夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「桜女人(さくらにょにん)」

2020-03-31 20:02:40 | 自作の小説
花見るや これも最期と人の云ふ・・・・・

いつの世も争いごとはあり静かに平和に暮らしていた場所も巻き込まれる
自分の治める場所を己の権力が及ぶ地域をもっともっと大きくしたい 広くしたいと思う人間はいる
そうした人間は満足はしない
満足することを知らない

争いの波は戦うことを知らぬ場所にも押し寄せる

従うか従わないか
歯向かうならば皆殺し

我等は戦わぬ民ーなどと言っても通用はしない
火をかけられ蹂躙され灰と死骸しか残らない

それは花の季節
山々に桜咲く 野にもとりどりの花

里を治める長(おさ)の娘は子供達と遊んでいた
名を伽耶(かや)と言う

大軍を率いて攻めてきた首魁が見たのは そういう平和な景色
俺は一番強い男になるーとずうっと戦いに明け暮れてきた男
名を安澄丸(あずみまる)と言う

彼は兵の進軍を停めた

猛き男の心を鎮めたのは たおやかな娘の姿
彼は伽耶をくれるなら この里はそのままにしておこうと申し入れる
聞き入れられなければー征服あるのみ


申し入れを受けないーそんな事はできないーと伽耶には分かっていた

伽耶には姉妹のように仲良く育った友がいた
名を諏依(すえ)と言う
勝気なお転婆
でも伽耶には優しい

そして仲良しの二人は密かに互いが思う相手が同じことも知っていた

馬の世話が得意な優しい青年 波也希(はやき)

伽耶が安澄丸の許へ行くと知り 諏依は問うた
それでいいのかと
好きな相手と逃げればいいのにーとも

「そうしたら この里が燃やされる 皆が殺される
それは駄目です これも長の娘の務め 我が身一つで済むのならたやすいこと」

諏依は納得できなかった
安澄丸が死ねば良い 居なくなれば―
そう思った

安澄丸は里をもっと知りたいと案内を伽耶に頼む
命じるのではなかった

伽耶は嫌がらず里のあちこちを山の端まで案内する
小川の清き流れ 山々がくれる恵みのこと


安澄丸は伽耶の声の響きを愉しんでいた
無骨な男のこれまでになかった穏やかな時間
殺す 支配する 奪う
そればかりだったこれまで

この華奢な娘が・・・その声が・・・

人は落ち着いて暮らすべきだと教えてくれる
桜の花のような娘だ

桜の蕾がほころび咲き開くように微笑む

ー俺が護ってやりたいー

そう思うようになった男は力づくでは事を運べない

それは男が初めて知る恋だった
これが恋とも知らずして

では そろそろ帰りましょうかーと日暮れが近付き伽耶が言う
走りだそうとした安澄丸の体が馬上でぐらりと揺れた
乗っていた鞍が外れたのだ
安澄丸に怪我は無かったがー

鞍には細工がしてあった
不自然な切れ目

誰かが安澄丸が落馬するように仕組んだのだ

それは誰か

疑われたのは馬には詳しいーどんな馬も馴れさせる力持つ波也希
彼は言い訳はしない
この里での馬が起こした咎は わたしが受けるべきのものーと潔い

安澄丸様が寛大なことを良いことに ずにのりおって こうなったら里にも火をかけましょうーと
兵達は騒ぐ

「それをしたのは あたしです 伽耶様を奪われたくありませんでした」
そう言って進み出た娘は自らの胸を刺した
力任せにその刃(やいば)を 己が手で引き抜く
血が迸る

