goo blog サービス終了のお知らせ 

生命哲学/生物哲学/生活哲学ブログ

《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

福島原発事故124:エネルギー問題

2011年05月10日 09時37分29秒 | 生命生物生活哲学
2011年5月9日-12
福島原発事故124:エネルギー問題

 仲本章夫(1998)『科学思想論』は、第II章「現代の危機と自然観の問題」の第2節「二つの核と自然観の問題」で下記のように書いている。
の22-23頁に

  「原子力発電の原理は〔略〕、つぎのような問題点をかかえている。
   1. エネルギーの三分の一しか利用されない。ちなみに、火力発電では四〇パーセントが利用されている。残り三分の二は高温の水となり、環境破壊を引き起こす。
   2. しばしば、放射能汚染がおこなわれ〔略〕る。
   3. 核廃棄物の処分の問題が生じる。十年ほど前のデータで二〇〇リットルのドラム缶数十万本以上が蓄積されている。どこに捨てるかの問題は深刻である。〔略〕
   4. 大事故がおこるのは偶然的な要因による比率が非常に高い。
   5. 原発労働者が大量の被爆をしている。」(仲本 1998: 22-23頁)。〔機種依存文字は、たとえば「1. 」に変更した。〕

 朝日新聞2011年5月10日29面には、
  「求人は「宮城でダンプ運転手」
   福島原発で30日間作業」
という見出しの記事がある。求人情報は、3月中旬とのこと。
 福島第一原発事故後しばらくしてからの或る週刊誌でも、現地に行くと原発での仕事だったという記事があった。


 仲本『科学思想論』の小見出し「電気は不足なのか」のところでは、

  「第一に、わが国は高エネルギー消費型社会であって、これを改めれば必ずしも不足しているとはいえない。
   第二に、一九八〇年代の数字で残念であるが、そのころ日本の発電設備容量一億六千万キロワット、原発三千万キロワット(現在はもっとこの比率は増えている、意図的に増やしているが)。まだなんとかなる数字である。
   第三に、将来のエネルギー源としては、原子力エネルギーを考察の対象として外すことはないと思われるが、現水準での危険な原発は使わないほうがよい。
   第四に、アメリカでもロシアでもそうだが、全世界的にも原発は廃止・縮小の方向にある。日本だけが世界の趨勢に反しているのは低次の政治的理由によるものとしか考えることができない。ちなみに、金権政治家田中角栄の重要な資金源の一つが原子力産業であった。これは大企業でなくてはできない。金権はゼネコンばかりでない。
   このようなことから、直接、近代合理主義的自然観やそれに基づく近代自然科学への不信の念が生じるのは不思議な現象とはいえない。」(仲本 1998: 23頁)。

と述べている。

 日本の発電電力量(2010.11.05)
http://www.iae.or.jp/energyinfo/energydata/data1006.html
によれば、

  「2008年度の発電電力量の電源別割合は[水力7%、火力70%、原子力23%]」

で、その頁のグラフから読み取ると、2005年度や2008年度では、発電電力量は、
  約11500億KWh
のようである。1980年度では、
  6000億KWh弱
のようである。

http://www.iae.or.jp/energyinfo/energydata/data1036.html
では、火力発電について、

  「●火力発電の効率は年々良くなり、最近では発電効率(発電端)の平均は40%を超えている。
   ●最先端の発電所では発電効率が約60%のものもある。」
http://www.iae.or.jp/energyinfo/energydata/data1036.html

とある。

 
[N]
仲本章夫.1998.7.科学思想論.viii+201pp.創風社.[y1,500+税] [B990330]


常温核融合発電6

2011年05月09日 01時02分28秒 | 生命生物生活哲学
2011年5月9日-1
常温核融合発電6

 検索していると、
A new energy source from nuclear fusion, S Focardi, A Rossi, 9p text
についての、Rossi氏の装置は本当かどうかなどについての、
http://www.mail-archive.com/vortex-l@eskimo.com/msg41302.html
(14 Jan 2011 21:17:05)から始まるメールのやりとりの記録があった。

  「At least I know why Cold Fusion - other systems don't work. They are poisoned.
  少なくともわたしは、なぜ冷融合の他のシステムが働かないかを知っている。それらのシステムは、汚染されている。」[試訳20110508]
http://www.mail-archive.com/vortex-l@eskimo.com/msg41308.html

 Terry Blanton氏は尋ねる。
  Poisoned by what? Something in the atmosphere? Oxygen?
  何によって汚染されているって? 空気中の何か? 酸素かい?
http://www.mail-archive.com/vortex-l@eskimo.com/msg41309.html

 Peter Gluck氏は、答える。
 http://www.mail-archive.com/vortex-l@eskimo.com/msg41311.html
  「〔英文略〕
  酸素じゃない。〔略〕どこにでも存在する微量のCO, SO2, SH2, CO, Sh2, メタン,
エチレン...を言ってるんだ。〔略〕Francesco Piantelli教授の意見では、
   「清浄さが疑いなく大変重要である。それが十分になされなければ、途方もないエネルギー生産〔産生〕のプロセスを起こすのは大変難しい。これが、この現象の初期での不完全な再現性の主な原因である。」
  これらの毒の除去が、冷融合に不可欠な一つの条件である。それは必要ではあるが、しかし、十分ではない。〔略〕
  このニッケル-水素プロセスの創案者がそのことを知っていると分かったことは、うれしい。残念ながら、他の研究者はこれらの毒物分子を無視するので、五分間でも再現可能な冷融合〔常温核融合〕を得ることは、絶対に無い。」
http://www.mail-archive.com/vortex-l@eskimo.com/msg41311.html

 続くメールのやりとりで、Peter Gluck氏は
  「〔冷融合の成功の〕お祝いは、Piantelli, Focardi と Rossi、そして彼らの支援者たちのおかげだ。[訳すのが面倒なので、後は原文を]
   In one of his patents, Piantelli describes a cleaning process
of the nanometric nickel- vacuum 10 exp -10 Torr, 350 deg
Celsius, pllied at least 10 times. That's drastic, isn't it?

   Now, patents are the mythical variants of the real processes
but this is an indication of a really thorough cleaning. Patents
describing *products *are reliable in principle, those describing
*processes *fantasies, exaggerations and omission- of the
critical know how elements. Believe me I know this from experience
not only from books.
  本だけじゃなく経験からこのことをわたしは知っている。信じてくれ。」
http://www.mail-archive.com/vortex-l@eskimo.com/msg41318.html

 さらに、Peter Gluck氏は答える。
  「理論は申し分がない。実践は大変厄介ってことさ。ファン・デア・ファールス力のヤモリの脚よりも、厄介。しかし化学結合に大変類似した何かでさえある。それは、それらの本性、大きさ、そして極性にも依存する。」

 Steven B. Krivit氏のブログでの、
 Rossi Discovery ? What to Say?
 Posted on January 15, 2011 by Steven B. Krivit
http://blog.newenergytimes.com/2011/01/15/rossi-discovery-what-to-say/
を引き合いに出してJones Beene氏から呈された疑惑に答えて、Peter Gluck氏は言う。

  「〔じゃ、Rossiは〕機能しないダメな発電機をいくつ売ろうというのだろう? 彼の過去とか品性は関係無し。知的であろうよ。ルーマニア人思索者のMihail Raleaは、知性について、否定的な定義を与えたんだ。
   『知的であることとは、諸観点を混ぜmixない(混同??confuseしない)ことを意味する』
  そしてその同じ思索者は、真剣さを、周囲に浮かんでいる瑣事の暈にではなく、ものごとの核心に、本質に、焦点が当てられることとして定義したんだ。」

 Jones Beene氏(Sat, 15 Jan 2011 09:24:5)は、Peter Gluck氏はほとんどまったく要点を外していると応じる。

  「彼が成し遂げたことを証明するものは、これまでに見る限り、何も無い、まったく何も無い。」
http://www.mail-archive.com/vortex-l@eskimo.com/msg41323.html

 それに対して、2011年1月14日の
http://nextbigfuture.com/2011/01/focardi-and-rossi-lenr-cold-fusion-demo.html
にある、「Focardi and Rossi LENR (Cold Fusion) Demo Today」を引用して、Jed Rothwell氏は、ブログ人の論評とこの企画で働いている人々の手腕からすると、Jones Beene氏に同意しない、と述べる。

  「
http://nextbigfuture.com/2011/01/focardi-and-rossi-lenr-cold-fusion-demo.html

Some quotes that lend credibility to the claim (re-arranged in chronological
order):

"Focardi, said colleagues in the Physics Department are taking action in the
calibration of measuring instruments. . . .

