中野系

この銀河系の中心、中野で考えること

タイガー&ドラゴン

2005年06月03日 | テレビ
宮藤官九朗の評判は知っていたが、木更津キャッツアイも、IWGPもきっかけを逃して未見。という状況だったので、このドラマが自分にとって初のクドカン作品。

良くも悪くも先入観なく見たが、結論からいうなら、毎週ビデオに録画してでも見たい、と思わせる久しぶりの作品。「あいくるしい」を惰性で見ているのとは大違いだ。

落語とやくざ、という基本アイディアも面白いけれど、なによりも台詞の細かい節々が楽しい。全体的に誇張された演技とテンポのよさ。どちらか、というとマンガのイメージに近いドラマのつくり。人物描写については(たぶん)意図的に深く追求していないようだが、テンポとノリ、で一時間近く魅せしまう技術はさすが。

先週まで、昼の再放送で三谷幸喜の「王様のレストラン」をやっていたが(ですっかり全話みてしまったわけだが)、三谷のドラマは基本的に、間抜けだが憎めない人間というものをじっくりと描くことに長けた、いわば「上質な喜劇」の王道。一方クドカンはなによりもスピード、テンポ重視。メディアで彼のことを、若い人「には」人気の宮藤~と表現した文章を目にした記憶があるが、それもこの辺に原因があるのではないだろうか。

個人的に、両者は比較すべきものではないと思うし、個人的にはどちらもOK。楽しませてくれればそれでよい。
例えるなら三谷のドラマは落語的、クドカンのドラマは漫才的。そのクドカンが落語題材のドラマ、というところがある意味二重におかしい。

いずれにせよ今どき「死んだ妻と生き写しの妻が現れて・・・」なんて脚本のドラマが堂々とゴールデンタイムに放映されている現状を鑑みれば、この作品は今シーズンのドラマのなかでも傑出した出来。未見のかたはぜひ一見あれ!

※物語で天才落語家という設定の竜ニ(岡田准一)の落語が全然面白そうに見えない点はご愛嬌。