政府与党が25日、「特別秘密保護法」案を国会へ提出した。
それから、遅きもあるが、メディア、新聞社等が問題点を記事として、発信。
なんで、早く発信しないのかと、ようやく腰をあげたみたいである。
(当然、各社は社内での闘いがあったと信じたい)
そういうなかで、一貫して、日本の平和と民主主義をまもるために、奮闘しておられる
「東京新聞」、今回は、10月23日の社説を全文掲載。
【社説】 東京新聞 TOKYO Web
「戦前を取り戻す」のか 特定秘密保護法案
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013102302000123.html
特定秘密保護法案が近く提出される。
「知る権利」が条文化されても、政府は恣意(しい)的に重要情報を遮蔽(しゃへい)する。
市民活動さえ脅かす情報支配の道具と化す。
「安全保障」の言葉さえ、意図的に付けたら、どんな情報も秘密として封印されかねない。
最高十年の懲役という厳罰規定が公務員を威嚇し、一般情報も公にされにくくなろう。何が秘密
かも秘密だからだ。
情報の密封度は格段に高まる。あらゆる情報が閉ざされる方向に力学が働く。
情報統制が復活するようなものだ。一般の国民にも無縁ではない。
◆米国は機密自動解除も
秘密保護法案の問題点は、特段の秘匿を要する「特定秘密」の指定段階にもある。
行政機関の「長」が担うが、その妥当性は誰もチェックできない。
有識者会議を設け、秘密指定の際に統一基準を示すという。
でも、基準を示すだけで、個別案件の審査はしない。監視役が不在なのは何ら変わりがない。
永久に秘密にしうるのも問題だ。
三十年を超えるときは、理由を示して、内閣の承認を得る。
だが、承認さえあれば、秘密はずっと秘密であり続ける。
米国ではさまざまな機会で、機密解除の定めがある。
一九六六年には情報公開を促す「情報自由法」ができた。
機密解除は十年未満に設定され、上限の二十五年に達すると、自動的にオープンになる。
五十年、七十五年のケースもあるが、基本的にずっと秘密にしておく方が困難だ。
大統領でも「大統領記録法」で、個人的なメールや資料、メモ類が記録され、その後は公文書管理下に置かれる。
機密指定の段階で、行政機関の「長」は常に「説明しなさい」と命令される状態に置かれる。
機密指定が疑わしいと、行政内部で異議申し立てが奨励される。外部機関に通報する権利もある。
◆名ばかりの「知る権利」
注目すべきは、機密は「保護」から「緩和」へと向かっている点だ。
機密指定が壁になり、警察の現場レベルに情報が届かず、テロを招くことがある-。
つまり情報は「隠す」のではなくて、「使う」ことも大事なのだ。
日本は「鍵」をかけることばかりに熱心だ。
防衛秘密は公文書管理法の適用外なので、国民に知らされることもなく、大量に廃棄されている。
特定秘密も同じ扱いになる可能性がある。
特定秘密の指定事項は(1)防衛(2)外交(3)特定有害活動の防止(4)テロリズムの防止-の四つだ。
自衛隊の情報保全隊や公安警察などがかかわるだろう。
四事項のうち、特定有害活動とは何か。条文にはスパイ活動ばかりか、「その他の活動」の言葉もある。
どんな活動が含まれるのか不明で、特定有害活動の意味が不明瞭になっている。
いかなる解釈もできてしまう。
テロ分野も同様である。殺傷や破壊活動のほかに、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若(も)しくは他人にこれを強要」
する活動も含まれると解される。
これが「テロ」なら幅広すぎる。
さまざまな市民活動も考えているのか。
原発がテロ対象なら、反原発運動は含まれよう。
まさか軍事国家化を防ぐ平和運動さえも含むのだろうか。
公安警察などが社会の幅広い分野にも触手を伸ばせるよう、法案がつくられていると疑われる。
「知る権利」が書かれても、国民に教えない特定秘密だから名ばかり規定だ。
「取材の自由」も「不当な方法でない限り」と制約される。
政府がひた隠す情報を探るのは容易でない。
そそのかしだけで罰する法律は、従来の取材手法さえ、「不当」の烙印(らくいん)を押しかねない。
公務員への適性評価と呼ぶ身辺調査は、飲酒の節度や借金など細かな事項に及ぶ。
親族ばかりか、省庁と契約した民間業者側も含まれる。膨大な人数にのぼる。
主義主張に絡む活動まで対象範囲だから、思想調査そのものになってしまう。
警察がこれだけ情報収集し、集積するのは、極めて危険だ。
国民監視同然で、プライバシー権の侵害にもあたりうる。
何しろ国会議員も最高五年の処罰対象なのだ。
特定秘密を知った議員は、それが大問題であっても、国会追及できない。
国権の最高機関を無視するに等しい。
◆目を光らせる公安警察
根本的な問題は、官僚の情報支配が進むだけで、国民の自由や人権を損なう危うさにある。
民主主義にとって大事なのは、自由な情報だ。それが遠のく。
公安警察や情報保全隊などが、国民の思想や行動に広く目を光らせる。
国民主権原理も、民主主義原理も働かない。
まるで「戦前を取り戻す」ような発想がのぞいている。