Rossi took the floor, anticipates that the reactor will be switched soon.
Pass the word to Professor Giuseppe Levi, Department of Physics of Bologna.
[I think this means "gave the floor to . . ." IOW, Levi spoke] Explain the
types of measures that will be made: 1) estimate the energy produced on the
basis of the measure of how much water is vaporized in the second, and 2) to
understand the source of the process of energy production seek to ensure
that hydrogen is not burned (by measuring the mass at the beginning and end
of the experiment).

Prof. Levi has finished speaking at the reactor and returned. . . .

Levi Professor of the Physics Department has confirmed - in response to a
question - he does not know how the reactor is built, it was limited to
measuring what it produces."

This tells us that various professors at the university have been involved
for some time, and they designed and implemented the calorimetry. I do not
think there is any way Rossi could "fool" these people. I think that would
be physically impossible. Rossi may be a crook but he could not persuade
Levi to destroy his career.

The fact that Levi and other established professors took part in the
experiment is about 4 orders of magnitude more significant than what Rossi
may have done, or the unexplained fires, or his criminal record (if he has
one). Krivit should have said that. I dislike the way he focuses on
personalities and allegations, and ignores the technical content of the
demonstration.」
http://www.mail-archive.com/vortex-l@eskimo.com/msg41324.html

 人格的に問題があろうとも、実験結果で判断すればよいこと。特許や先取権が関わっているが、装置を安く売り出してくれれば良い。本当に大きな熱または電力を産み出すことが大事である。放射能が出ないことをはじめとして安全なことは、もちろん大前提である。

 ところで、Jed Rothwel氏が言及した、
  「That would be like me taking credit for introducing Arata or
Patterson.」
http://www.mail-archive.com/vortex-l@eskimo.com/msg41322.html
のArataとは、荒田吉明大阪大学名誉教授のことであろうか。

 その後の展開は、公開実験などが行なわれたことで、本当だということになったのだろうか? 
 日本製の冷融合(常温核融合)熱発生装置または発電装置は、まだできないのだろうか。
 ニッケルはパラジウムよりも安いだろう。
 1グラム当たりの相場は、
http://www.tocom.or.jp/jp/souba/palladium/index.html
によれば、
  パラジウム  1800円台

http://nickel-market.seesaa.net/
から読むと、ニッケルは1kg当たり、10.9から11.3ドル、およそ9000円だとすると、1グラム当たりは9円か。パラジウムの200分の一の値段。


常温核融合発電5

2011年05月08日 22時08分12秒 | 生命生物生活哲学
2011年5月8日-1
常温核融合発電5

 Rossiの常温核融合発電機について、bernardtezzler氏による続報が、
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/bernardtezzler/view/20110504/1304474359
にある。
 Canale-TVの動画が(少なくとも最初の部分は)観られる。

 また「Experimental test of a mini-Rossi device at the Leonardocorp, Bologna 29 March 2011.」という英文のpdfが、Canale-TVのそこから入手できる。
 文献として、下記の6つが挙げられている。

[1] A. Rossi (inventor), Method and Apparatus for Carrying out
Nickel and Hydrogen Exothermal Reactions, (WO/2009/125444)
http://www.wipo.int/pctdb/en/wo.jsp? WO=2009125444;
〔This page is being phased out of production, but will remain available during the transition to our new system. Please try the new PATENTSCOPE® International and National Collections search page (English only). と出た。その頁で検索すると、
http://www.wipo.int/patentscope/search/en/detail.jsf?docId=WO2009125444&recNum=1&maxRec=1&office=&prevFilter=&sortOption=Pub+Date+Desc&queryString=FP%3A%28Method+and+Apparatus+for+Carrying+out++Nickel+and+Hydrogen+Exothermal+Reactions%29&tab=PCTDescription
で、Descriptionが出てくる。〕
[2] S. Focardi and A. Rossi, A new energy source from nuclear fusion,
Journal of Nuclear Physics,
http://www.journal-of-nuclearphysics.com/? p=66, February 2010;
[3] D. Bianchini, Experimental evaluation, for radiation protection purpose, of photon and neutron radiation field during the public presentation of the?prototype?called?”Energy?Amplifier”.?
http://www.journal-of-nuclear-physics.com
[4] G. Levi, Report on heat production during preliminary tests on the Rossi ”Ni-H”?reactor,?
http://www.journal-of-nuclear-physics.com.
[5] A. Rossi, A Mini Apparatus for Ni-H energy production, private communication, 110329.
[6] M. Tkacz, Enthalpies of formation and decomposition of nickel hydride and nickel deuteride derived from (p, c, T) relationships, J. Chem. Thermodynamics 2001, 33, 891?897.
 
 同じくbernardtezzler氏による、
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/bernardtezzler/view/20110508/1304809073
の、「Rossiの常温核融合発電機、E-Cat。MITからの共同研究提案拒否」という記事によれば、

  「Rossiの常温核融合発電機、E-Catについて、最近、Energy Digitalが報道した。〔略〕
   新たな情報としては、米国の名門大学MITからの共同研究提案をRossi氏が拒否し、商業生産を開始したらMITにも売ることのみの協力とするとMITに回答したこと。その理由として、20年以上前に、フライシュマン、ポンス氏らが「常温核融合」の発見を発表したときに、この研究をインチキと決め付け、四半世紀にわたって常温核融合の研究を行き詰らせた張本人がMITであり、要は、今回も警戒しているということだ。」

とある。

 Energy Digitalの報道は、
 E-Cat Device: Commercial Cold Fusion Finally Reality?
http://www.energydigital.com/sectors/renewables/e-cat-device-commercial-cold-fusion-finally-reality

 bernardtezzler氏自身によるコメントでは、
  RossiのE-Catを採用する7つの理由 Seven Reasons to Embrace Rossi's Energy Catalyzer (E-Cat)」
という記事があり、次の7点を挙げているとのこと。

  1) The Environment
  2) Safety and an End to Conventional Fission Based Nuclear Power
  〔安全と、従来の分裂にもとづく原子力の終焉〕
  3) The Global Recession
  4) More Peace and Less War
  5) A Reduction in Pathological Skepticism
  6) Space Exploration
  7) Hope

 Seven Reasons to Embrace Rossi's Energy Catalyzer (E-Cat)は下記で入手できる。
http://pesn.com/2011/05/07/9501828_Seven_Reasons_To_Embrace_Rossis_E-Cat/



常温核融合発電4

2011年05月07日 11時02分13秒 | 生命生物生活哲学
2011年5月7日-1
常温核融合発電4

 冷融合 cold fusion〔常温核融合、低温核融合〕のAndrea Rossi方式の装置、あるいは、Andrea Rossi氏の常温核融合発電装置は、Andrea Rossi Energy Catalyzer (E-Catと略されているようだ)と呼ばれている。

