ケルベロスの基地

三本脚で立つ~思考の経路

BABYMETAL探究(春の嵐2016・・・その余塵~名言集①~)

2016-04-17 01:42:49 | babymetal
『METAL RESISTANCE』を入手してから、まる半月ほどが経った・・・。
えっ、まだ半月?
そう、そうなのだ。
僕の(まだ1年半ほどでしかないが)BABYMETAL体験歴の中でも最高に濃度・密度の高い、まさに怒濤の「春祭り」の数週間だった。
皆さんにとっても同様であろう。

それにしても、英国でのチャート・インはある程度予想できたが、米国でのこの受け方は、想定の遙か上(と、この「想定の遙か上」がBABYMETALの「デフォルト=通常」であるのだが)だった。
正直、「えっ、もう?・・・早すぎる・・・」という印象である。

ふだん購読している新聞の朝刊の社会欄に、小さなスペースでではあるが、写真(モノクロの小さな写真だが3人とも可愛く写っている)入りでTop40入りが紹介されていて、これが一般的にみても「偉業」である、ということを確認した(この日の新聞は、永久保存版として保管してある)。
今日は、読売英字新聞「The Japan News」も、購入した。高校に進学した娘の学習素材にもなるだろうと、2部購入。(記事の中身自体には新味はないが、全て英文でBABYMETALが紹介されているのはやはり新鮮だし、構成として、いつにもなく、YUIMETALがとてもよく語っている、ということに好印象を持った。)

来週の新木場でのイベントに参加される皆さんは、さらにワクワク・ドキドキが高まっていらっしゃるだろうし、金曜日のMUSIC STATIONもあるし、さらにいくつかの雑誌の特集もあるし、5月4日にはWOWOWでのWEMBLEYライヴ放映もあるし・・・と、この「春の嵐」は一向に治まりそうにない勢いなのだが、僕自身は、先日の「Billboard Top 200」の発表で、この「春の嵐」も一段落という感じである。
というか、一回どこかで一段落をつけないと、身体が持たないのだ。

でも、一段落、なんて言ってよいのだろうか?
米国での反応は、いま始まったばかり、という気もするのだが…。
来週のチャートではさらに順位を上げる、ということもあるのでは…?

・・・と、まだまだ花の嵐の余塵は途切れそうにないのだが、いずれ、また(この数週間に比べての)”BABYMETALロス”の時期がやってくるのかもしれない。

が、”BABYMETALロス”も、これはこれでまた必要なのだな、という思いを、今回の「春の嵐」で強く持った。
こんなペース・密度で今後もBABYMETALの情報が届けられるようだと、ほんとうに、身体が持たない。
実際、仕事に、いまひとつ身が入らなかったのだ・・・。これはたいへん問題である・・・と、気合いを入れ直しているところである。
(「春の嵐」に高揚させられて、前回、前々回のシリーズの記事を、立て続けに公開しようと気負った所為でもあるのだが・・・)

今回は、ここで、いったん落ち着いて、この春に出会った怒濤の量の情報の中から、特に個人的に気になった・感動したものを、いくつかとりあげて、噛みしめておきたい。
いわば、「小ネタ集」としての「名言集」である。

① サウンド的に言うとバイキングメタルで、コーラスもスカンジナビアのバイキングの人に歌ってもらいました
by KOBAMETAL 『日経エンタテインメント』


もちろん「META!メタ太郎」について語ったものである。
情報量としては、ほんのひと言のコメント、まさに小ネタだが、僕にとっては”凄い”情報だった。(まだあまり話題にはなっていないようだが・・・)。
意外な雑誌にさりげなくこんな”凄い”情報が漏らされていたりするのだから、何とも油断ならない。
こんなことは、こうしてKOBAMETALに語ってもらわない限り、音源を聴いてわかるはずはない。

BABYMETALの”ホンモノ”ぶりを露わにする情報だと思う。
「META!メタ太郎」などという、どう考えてもマトモではない楽曲。
ウエンブリーのLVで披露した振り付けも、「楽しい狂気」とでもいうべき唖然とするほど素晴らしいものだったが、そこに、本当のバイキングの人のコーラスが入っている、という、わけのわからないところでの”こだわり””ホンモノ”ぶり

