東京新聞はちょっと偏向的というか、左がかった新聞として知られる。
だから私がここで何書いても詮無いであろうことは承知しつつ、それでも黙ってはいられない。
今年7月14日の社説で、
宗教法人格の剥奪を意味する解散命令は「信教の自由」を脅かすものではない
だって。
え。
オウム最高裁判例を読んでないですね。1996年1月30日第一小法廷決定です。
この判例(と解説、1997年南山法学21巻1号)はこう書いています:
「解散命令が確定したときは清算手続が行われ…、その結果、宗教法人に帰属する財産で礼拝施設その他の宗教上の行為の用に供していたものも処分されることになるから…、これを用いて信者らが行っていいた宗教上の行為を継続するのに何らかの支障を生ずることがあり得る。」(以上判例解説)
このように、
「宗教法人に関する法的規制が、信者の宗教上の行為を法的に制約する効果を伴わないとしても、これに何らかの支障を生じさせることがあるとするならば、憲法の保障する精神的自由の一つとしての信教の自由の重要性に思いを致し、憲法がそのような規制(中山註:解散命令)を許容するものであるかどうかを慎重に吟味しなければならない。」
ってのが最高裁判例の判示です。
最高裁判例がこうやって丁寧に:
「憲法の保障する精神的自由の一つとしての信教の自由の重要性」
を論じているのに、
解散命令は「信教の自由」を脅かすものではない
って東京新聞社説が書くのはおかしい。
東京新聞さん、判例をしっかり踏まえた社説を書いてください!
2016年9月9日の社説では、憲法改正について、「憲法は国の背骨だから、よほどの動機がない限り改変したりはしないものだ」とあります。その背骨を作ったのは誰ですか?
最新の状態であるべき憲法を70年以上、放置してきた弊害はありませんか?と問いたいと思います。