 それについての最近の情報が、浅学俊郎氏の記事
  「2011年5月4日水曜日
   ロッシ氏の常温核融合炉E-Catは既に100台以上稼働中」
http://amateur-lenr.blogspot.com/2011/05/e-cat100.html
によって紹介されている。感謝。

 和訳を引用させていただく。
 ロッシ氏が作ろうとしている1MWプラント装置の大きさや重量について、

  「パワープラントの容積:3メートル×2メートル×2メートル=12立方メートル
  全体重量:2トン
  モジュールのパワー密度(発生熱量): 2 キロワット/リットル
  プラントのパワー密度(発生熱量):0.833 キロワット/リットル
  プラントの重量当たり出力(発生熱量):0.5 メガワット/トン」
http://amateur-lenr.blogspot.com/2011/05/e-cat100.html

 そして、

  「この容積・重量の中に6カ月分の燃料(水素ガスとニッケル)も含まれているのです。燃料の容積・重量まで考慮すれば、E-Catの優位性は明らかです。化学反応に比べると百万倍のオーダーで高いエネルギーを取り出せる核反応の威力が分かります。」
http://amateur-lenr.blogspot.com/2011/05/e-cat100.html

と評している。

 生産状況については、

  「4月28日時点では、97台のE-Catが稼働していた。
  5月1日時点では、105台のE-Catが稼働している。
  生産のライン化はまだできていない。モジュールは1個1個ロッシ氏自身が作成しテストしている。特許取得問題とは関係なく、最初の1MWプラントの市場投入に向けて作業を進めている。」
http://amateur-lenr.blogspot.com/2011/05/e-cat100.html

とのことである。4箇所で97台が稼働しているらしい。

 
 ロッシ氏の装置については、Journal of Nuclear Physics: Nuclear experiments blog
http://www.journal-of-nuclear-physics.com/

http://www.mail-archive.com/vortex-l@eskimo.com/msg45887.html

で、応答が続けられているようだ。

 また、下記を参照されたい。

 How can 30% of nickel in Rossi’s reactor be transmuted into copper? by Dott. Giuliano Bettini
http://www.journal-of-nuclear-physics.com/?p=473#more-473

 Cold Fusion "Andrea Rossi" Methodのfacebook
http://www.facebook.com/EnergyCatalyzer

 Test dell'Energy Catalyzer a Bologna[装置とRossi氏の写真]
http://www.facebook.com/photo.php?fbid=193635733999544&set=pu.135474503149001&type=1&theate


常温核融合発電3

2011年05月06日 21時07分00秒 | 生命生物生活哲学
2011年5月6日-4
常温核融合発電3

 常温核融合で検索していて、「素人が知りたい常温核融合」
http://amateur-lenr.blogspot.com/2011/05/defkalion-green-technologies.html
という頁から知ったが、

 Defkalion Green Technologies S.A.
http://www.defkalion-energy.com/

の家頁(の表紙だけのようだ)が出現した。
 the Andrea Rossi Energy Catalyzer 関連だけを扱う法的存在者だと謳っている。

 関連用語を整理した網場所はないだろうか。
  nuclear fusion 核融合、原子核融合
  cold fusion 冷融合、常温核融合?、低温核融合?
  low energy nuclear reaction 常温核融合または低温核融合
  cold fusion phenomenon 常温核融合現象

  「Cold fusion is a theory in which some scientists claim that nuclear fusion happens in an electrolysis apparatus without the use of uranium and a nuclear reactor.」(The 16th cold fusion research conference)
http://engineerinme.co.in/updates/?p=488

と定義のようなものがある。「冷融合は、核融合はウラニウムと原子炉〔核反応炉〕無しで、電気分解装置において起きると何人かの科学者が主張する理論である。」

 常温核融合または冷融合関連書の目録作りをしよう。

[K]
小島英夫.2005.8.「常温核融合」を科学する:現象の実像と機構の解明.175pp.工学社.[手掛かりは水素化遷移金属に潜む未開拓の物性だった。 物理の基礎知識から、常温核融合の発見、常温核融合現象の事実、常温核融合現象の科学を詳しく解説する。常温核融合現象が新しい科学を探る手掛かりを与えていることがわかる。] [OUL429.56]

[N]
ニュートン1990年9月号.教育社.[9 なぞ深まる常温核融合]

[T]
高橋亮人.2008.5.常温核融合2008?凝集核融合のメカニズム.255pp.工学社.

トーブス,ガリー.(渡辺正訳 1993.12)常温核融合スキャンダル:迷走科学の顛末.624pp.朝日新聞社.[Bad Science] [「証拠など何ひとつなかった」のになぜ常温核融合の「世紀の記者会見」は行〔な〕われたのか。科学者、マスコミ、大学、政府が入り乱れたフィーバーの裏側を克明に取材し、根なし科学の運命を描いた衝撃のドキュメント] [OUL429.56]

綱淵輝幸.2004.6.207pp.最先端科学読本.工学社.[第2章は常温核融合で、30-37頁] [OUL504]


常温核融合発電装置2

2011年05月06日 11時08分42秒 | 生命生物生活哲学
2011年5月6日-3
常温核融合発電装置2

 「April 16, 2011 at 08:33:36」付けの、
http://www.opednews.com/articles/Cold-Fusion-Alternative-E-by-Timmie-Stockman-110416-752.html?show=votes
にある、Timmie Stockman氏による記事:
 「Cold Fusion: Alternative Energy Revolution」〔冷融合〔常温核融合〕:代替エネルギー革命〕
のロッシ氏の装置に関わる部分を訳してみた。次の通り。

  「もしRossiの冷融合装置が働けば、まさにエネルギー生産における革命にほかならない。理由はこうである。その装置は10キロワットの熱仕事率〔熱動力〕を生じることができるが、ニッケル粉と水素を燃料として使い、その一部しか消費しないと主張されている。加圧された水素気体〔水素ガス〕と他の公表されていない触媒を持つ反応装置に、ニッケル粉が置かれ、摂氏約500度にまで熱せられると、核反応が起こる。しかし、反応装置には高価な金属や放射性物質が置かれることはなく、装置を止めた後の区画〔小区画 cell〕には放射能は無い。だから、核廃棄物は無い! Rossiによれば、彼の装置は大変少量のニッケル粉を使用し、それは6か月の期間におよそ100グラムである。装置は、一日に約1グラム使う。もしこれが真実だと判明すれば〔わかれば〕、石炭や天然ガスといった化石燃料源から生産されるエネルギーよりも何倍も安い[many times cheaper]ものであろう。Rossiの動力装置は、操作は簡単で、たいした訓練も必要が無い。「あんた、ちょっとスイッチをパチンとつけてよ〔スイッチをひねってよ〕!」

Rossiによれば、彼の装置は(彼はモジュール〔=システム構成単位〕と言っている)、直列または並列につなぐことができ、温度または熱量を増やすことができる。ギリシャにおける彼の1メガワットの生産設備は、125のモジュールから成るだろう。ここに、最良の部分〔眼目〕がある。Rossiのエネルギー・モジュールは、まさにここアメリカ合州国、フロリダ州のマイアミで製造されようとしている。ギリシャで10月に設置した後、Rossiは注文を取り始めることを計画している。Andrea Rossiと彼の冷融合装置〔常温核融合装置〕の成功を祈ろう〔幸運を祈ろう〕。これはおそらくは、この国と世界中におけるわれわれのエネルギー問題への答えであり得るだろう。」〔試訳20110506〕。
http://www.opednews.com/articles/Cold-Fusion-Alternative-E-by-Timmie-Stockman-110416-752.html?show=votes

 「This could very well be the answer」のcould very wellをどう訳したら良いのか。「could very well beの訳」で網検索すると、
  「couldやmightで表す可能性はmayより低いものですが、その可能性をvery wellが少し引き上げるんでしょう。」
http://ayay515.blog111.fc2.com/blog-entry-27.html
というのがあった。可能性の話をしているだけなのか、皮肉も入っているのか。

