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国民投票法等に関する与党協議会実務者会議報告

2005-03-09 22:07:03 | 憲法改正国民投票法案全文掲載
国民投票法等に関する与党協議会実務者会議報告

平成16年12月3日

 国民投票法等に関する与党協議会実務者会議は、平成16年4月21日の第1回会合以来、11月30日までの間、合計9回の会合を重ねてきた。その間、6月2日には、国民投票法等に関する与野党協議会に対して、審議状況について中間報告を行った。
 中間報告を行った後も、11月下旬に至るまでの間、精力的に、「国会法の一部を改正する法律案」及び「日本国憲法改正国民投票法案」に関する審議及び検討を行ってきたところである。
 その結果、11月30日に下記のように合意に達したので、国民投票法等に関する与党協議会に報告を行うものである。

1 「日本国憲法改正国民投票法案」については、自由民主党が提案した法(超党派の憲法調査推進議員連盟作成のいわゆる「議連案」と同じ内容のもの)に【別紙】のとおり修正を加え、これを基に法案化の作業を進める。

2 1の「日本国憲法改正国民投票法案」を審査するため、国会法を改正し、衆参両院の憲法調査会に日本国憲法第96条第1項に定める国民投票に関する法律案の審査及び起草権限を付与するものとする。なお、憲法調査会の名称については、両院の議員運営委員会に協議を委ねる。

3 上記1及び2の両法案はいずれも次の常会に提出するものとし、2の「国会法改正案」については4月中に成立を図り、憲法調査会において最終報告書を議長に提出した後、引き続き、1の「日本国憲法改正国民投票法案」の審査に入り、その早期の成立を図る。

4 なお、憲法改正案を発議するための原案の審査を行う権限については、これを上記2の機関にさらに付与することを念頭に、その環境及び条件等を整えつつ、引き続き、検討を行う。

以上



日本国憲法改正国民投票法案骨子(案)


*赤字は自民党提示案(議連案)からの修正点
第一 総則
一 趣旨
 日本国憲法の改正についての国民の承認の投票(以下「国民投票」という。)については、この法律の定めるところによるものとすること。

二 国民投票の期日等
1 国民投票は、国会が憲法改正を発議した日から起算して30日以後90日以内において内閣が定める期日に行うものとすること。
2 内閣は、国民投票の期日前20日までに、国民投票の期日を官報で告示しなければならないもとすること。この場合において、国会から内閣に送付された憲法正案を併せて掲載するものとすること。

│修正点│ │自民党提示案では、 │
│【1について】 │
│ ① 「60日以後90日以内」とされていた。 │
│ ② 「国政選挙の期日その他の特定の期日」に行う旨の国会の議決がある場合には、│
│当該期日に国民投票を行うこととされていた。→削除 │
│【2について】 │
│ 国民投票の期日が国政選挙の期日と重なる場合には、国民投票の期日の告示を国政│
│選挙の期日の公示と同じ日に行うこととされていた。→削除 │

※ 「与野党が政権の維持・獲得を目指し相争う国政選挙」と「与党と主要野党間で合意した憲法改正案に対する賛否を争点とする国民投票」との性格の相違にかんがみれば、国民投票と国政選挙は別個に行われることが適当であることから、両者が同時に行われる場合を念頭に置くことなく、国民投票の期日に告示日を定めることとした。

三 国民投票の投票権
 衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する者は、国民投票の投票権を有するものとすること。

│修正点│ │自民党提示案では、投票権者は、国政選挙の選挙権を有する者のほか、軽微な選挙違反│
│による公民権停止者等を含むものとされていた。 │

※ 国民投票の投票権は、国民の国政への参加の権利として国政選挙の選挙権と同等の者と考えられることから、国民投票の投票権者は国政選挙の選挙権者と一致させることとした。

四 国民投票に関する事務の管理
 国民投票に関する事務は、中央選挙管理会が管理するものとすること。

五 投票人の名簿
 国民投票には、公職選挙法に規定する選挙人名簿及び在外選挙人名簿を用いるものとすること。

│修正点│ │自民党提示案では、公職選挙法上の選挙人名簿とは別に投票人名簿を調製することとさ│
│ │れていた。 │

※ 選挙人名簿とは別に投票人名簿を調製することとすると、名簿調製のための期間の確保(特に在外投票)が難しいなどの問題が生じることから、国民投票においても公職選挙法上の選挙人名簿を用いることとした。

六 国民投票に関する啓発、周知等
 総務大臣、中央選挙管理会並びに都道府県及び市町村の選挙管理委員会は、国民投票に際し、国民投票の方法その他国民投票に関し必要と認める事項を投票人に周知させなければならないものとすること。