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それから、遅きもあるが、メディア、新聞社等が問題点を記事として、発信。
なんで、早く発信しないのかと、ようやく腰をあげたみたいである。
(当然、各社は社内での闘いがあったと信じたい)
そういうなかで、一貫して、日本の平和と民主主義をまもるために、奮闘しておられる
「東京新聞」、今回は、10月23日の社説を全文掲載。
【社説】 東京新聞 TOKYO Web
「戦前を取り戻す」のか 特定秘密保護法案
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013102302000123.html
特定秘密保護法案が近く提出される。
「知る権利」が条文化されても、政府は恣意(しい)的に重要情報を遮蔽(しゃへい)する。
市民活動さえ脅かす情報支配の道具と化す。
「安全保障」の言葉さえ、意図的に付けたら、どんな情報も秘密として封印されかねない。
最高十年の懲役という厳罰規定が公務員を威嚇し、一般情報も公にされにくくなろう。何が秘密
かも秘密だからだ。
情報の密封度は格段に高まる。あらゆる情報が閉ざされる方向に力学が働く。
情報統制が復活するようなものだ。一般の国民にも無縁ではない。
◆米国は機密自動解除も
秘密保護法案の問題点は、特段の秘匿を要する「特定秘密」の指定段階にもある。
行政機関の「長」が担うが、その妥当性は誰もチェックできない。
有識者会議を設け、秘密指定の際に統一基準を示すという。
でも、基準を示すだけで、個別案件の審査はしない。監視役が不在なのは何ら変わりがない。
永久に秘密にしうるのも問題だ。
三十年を超えるときは、理由を示して、内閣の承認を得る。
だが、承認さえあれば、秘密はずっと秘密であり続ける。
米国ではさまざまな機会で、機密解除の定めがある。
一九六六年には情報公開を促す「情報自由法」ができた。
機密解除は十年未満に設定され、上限の二十五年に達すると、自動的にオープンになる。
五十年、七十五年のケースもあるが、基本的にずっと秘密にしておく方が困難だ。
大統領でも「大統領記録法」で、個人的なメールや資料、メモ類が記録され、その後は公文書管理下に置かれる。
機密指定の段階で、行政機関の「長」は常に「説明しなさい」と命令される状態に置かれる。
機密指定が疑わしいと、行政内部で異議申し立てが奨励される。外部機関に通報する権利もある。
◆名ばかりの「知る権利」
注目すべきは、機密は「保護」から「緩和」へと向かっている点だ。
機密指定が壁になり、警察の現場レベルに情報が届かず、テロを招くことがある-。
つまり情報は「隠す」のではなくて、「使う」ことも大事なのだ。
日本は「鍵」をかけることばかりに熱心だ。
防衛秘密は公文書管理法の適用外なので、国民に知らされることもなく、大量に廃棄されている。
特定秘密も同じ扱いになる可能性がある。
特定秘密の指定事項は(1)防衛(2)外交(3)特定有害活動の防止(4)テロリズムの防止-の四つだ。
自衛隊の情報保全隊や公安警察などがかかわるだろう。
四事項のうち、特定有害活動とは何か。条文にはスパイ活動ばかりか、「その他の活動」の言葉もある。
どんな活動が含まれるのか不明で、特定有害活動の意味が不明瞭になっている。
いかなる解釈もできてしまう。
テロ分野も同様である。殺傷や破壊活動のほかに、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若(も)しくは他人にこれを強要」
する活動も含まれると解される。
これが「テロ」なら幅広すぎる。
さまざまな市民活動も考えているのか。
原発がテロ対象なら、反原発運動は含まれよう。
まさか軍事国家化を防ぐ平和運動さえも含むのだろうか。
公安警察などが社会の幅広い分野にも触手を伸ばせるよう、法案がつくられていると疑われる。
「知る権利」が書かれても、国民に教えない特定秘密だから名ばかり規定だ。
「取材の自由」も「不当な方法でない限り」と制約される。
政府がひた隠す情報を探るのは容易でない。
そそのかしだけで罰する法律は、従来の取材手法さえ、「不当」の烙印(らくいん)を押しかねない。
公務員への適性評価と呼ぶ身辺調査は、飲酒の節度や借金など細かな事項に及ぶ。
親族ばかりか、省庁と契約した民間業者側も含まれる。膨大な人数にのぼる。
主義主張に絡む活動まで対象範囲だから、思想調査そのものになってしまう。
警察がこれだけ情報収集し、集積するのは、極めて危険だ。
国民監視同然で、プライバシー権の侵害にもあたりうる。
何しろ国会議員も最高五年の処罰対象なのだ。
特定秘密を知った議員は、それが大問題であっても、国会追及できない。
国権の最高機関を無視するに等しい。
◆目を光らせる公安警察
根本的な問題は、官僚の情報支配が進むだけで、国民の自由や人権を損なう危うさにある。
民主主義にとって大事なのは、自由な情報だ。それが遠のく。
公安警察や情報保全隊などが、国民の思想や行動に広く目を光らせる。
国民主権原理も、民主主義原理も働かない。
まるで「戦前を取り戻す」ような発想がのぞいている。
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