ケルベロスの基地

三本脚で立つ~思考の経路

BABYMETAL探究(Danscream考・番外編 Perfume偶感)

2015-10-15 00:14:30 | babymetal
「Danscream考」もいきなり番外編になってしまうのだが、それは、「MJ presents Perfume 10th Anniversary」(Perfumeの、結成15周年、メジャーデビュー10周年、のスペシャル番組)を観たためである。
特にPerfumeのファンというわけでもない僕も、時々涙をにじませながらの視聴になってしまった。熱いものがいろいろとこみあげてくる、いい番組だった。
(いつかBABYMETALもこんな番組を…と思いながら見ていた…。)

同じアミューズ所属、広島アクターズスクール出身、ダンスで魅せる3人組のアイドル、という共通項も持つPerfumeは、BABYMETALを考える上で、絶えず参照項になる存在だろう。
とりわけ、MIKIKO先生との関係性についてメンバーが語る(…もらい泣き…)なんてことは、BABYMETALにおいては(まだ)見たことがないので、この番組から類推・想像の羽をはばたかせたのだった。
(『ヘドバン』誌で、BABYMETALを語るMIKIKOMETALのインタビューは目にしたことがあっても、その逆に、MIKIKOMETALを語るメンバーのインタビュー、というものは目にしたことがない)。

今後、BABYMETALの「Danscream」を考える参考にもなるはずなので、忘れないうちに偶感を綴っておきたい。
(にわかなので、勘違い・間違いもあるかも…ご容赦を)。

これまで、MIKIKO(METAL)のインタビューを見たり読んだりしながら(何となくは)知っていたのだが、売れない時代も長かったPerfume3人の、「ポリリズム」をきっかけにして世界が180度「激変」してゆくことへの驚きと感激と戸惑い、でも、そうした「怒涛の」盛り上がりに浮かれることも奢ることも決してなく、つねに「初心」を忘れない謙虚な人柄に、番組を見ながら感じ入ってしまった。

(BABYMETALとも強く共通する)そうした謙虚な姿勢は、周りのスタッフとの関係性も大きいのだろうと思う。番組内には、中田ヤスタカとMIKIKOが映像で登場し、3人への(ふだんは近いからこそ言わない)熱い思いを語っていた(…もらい泣き…)が、この2人との出会い・関わりがなければ、Perfumeの今の成功はない。それは、自他ともに認めるところで、まずそれが3人の謙虚さの根源にあるはずだ。

BABYMETALの3人も、楽曲や振り付けやそしてステージで後ろを支える神バンドの演奏や、と、それぞれプロフェッショナルの大人たちの情熱をこめた丁寧な仕事に支えられて自分たちの「成功」「躍進」があるのだ、ということは心から理解したうえで、だからこそそれに負けないように、自分たちにできる「演」奏を毎回毎回全力で・魂をこめて行っているのだ。
「We are BABYMETAL!」
というSU-METALのシャウトの「We」には、会場じゅうの観客を吸いこんでしまう求心力がある。
それは、彼女の懸命のシャウトが、うわべだけのステージ上の演戯ではない、真心のほとばしりだから、でもあろう。
この3人だからBABYMETALなのだ、が、3人だけでなく、みんなが・みんなでBABYMETALなのだ!これは、おそらくSU-METALの心からの本音だろう。

Perfumeの3人が、中田ヤスタカと初めて仕事をした時にレコーディングでの冷たいダメ出しに泣かされた、と語っていたのも印象的だった。
今まで自分たちが歌ってきた歌(歌い上げる系の歌だったそうだ)とは全く異なる種の歌(リズムにノることが生命の楽曲)を与えられ、それを徹底的に厳しく鍛えられ、その成果として信じられない規模の「成功」を獲得してゆく、という姿は、まさにBABYMETALの姿でもある。

BABYMETALの3人がKOBAMETALのダメ出しによって泣かされた、という話は聞いたことはないが、自分たちが思ってもいなかったことを「やらされる」という<構造>は、今後もBABYMETALにつきまとう。それは、端的に言えば、彼女たちがプロデューサーによって造られたアイドルである、ということの証左である。
しかし、その「やらされる」ことを、ワクワクしながら「引き受ける」ことで、それは、彼女たちの主体的な「仕事」になる。
番組内で、Perfumeが「こんなカッコいい音楽ができる」という言い方をしていた。
同様の思いは、BABYMETALの3人も感じているはずだ。