「諏依!」駆け寄り助け起こす伽耶
「なぜ 何故このようなことを」

「ごめんなさい・・・・」
そう言って諏依は息絶えた

命の絶えた亡骸に伽耶は言い聞かせる
「安澄丸様は良い方です 里は強い方に守られた方が安心というもの あたくしは喜んで 心から望んで安澄丸様のところへ行くのです」

それはそこに控える波也希に伝える為のようでもあり
里の住人には これから安澄丸がこの里の守護者になるのだと教えているようでもあり

伽耶は安澄丸に頭を下げる
「この娘は 諏依はあたくしと姉妹のように育った者 どうか怒りをお鎮め下さいませ お怒りが解けぬのなら あたくしの命を奪って下さいませ」


その姿すら毅然としていて美しく

「心から俺のもとへ来るというか 嘘は無いか」
そう安澄丸は問うた

「嘘偽りなく」と伽耶は答える

「その娘を弔ってやれ  そして気持ちが落ち着いたなら俺のところへ来い 山の端で待っていよう」

それから諏依は里を見下ろす桜の下に埋められた
短い命 春になれば桜の花となり里に戻ってこられるように

波也希は桜の世話もするようになった

里人を里を守るは長の娘の務め この身一つでそれができるなら何とたやすいこと

伽耶を得た安澄丸の兵達はそれまでの略奪者の群れから守護する者達に変わった
それが伽耶ゆえであったのか
彼等がそういう境地に達していたからなのか

とあれ伽耶を見ることで安澄丸の荒ぶる心は鎮まったのだ

桜の花を見るように

春になれば里は桜の花で彩られる
ふわふわと夢のように温かく優しい色に

その花びらのどれかに諏依の魂が宿っているだろうか

ひらひら ひらひら 今年も桜が咲いている

天野頌子著「おくりびとは名探偵  元祖まごころ葬儀社 事件ファイル」 光文社文庫)

2020-03-30 19:23:02 | 本と雑誌



渋井和馬は葬儀社の息子 本業はミステリー作家だが新作のプロットがなかなか担当さんからOKが出ない
それで葬儀社の仕事をしている

一代の傑物だった中原グループの会長の葬儀
和馬の両親はインフルエンザにかかり この争議を任された和馬だが「おかあさんを殺した」という言葉をトイレの個室で聞いて
このまま葬儀を済ませていいのかーと

和馬の高校の先輩で住職の梅澤翆芳は学生時代にミステリー研究会の会長だった

翌日の火葬までに真実を明らかにしたいと二人は動く

和馬は小説のネタにあるかも~~~というアヤシイ動機もある

亡くなった会長には三人の息子があった
息子たちにとって良い母親ではなかったようだ

会長は本当に殺されたのか

犯人はいるのか

二転三転 話はころころ転がって

素直じゃない不器用な母親と 母親が死んでーーーーー
おかあさんの想い出が蘇る長男
夫が死んでしゃかりきになって働くことで生活を守った母親

良いお葬式ができますように

やっぱり台所から(題を考えるのが面倒だった・笑)

2020-03-29 10:47:56 | 子供のこと身辺雑記
昼食はパンにしようと食パンにバター塗ってスライスチーズを貼り付けて
これでオーブントースターで待機