これが、BABYMETALなのだ。

一見さんが、表面的に瞥見した段階では、「ああ、企画ものか」「アイドルの、ごっこだね」「ふざけるな!メタルをなめんな!」「あ・・・これは・・・無理!」という風にも見えてしまう、極めてニセモノ臭い、BABYMETAL。
しかし、何かをきっかけにして、じっくり視聴したり、繰り返し触れてゆくと、やがて「いやいや、・・・これって、とんでもないホンモノじゃないか!」と衝撃を受けるのだ。必ず。
そのいちばんの典型はYUI・MOAのダンスだろうが、隅から隅まで徹底的に練り込まれ鍛え込まれたホンモノの素材で、一見ニセモノにしか見えないような楽しさを表現している、それがBABYMETALなのだ。

KOBAMETALのこのさりげない発言に、僕は、そうした「狂ったホンモノぶり」を感じ、鳥肌を立ててしまった。この、尋常でないこだわりと、それを実現するスキルを備え努力・鍛錬を惜しまないメンバーやスタッフ、その総合が、この「奇跡」のユニットをつくりあげているのだ、と。

それにしても、スカンジナビアのバイキングの人(今でもバイキングって実在しているのか?)のコーラスって、「M!E!T!A!」か?「メタ!」か?ひょっとして、「ぶっとばせ~!メ~タ太郎!」の日本語も歌ってもらったのだろうか?

なんて考えると、この曲の”大きさ”がますます増していくのだ。

② (メタルのレジェンドたちからもらったメッセージで一番印象的なのは?)
 ジューダス・プリーストさんが「ギミチョコ!!」を歌ってくれて「この曲好きなんだ!」と言っていただいたことDEATH!
by SU-METAL 『ぴあ MUSIC COMPLEX』


見たか!見たか!見たか!メタルエリートどもよ!
・・・溜飲を下げる、とは、まさにこれである。

僕も、アイアン・メイデンのデビューをリアルタイムで体験し(中学生でした)、それ以来、全てのアルバムを購入し聴いている、それなりに「筋金入りのメタルヘッズ」であると自負しているのだが、だからこそ、BABYMETALに衝撃を受け、愛聴・愛観(こんな言葉はないが)しているのである。
そんな僕は、わけのわからない(筋の通らない)こだわりによって、BABYMETALを認めない(好き・嫌いはあって当然だが)いわゆるメタルエリートの、「逆ストーカー」とでも言いたくなる病的な拒否反応・ネグレクトには、人間としてうんざりしているし、はっきりと軽蔑している

ハード・ロックから、ヘヴィ・メタルへと、新しい時代を、勇気をもって切り開いたジューダス・プリースト。
彼(ら)だからこそ、BABYMETALの存在意義を、理解し・共感している、という、実に頼もしいエピソードである。

この②も、本来、もっと話題になってしかるべき、ある意味「爆弾発言」ではないか。

ロブ・ハルフォードが、とは言っていないが、まあ、ロブだろう。
あのメタル・ゴッドが3姫の前で「ギミ・チョコ」を歌ってくれた、だと!?

快哉、というしかない。

③ 私たちがやっていることはオンリーワンだと思うし、今までもやってきた人はいないと思うから、音楽界に名を残せるような、新しいものを作った偉人……とまでは言わないですけど(笑)、そういう存在になりたいDEATH!
by SU-METAL 『ぴあ MUSIC COMPLEX』


③’…いくら夢を語ってもキツネ様のお告げがそれを超えちゃうから、めちゃめちゃ大きな話をしちゃうと、何だろう……ある種の偉人みたいな(笑)、時代に新しい風を巻き起こす存在になれるようにと思って頑張っています。あまりに大きな野望ですけどね(笑)。
by SU-METAL 『YOUNG GUITAR』


SU-METALの、人間としての「太さ」(「大器」であること)を表わす、味のある発言である。
”ポンコツ”なんて言われたりもする中元すず香だが、喩えるならば、彼女は、小さくて鋭いナイフ、ではなく、鈍くて大きいナタ、なのだろう。

「偉人になりたい」と語る18歳の(世界的に人気を集め(はじめ)ている)女性シンガー。

いやはや、涙が出てくるほど、素晴らしい。

いや、ほんと、どうやったらこんなに「いい娘」が育つのだろうか?