この番組を見ながら、「アイドル」であるがゆえに懸命・謙虚である、ということが、どういうことなのか、改めて鮮やかに感じることができたように思う。
大人たちと、演者である少女たちとの、年齢差や立場を超えた、プロフェッショナルとしての関係性。
それが、PerfumeやBABYMETALの、謙虚さの源なのだ。
(「総選挙」という人気投票には、こうした、プロフェッショナルな演者である少女と企画する大人との対等な関係性、というものは感じられない。個人的には、おぞましい、と言うしかない世界がそこにある。まあ、だからこそ、その身も蓋もない「本音」が大衆的な商品として売れている、のかもしれないが…)

いちばんたいへんな振り付けは?」という質問に、あ~ちゃんが「近々のが、そうじゃな」と答えていたのも、ああ同じだ、と感慨深かった。
新しい曲を重ねるごとに、どんどん振り付けも高度化・難化しているのだ。
MIKIKO先生(MIKIKOMETAL)だからこその、現状に妥協しない挑戦的な姿勢は、PerfumeにもBABYMETALにも(そのたたずまいはずいぶん異なるけれども)同じように浸透し、燃える「魂」として滾っているのだ。

Perfumeの初の武道館公演は、結成9年目の2008年、3人が20歳の時(今、BIOGRAPHYを確認したら、2007年の11月の武道館公演時点での実年齢は、のっちが20歳、あ~ちゃんと、かしゆかは19歳だが、学年でいえば、3人が20歳になる年度の11月である)で、それまでずっと小さな会場やライヴハウスでやってきたから、「アリーナ!」と言うのが恥かしいというかこそばゆいというか畏れ多いというか、といった戸惑いが「密着取材映像」で見えたのが、とても印象的だった。
2週間重ねた練習で、あ~ちゃんの足の裏が水脹れになり、べろーんとはがれている絵も映った。当然と言えば当然だが、あれだけの完成度の高いステージを見せるために、まさに「血の滲む努力」を重ねているのである。BABYMETALの3姫についても、推して知るべし)
武道館公演のはじめ(?)に、3人で「本日は、ライヴハウス、武道館~!」と叫ぶのも、感涙ものだった。会場の規模は大きくなっても、熱い「初心」は変わらないのだ。
武道館公演の、コール・アンド・レスポンスで、「アリーナ!」「1階!」「2階!」「みんな~!」と会場中の観客に向かって叫びかけるのも、それまでの小さなライヴ・ハウスでの活動を思い起こしながらの万感の思いがこもっていた、という。

幸か不幸か(今のところ「不幸」といえそうな要素は皆無に思えるのだが、でも、本当にそうなのだろうか?BABYMETALは何もかもがあまりにもうまくゆきすぎているのではないか?その躍進の反動、光の裏面の影、それはどうなっているのだろうか?なんて番組を見ながら考えてしまった)BABYMETALは、ごくごく若いうちに(というかまだ幼いうちに)武道館という晴れ舞台に立つことができた。
武道館公演の女性アーティストとしての最年少記録樹立、なんて、Perfumeの長い下積みに比べると、たいへんな躍進である。
その人気の拡大ぶり・加速ぶりは、改めて考えてみると、異常としかいいようがない。

初の武道館ライヴでの、「アリーナ!」という掛け声を聴くことができるのは、BABYMETALの場合は、「赤い夜」の「4の歌」での、YUI・MOAの煽りの際だ。
MOAMETALの「スタンド~!」に続く、YUIMETALの「アリ~ナ~!」というケロケロっとしたシャウト。
そこには、Perfumeにあった「感慨」「万感の思い」などみじんも感じられない。実にあっけらかんとしたものだ。
しかし、もしも、これが、さくら学院のコンサートだったならば、菊地最愛も水野由結も、「感慨」「万感の思い」があったのかもしれないなあ、なんて妄想し、改めて、BABYMETALというユニットの不思議さを感じたのである。