あとは焼くだけ

アスパラのベーコン巻き ここまでしておくと これも あとは焼くだけ



お昼はこれに野菜サラダと
牛乳 卵 林檎 バナナ 蜂蜜などを ミキサーにかけた飲み物


たまに思い出して作るいきなり団子
熊本県では餡子をはさんでお菓子として売られているそうですが
父が作ってくれたのは 団子汁となっています

皮をむいて厚めの輪切りにしたさつまいもを 薄力粉に水を加えて耳たぶくらいの柔らかさにした皮で包む







鰹節たっぷりの出汁をとり





ざるで漉して



味の素少々と醤油で味付けて煮立った出汁の中に団子を入れる



ちょっと味見など







ここまでしておいて サボリ中~~~~


その後











お昼は こんな感じです



台所から

2020-03-28 14:35:59 | 子供のこと身辺雑記
姑のお昼を済ませ帰宅してから長男のお昼を作るのはせわしない

で 姑の家へ出かける前にある程度の下ごしらえは済ませておく

今日のお昼は姑の家の近くのお店で見つけた↓コレ利用
名城食品株式会社の「味付けスパゲッテイ」


予め切っておいた野菜などの具(玉葱 ピーマン ウインナー)を炒めて 白ワインふりかけ ケチャップちびっと入れてこの麺を加えて
ささっと炒めるだけ





同じお店で売ってた熊本県 JAたまなの苺「恋みのり」という品種です





苺はカワイイ名前が多いですね



煮物に最後に加える海老 殻をむいて片栗粉をまぶしています
茹でておいた絹さや




真面目にタコ糸かけて巻いたロールチキン
焼き色ついたらタレをかけて少しだけ煮てあとは余熱任せ



夜おかずのビーフシチュ―用のお肉
これから調理にかかります
ま 圧力鍋任せ(笑)なのですけれど


その後
出来たビーフシチュー






圧力鍋で柔らかくした牛かたまり肉は 別の鍋で炒めて野菜など煮た中へ加えます
その時 使うのはストウブの鍋です



肉に野菜など めぼしい具が無くなった残りは鍋から取り上げ冷凍



オムレツ オムライス あとハンバーグにかけるソースへ使い回し♪
解凍がてら赤ワイン加えて少し煮てから使います



「よたばなし」-30-

2020-03-27 23:09:00 | 自作の小説
ー罪夢ー

ああ また この夢だ

芝居小屋の古い建物 床が抜けそうな舞台
誰も居ない座席

ただ一人残っている若い女
これから売れるはずの女優だった

とびきり美しい
薄暗い小屋の中でも輝くようだ

あたしはこの若い娘が怖かった

その若さ 美しさ

今もー売れ始めの若いコ達を見ると思い出さずにいられない
あの娘は腕が似ている
なよやかな細い腕

そう あたしが殺した娘は爪の形すら美しかった

あたしは妬んだ その美しさ 若さ

あたしの情人(おとこ)だった監督は これからはあの娘でいくーと言った

もう お前は脇に回れーとばっかりに


でも今なら 誰もこの娘を知らない
まだ世に出てはいない


不幸な事故はつきもの
よくあること

古い建物はよく火事がある


そこにいたのは ただの不運


他人の名前で呼び出して

中から出られないように細工して 火をつけた
簡単だった

「誰か! 出して!出して!」「助けて!」「きゃああああ~~~~」

苦し気に咳き込む音
それすら甘美なものとして聞いたのだ

これで もう脅かされない

不幸な事故 世に出る前に死んだ娘

もう誰も覚えていない


遠い昔の話
長い事 思い出しもしなかった


それが何故だろう 今頃になって
見かけた若い娘達に あの娘の面影を見つけてしまう
くっきりした二重瞼の黒目がちの瞳

抜けるように白い肌

黒の中の黒のようだった長い髪

つんとした それでいて触りたくなる唇


夢の中 極上に美しい娘の姿は燃えあがり近づいてくる

炎に包まれて 焼けながら
その腕で あたしを抱きしめようとする

嫌だ! あたしは謝らない
赦しなんてこわない

あたしの地位を脅かそうとしたその美しさが悪いのだ

あたしは悪くない
あたしは自分の場をまもっただけ

しつこくもまだ恨んでいるのか

怨み続ければいい

こんな夢など恐ろしいものか

起きてやる
起きて もっと別な楽しい夢を見直すだけのこと

お前など夢に置き去りにしてやるわ



「よたばなし」-29-

2020-03-27 09:43:26 | 自作の小説
ー黒い部屋ー

ーーーーーー友人が「妙な夢を見たんだ」と話し始めた

{どっかの家の中で開いたドアの向こうを見たら 真っ黒で こう黒が広がっているように見えてさ
その部屋の真ん中に女が一人立っている 黒はその女から広がっているようなんだ
女が来ているモノも黒でね
でも顔は白い
前髪というか髪形は そうだな映画のクレオパトラのあれ あれにウエーブかかってて波打っている
背中と腰の間くらいまで長さはあるように見えた
漆黒っていうのはあんな色なんじゃないかな

顔だちはひどくすっきりとしている

夢の中のオレは何か随分昔の女優さんー母親だか ううんもっと昔祖母世代の女優さんの名前を言ったような記憶がある
起きたら名前を忘れていたけれど
それで女は横顔見せて立っていたんだけど 横目でオレを見た

