tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

企業業績を上げる人事管理はここから

2017年05月24日 15時12分04秒 | 経営
業績を上げる人事管理
 人事管理についての古い話です。
 ノルマを決め、従業員の尻を叩いて能率を上げ、会社の業績を上げようとしても、そういうものは長続きするものではありません。従業員が自主的に仕事をする気になるようなことを考えないと業績は上がらないのです。

 という趣旨で、人事管理に人間関係論が入ってきたのは100年近く前、1920年代の話です。(エルトン メイヨー:ホーソン実験など)
 その後の人事管理の研究には、心理学も含め、人間の考え方や行動を調査分析し、どうすれば従業員自体が、自分からやる気を起こし、いい仕事をしてくれるかという事が中心になり、動機づけ理論や、リーダーシップ論、いわゆる行動科学の分野が全盛になりました。
 
 多くは世界一の豊かさを実現したアメリカで開発されていますが、戦後の日本はそれを学び、実践して大きな成果を上げてきました。
 5S、QCサークル、TQM、カイゼンなどなど日本が世界に誇る現場中心の優れた人事(仕事)管理の手法は、輸入した理論を日本流に消化し、より良いものに作り上げ、現場で実践してきたものです。

 中には、6シグマのようにアメリカに逆輸入されたものもありますが、こうした成果は、まさに地道な現場の労使の努力の積み重ねによって可能になったのです。

 こうした世界が注目する成果を上げた日本企業ですが、プラザ合意による円高、 付随したバブル経済の破綻、そしてその後の「失われた20余年」の中で、日本の人事管理はかなり変わっていしまったようです。

 相次ぐ大企業での不祥事の発覚、政府系金融機関での貸し出し現場の不正、異常な長時間労働や過労死(現実には上司のいじめによる自死?)などなどの現実は何を示すのでしょうか。

 短期の業績を上げることに懸命なトップ、その意を戴して現場で部下の尻を叩く管理監督者たち、100年前から研究がなされ、戦後の日本で立派な花を咲かせた人間中心の人事管理論はどこに消えたのでしょうか。

 企業経営者の長期的視点の欠如、そして長期的視点の基盤である従業員教育の手抜き、特にトップと現場とをつなぐ中間管理職(管理監督者)の重要性が見落とされてきた結果ではないでしょうか。従業員の教育訓練は、継続こそが力で、失われて20余年の業績悪化の中で削った教育訓練費のツケが、今、回ってきているように感じられます。

 企業の盛衰は「人を育てられるかどうか」で決まる、経営者、管理者の最も重要な仕事は部下を育てること。「部下を課長の仕事が出来るように育てた課長は、課長を管理する部長になれる」などと、かつては言われたものです。

 「長期的視点」「人間中心」の2つの柱に拠って立つ日本的経営、日本的人事管理の再建がこれからの日本企業、日本経済の成長に必要なようです。