やっている当人たちも自分たちがやっているとは信じられないような不思議な次元で、マンガを超える、ありえない出来事が起こっている

2010年には、Perfumeは、5万人の東京ドーム・ライヴを開催した。
公演後、MIKIKO先生と顔を見合わせて、ぼろぼろ泣く姿(…もらい泣き…)は感動的であった。5万人を前に、3人だけのステージをやりきったメンバーに「すごいね。こんなの見たことないね。」とMIKIKOが語りかけ、3人で頷きながら、あ~ちゃんが「ホンマにありがとう。先生のおかげじゃわ。こんなにカッコいいステージ…」と泣きじゃくりながらお礼を言うのもこみあげるものがあった(…もらい泣き…)。

MIKIKO先生にとってのPerfumeとは?という質問に、
「おおげさだけど、人生の一部ですよね。」と答えていたが、まさにそうであろう。3人と出会ったからこそ、いろんな仕事も広がった、というのも事実だし、それ以上に、人間としてお互いに無名の時代、3人が小学生の頃から、世界的人気ユニットに駆け上るまで支え合い・刺激を与え・受けあいながら、Perfumeを作ってきた、という思いは強いはずだから。

で、そのMIKIKO先生の語りの映像を観ながら、メンバー3人(とりわけあ~ちゃんは)スタジオで涙を滂沱させながら、
あ~ちゃん「うれしい。よう見てくれとる。ホンマにねえ。」、
かしゆか「こちらこそ、ほんとにPerfumeの一部ですね。先生がいないとここまで来れなかったし、Perfumeでいちばん注目されていて、みんなが好きって言ってくれているところを創ってくれている存在なので、ほんとにかけがえのない人です。」
のっち「メンバーですね。うん。一緒に悩みながら、同じプレッシャーを感じながら、進んで来たと思います。先生とは。」、
あ~ちゃん「ホンマにうれしい。こういう信頼関係ができているのも嬉しいし、すごい魅力的な人なのに、ウチらのこともまだこうやって、求めてくれているというか、期待してくれている、というのが嬉しいですね」
と語っていた(…もらい泣き…)。
よくわかる。

そして、番組の最後にも、2人の言葉が紹介される。
中田ヤスタカが「さらなる、予想外の状況を作っていけたら、いいんじゃないかな。」
MIKIKO先生が「3人だから、チームPerfumeだからこそ、できることがある。これからもいろいろあると思いますが、手をつないで頑張っていきましょう。」
と語っていたのが、
BABYMETALにも重なって胸を熱くした

そう、常に、音楽的・演出的に、挑戦し続けるということ。

もちろん、ビジネスだから、売上・利益をあげていかなければならないのは当然だが、そうした「高い志」によって、多くの人間に元気・勇気・情熱を与え続けている、PerfumeもBABYMETALも、そこが最高なんだ、と改めて痛感した。

今後、何度も繰り返し観直すはずの番組であった。
(いつかBABYMETALもこんな番組を…)

…ここからは、全くの余談である。

それも、科学的な見地からは、全く噴飯ものの与太話になるのだが、今回の文章を書くのに、PerfumeのBIOGRAPHYを確認してびっくりしたことがある。
Perfumeの3人とも、血液型はA型なのだ!
何か、ひどく納得してしまった。
血液型なんてまったく何の科学的根拠はない。
確かにそうなのだろうが、Perfumeのあの精緻なダンスを観て、3人ともA型だ、と知ると、何かとっても納得、である。
BABYMETALは、SU-METALがB型、YUIMETALがO型、MOAMETALがA型(だそう)だが、これもひどく納得、である。
この構成の「カオス」(は大袈裟だが)的なバランスは、まさにそのまんまBABYMETALのブレンド具合であり、「らしさ」がこんなに鮮やかに表出されていることに驚く。

同じ(アミューズ所属の)女性3人のユニットでも、同学年の同じA型3人のPerfumeと、二等辺三角形のような年齢構成で3人とも血液型を異にするBABYMETALとの差異、というのが感じられて、これも実に興味深い。

ごめんなさい。本当に与太話で。

さあ、いよいよ横アリの当落発表ですね…。
(いつものことながら)ドキドキが止まらない…!

最後に、フラゲした『ヘドバン』8号、今号も熱い!
まだ途中ですが、The冠 → 川西全 おふたりのインタビューにさしかかり、帰宅途中のJR快速電車の中で、涙ぐんでしまいました。放送されなかった加山雄三のコメントも感動モノです。

BABYMETALのおかげで、本当に、楽しい日々、を過ごしています。
感謝!



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