そして女が立っている部屋の向こう側
オレが女を見ている反対側の部屋にも誰か女が居たようなんだ
何か声が聞こえた

ただそれだけの夢なんだが

起きても女の表情 動いた目と 部屋の様子 黒い色が頭から離れない

まるで夢に覆われていくようなんだー}


夢に取り込まれていくような気がする 起きていても・・・

そう友人は言い 間もなく姿を見かけなくなった

気になって家を訪ねると友人の母親は警察にも届けを出してきたと

でもいなくなり方が奇妙なのだそうだ

夜「おやすみ」と言って部屋に入り 朝になって起きてこないので部屋に行けば 寝た様子はある布団
ただ体がすっぽり消えたような


靴もある
出掛けた様子は無い

夜の間に出ていったとは思えないのに
部屋に姿が無いのだと

机の上に置かれたノート
窓も開けていないのに ぱらぱらと紙片がめくれ
開いたのは
黒い絵 部屋の中に女が立っている

ああ居なくなる前に友人が言っていた夢を絵にしたものか
これは

絵の中の女の目が動いた気がした こちらを 僕を見たような・・・
まさかー



それから
僕の前に黒が広がる

黒が波打つ

あの女が目の前に立っている

部屋の隅から細い女の声がする

この女に尋ねているらしい
「姫様 今度はお気に召しましたでしょうか」

この女は何と答えるのだろう
その答えがとても恐ろしい気がする

この夢に友人も取り込まれたのだろうか
僕はどうなるのだろう

夢 これは夢なのだから ただ目覚めればいい そのはずだ
そう・・・・・だろう?

それとも目覚められない夢なのか
全てを取り込み逃がさない場所なのかーーーーー







伝染する夢の噂を聞いた
その夢の話を聞き 夢に見ると居なくなる

そんなまさかと俺は思っていた
子供だましの都市伝説だと馬鹿にして笑っていた


いま 俺の前に黒い色が広がっていく
これは夢か 現実か

何が起きようとしている

ああ 女が現れた

ひどく傲慢な表情をしている
冷たい眼だ


春の午後

2020-03-26 10:24:35 | 子供のこと身辺雑記
中国の武漢に始まった謎の病気 その日本への迷惑感染拡大の余波で 予定が狂いお家引き籠もりの生活となっている長男

あんまり家に居続けて腐っても(生ゴミか・笑)と思い 私が姑のお昼を済ませて帰宅してから
墓参りに行き 遅くなるけどお昼は外ご飯にしようかーと
誘ってみたら「行く」と言う

よし!墓掃除ラクになったとほくそ笑む私


霊苑の道路は狭いので人が混む時は避けています

お墓参り終わって 何が食べたいって長男に尋ねたら 
実に庶民な長男は「ラーメン」と答えた
お墓からの帰り道 何処があったかなーなどと思いつつ
一応アテにしている店はあったけれど 午後から夕方 休憩をとるお店

行けば あと半時間で休憩という時間

「大丈夫ですか」と入ったら
「いらっしゃい」と満面の笑顔で迎えてくれました

台湾料理の中華屋さん
ラーメン食べたいと言っていた長男でしたがメニューを見たら
黒酢豚と海老炒飯に

私は醤油ラーメン
このお店の醤油ラーメンは とても懐かしい味がするんです
子供の頃 行ったお店のラーメンの味

具はかなり分厚い焼き豚2枚 シナチク わかめ 葱 もやし
あっさり シンプル それが美味しくて

お惣菜は持ち帰りができるのも嬉しい
メニューも色々豊富で

卵焼きで炒飯包んだ オムライス炒飯 青椒肉絲 黒酢豚を持ち帰り
(もちろん私が夕飯おかず作らないでいいー手抜き案件・爆)

お店の方は台湾の方
笑顔も言葉もあったかな雰囲気で
250号線 通称・浜国道沿いにある 時々行きたくなる好きなお店です


帰りの車の中で
「わ! 優しいな 帰ったら運動の為に 犬と遊んで 犬の飲み水を新しいのに変えて 水撒きもしてくれる
いいコねえ」と勝手に私が言ったら
「そんなこと言うてへんぞ 」と言った長男

