tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

自販機が鹿を救う

2008年05月16日 | 奈良にこだわる
ダイドードリンコは02年から「『緑の募金』自販機」事業を展開している。

同社ホームページには《2002年2月から設置を始めた「緑の募金」自販機の設置台数は約2,536台(2006年度実績)。売上の一部は(社)国土緑化推進機構に寄付され、杉の苗木を購入する資金などにあてられています。日本国土の約2/3(約67%)は森林です。雨水を蓄え、CO2を吸収する森林を保全していくために、今後も自販機のロケーションオーナーさまとともに「緑の募金」自販機を増やし、森林づくりへの取り組みに貢献していきます》とある。
http://www.dydo.co.jp/dydo_eco/act1.html

ダイドーは、自販機の売上げに応じて、自販機を設置している事業主(ロケーションオーナー)に対して販売手数料を支払っている。その販売手数料のうちから売上げの1%分(事業主が負担)と、その同額分(ダイドーが負担)を合計して(つまり、売上げの2%分)、(社)国土緑化推進機構に寄付しているのだ。お客は直接おカネを負担するわけではないが、間接的に緑化に貢献できることになる(例えば100円のドリンクなら、2円が寄付に回る)。

余談だが、《国土の約2/3(約67%)は森林》であるが、奈良県については、県土の「77%」が森林だ。この比率は和歌山県や岩手県と同率で、東国原知事の宮崎県(76%)や秋田県(72%)より高い。それどころか、奈良県より高いのは、高知県(84%)、島根県(79%)、山梨県(78%)、長野県(同左)の4県だけである。つまり全国で5番目に森林率が高いのだ。
http://www.rinya.maff.go.jp/toukei/genkyou/shinrin-jinkou.htm

さて、冒頭のダイドーと同じ仕組みで、売上げの一部を鹿の保護に役立てる自販機が登場した。近鉄奈良駅から県庁に向かう坂の途中の「大和ビル」(奈良市登大路町・商工会議所ビルの隣)前に、5/9からその自販機が設置されている。毎日新聞奈良版(5/10付)で紹介された。
http://mainichi.jp/area/nara/archive/news/2008/05/10/20080510ddlk29040721000c.html

記事によると《「奈良の鹿(しか)愛護会」(奈良市)を支援する自動販売機の設置が県内で進んでいる。清涼飲料会社などが地域貢献事業として始めた。売上金の一部が愛護会への募金になる》《自販機を9日設置した近畿ペプシコーラ販売(大阪市西区)は、ビルを所有する大東興産(奈良市)と協力し、1本につき数円を愛護会に寄付する》。



やや不鮮明だが、自販機には「この自動販売機の売上金の一部は財団法人奈良の鹿愛護会の活動に利用されます」というステッカーが貼ってある。なお、ドリンクの値段は従来どおりである。

さらに、自販機には純粋に寄付するだけのボタンも付いている。私も財布にあるだけの10円玉を入れてきた(ドリンクは出ない)。



鹿愛護会は、財政面で苦慮している。《愛護会はシカの出産の世話や、けがをした際の救助、観光客の安全のための角きりなどを担当。しかし、会員の年会費の減収などによる財政難に悩まされている。約10年前まで年間の活動資金が1億円以上の時もあったが、05年度には約7500万円まで落ち込んだ。保護したシカのえさ代や捕獲用の麻酔薬などが十分に確保できないこともある》(同)。

愛護会の財政難については、私も当ブログで紹介したことがあるが、問題は深刻である。
※奈良の鹿愛護会
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/8c4269705800588acb3acbaa948fb06b

その窮状が、この自販機の普及によりいくらかでも改善されれば有り難いことである。皆さんも、県庁や文化会館に行かれる途中でこの自販機を見かけられたら、ぜひご協力をお願いしたい。

※写真は東大寺二月堂前で5/11撮影。この小さな祠(ほこら)が興成神社(こうじょうじんじゃ)である。修二会の前後に僧がお参りして祈願するという。奇しくも東大寺、興成神社、鹿(春日大社の神鹿)の3点が1枚の写真に収まった。
コメント (4)
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