 この記事のComment〔論評〕欄には、Timmie Stockman自身が、「それはサーカス・ショーだと呼ぶ人もいる」と書いている。

 なお、元記事の下のほうには、ロッシ氏の装置だという画像が載っている。
 今年2011年秋頃に物が生産されるということだろうか。この冷融合発電装置〔常温核融合発電装置〕の発明が本当だとして(いや、嘘なら、試験 testすれば反確証 disconfirmできるから、なおさら)、生産が邪魔されないことを祈る。

 なお、荒田固体核融合技術の家頁は、
http://www10.ocn.ne.jp/~solid_fu/


福島原発事故123:放射能汚染

2011年05月06日 09時05分10秒 | 生命生物生活哲学
2011年5月6日-2
福島原発事故123:放射能汚染

 「琉球新報 4月15日(金)9時55分配信」の記事らしいが、琉球新報の元記事の連結先にはすでに無かった。そこで、
http://c3plamo.slyip.com/blog/archives/2011/04/post_2038.html
から、「汚染「チェルノブイリ級」 矢ヶ崎琉大名誉教授、現地調査」を引用する。

  「3月25日に福島県入りし、1週間にわたって空気中や農地、水などの放射線量や放射能汚染のデータ収集を実施した。調査を終え、14日本紙の取材に応じた。矢ヶ崎氏は「現時点でチェルノブイリと同程度の状況にある。さらに深刻化する可能性がある」などと被害の大きさを語った。」

  「福島第1原発から半径20キロの外側で放射線量計測器を使って汚染度合いを調べた。
 その結果、「場所により1対10の差はあったが、福島県全域が汚染されていた」と汚染範囲の広さを指摘。A地点では空中の放射線量が通常0・02~0・03マイクロシーベルト毎時のところ、1・2マイクロシーベルト毎時を観測。わらが敷かれた田では4・8マイクロシーベルト毎時、わらを取り除いた地表は3・2マイクロシーベルト毎時だった。土を2センチ掘ると1・2マイクロシーベルト毎時まで下がった。
 矢ヶ崎氏は「地表から2センチ掘るだけで3分の2程度汚染を除去できるが、膨大な面積があり、農家だけでやるのは難しい」と汚染除去の厳しさを語った。
 その上で原子力発電そのものの危険性に触れ「今は放射能を安定させる技術がなく、封じ込めるしかない。そういう未熟な状態で原子力を使い始めたのがそもそも間違いだ」と話した。」
http://c3plamo.slyip.com/blog/archives/2011/04/post_2038.html




常温核融合発電装置

2011年05月06日 02時56分28秒 | 生命生物生活哲学
2011年5月6日-1
常温核融合発電装置

 The American Institute of Physicsの頁で、「cold fusion」で検索すると、

  You were searching for : (cold fusion) RSSWhat is RSS?
  You found 198 out of 2141115

と出てきて、最近の三つは、

 1. Cold fusion and reproducibility
Fred McGalliard, Scott R. Chubb, and Bernard J. Feldman
Phys. Today 63, November, 11 (2010) FREE Full Text: [ Read Online (HTML) Download PDF (124 kB) ]
 2. High-Density Polyethylene Piping Butt-Fusion Joint Examination Using Ultrasonic Phased Array
Caleb Frederick, Allen Porter, and David Zimmerman
J. Pressure Vessel Technol. 132, 051501 (2010) Full Text: [ Read Online (HTML) Download PDF (1388 kB) ] Purchase PDF
 3. Synthesis of transactinide nuclei in cold fusion reactions using radioactive beams
Robert Smolan'czuk
Phys. Rev. C 81, 067602 (2010) Source Journal Link

と並んでいた。
 
 ウィキペディアでの「常温核融合」(じょうおんかくゆうごう、cold fusion)という項目
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%B8%E6%B8%A9%E6%A0%B8%E8%9E%8D%E5%90%88
の記述では、

  「・過剰熱現象の再現性は最大60%程度の実験系が、核変換では再現性100%の実験系が報告されている。
   ・過剰熱の発生量としては電極1平方センチあたり0.1 - 1W程度がもっとも多いが、まれに10Wや1,000W/ccといった報告もある。」

  「三菱重工の岩村康弘は、2001年にパラジウム、酸化カルシウムの多層基板上にセシウムをつけて重水素ガスを透過させセシウムからプラセオジムへの核変換が生じたと発表した [13]。 同様にストロンチウムからモリブデンへの核変換も報告した。この実験系の再現性は100%と言われ多くの追試がなされており、大阪大学 [14]、 静岡大学、イタリアINFN(核物理研) [15] で再現実験に成功したと報告されている。」

とある。

http://c3plamo.slyip.com/blog/archives/2008/06/post_927.html
によると、
  「2008/5/22(木)に荒田吉明大阪大学名誉教授が固体内核融合(言い換えれば常温核融合のこと)の公開実験を行〔な〕いました。そして成功しました。」

 問題は発電に使えるかである。「常温核融合発電」で検索すると、

  「Sunday, April 24, 2011
   Rossiの常温核融合発電モジュール、米国マイアミで生産へ
   イタリア人技術者Rossi氏が1月に発表し、今秋に稼動予定のギリシャの常温核融合発電所(1MW)〔略〕には、125基の常温核融合発電モジュールが使われる〔。〕発電モジュールの生産は米国フロリダ州マイアミで行〔な〕われる。」
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/bernardtezzler/view/20110424/1303600112
http://www.opednews.com/articles/Cold-Fusion-Alternative-E-by-Timmie-Stockman-110416-752.html?show=votes

  「Rossiの常温核融合発電装置、スウェーデン科学界の権威が認定
   〔略〕20KWの発電能力の装置は、年間1300ユーロ相当のニッケルを消費するが、その生み出す電力の価値は、年間14000ユーロ。装置本体の値段は、本体:3000~3500ユーロ。電力変換機500~900ユーロ。年間30万基を生産することができ、ギリシャやバルカン半島を当面の市場として考えている。この装置を普及する事業はギリシャ経済に大きく貢献するだろうと、述べている。
スウェーデン王立科学院Edmud Storms博士、ウプサラ大学Sven Kullander教授らが、ロッシらの発明が真正であることを認定した。」
http://blogs.yahoo.co.jp/bernardtezzler/34733432.html
http://www.newsbeast.gr/technology/arthro/139987/i-nea-energeiaki-epanastasi-xekinaei-stin-xanthi/

が出てきた。後者はギリシャ語で、前者はそれを訳したものらしい。
 常温核融合発電が実用化されているのだろうか? 詳しい情報と確認がほしいところ。
 
 日本の家庭の年間消費電力量は、
http://sakugen.dietco2.com/japan/
によれば、4,200kWhらしい。内訳は、
  エアコン  24.9%
  照明    16.2%
  冷蔵庫   15.5%
  テレビ    9.9%
となっている(なお、待機電力は全体の7%で、年間消費電力量308kWhだという)。一日当たり、4200/365=11.5kWh。
 1軒で20Aではきついので、30Aにすると100Vで、3kW。20kWなら、数軒分が賄える。(この計算で合ってる?)

 この装置の現物は日本に入っていないのだろうか? あるいは日本では冷温核融合の発電装置は発明されていないのか?