私「君の魂の叫びが聞こえた」

長男「そんなん叫ばんわい」

しかし長男は帰宅して少ししたら庭に出ていき 庭の水撒き 犬の水替えて 犬に遊ばれるもしておりました

私が姑の家に出かけるまで庭にいたのでした

さて 勝手に聞こえる長男の魂の叫びを今後も使おう♪







堂場瞬一著「迷路の始まり  ラストライン3」 (文春文庫)

2020-03-25 15:03:29 | 本と雑誌



岩倉剛は妻と離婚は決めているが娘の進学に支障がああてはと 離婚届は出さずに別居中

岩倉には20歳ほど下の交際中の女性もいる

そのことを弱味としてつついてきそうな川嶋
警察の中のスパイのような男だ
今回も事件に関連した品を盗んだり 何を考えているか分からない川嶋

その存在に苛立つ岩倉

素行が良くなく失業し殺された男
男と交際中だった女性も殺された

二つの事件に繋がりはあるのか

捜査から外された岩倉は自由に事件を追う


拉致されるも その前に連絡sていた娘の通報で危機一髪


同じ著者の別シリーズの主役たちもちらちら顔を見せる

岩倉を拉致した男も死体で発見されて


川嶋が電話を寄越す


事件の根っこはまだ残っているー
シリーズ次作へそれは続いていくのでしょうか

朝井まかて著「恋歌(れんか)」 (講談社文庫)

2020-03-23 15:52:27 | 本と雑誌



樋口一葉の歌の師 和歌を教えた中島歌子

歌子が遺した―君にこそ 恋しきふしは 習ひつれ さらば忘るることもをしへよ

それが亡き夫への想い そう取ってそこから著者は史実も入れつつ物語を紡ぎあげた

商家の跡取り娘は恋をして思いつめる

世間知らずの娘は江戸を離れて 水戸へ

桜田門外の変 天狗党と諸生党との争い 同じ水戸藩でありながら その妻子までが殺し合いに巻き込まれ
囚われて首を斬られる


恋は叶った 恋する人の妻にもなれた

しかし しかし
夫といられた時間は短かった

明治維新

主義主張の違いで 多くの人が命を落としました

新しい時代は多くの命の犠牲の上に訪れたとも言えるでしょう

いつの世も どんな時代も人は恋する 夢を見る

大きな時代の流れの中で浮き沈みしながら


解説は大矢博子さん

知念実希人著「誘拐遊戯」 (実業之日本社文庫)

