空の日誌

設計室「空」のブログ

冷たいベンチ

2009-12-09 16:25:33 | うんちく・小ネタ

設計を仕事にしている上で、時々何でもなさそうな物にも、反応してしまう事があります。

今日も街を歩いていて、バス停の脇にある、雨に打たれたベンチを見て、「あんな冷たいベンチに座る人は一人もいないだろうな・・。」と思ってしまいました。

その御影石(よく墓石に使われている丈夫な石)はつやつやに磨かれていて、雨に打たれようが、雪がかぶろうが、夏の強い日差しにも耐えて、たぶん人間の寿命よりも長生きできると思いますが、それこそが、そこに座る人への気配りを欠いている原因だとおもわれます。

私も街作りのお手伝いなどで、ベンチを計画した事がありますが、石のベンチは決して計画したことがありません。

夏に墓石に座ると冷たくて気持ちがいいという人もいますが、圧倒的に人気があって、座りたくなるのは木のベンチです。

それは、ただひとつ、ぬくもりがあるからだとおもわれます。
維持に多少手間がかかっても、座りたくなるベンチでなかったら何の意味があるでしょう?

「冷たいベンチ」は誰が考えたのでしょうか?
「あればいい」、という愛情の欠落は私にはかえって目障りに見えます。
Photo

「雨に打たれたベンチには、愛をささやく、歌もない~?・・、恋人よ~、そばにいて~♪・・」
失礼しました、五輪真弓だったっけ?