今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

目黒区の歴史資料館・美術館

2024年03月17日 | 東京周辺

日帰りの行き先として、気楽に行けてタメになる”郷土博物館巡り”。
関東での行き先は都内23区を優先していて、前回の世田谷区に続いて今回はそこより渋谷に近い(都心寄りの)目黒区。


最寄駅の東横線・中目黒に降り立つ。
中目黒は”おしゃれな街”として変貌中で、駅前にビルやマンションが建ち始めている。

まずは駅前のビルにある日本蕎麦屋で昼食。
ちゃんとした蕎麦屋での、いわゆる”蕎麦通”的な食べ方
(まずは板わさなどをつまみに日本酒を味わい、締めにせいろ)は私はできないので、
少しひねっただけの”田舎もり”(蕎麦が太い)を注文。
ちゃんとした蕎麦屋では天ざるはカロリー的に受け付け難いので、結局は一番シンプルな”もり”になってしまうのが残念
(蕎麦はもりで完成されてしまって、バリエーション化できない)。
※:蕎麦は「もり」か「かけ」。「せいろ」・「ざる」は容器の名称で「かけ」を「どんぶり」というようなもの。

食は栄養バランスを一番大事にしたいのに、もり一択の蕎麦はそれができないから(うどんは可能)。
せめて、最後に蕎麦湯を飲んで蕎麦本来の栄養を吸収する。

ここから中目黒銀座通りを抜ける。
おしゃれな街に変貌中の中目黒だが、路地に入ると戦後に建てた古い木造住宅が残っていて、
新旧入り混じった状態(言い換えれば再開発の余地がある)。


途中、地元鎮守の中目黒八幡神社を詣で、
小学校校舎を利用した受付のないめぐろ歴史資料館(無料)に入る。

目黒の旧石器時代は2万年前からなので、人が住んだのは都内では新しい方。
出土される縄文土器がここでも愛知に比べて豊かなのは、東日本だからだろう。
逆に古墳時代など古代は国府以外は情報量に乏しくなるのも東日本の特徴。

武蔵の中世遺構は、板碑が中心となるのはここも同じ。
あと鎌倉時代に目黒氏がこの地を支配していたという(吾妻鏡)。
在地武家は地名を名字にするから、すでに地名が目黒だったのだろう。
ただ目黒氏は、その後出雲そして奥羽に移るため、目黒の地との縁は早々に切れる。

ということで、目黒という地名は、江戸時代に制定された”五色不動”の1つである目黒不動が由来ではないようだ
(平安時代からある瀧泉寺が”目黒不動”とされたのが江戸時代)。

江戸時代は、江戸(府内)の郊外として観光と農作物の供給で江戸と繋がっていた。
目黒には立派な富士塚が二つあり、そのうち新富士(最上徳内の家にあった)の跡地から、
人が入れる規模の胎内窟が最近発見され、その実物大の復元が館内にあって、見学者は胎内潜りができる。

また、目黒はタケノコが固有の栽培法によって名産だったという(目黒名物はサンマではなかった)。


この近くに「長泉院附属現代彫刻美術館」なるものがGoogleマップにあったので、そこに行ってみる。
丘の上の長泉院というお寺の敷地(斜面)いっぱいに現代彫刻が屋外展示してある。
さらに美術館もあり(写真)、午前と午後(昼休みを除く)に見学できる(いずれも無料)。
宗教法人長泉院は、増上寺系の由緒ある浄土宗の寺で、
そこの住職が個人の意思で若い彫刻家の作品発表の場を提供しているのだという(館内の説明)。
この広い敷地を墓地にすればそれなりに収入源となり、一方作品の維持費がかかるだろうに。
それを広く無料公開することが宗教活動としても意味があるとしたのだ。
その意気や立派。
並んでいる作品も、木像の人物像から、ブロンズ像、抽象的な造形物まで多彩で、
特に現代彫刻は”立体的な形そのもの”との出会い(再会)が促される。


ここから庚申塔のある馬喰坂を下って、山手通りを渡り、目黒区民センターの一画に目黒区美術館がある。
区立の美術館があるのは、裕福な東京23区でも少ない(他に世田谷区・板橋区・練馬区)。
入館料700円を高齢者割(550円)で入館すると「広がるコラージュ」展をやっていて、
日本人作家のコラージュ作品が展示してある。
コラージュといっても、既存の画像素材を貼り合わせただけでなく(今だとPhotoshop使えば色々できそう)
物を立体的に貼り合わせたり、とにかく既存の物を組み合わせて新しい表現世界を構築する試みだ。

特に化石というもの自体が、言ってみれば「生物と鉱物のコラージュ」であり、
生物の形態も化石だと生きた状態とは違った形態になるという視点が新鮮だった。

あと草間彌生の作品もあり、その説明で、幼い時から幻覚・幻聴を体験していたことを知った。
「霊が見える」現象を研究している者として、統合失調症や薬物によらない幻覚体験に興味があるので、もう少し本人について知りたくなった。

同時開催の「飯田善國」展では、彼の金属を使った風を受けて動くマケットという一連の作品がとても興味があった(風車が大好きなので)。

このようにふらりと訪れる美術館だと、かえって新鮮な出会いがあるものだ。



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