今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

館林に”暑み”に行く

2015年08月05日 | 

かつては関東で一番暑いのは熊谷だったが、ここ最近は館林(タテバヤシ)がトップに立つことが多く、世間の認識でも暑いといえば館林の気温が話題となる。

逆に言って、館林が話題になるのは”暑さ”くらいしかなく、JR線からも外れているので、首都圏の多くの人は通過したことすらないだろう。

私も同様で、幼少時に祖母の知り合いでここ出身の人が訪ねてきたことが再三あったため、地名だけは記憶に残ったが、もともと東武伊勢崎線自体に縁がないこともあり、最近になるまで通過したことすらなかった。

その館林に行こうと心に決めたのは、もちろんこの地の”暑さ”を実感したいがため、より正確にいえば、この地のアメダスの露場を確認しながら気温を自分で計測したいがためである。

夏の暑さを避けて高原に涼みに行くのではなく、暑さが話題になる地にその暑さを味わい(”暑み”) に行く人が出ることこそ、暑さ日本一を競う各地の期待する所なのだろうが、それを実行する物好きは私のような計測オタクくらいしかいないので、残念ながら経済効果は期待できそうもない。

ところが、館林は行って見たら、”暑さ”以外にもいろいろあり、観光の街としてそれなりに整備されていた。

なのでまずは館林のざっとした訪問を記し、詳細な気温チェックは次の記事にまわす。

 

さて、11時すぎに館林の駅に降り立つと、すでに35℃になっており、駅前の広場にミストシャワーがあり、テレビ局のスタッフがカメラを持ち歩いている。 
暑い街の玄関にふさわしい。 

まず向った駅前の観光案内所は水曜が定休日だった(市内の田中正造記念館も水曜定休なので水曜には訪れない方がよい)。

そこで問合せようと思った無料レンタサイクルは隣の店で借りられると張り紙があり、隣の店で「ポンチャリ」という名のレンタサイクルを借りる(保証金として500円出すが、後で返却される。夕方5時まで借りられる)。

この自治体主導の無料レンタサイクル制度が、観光地を自負する自治体で広まっているのはありがたい。
なにしろ、バスなどの公共交通機関が路線的にも時刻的にも期待しづらい地方だと、遠来の観光客にとっては移動ができない。 
自転車自体は前カゴ付き、変速ギアなしのママチャリであるが、カゴ がある分荷物が入れられてありがたい。
言い換えれば、館林はレンタサイクルで巡るに値するだけのスポットが市内に散在しているわけだ。

駅から東に広がる、城下町内の武家屋敷、そして館林城趾、その周辺に地元出身の作家・田山花袋の旧家と文学館、明治建築の上毛モスリン事務所が点在する。

それらを巡る前に、まずは「館林うどん」の店で館林うどんを食べ(ランチ時にはアイスコーヒーがつく)、土産に館林うどんを買う。

熱い日差しの中で自転車をこぐ私の装備は、前後に庇があり通風性のよいキャップをかぶり、目がねの上を覆うサングラス、それに高分子ポリマーが水分を含んで膨らんだ鉢巻きを額と首にそれぞれ巻き、肌の露出部はSPF50でガードしている。
かような重装備なので炎天下もどこ吹く風だが(確かに35℃の気温も自転車で快走すると、心地よい風に変わる)、 さすがこの暑さの中を出歩く市民はほとんどいない。

旧城下町、城跡、第一資料館、モスリン事務所、田山花袋文学館などを巡ると、縄文時代から昭和までの館林の歴史がいっぺんにわかる。
城跡の東に広がる「城沼」は湾曲して川のようになっており、このほとりで半日ぼんやりしたくなる。
ここも含めて館林には池が点在しており、その周囲には木立があり、ちゃんと涼める場所があるのだ。

でも私には行くべき所があるので、先を急ぐ。
本来の目的地である「アメダス」については次の記事に譲って、そこからさらに「茂林寺」に向う。
ここまで足を伸ばせるのもレンタサイクルのおかげ。

茂林寺は「分福茶釜」で有名な寺で、境内、いや門前の両側の土産物店から、狸の像が居並ぶ。 
拝観料300円を払って、本堂内に上って奥の部屋に分福茶釜の実物を見る。
でもただの茶釜で、手足を出して踊るからこそ見世物に値したことを痛感。
本堂と山門は江戸時代の建築なのでこっちをよく見よう。 

ここから館林駅に戻るため、茂林寺の北に広がる「茂林寺沼」の湿原の狭い一本道を自転車で縦断する。
行く手には発達した積乱雲(かなとこ雲)が空一面に広がっている(写真)。
あたりにはミンミンゼミの音が響きわたる。
映画『鉄塔武蔵野線』の1シーンを思い出し、
今、これがボクの夏休み」なんだなと実感する。 

駅の反対側に行って「正田記念館」を訪れる。
ここは正田醤油の旧本社で江戸時代の建築。
経営者の正田家は現在の美智子皇后のご実家。 
せっかくなので、社屋に入り、近所のスーパーなどでは見ない正田醤油を土産に購入。

自転車を返却して、駅前のミストシャワー(切れていた)の下で慰労の缶ビールを空ける。午後4時だが、そこはまだ38℃もあった。 

以上、館林は、単に暑いだけの街ではなかった。
城跡、古建築があり、文豪田山花袋、正田家(日清製粉)と美智子皇后、あと宇宙飛行士の向井千秋さん(記念科学館がある)を輩出し続けている、現役の文化都市だった。
しかもこれらを無料のレンタサイクルで廻れるサービスのよい観光都市でもあったわけだ。 

充実し、暑い割りに疲れなかった日帰り旅だった。


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