BABYMETALの「奇跡」の根本には、まずSU-METAL(中元すず香)のこの「大器」がある、ということは、BABYMETALを好きになった全ての人が認めることだろう。

で、そんなSU-METALの発言だからこそ、

④ …ツアーの中で「ファンの人は日本語を勉強してくれてるのに、私達が英語で伝えようとしなくてどうするんだろう」って思えてきたんです。
by SU-METAL 『YOUNG GUITAR』


これが、単なる美辞麗句ではなく、「本音」を語っているのだな、と(ファンならば皆)深く納得できるのである。

「THE ONE」での全編英語歌詞に対して、マーケティング的な観点で、「やはり日本語の方が、海外の人には魅力的では?海外にウケようと英語歌詞にするなんて、今までの先輩方と同じように日和ってしまったのは残念だなあ」なんて言うのは、無粋、という以上に、BABYMETALの「思い」をまるでわかっちゃいない、ということだ。

「海外の市場でウケるためには、やはり英語で・・・」などという「戦術」として、全編英語詞にしたのではない。

まさに「THE ONE」でBABYMETALが表現している世界観でもあり、今の3人の(とりわけSU-METALの)思い。それが、海外の人と一緒に英語(現実的な世界共通語)で歌う、というこの楽曲のスタイルとなっているのだ。

こういう「精神論」って、語るのはダサいのかもしれないが、でも、こうしたまっすぐな気持ちがBABYMETALの世界的な人気の根底を支えている、このことは、おそらく事実だと思う。
SU-METALの歌、YUIMETAL・MOAMETALの舞踊、そこに、こうしたまっすぐな気持ちが現われているから、単に音楽的・演劇的に魅力的だという以上に、国境を越えた老若男女の胸を打つのである。

ファンであれば、このSU-METALの言葉が「本音」であることはよくわかるだろう。
これがBABYMETALなのだ。

⑤ (曲づくりにルールはありますか?)
ありません。BABYMETALは、複数のクリエイターに書いてもらった楽曲のパーツをマッシュアップして1曲に仕上げるパターンも多いので。で、その曲に3人のメンバーのキャラクターを意識したメロディや、グループの活動とリンクしたストーリーの歌詞を取り込みます。だから、「BABYMETALらしさ」という部分に関しては、自分の中には答えがあるのですが、それを明確に説明するのはなかなか難しいです。
by KOBAMETAL 『SOUND DESIGNER』


この雑誌は、紹介したなかではいちばん見過ごされているものだろう。
こうしてKOBAMETALがBABYMETALの楽曲の核心をきちんと語るのは、初めてだと思う。

昔、松本伊代が「伊代はまだ~16だから~」と歌ったり、小泉今日子が「なんてったってアイドル」と歌ったり、メタレベルからの自己言及を楽曲にしていた、ということを鑑みると、BABYMETALの歌詞がBABYMETAL自身の活動を歌う、というのは、まさに「アイドル」属性の極みだ、と言えるのかもしれない。

「有言実行」。

キツネ様のお告げを、3人が懸命に実現しようとする、という活動の構造もそうだし、
「Road of Resistance」「KARATE」「Amore」等々の楽曲の歌詞も、
「戦うBABYMETAL」を歌や舞踊で表現するのがBABYMETALだ、という、
メタ、というか、自己言及というか、フラクタル、というか、
こうした構造を徹底して(しかも超絶的な音楽的・演劇的なレベルで表現して)いるのは、おそらく、ヘヴィメタル界にもアイドル界にも、他の音楽ジャンルにもない、
BABYMETALの唯一無二の特性(のひとつ)だろう。


と、こうして、ほんのいくつかの片言を抜き出してみるだけでも、BABYMETALの他に類をみないユニークさが確認できると思う。
これ、今後も時々やってみたい。
点と点を結ぶことで、線が見えてくる、みたいな、面白さはあるな、と、今回書いてみて思った(・・・あくまで自己満足ですが)。


・・・あ、東京ドーム、当選しました。大箱で「THE ONE」枠で当選したのは初めてです。綺麗なチケットが送られてくるんですよね、確か。
楽しみです!

まずは、新木場に行かれる皆さん、楽しんで来てください!