ホッキ貝は火を入れることで貝独特のクセが和らぎ、甘味が感じられるようになります。
すしダネにする際、捌いた身を湯引きにすることが多いです。湯に投じたら数秒も経たないうちにホッキの身は紫がかった灰色からから桜色に変わっていきます。鍋の中でグラグラと火を入れ過ぎてもダメ、入れなさ過ぎてもダメ、貝本来の個性を活かしつつ旨味をひき出すタイミングとしては、ふちがほんのり紅くなりかけたその一瞬だけです。主人はこの瞬間を見逃さずに引きあげ、握ります。
ほお張ると、口の中にホッキの香りと甘さがひろがります。