第二 投票及び開票
一 一人一票
 国民投票は、一人一票に限るものとすること。

二 投票管理者及び投票立会人
 投票管理者及び投票立会人に関し、必要な規定を置くものとすること。

三 投票の方式等
1 投票人は、投票所において、憲法改正に対する賛成又は反対の意思を表示する記号を、自ら記載して、これを投票箱に入れなければならないものとすること。
2 投票用紙の様式、投票の方式、投票の効力その他国民投票の投票に関し必要な事項は、憲法改正の発議の際に別に定める法律の規定によるものすること。
※ 投票用紙の様式、投票用紙に憲法改正案を掲載するか等については、憲法改正の発議の都度、改めて別に法律(例えば「平成○年日本国憲法改正国民投票実施法」)で定めることとしている。例えば、複数項目に係る憲法改正案の場合に、全体を一括で国民投票に付すか、項目別に国民投票に付すかに応じて、投票用紙の様式等が定められたり、また、憲法改正案の内容(分量)に応じて、投票用紙への改正案の記載の有無が定められたりすることとなる。

│修正点│ │ 自民党提示案では、投票用紙の様式等について規定していた。 │
│ │

四 開票管理者及び開票立会人
 開票管理者及び開票立会人に関し、必要な規程を置くものとすること。

五 投票及び開票に関するその他の事項
 この法律及び三の2の法律に規定するもののほか、国民投票の投票及び開票に関しては、衆議院比例代表選挙の投票及び開票に関する規定の例によるものとすること。


第三 国民投票分会及び国民投票会
一 国民投票分会及び国民投票会
 国民投票分会及び国民投票会について必要な規定を置くものすること。

二 国民投票の結果の告示等
1 中央選挙管理会は、国民投票の結果の報告を受けたときは、有効投票総数、賛成投票数及び反対投票数並びに賛成投票数が有効投票総数の二分の一を超える旨又は超えない旨を官報で告示するとともに、総務大臣を通じ内閣総理大臣に通知しなければならないものとすること。
2 内閣総理大臣は、1の通知を受けたときは、直ちにこれを両議院の議長に通知しなければならないものとすること。


第四 国民投票の効果
一 国民の承認
 国民投票において、憲法改正に対する賛成投票の数が有効投票総数の二分の一を超えた場合は、当該憲法改正について国民の承認があったものとすること。

二 憲法改正の公布
 内閣総理大臣は、中央選挙管理会より、憲法改正に対する賛成投票の数が有効投票総数の二分の一を超える旨の通知を受けたときは、直ちに当該憲法改正の公布の手続きを執らなければならないものとすること。


第五 訴訟
│修正点│ │自民党提示案では、一の「国民投票無効の訴訟」と二の「国民投票の結果の無効の訴訟」│
│を一つの訴訟として規定していたが、公職選挙法の「選挙無効訴訟」、「当選無効の訴訟」│
│の区分にならって区別して規定した。 │

一 国民投票無効の訴訟  ※「選挙無効の訴訟」に相当する訴訟
1 国民投票の効力に関し意義があるときは、投票人は、中央選挙管理会を被告として、国民投票の結果の告示の日から起算して30日以内に、東京高等裁判所に訴訟を提起することができるものとすること。
2 1による訴訟の提起があった場合において、国民投票に関する規定に違反することがあるときは、国民投票の結果(憲法改正に対する賛成投票の数が有効投票総数の二分の一を超えること又は超えないことをいう。)に異動を及ぼすおそれがある場合に限り、裁判所は、その国民投票の全部又は一部の無効の判決をしなければならないものとする。

二 国民投票の結果の無効の訴訟  ※「当選無効の訴訟」に相当する訴訟
 国民投票の結果の効力に関し異議があるときは、投票人は、中央選挙管理会を被告として、国民投票の結果の告示の日から起算して30日以内に、東京高等裁判所に訴訟を提起することができるものとすること。

三 訴訟の処理に係る原則
 一又は二による訴訟については、裁判所は、他の一切の訴訟に優先して、速やかにその裁判をしなければならないものとすること。

四 訴訟の提起が投票の効果に与える影響
 一又は二による訴訟が提起されても、その無効判決が確定するまでは、国民投票の効果に影響を及ぼさないものとすること。

第六 再投票及び更正決定
一 再投票
1 第五の一又は二による訴訟の結果、国民投票の全部若しくは一部が無効となった場合又は国民投票の結果が無効となった場合(二の更正決定が可能な場合を除く。)においては、更に国民投票を行わなければならないものとすること。
2 第五の一若しくは二による訴訟を提起することができる期間又はこれらの訴訟が裁判所に係属している間は、再度票を行うことができないものとすること。

二 更正決定
 第五の二による訴訟の結果、国民投票の結果が無効となった場合において、再投票を行わずに国民投票の結果を定めることができるときは、国民投票会を開き、これを定めなければならないものとすること。
※ 再投票を行わずに更正決定をすることができるのは、第五の二の「国民投票の結果の無効の訴訟(当選無効の訴訟に相当)」についてだけであって、第五の一の「国民投票無効の訴訟(選挙無効の訴訟に相当)」については、その性質上更正決定はできない(無効の場合には、すべて再投票となる)。