福島原発事故122:世論と輿論/放射能リスク(危険性)

2011年05月05日 13時29分24秒 | 生命生物生活哲学
2011年5月5日-4
福島原発事故122:世論と輿論/放射能リスク(危険性)

 大辞泉によれば、

  「せろん【世論】ある公共の問題について社会の大多数の賛同を得ている意見。よろん。」
  「よろん【輿論・世論】世間一般の人の考え。ある社会的問題について、多数の人々が共有する意見。せろん。」

とある。(「輿」はunicodeのみにある文字で、JIS系への変換ができないようだ。)

 『輿論研究と世論調査』の13頁によれば、宮武実知子「世論(せろん/よろん)概念の生成」(『叢書・現代のメディアとジャーナリズム』第6巻、72頁)は、

  「政治に対する理性的批判も、娯楽として消費される非合理的衝動も、ともに「世論の支持」で正当化されうる。政治的正当性の根拠として要請されてきた「輿論」と、興味本位に煽られた同調圧力としての「世論」。双方が渾然一体となった世論(せろん/よろん)は、その理念が語られることも、非合理性が粗飯されることも、ともに困難になってしまったのではないか」

と書いているとのこと。

 大辞泉によれば、

 「せんでん【宣伝】
  1 商品の効能や主義?主張などに対する理解・賛同を求めて、広く伝え知らせること。
  2 事実以上に、また、事実を曲げて言いふらすこと。」(大辞泉)。

である。
 『輿論研究と世論調査』で、対談が記録されている226頁では、宣伝、プロパガンダ、といった言葉に触れている。(ところで、1頁程度以内で、端的に言葉の定義や各人の知見や主張の要約を、箇条書き的に明瞭に書いてほしい。)

  民主主義には宣伝が必要

かもしれないが、
 
  「情報操作や世論誘導という面である種の危険性を伴うかもしれず、一歩間違うと民主主義を破壊する。」(『輿論研究と世論調査』226頁)。

だろうから、まずは、確証の種類と程度とともに主張の共有をはかるべきだろう。「事実を曲げて言いふらす」ことや隠蔽はしないことである。

 文部科学省が根拠とした20ミリシーベルト(mSv)という基準にしても、それは国際放射線防護委員会(ICRP)のしかじかの基準であり、他の研究では、もっと厳しい基準を設けているとか、説明すべきである。

  ICRPによる一般の人が1年間に浴びて問題ない放射線量
   緊急時          20~100mSv
   緊急事故後の復旧時    1~20mSv
   平常時          1mSv 未満
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A%E9%98%B2%E8%AD%B7%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A

 矢ヶ崎克馬氏によれば、ICRPの基準を、

  「ヒロシマ・ナガサキでは内部被曝で、多くの人が原爆投下から数十年後に、がんに罹って苦しみました。しかし、ICRPはこれらの人を被曝した人から除外しています。」(週刊現代2011年4月23日号、39頁)。

と批判している。
 また、矢ヶ崎克馬氏によれば、1945年から1989年までに核実験や原発からの放射線でがんなどで死亡したと推計した数値は、

  国際放射線防護委員会(ICRP)      117万人
  ヨーロッパ放射線リスク委員会(ECRR) 6,500万人

とのこと(週刊現代2011年4月23日号、39頁)。大幅に異なる。
 そして、矢ヶ崎克馬氏は、

  「〔ICRP基準は〕内部被曝を無視し、実態を過小評価した基準で、福島第一原発の事故処理を続けていれば、中長期的な健康被害は拡大するばかりです」(週刊現代2011年4月23日号、39頁)。

と述べている。

 
[O]
岡田直之・佐藤卓己・西平重喜・宮武実知子.2007.9.輿論研究と世論調査.240pp.新曜社.[y3,200+] [B20071203]


福島原発事故121:原発とエネルギー供給問題

2011年05月05日 12時26分07秒 | 生命生物生活哲学
2011年5月5日-3
福島原発事故121:原発とエネルギー供給問題


 2011年5月5日の朝日新聞4頁によれば、電気事業連合会は、80年代前半からの11年間に自民党機関紙の広告費として65億円を支払ったとのこと。

 朝日新聞4頁に、自民党内に発足した「エネルギー政策合同会議」の記事がある。その会議の委員長である甘利明氏の発言が掲載されている。

  「会議は大型連休後、中長期のエネルギー戦略の議論を始める。甘利氏は「我々は市民活動家ではない。膨大なコストや不安定性を覆い隠し「自然エネルギーで何とかなる」と言うのは無責任だ。現実問題として原子力を無くすわけにはいかない」と言っている。」(朝日新聞2011年5月5日、4頁)。

 自然エネルギーは放射性廃棄物を出さないが、核分裂型の原発は放射性廃棄物を処理するために膨大な費用がかかる。エネルギー供給の不安定性は福島第一原発事故で誰の目にも明らかになったと思う。

 朝日新聞4頁に、自民党内に発足した「エネルギー合同会議」の「参与」で東京電力顧問である、加納時男氏は取材に答えた記事が掲載されている。
 加納時男氏は、河野太郎氏について、

  「反原発の集会に出ている人の意見だ。自民党の意見になったことはない。反原発の政党で活躍すればいい。」(朝日新聞2011年5月5日、4頁)。

と述べている。そして、

  1. (太陽光や風力による発電に対して、)原発の新増設無しにエネルギーの安定的確保ができるか?
  2. 二酸化炭素排出抑制の対策ができるか?
  3. 天然ガスや石油を海外から購入するする際も、原発があることで有利に交渉できる。
  4. 原子力の選択肢を放棄すべきではない。
  5. 福島第一原発第5、6号機も捨てずに生かす選択肢はある。

と主張している。

 対して河野太郎氏は、「「安全神話」もとから「おとぎ話」」という記事で、

  「最大の疑問点は使用済み核燃料など高レベル放射性廃棄物、いわゆる『核のゴミ』を捨てる場所が日本にはないのに、原発を増やそうとしたことだ」(朝日新聞2011年5月5日、4頁)。

と、放射性廃棄物の問題を重視している。
 また、以下のように答えている。
 
  「??自民党内で東電と原発を守る動きがあります。
   「甘利明氏の会議がそうだ。推進派がズラリと並び、引退した加納時男氏まで座る。次の選挙でそういう議員を落とすしかない。国民の目が必要だ。」(朝日新聞2011年5月5日、4頁)。

  「??世論調査では半数が「原発現状維持」です。
   「正しい情報が伝わっていないからだ。時間をかけて原子力を止めていけば国民の暮らしへの影響は少ない。原子力は環境にやさしくない。海外では再生可能エネルギーが伸びているが、日本では加納氏らが『原子力の邪魔』とつぶしてきた。経産省が出そうとしない情報をきちっと出せば、世論は変わる」(朝日新聞2011年5月5日、4頁)。

 明快である。

http://d.hatena.ne.jp/ogawa-s/20110319
によれば、2011年3月16日と17日に行なった、有権者がいた1719世帯から1027人の回答(回答率59.7%)を得たという東京新聞2011年3月19日朝刊の世論調査結果によると

  「問5 福島第一原子力発電所の事故についてどう思いますか。

   不安ではない              2.5
   それほど不安ではない          8.9
   ある程度は不安だ           32.8
   非常に不安だ             55.3
   分からない・無回答           0.5

   問6 国内の原子力発電所は今後、どうすべきだと思いますか。

   これまで通りで運転すべき         1.7
   運転しながら安全対策を強化していくべき 56.2
   いったん運転を止め、対応を検討すべき  25.2
   やめて、別の発電方法をとるべき     14.1
   分からない・無回答            2.8」

だったという。
 また、
http://www.j-cast.com/2011/04/04092123.html
によれば、読売新聞が2011年4月4日付朝刊で報じた世論調査結果(電話方式)によると、国内の原子力発電所の今後のあり方について、

  現状を維持すべきだ    46%
  減らすべきだ       29%
  すべてなくすべきだ    12%

とのこと。
 
http://ik8160.blog.ocn.ne.jp/wieblo/2011/04/220_9683.html
によれば、4月7日のフジテレビの世論調査では、

  増設・現状維持      57.8%
  廃止・減らす       38.4%

とのこと。
 4月16、17日の朝日新聞では、

  増設・現状程度      56%
  廃止・減らす       41%

 3月26、27日の共同通信では、

  増設・現状維持      46.5%
  廃止・減らす       46.7%

とのこと。
 半数前後が原発維持または増設に賛成らしいが、そのような世論を変えよう。


福島原発事故120:原発推進派へ転向理由は気候変化予測

2011年05月05日 02時12分09秒 | 生命生物生活哲学
2011年5月5日-2
福島原発事故120:原発推進派へ転向理由は気候変化予測

 反原発の活動家だった、

  「グリーンピースUKの前代表スティーブン・ティンデール(Stephen Tindale)は、〔略〕原発推進派へ転向した」
(2011-04-02 原発マネーの誘惑)
http://d.hatena.ne.jp/pantheran-onca/20110402

とのことだが、(この「原発マネーの誘惑」で知った)『The Independent』紙の23 February 2009の「Nuclear power? Yes please...」という記事で、

  "It was kind of like a religious conversion. Being anti-nuclear was an essential part of being an environmentalist for a long time but now that I’m talking to a number of environmentalists about this, it’s actually quite widespread this view that nuclear power is not ideal but it’s better than climate change,”
http://www.independent.co.uk/environment/green-living/nuclear-power-yes-please-1629327.html

とある。訳すと、

  「宗教的転向のような類いのものでした。反核であることは長らく環境主義者であることの本質的部分でしたが、今では、多くの環境主義者にこのことについて話かけていまして、原子力は理想的ではないけれども気候変化〔気候変動〕よりもましだというこの見解は、実際にかなり広まっています。」

 また、

  「None of the four was in favour of nuclear power a decade ago, but recent scientific evidence of just how severe climate change may become as a result of the burning of oil, gas and coal in conventional power stations has transformed their views.」
http://www.independent.co.uk/environment/green-living/nuclear-power-yes-please-1629327.html

と、彼らが反原発から原発推進へと見解を変えたのは、化石燃料を燃やすことの結果として、きびしい気候変化をもたらすという科学的根拠によると言う。

 彼らとは、
  「このインディペンデント紙の記事では、原発を支持する四人の有力な環境主義者が紹介されており、そのうち、スティーブン・ティンデールとマーク・ライナス(Mark Lynas)が原発推進派に転向したときの気持ちを述べている。ちなみに、マーク・ライナスは、『+6℃ 地球温暖化最悪のシナリオ』(寺門和夫 監修, 翻訳)の著書でも知られている環境コメンテーター。残りの二人は、「英国版グリーン・ニューディール」を推進している英国の環境庁長官クリス・スミス(Christopher Robert Smith)と緑の党の活動家で作家のクリス・グドール(Chris Goodall)。」
http://d.hatena.ne.jp/pantheran-onca/20110402

とある通りで、その一人である、スミス男爵 Lord Chris Smith of Finsbury(the chairman of the Environment Agency)は、

  "Renewable sources of energy, such as wind, wave and solar power, are still necessary in the fight against global warming, but achieving low-carbon electricity generation is far more difficult without nuclear power, Lord Smith said."
http://www.independent.co.uk/environment/green-living/nuclear-power-yes-please-1629327.html

と、原子力無しには、低炭素で発電するのはきわめて難しい、と言う。

 放射性廃棄物のことは考えなかったのだろうか? また、原発の危険性はたいしたことは無いと思ったのだろうが、それはなぜだろうか。

  「小宮山宏も「原子力はつなぎだ」と同じ理屈をほざいているようだが、この男はいつも人のパクリばかりで、知の構造化(Knowledge structuring of issues)だとか、サステイナビリティ学だとかもそうだ。」
http://d.hatena.ne.jp/pantheran-onca/20110402

とある、小宮山宏氏は、東京電力の外部監査役だそうである。『サステイナビリティ学』シリーズの編者でもある。
 『サステイナビリティ学〈2〉気候変動と低炭素社会』の終章 「明日に向かって」は、住明正氏の執筆だったと思うが、IPCCゲート事件に触れていたと記憶する。

[K]
小宮山宏 ・住明正 ・花木啓祐 ・武内和彦 ・三村信男(編).2010.9.サステイナビリティ学〈2〉気候変動と低炭素社会.東京大学出版会.




福島原発事故119:放射能汚染についての提言書

2011年05月05日 00時08分58秒 | 生命生物生活哲学
2011年5月5日-1
福島原発事故119:放射能汚染についての提言書
 
 原発事故と今後を憂うるサイエンティスト有志による、菅直人内閣総理大臣への提言書(2011年4月18日付け)が提出されたとのこと。下記に、全文を掲載させていただく。

 
_____________________________________________________________________________________

                 提 言 書

内閣総理大臣
菅 直人殿

 東北沖に起こった巨大な地震と津波の激甚災害、その対策に尽力されていることに敬意を表し
ます。その上、福島原発に空前の放射能拡散の巨大惨事が発生し、日夜、苦慮、対策に奔走され
ておられるご苦労とご心痛を拝察申し上げます。
 私どもは多年、原発の技術的危険性と事故発生による放射能の恐怖を指摘し、原発に依存しな
い社会をと願ってきました。今回の惨事には言葉も出ません。「安全神話」にすべてをゆだね、
疑問と批判を無視して原発推進してきたことに対しては機会をあらためて論ずることとして、当
面の緊急対策について私たちの危惧と提言をさせて頂きます。
 すでに信じがたいほどの放射能が拡散しています。その上、事故原発の状況も不透明、収束の
見通しも立っておらず、今後も異常事態の重なる危険はいまだ消えていないようです。この状況
の中で、近隣住民への放射線被曝の不安解消への真剣で具体的対策を強める必要があります。と
くに子供と妊婦には慎重な配慮と施策が求められています。

(1)現在、公表されている大気中の放射線量や甲状腺の内部被曝量は恐るべき高水準にある。
   30km圏外飯舘村や川俣町、いわき市などでも、その現状は危惧ですますことのできない
   高レベルの汚染である。まず緊急対策として幼児・妊婦の疎開に政府は責任をとり、その
   ために経済的支援を用意すべきである。

(2)学校敷地、通学路、公園など子供の生活空間・敷地については、早急なる除染の作業を行〔な〕
   い、被害軽減の対策を進めることが必要である。

以上提言するに当って、現状の放射能汚染の深刻さに注意を重ねて喚起しておきたいと思いま
す。従来より、放射能の危険から従業員と公衆を守るため、法令によって、「管理区域」を定め、
事業者に業務遂行上の必要のある者以外の立ち入りを禁止させています。管理区域は「3ヶ月に
つき1.3mSvを超えるおそれのある区域」と定められていますが、時間当たりにすると0.6μSvと
なります。公表されている大気中の放射線量だけに限っても広範囲の地域が長期にわたって、高
濃度の汚染です。たとえば浪江町(赤宇木)では25.3μSv/h(4月16日現在)ですから、規制レベ
ルの実に40倍を超えています。遠く福島(1.87μSv/h)、郡山(1.82μSv/h)でも約3倍の高水
準の汚染です。妊婦や幼児がその地域に生活し続けている事実に注目し、深く憂慮いたします。
 現実的政策には多くの困難のあることは承知しておりますが、妊婦と幼児への対策として、高
濃度汚染地域から可及的速やかに実施されることを、重ね重ね強く提言したいと思います。
                                 
                                2011年 4月 18日


    
   原発事故と今後を憂うるサイエンティスト有志
     石田 紀郎、今中 哲二、荻野 晃也、海老沢 徹、川合 仁、川野 眞治、小出 裕章
     小林 圭二、柴田 俊忍、高月 紘、槌田 劭、中地 重晴、原田 正純、松久 寛
  