2020-03-21 21:00:40 | 本と雑誌


誘拐犯ゲームマスターが始めたゲームの為に走り続けた上原真悟
だがー「ミッション・インコンプリート」

誘拐された少女は殺された

その後 犯人は自殺した

再びゲームマスターを名乗る誘拐犯からの連絡で上原は動くことになる

刑事を辞めて警備員となっていた上原

彼は重い病気でもあった

その身体にムチ打ち 今度こそ誘拐された少女を生きて見つけたいとー

またしても殺された少女
救えなかった命


犯人の狙いはー



読後感の良い物語ではありません
意外な犯人―と言う事になるのかな

犯人の姿が見えてきた時 疲労感が押し寄せてきます

自分の目的の為なら 人の命を奪っても罪悪感が全く無い

人間の姿をしながら 気味悪い生き物
それが 犯人です

じきに桜の季節です

2020-03-19 19:53:40 | 子供のこと身辺雑記
お彼岸前にと送ったお供えの品が届いたと叔父から電話があった

中国の武漢に始まった病気に始まるマスクとかトイレットペーパーやティッシュペーパーまで売り場から無くなる騒動

ひとり暮らしを始めた叔父の孫のこと

叔父は公園での散歩を日課としていて かなり毎日歩くのだけれど 散歩に出てくる人の数が減り 来る人は皆マスクをしていること

それから長く病気だった叔母の想い出話

様々に話題は飛んで

叔父の家の庭にはさくらんぼの成る木と ソメイヨシノと2種類の桜があって
さくらんぼのなる方の桜はもう花が散って ソメイヨシノはこれからと

で どうして庭に桜を植えたかと言えば  病気で寝たきりとなった叔母に 桜の花を見せたかったからだと

叔母が亡くなってかなり経つけれど
そのぶん木は大きくなりいっぱい花をつける

叔母は桜が好きだった


入院 退院を繰り返した叔母

病気はありながら退院して まだ元気だった頃の叔母の家の近くの公園で(その頃 叔母は 私と同じ市内で暮らしていた)
同じ市内に住む叔母の姉妹(私の母と 母と叔母の末の妹)一家 祖母など集まって花見をしたことがある
叔母の全快祝いも兼ねたものだった

年は違うが母と叔母とは同じ3月生まれ

その時の楽しい思い出が叔父の中にもあるのかもしれない

もう一度元気になってくれたら せめて歩けるようになってくれたら
叔父はそう願っていただろうと思う

叔母の看病をしながら 二人の息子を育て上げた叔父

しんどいことも多かったろうに
よくぞ頑張り抜いたと思う

内科と外科に分かれたが 二人の息子は医師になった

叔父が叔母の為に桜を植えた心が切ない

桜の花が咲く季節ごとに叔父は叔母を思い出すのだろう

桜に向かって語り掛けるだろうか

叔父との電話を終えて 元気だった頃の若き日の叔母を思い出し しみじみとしてしまいました

一緒に行った動物園 デパートの屋上のこどもの国 映画館 お祭り
まだ小さな私を乳母車に乗せてくれたこと

人は死んでいく生き物だけれど

いつか相手が死ぬと思って結婚する人はいないでしょうし


父は母が死んだあと  ひどく寂しがっていました
娘がいても 孫達がいても 伴侶の死というものは埋められないもの
同じ時代を生きた共通の想い出
それを語り合う相手がもういない 口喧嘩すらできないー
というのは随分孤独なことだろうと思います

今は 父もあちらの世界で母と仲良く語り合えているのでしょうか
それとも生前と変わらず些細なことで言い合いをしているでしょうか


人は死んでも変わらないーなんて言いそうです

私も随分口ごたえする娘でしたっけ・笑

随分 暖かくなりました

2020-03-19 16:04:10 | 子供のこと身辺雑記
まだ小さな木だけれど昨年 レモンが実をつけた
青いうちにとろうかと思ったけれど 黄色くなるまで待とうと年越し
我慢!のかいあって やっと黄色に

もう いいかなーととってきた
あ 香りがとても良い

「こんな酸っぱいのいるか!」と父が怒りそうだけれど 仏壇にお供えを





紅茶に入れようか 簡単なケーキに使おうかーなどと思案中

庭に来る小鳥さん達も さすがにレモンには手を出しませんでしたか

ついでに























雪柳 桃 柊 薔薇 ぼつぼつ咲いています
チューリップはもう少し先かな
蕾がつくのが楽しみです




知念実希人著「時限病棟」 (実業之日本社文庫)

2020-03-17 21:26:37 | 本と雑誌


「仮面病棟」の舞台となった田所病院ー
其処はある医師の持ち物となっていた

だがその医師も死ぬ
事故か自殺か

芝本大輝はー映画監督の狭間洋之助と共に田所病院を舞台にし参加型ホラーアトラクション リアル脱出ゲームを制作中ー

病院から狭間が転落した

いかがわしい記者の祖父江に芝本が殺したのではーと書かれ マスコミに追い回され 仕事も失い
自ら命を絶った

世間は そう思っている

やがて 拉致された男女が目覚めたのは病院

外科教授の月村一生
外科医の小早川賢一
桜庭和子
麻酔医の七海香香
看護師の倉田梓

そこは実は田所病院
映画監督が転落した場所

時間が来たら炎上する仕掛けが施されていた

誰が映画監督を殺したか
誰が芝本を死なせたか

真実が分からないと解放されない

閉じ込められた男女は互いを疑い

そして殺されていく

犯人の捨て身の仕掛け

一方 刑事達も行方不明になっている人間達に気付いていたが

リアル脱出ゲーム
手がかりを見つけられなくても死ぬ

閉ざされた空間の中に 犯人たちも居る

病院は炎に彩られる



知念実希人著「仮面病棟」 (実業之日本社文庫)

