
アリストテレスが言った。


人間は中間的な存在。
100%の善人も、100%の悪人もいない。

金権政治で悪名高い田中角栄も、人様にお金を届けるときに、秘書の早坂茂三に、「届けるお前が土下座しろ」と指示した。
人はお金を受け取るのが最も屈辱的だから。相手に配慮しろ。
それくらい、田中角栄は、濃やかな気遣いができる政治家だった。

とても尊敬されている宗教家の内村鑑三は、日本が世界に誇る文学作品『源氏物語』を、あんなのはダメだ、元気が出ない、あんなナヨナヨした文学は「根こそぎに絶やしたい」なんて酷評している。
内村鑑三にも、とてもじゃないが褒められない一面がある。彼は2度(3度説も確かあった)の結婚をしている。家庭人としては、難ありだったのだろう。
人間は中間的な存在。
その立体的な多面性に思いを致す。そういう多様な視点を学ぶ。
それが本を読むことの効能の一つ。