_____________________________________________________________________________________

連署者紹介

石田 紀郎   元京都大学教授 現市民環境研究所代表理事
今中 哲二   京都大学原子炉実験所助教
荻野 晃也   元京都大学講師 現電磁波環境研究所主宰
海老沢 徹   元京都大学原子炉実験所助教授
川合 仁    現代医学研究所代表 医師
川野 眞治   元京都大学原子炉実験所助教授
小出 裕章   京都大学原子炉実験所助教
小林 圭二   元京都大学原子炉実験所講師
柴田 俊忍   京都大学名誉教授(機械工学)
高月 紘    京都大学名誉教授(環境保全学)
槌田 劭    元京都精華大学教授 使い捨て時代を考える会
中地 重晴   熊本学園大学教授 環境監視研究所代表
原田 正純   元熊本学園大学教授(水俣学)医師
松久 寛    京都大学教授(機械理工学)

_____________________________________________________________________________________

===
表記上の注記:
 1. 「km」と「μSv」は、共通的なものまたはShift-JISコードのものに変換したものである。
 2. 「行〔な〕い」で、「〔な〕」を挿入した。


福島原発事故118:原発差し止め判決を出した井戸謙一氏の言葉

2011年05月04日 23時26分43秒 | 生命生物生活哲学
2011年5月4日-12
福島原発事故118:原発差し止め判決を出した井戸謙一氏の言葉

  「石川県にある志賀原発の2号機について、「電力会社の想定を超えた地震によって原発事故が起こり、住民が被ばくする可能性がある」として運転差し止めを命じた」

と、原発訴訟では、唯一の運転差し止め判決を出した、元金沢地裁裁判長の井戸謙一氏への会見談「唯一の原発差し止め判決の裏側」が、TBSの下記に掲載されている。

http://news.tbs.co.jp/20110427/newseye/tbs_newseye4711647.html

 その判決文には、

  「可能性として、外部電源の喪失。非常用電源の喪失。さまざまな故障が同時に。多重防護が有効に機能するとは考えられない」

といったことが、書いてあるらしい。
 検索すると、志賀2号運転差止裁判金沢地裁判決骨子が、原子力情報資料室の下記頁

http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=339

に出ていた。抜粋すると、判決主文「被告〔=北陸電力株式会社〕は、志賀原発2号機を運転してはならない」の理由の3は、

  「被告による志賀原発2号機の耐震設計には、i 直下地震の想定が小規模に過ぎる、ii 考慮すべき邑知潟断層帯による地震を考慮していない、iii 原発敷地での地震動を想定する手法である「大崎の方法」に妥当性がない等の問題点があるから、被告の想定を超えた地震動によって本件原発に事故が起こり、原告らが上記被ばくをする具体的可能性があることが認められる。これに対する被告の反証は成功しなかったから、上記の具体的危険があると推認すべきである。」
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=339

 
 地震・耐震設計の不備についての(6)と(8)は、

  「(6)原告らは、地震によって周辺住民が許容限度を超える放射線を被ばくする具体的可能性があることを相当程度立証した。これに対する被告の反証は成功していないから、地震によって周辺住民が許容限度を超える放射線を被ばくする具体的危険があることを推認すべきである。」
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=339

  「(8)原子力発電所で重大事故が発生した場合、その影響は極めて広範囲に及ぶ可能性がある。そして、本件原子炉において地震が原因で最悪の事故が生じたと想定した場合は、原告らのうち最も遠方の熊本県に居住する者についても、許容限度である年間1ミリシーベルトをはるかに超える被ばくの恐れがあるから、全ての原告らにおいて、上記具体的危険が認められる。」
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=339

 
 会見談では、
 
  「Q.判決を出すまでに一番大事にした軸は?
   「生命、身体、生活環境に大変な影響、万が一、原発事故が起こると。一方で電気の供給など公共的な面もある。そのバランスの中で、どこまで司法が関われるか、慎重に考えたいと思った」

  「Q.裁判所自体も、ある種安全神話に乗っかっていた点はある?
   「結果として、司法はほとんどが今までの原子力行政、あるいは電力会社の仕事を追認してきたわけで、そこでいろいろな警告を発していれば、こういう事態はなかったかもしれない。最後の砦であるという自覚をより深刻に持って仕事することが、これからの裁判官に求められるのではないか」(原発の差し止め判決を出した 井戸謙一元裁判長)」
http://news.tbs.co.jp/20110427/newseye/tbs_newseye4711647.html

 蛮勇など振るわず、生命を大切にし、より安心な生活環境を求めよう。自分でできることをやり、仲間と協同し、また、政府や自治体に対して声を挙げよう。


福島原発事故117:原発推進論と核事故と地球温暖化脅威論

2011年05月04日 14時45分46秒 | 生命生物生活哲学
2011年5月4日-2
福島原発事故117:原発推進論と核事故と地球温暖化脅威論

 柴田鉄治(2000.3)『科学事件』(岩波新書)の第4章は、「原子力」と題されている。
 その91頁に、朝日新聞社の調査結果にもとづいた「原発推進に対する世論の推移」の図がある。数値を表にすると、

               原発推進に
  調査時        賛成(%)  反対(%)
  1978年12月      55     23
 [1979年3月28日 スリーマイル島事故]
  1979年06月      50     29
  1979年12月      62     21
  1980年12月      56     25
  1981年12月      55     29
  1984年12月      47     32
 [1986年4月26日 チェルノブイリ事故]
  1986年08月      34     41
  1988年09月      29     46
  1990年09月      27     53 〔←注目〕
  1996年02月      38     44 〔←注目〕
 [1999年9月30日 東海村JCO臨界事故]
  1999年10月      35     42

 東海村JCO臨界事故についての、
  「マス・メディアの大々的な報道にも関わらず、〔略〕事故から一週間が過ぎた一〇月八、九日の両日、朝日新聞社がおこなった世論調査によると、「このような事故がおきると思っていた」人が四三%もあり、「日本の原子力発電は、今後、どうしたらよいと思うか」という問いに対する答も、事故前に思っていた比率と事故後に思った比率がほとんど変わらなかったのである。」(柴田 2000: 89頁)。
 その数字は、JCO臨界事故前と後では、

  原子力発電を       事故前  事故後
  増やすべきだ        10%    8%
  現状程度にとどめるべきだ  50%   50%
  減らすほうがよい      20%   24%
  やめるべきだ        11%   13%

と、標本数や誤差範囲が記されていないが(もっと問題は、どういう訊き方をしたかであるが)、「減らすほうがよい」が4%増えた程度で、あまり変化が無いと言える。
 1986年のチェルノブイリ事故前後で、原発推進についての賛否が逆転したが、柴田『科学事件』は、

  「九〇年代に入ると、また揺れ戻しというか賛否の差はふたたび接近して、伯仲に近い状況となっている。その理由は、原子力発電の実績の積み重ねと地球環境問題の影響だろうと思われる。」(柴田 2000: 91頁)。

と、書いている。「地球環境問題の影響だろう」というところに注目しよう。
 なお、チェルノブイリ事故について、

  「ソ連の秘密主義は、同国内でも深刻な事態を招いた。事故をなるべく軽くみせたいという原発関係者の心理と、それに「パニック」をおこしてはいけない」というもっともらしい理由をつけて、地元住民に正確な情報をまったく知らせなかった。」(柴田 2000: 92頁)。

