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生命哲学/生物哲学/生活哲学ブログ

《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

福島原発事故124:エネルギー問題

2011年05月10日 09時37分29秒 | 生命生物生活哲学
2011年5月9日-12
福島原発事故124:エネルギー問題

 仲本章夫(1998)『科学思想論』は、第II章「現代の危機と自然観の問題」の第2節「二つの核と自然観の問題」で下記のように書いている。
の22-23頁に

  「原子力発電の原理は〔略〕、つぎのような問題点をかかえている。
   1. エネルギーの三分の一しか利用されない。ちなみに、火力発電では四〇パーセントが利用されている。残り三分の二は高温の水となり、環境破壊を引き起こす。
   2. しばしば、放射能汚染がおこなわれ〔略〕る。
   3. 核廃棄物の処分の問題が生じる。十年ほど前のデータで二〇〇リットルのドラム缶数十万本以上が蓄積されている。どこに捨てるかの問題は深刻である。〔略〕
   4. 大事故がおこるのは偶然的な要因による比率が非常に高い。
   5. 原発労働者が大量の被爆をしている。」(仲本 1998: 22-23頁)。〔機種依存文字は、たとえば「1. 」に変更した。〕

 朝日新聞2011年5月10日29面には、
  「求人は「宮城でダンプ運転手」
   福島原発で30日間作業」
という見出しの記事がある。求人情報は、3月中旬とのこと。
 福島第一原発事故後しばらくしてからの或る週刊誌でも、現地に行くと原発での仕事だったという記事があった。


 仲本『科学思想論』の小見出し「電気は不足なのか」のところでは、

  「第一に、わが国は高エネルギー消費型社会であって、これを改めれば必ずしも不足しているとはいえない。
   第二に、一九八〇年代の数字で残念であるが、そのころ日本の発電設備容量一億六千万キロワット、原発三千万キロワット(現在はもっとこの比率は増えている、意図的に増やしているが)。まだなんとかなる数字である。
   第三に、将来のエネルギー源としては、原子力エネルギーを考察の対象として外すことはないと思われるが、現水準での危険な原発は使わないほうがよい。
   第四に、アメリカでもロシアでもそうだが、全世界的にも原発は廃止・縮小の方向にある。日本だけが世界の趨勢に反しているのは低次の政治的理由によるものとしか考えることができない。ちなみに、金権政治家田中角栄の重要な資金源の一つが原子力産業であった。これは大企業でなくてはできない。金権はゼネコンばかりでない。
   このようなことから、直接、近代合理主義的自然観やそれに基づく近代自然科学への不信の念が生じるのは不思議な現象とはいえない。」(仲本 1998: 23頁)。

と述べている。

 日本の発電電力量(2010.11.05)
http://www.iae.or.jp/energyinfo/energydata/data1006.html
によれば、

  「2008年度の発電電力量の電源別割合は[水力7%、火力70%、原子力23%]」

で、その頁のグラフから読み取ると、2005年度や2008年度では、発電電力量は、
  約11500億KWh
のようである。1980年度では、
  6000億KWh弱
のようである。

http://www.iae.or.jp/energyinfo/energydata/data1036.html
では、火力発電について、

  「●火力発電の効率は年々良くなり、最近では発電効率(発電端)の平均は40%を超えている。
   ●最先端の発電所では発電効率が約60%のものもある。」
http://www.iae.or.jp/energyinfo/energydata/data1036.html

とある。

 
[N]
仲本章夫.1998.7.科学思想論.viii+201pp.創風社.[y1,500+税] [B990330]