第七 国民投票に関する周知
一 国民投票公報
 都道府県の選挙管理委員会は、憲法改正案、投票用紙の見本その他国民投票に関し参考となるべき事項を掲載した国民投票公報を発行しなければならないものとすること。

二 投票記載所の憲法改正案の掲示
 市町村の選挙管理委員会は、国民投票の当日、投票所内の投票の記載をする場所その他適当な箇所に憲法改正案の掲示をしなければならないものとすること。
※ 「憲法改正の発議の際に別に定める法律」で憲法改正案を投票用紙に記載することとした場合も含めて、投票記載所に憲法改正案を掲示することとした。

│修正点│ │自民党提示案では、該当規定なし。 │
│ │

第八 国民投票運動に関する規制
※ 国民投票運動の規制に関しては、基本的に自由であるとの原則の下に公正な国民投票のために必要最小限度の規定のみを整備した自民党提示案(議運案)を維持することとした。
一 投票事務関係者等の国民投票運動の禁止
1 国民投票の投票管理者、開票管理者、国民投票分会長及び国民投票長は、在職中、その関係区域内において、国民投票に関し憲法改正に対し賛成又は反対の投票をさせる目的をもってする運動(以下「国民投票運動」という。)をすることができないものとすること。
2 不在者投票管理者は、不在者投票に関し、その者の業務上の地位を利用して国民投票運動をすることができないものとすること。
3 中央選挙管理会の委員等、選挙管理委員会の委員及び職員、裁判官、検察官、警察官等は、在職中、国民投票運動をすることがでぎないものとすること。

二 公務員等の及び教育者の地位利用による国民投票運動の禁止
 国又地方公共団の公務員等及ひ教育者(学校教育法に規定する学校の長及び教員をいう。)は、その地位を利用して国民投票運動をするととができないものとすること。

三 外国人の国民投票運動の禁止等
1 外国人は、国民投票運動をすることができないものとすること。
2 外国人、外国法人等は、国民投票運動に関し、寄附をしてはならず、何人も国民投票運動に関し、外国人、外国法人等から寄附を受けてはならないものとすること。
3 何人も、国民投票運動に関し、外国入、外国法人等に対し、寄附を勧誘し、又は要求してはならないものとすること。

四 国民投票に関する罪を犯した者等の国民投票運動の禁止
 この法律に規定する罪により刑に処せられ国民投票の投票権を有しない者及び公職選挙法上公民権を停止されている者は、国民投票運動をすることができないものとすること。

五 予想投票の公表の禁止
 何人も国民投票に関し、その結果を予想する投票の経過又は結果を公表してはならないものとすること。

六 新聞紙又は雑誌の虚偽報道等の禁止
 新聞紙(これに類する通信類を含む。以下同じ。)又は雑誌は、国民投票に関する報道及び評論において、虚偽の事項を記載し、又は事実をゆがめて記載する等表現の自由を濫用して国民投票の公正を害してはならないものとすること。

七 新聞紙又は雑誌の不法利用等の制限
1 何人も、国民投票の結果に影響を及ぼす目的をもって、新聞紙又は雑誌の編集その他経営を担当する者に対し、財産上の利益の供与、供応接待等を行って、当該新聞紙又は雑誌に国民投票に関する報道及び評論を掲載させることができないものとすること。
2 新聞紙又は雑誌の編集その他経営を担当する者は、財産上の利益の供与を受けること等によって、当該新聞紙又は雑誌に国民投票に関する報道及び評論を掲載することができないものとすること。
3 何人も、国民投票の結果に影響を及ぼす目的をもって、新聞紙又は雑誌に対する編集その他経営上の特殊の地位を利用して、当該新聞紙又は雑誌に国民投票に関する報道及び評論を掲載し、又は掲載させることができないものとすること。

八 放送事業者の虚偽報道等の禁上
 日本放送協会及び一般放送事業者は、国民投票に関する報道及び評論において、虚偽の事項を放送し、又は事実をゆがめて放送する等表現の自由を濫用して国民投票の公正を害してはならないものとすること。


第九 罰則
1 買収罪、国民投票の自由妨害罪、投票の秘密侵害罪、国民投票運動の規制違反の罪その他の罪に関し、必要な罰則の規定を置くものとすること。
2 国外犯に対し、必要な罰則の規定を置くものとすること。


第十 その他
1 国民投票の執行に関する費用は、国庫の負担とするものとすること。
2 この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定めるものとすること。
3 その他所要の規定を設けるものとすること。

第十 施行期日
 この法律は、     から施行するものとすること。

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