 父権主義(パターナリズム)という考え方が隠れ蓑になっているかもしれない。

 原子力開発の初期に大きな役割を果たした読売新聞社主の正力松太郎氏と朝日新聞論説委員の田中慎次郎氏のことの記述が101-102頁にある。
 それはさておき、

  「原子力開発に反対の声が出てくるのは、七〇年代に入って公害・環境問題が浮上してきてからなのだ。〔略〕
   安全論議は別として原子力技術に本質的な疑問が提起されたのは、環境問題のひとつとして放射性廃棄物をどうするのか、という問題からだった。」(柴田 2000: 103頁)。

 原発反対派は、「トイレなきマンション」という標語を叫んだわけである。
 
 さて、原発と地球温暖化対策との関わりである。

  「地球環境問題との関係は、主として地球温暖化とのかかわりである。〔略〕
   原発は、〔略〕とても「環境にやさしい」とは言いがたいのだが、この宣伝が予想外の効果をもたらした理由は、「問題があるのは原発だけではない。どのエネルギーにも問題はあるのだ」という相対的な見方が広がったためだろう。」(柴田 2000: 109頁)。

 「相対的な見方」と、この後の記述に出てくる「イエス・バット」の中身を分析することは興味深いが、それらもさておき、日本の国民世論についての柴田氏の大胆な予測は、

  「チェルノブイリのような事故が世界のどこかでもう一度おこれば、間違いなく「反対」のほうへ振れるだろう。逆に、石油危機のようなエネルギー危機がもう一度おこれば、ふたたび賛否は逆転して「賛成」のほうへ振れるのではなかろうか。」(柴田 2000: 109頁)。

である。
 ウランも石油と同様に有限であり、石油に依存するし、非常用電源は東北電力による外部供給に依存しており、今回の(津波ではなく)地震によって鉄塔が倒れたのである(「地震によって」ということを、日本共産党の吉井英勝衆院議員の質問への国会答弁で、東京電力は認めたようである[要連結 link]。なお、吉井英勝『原発抜き・地域再生の温暖化対策へ』の第4章は、「環境・安全優先を基本とする自立したエネルギーへ??温暖化対策、地域経済再生に向けて (1)原発からの段階的撤退、(2)地球温暖化対策には原発ではなく再生可能エネルギー」となっている)。

金森修.原子力の文化政治学 原発の黄昏.井山弘幸・金森修『現代科学論』:227-234.

など(要、列挙)も、さておき、先を急ぐ。

 池田清彦氏は、1990年に、

  「日本の政府-企業共通の文化一元論的な共約事項は、カネもうけ第一主義だからです。日本の行政と企業には、もうけるためには、ウソ、ペテン、ゴマカシ、環境破壊などは知ったことではないという黙契があるのです。」(池田 1998: 260頁)。

と本質的なことを述べている。
 なお、
http://pub.ne.jp/1trinity7/?entry_id=3620986
も見よ。(池田 1998に、地球温暖化(脅威論)と原発とについて述べた箇所があったと思うが、見つからない。)
 

  「森林にしても、原発問題にしても定常システムは全くありません。〔略〕
   (一昔前までは地球は寒冷になるといい、今は温暖になるという。どちらもマユツバだと思ったほうがよい)。〔略〕
   定常システムとして無害化することのできない現象を産み出す科学技術の使用を禁止する方向で、検討をはじめなければならないでしょう。」(池田 1998: 272-273頁)。

 森林伐採をやめれば、二酸化炭素吸収その他の機能がその分保持されるだろう。
 原発をすべて廃棄することが急務である。災害は忘れる前にやってくるかもしれない。明白となった目の前の危機に対処することである。
 エネルギーをより少なく使って生活し、同時にきたるべき(池田氏の言い方では自己循環的な定常システムであるような=不可避的な環境破壊をしない?)エネルギー供給装置を作ることである。

 さしあたっては、(放射能が生じないかもしれない)冷温核融合の原理による発電装置の設計と製作に労力を投入するのが一案であろう。

 そこで、おおかたの人は冷温核融合(冷融合 cold fusion、低温核融合、常温核融合)は嘘だった(要、文献)ことになったと思っているのではないかと思うが、科学 science、非科学 nonscience、「擬似」科学 'pseudo'scienceとの関係、たとえば科学の境界設定問題、あるいは線引き問題をときには絡めつつ、この事例を考えることにする。
 
 手がかりとして、デリー『科学とその働き:科学社会論の問い』で、低温核融合(と超心理学)を事例として取り上げている、「第13章 議論を呼び起こす問題?科学の影の領域?」(193-208頁)を検討しよう。

 
[D]
デリ-,グレゴリ-・N. 1999.(橋本敬造訳,2009.5)科学とその働き:科学社会論の問い.x+349pp.大学教育出版.[B20090620, y2,940]

[I]
池田清彦.1990.4.構造主義科学論の冒険.247pp.毎日新聞社.[y1,300]
池田清彦.1998.6.構造主義科学論の冒険.286pp.講談社[学術文庫1332].[B19991206, y600*]

井山弘幸・金森修.2000.11.現代科学論.272pp.新曜社.[B001204, y2,200]

[K]
金森修.2000.11.原子力の文化政治学 原発の黄昏.井山弘幸・金森修『現代科学論』:227-234.

[S]
柴田鉄治.2000.3.科学事件.ix+194pp.岩波書店.[B000529, y660]

[Y]
吉井英勝.2010.10.原発抜き・地域再生の温暖化対策へ.222pp.新日本出版社.

吉岡斉.2011.2.原発と日本の未来:原子力は温暖化対策の切り札か.63pp.岩波書店[ブックレット802].[OCL]



福島原発事故116:3号機の爆発は核爆発だという分析

2011年05月04日 00時17分40秒 | 生命生物生活哲学
2011年5月4日-1
福島原発事故116:3号機の爆発は核爆発だという分析

 「「3号機の爆発は核爆発」:クリス・バスビー教授インタビュー和訳、米国のエンジニアも核爆発説を支持」というブログがある。
http://onihutari.blog60.fc2.com/blog-entry-45.html

 それによれば、クリス・バスビー(Christopher Busby)氏とアーノルド・ガンダーセン(Arnold Gundersen)氏は、3号機での爆発は核爆発だと分析している。
 リンクされている、YouTubeの「ガンダーセン(Arnie Gundersen)博士 3号機は核爆発だった」(8:06)
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=_1DjDc6FnhM
または、同じ内容の

 「福島第一原発3号機の爆発についての解説 4月26日」(8:16)という題の動画が、
http://www.youtube.com/watch?v=P4KXX24Dv1U
は、わかりやすい。

 アーノルド・ガンダーセン氏(Arnold Gundersen)は、二種類の爆発があり、

  1号機 defragration  音速で伝わる
  3号機 detonation   超音速で伝わる

としている。この仮説はテストできるとしている。

 ウィキペディアから抜き出す。
 _______________________________________
  福島第一原発1号機 2011年3月12日15時36分、建屋で水素爆発。
 _______________________________________
 福島第一原発3号機 2011年3月13日、海水注入後も水位が上がらず。

     2011年3月14日11時1分、3号機の建屋が爆発し、大量の煙が上がった。この煙は灰褐色で、1号機のものと比べるとより高くまで上がり、炎が上がる様子も見られた。

     2011年3月21日15時55分 - 18時頃、3号機の使用済み核燃料の貯蔵プールの上部とみられる場所から黒煙が上がる。
 _______________________________________
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%AC%AC%E4%B8%80%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80%E4%BA%8B%E6%95%85%E3%81%AE%E7%B5%8C%E7%B7%AF

 確かに、1号機と3号機では、爆発時の様子が違う。黒っぽい煙は、いかにして生じたのか。
 なお、3号機はMOX燃料を使うプルサーマル発電で、では、プルトニウムの割合はいくらなのか。御用学者?はテレビで5%くらいとか(それでたいしたことはないみたいなことを)言っていたような記憶がある。