tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

国内需要を期待し、奈良市でホテルが続々開業/産経新聞

2020年06月27日 | 観光にまつわるエトセトラ
コロナ騒動がいまだ終息しない中にあって、奈良市では国内需要を期待し、ホテルの開業が相次いでいる。産経WEST(2020.6.26)が「インバウンド頼みから国内需要に照準 ホテル開業ラッシュの奈良」の見出しで、こんなまとめ記事を配信していた。全文を紹介すると、

多くの世界遺産に恵まれ、ここ近年は訪日外国人客(インバウンド)が増加していた奈良では、インバウンド需要を見込んだホテルの開業やリニューアルが今年、相次いでいる。ところが、新型コロナウイルス感染拡大は、思い描いた成長戦略に大きな影を落とした。ホテルや観光客誘致に力を入れてきた自治体は、地元客や国内旅行者の需要を掘り起こす戦略で、難局を乗り越えようとしている。(桑島浩任)

県民需要を掘り起こし
興福寺から徒歩数分の好立地にある「ホテル尾花」(奈良市高畑町)は、先月まで「ホテルサンルート奈良」として親しまれたが、今月、昭和55年に閉館した前身の映画館「尾花劇場」の名前を復活させ、一部リニューアルを行った。平日の昼間にロビーをのぞくと、友人と談笑したり、のんびりと読書にふけったりしている年配の男女の姿が目立つ。多くは奈良市在住の地元住民という。

同ホテルは今月から、県民限定に「顔見世プラン」を始めた。シングル朝食付きで1泊4千円という破格の料金。新型コロナ下であえてもうけを度外視した新プランだ。中野聖子社長は「どうせ商売にならないなら、普段はできないことをやろうと考えた」と話す。これまでの宿泊客は県外からが中心。外国人は2割程度ながら、「インバウンドはまだまだ伸びるということで、県内のホテル全体が外国人向けにシフトする流れだった」と明かす。

ところが、新型コロナで状況は一変。そこで国内に目を向け、県民需要を掘り起こそうと考えたわけだ。「ホテルで過ごすだけの非日常を楽しんでもらう。新しい価値を提示していかないといけない」。顔見世プランは10月末まで継続する予定で、会議室の大スクリーンで映画観賞が楽しめるプランも検討している。

インバウンド需要消滅
奈良県を訪れた外国人観光客数はここ数年で目覚ましい伸びを見せた。県の推計によると、平成24年はわずか28万5千人だったが30年には258万2千人となり、6年で9倍以上に急増した。宿泊者数も24年の10万4300人から令和元年の46万830人と約4・4倍に増加した。

この「インバウンドバブル」をあてこんで、今年、奈良市ではダイワロイヤルホテルの「D-PREMIUM奈良」が3月にオープン。6月には奈良公園内に隈研吾氏がデザインした高級リゾートホテル「ふふ奈良」も開業した。7月22日には米高級ホテル「JWマリオット・ホテル奈良」(いずれも奈良市)もオープンする予定だ。しかし、新型コロナの感染拡大でインバウンド需要は消滅。訪日外国人客数は4月が2900人、5月は1700人で、ともに前年同月比99・9%減という記録的な下落となっている。

創業111年の伝統を誇り、古都の迎賓館と呼ばれる「奈良ホテル」(同)も平成29年に始めた約3年に及ぶ耐震補強工事が今春、完了したばかり。いよいよ本格稼働という矢先のコロナ禍に、藤田昌宏営業企画課長は「これまでの常識とは異なるコロナ時代の新たなホテルサービスが必要になる」と話す。フロントのスタッフがアクリル板ごしにルームキーをトレイに載せて宿泊客に差し出し、館内のサービス案内が記載された紙を渡す。要望があれば客室への案内すら控える。老舗ホテルの手厚いサービスのイメージとは異なるが、いずれも感染に不安を感じる宿泊客への配慮という。

一方で、値下げによる集客策は実施しない。国内旅行代金の2分の1相当を支援する国の「Go To キャンペーン」に加え、奈良県も独自に県民が県内の宿泊施設を利用すると最大7割引になるクーポンの発行を予定しており、「国内旅行の需要はいずれ爆発する」と期待を込める。

旅行の楽しみ提供
5月にプレオープンした「ANDO HOTEL 奈良若草山」(同市川上町)は昭和39年創業の「遊景の宿 平城」をリノベーションした。若草山の中腹に位置し、奈良の街並みとともに東大寺大仏殿や興福寺五重塔が一望できる。

コロナ禍で外出自粛が続く中、出ばなをくじかれた格好となったが、売り上げは当初予定の4割減にとどまっており、8~9割減も珍しくない他のホテルに比べれば影響は控えめだ。「インバウンドを意識しすぎず、若草山のポテンシャルを生かした日本人に愛されるホテルを目指す」(オーナーの出口雅也さん)としたことが功を奏した。

夜景やホタルを観賞する無料ツアーに加え、春日山原始林の散策や山頂での早朝ヨガなどの有料プランも多数取りそろえる。出口さんは「旅行でのアクティビティをトータルで提供することが、これからのホテルには必要」と力を込める。

奈良県も補正予算で国内向けのプロモーションや商品開発に1億円を計上するなど、今後の感染状況を見極めながら近畿、西日本、国内と徐々に誘客のターゲットを広げていく考え。県の担当者は「奈良の魅力を再確認してもらって観光につなげたい」としている。


訪日外国人観光客数が6年で9倍以上、宿泊客数も約4.4倍。それが今春の訪日外国人観光客数は、前年同月比△99・9%!このような数字を突きつけられると、改めて「インバウンドバブルの崩壊」のすさまじさを感じる。

近鉄奈良駅前の東向商店街では、早々と「ダイコクドラッグ」が訪日外国人観光客の減少を理由に閉店(閉業)した。駅前の「やまと旬菜 三笠」(奈良商工会議所地下)も閉店したし、「四季旬菜 大和路」(奈良ラインハウスビル5階)も今月末で閉店する予定だ。宿泊業も飲食業も小売業も、インバウンドに頼らない生き残り戦略の構築を迫られている。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする