
「ほかにも場所はあると思います」
「・・・・」
「ご自分で探して、一からそこに立って、築いていかれたらいかがですか?」
「・・・はい」
「きっとあると思いますよ」
女性はチラっと腕時計を見ると
「十二時半からこの先の予備校の前に移動します。仲間が車で迎えに来ます。もしよかったら見に来ますか?」
と言ってくれた。
「あ、いえけっこうです。あの、ありがとうございました。勉強になりました」
と私が言うと「いえいえ」と言いながら毛糸の茶色い帽子を取り、髪を振ってまた被りなおした。
「あ、来た来た」
数十メートル先のライトバンを素早く見つけるとコンテナを道路ギリギリの積みやすそうな位置まで運び、指先が出ている皮の手袋を外してウエストポーチの脇に挟んだ。
積み込みを終えると
「じゃ、がんばってくださいね」
と私に声を掛けてくれた。
口の中で小さく「はい」と言って頷き車の方向にお辞儀をして見送った。
生半可な気持ちじゃ出来ないなと思った。
明日は『広島の古葉』『ウニの店』です
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1dayアーカイブ2024年~2001年4月30日のおしながき[2024年][2023年]
2023年4月からAEDを備えました。
2022.11.28普通救命技能講習修了2023.2.20上級救命技能講習修了しました(野上有紀子)
[2022年][2021年]*お知らせ*4/26~5/12まで休業いたしました
[2020年][2019年]
[2018年]
徳島 車海老 (2014.5.27築地撮影)
[2017年]5月~6月上旬に出回るもの その1 イワシ [2016年]
初がつを・本まぐろ・アジ・蝦蛄・ヒラマサ・スミイカ・マコガレイ・このこ、新規入荷です。[2015年]
活けじめアジ、蝦蛄、サザエ、青柳、いがキタ紫うに、赤うに、ほっきがい、活けじめ虎魚、生とり貝、あおりいか、あん肝、活けじめマコガレイ、活け車海老、コハダ(天草)新規入荷です。
[2014年]
[2013年] きんき、あんきも、マコガレイの肝です。
こちらで出回っているしらすは釜揚げ後に冷凍し再び解凍したものがほとんどの中、昨年は釜揚げ後に冷凍していない “未凍結”のものが出ていました。
それはしっとり感がすごいというか、いままで食べたことのない味わいでした。
今年も築地で見かけたら仕入れるそうです。
[2011年]すずき、今シーズン初入荷です。
串木野のあじバッチリ、
カンヌキ(さよりの大きいもの)、
おしながきを眺めてみると、やはりゴールデンウィーク頃から急速に夏っぽいラインナップになると実感します。
[2010年]
750gのマコガレイ、小ぶりながらすんごい厚みなのだそうです。
[2009年]
またがいとは“まだかあわび”のことなのだそうです。
よく見ると身は大根の下に隠れています。
はずした方の貝殻は一緒に蒸します。
そうすることによって出るうまみがあわびに滲み込んでいきます。
なんといっても今日は小柴のシャコです。
禁漁になって、もう四年くらいでしょうか。
ごく稀に調査なのか、獲って少しだけ築地に出回ることがあります。
「のがみさん、これ要る?」
と主人はいつも通っている仲買いさんに声を掛けられ振り向くと、その手には茹でて剥かれきちんと並べられたシャコのプレートがあったのだとか。
小柴は剥きシャコしか出荷しておらず、そのプラスチックのプレートに整然と並べられたシャコの姿を見れば小柴のものだというのはすぐわかるとのこと。
「これ、小柴じゃないですか…!」
「少ないから競りの前に皆で分けたんだ」
「いいんですか?」
「うん、よかったら」
「でもこれ、仲買いさん一軒あたり何枚くらいの割り当てだったんですか」
「三枚」
主人がふと脇に目をやると、他のシャコ二枚に行き先を書いたメモがそれぞれ貼られていて。
「オレんとこでいいんですか」
「こんだけ数が限られちゃうと、よろこんでもらえるところに渡したいから」
という経緯で仕入れたシャコです。
煮はまぐりは先週と同じ千葉・飯岡ですが、黒丸ではありません。
スタンダードな蛤です。 小田原の塩だけで〆たあじ、大阪湾の小羽いわし、三河の生トリ貝、いずれも新規で今日入荷です。
いし鰈、まこ鰈、カレイがだんだん出てきました。
もう夏はすぐそこです。