2020-03-17 09:28:29 | 本と雑誌



先輩から変わってくれと頼まれた当直
週に一度のバイトだがー
その当直する田所病院は五階建て  かつては精神病院であったとか

その名残は建物のあちこちに残っている
薄気味悪い病院という印象を速水秀悟⦅はやみ しゅうご⦆は持っていた

ベテラン看護師の東野涼子 そして佐々木
当直室にいた速水は「すぐ来て下さい」と呼ばれて行くと
そこにはピエロがいた
ピエロの仮面をつけた男はコンビニ強盗 人質に連れてきた若い女性を治療しろと言う

若い女性はピエロ男に撃たれたのだ

ピエロ男は人殺しになるのはごめんだーと


田所院長 看護師 速水 若い女性ー川崎愛美ーと名乗った
それから入院患者達がピエロ男の人質となる

ピエロ男は朝になれば出ていく
そう言ったが
どうも様子がおかしい

何かを捜しているのではーと速水は考え始める
この病院には何か秘密があるのではーと

そうして看護師の佐々木が殺された

誰が殺したのか


速水は愛美だけでも逃がそうとイチかばちかの試みを


全てが終り 刑事が速水に尋ねる

愛美は本当にいたのか?!

愛美 この名前の意味

真犯人の動機



それでも真犯人は速水だけは殺せなかった
殺さなかった

そこに救いがあるようで


(映画が公開中のこともあり 極力 いつも以上にネタバレは避けております)


今後 速水が女性不信にならないか心配です

冗談はさておき とても面白く読みました

解説は作家の法月綸太郎氏
著者について詳しく触れて こちらも読みごたえあります

堂場瞬一著「割れた誇り ラストライン2」 (文春文庫

2020-03-16 09:58:31 | 本と雑誌



事件に関しては読むだけで記憶している岩倉剛(いわくら ごう)
離婚を前提として妻子と別居中
両親が離婚すると娘の大学への進学に差し障るということから籍は抜いていない

20歳ばかし年下の恋人がいる

まだ正式には離婚していないのにーここが弱味といえるかもしれない

未解決の事件について考えるのが好きでいつか本にしたいと思っている

岩倉は他の署が逮捕した容疑者が裁判で無罪となり その容疑者の田岡が暮らす家が自分の属する署の町であったことから 様子をみてくるように言われる

人は一度逮捕されると 周囲は実はやっているんじゃないか
人殺しが近所に住んでいては恐ろしいーと思う
その暮らす家に石を投げたり落書きしたりー

無言電話をかけたりー

田岡の無罪判決が許せない男 光山は幾度か田岡の家まで押しかける

岩倉は田岡をよく知る元警察官の協力を得て 田岡の家がトラブルに巻き込まれないように動くのだが

 光山は死んだ  殺されたらしい

ネットに流れる無責任な噂

岩倉は自分をつけ回す 刑事にも手を焼く
どうにも嫌な男なのだ

父親が自殺 それでも暮らす家を離れたがらない病身の母親 身を寄せ庇い合ってきた兄弟

真面目に生きてきた兄は 弟を守ろうとしていて




全てが終わってくじけず生きていこうとする田岡
ここが この作品の救いかもしれない

世間から冷たく見られ嫌がらせを受けても 自分の為に家族の為に働く


「市民の役に立つのが お巡りさんの仕事なんだよ そうあるべきなんだ」
そして事件があれば 正しい犯人を 本当の犯人を捕まえる

捜査ミズからの冤罪はあってはならないー

そうした考えの岩倉はたびたび捜査会議の中で浮き反感を持たれることもある

50代 若い頃ほど熱くはならないが 枯れるトシでもない

そんな岩倉を主人公とするシリーズです