彦四郎の中国生活

中国滞在記

中国における「日本のアニメ(ドラマ・映画)」の人気は依然と高い④1980年代から現在までの動向

2016-04-27 16:58:18 | 滞在記
 日本のアニメは、中国のテレビ・インターネット視聴の市場だけでなく、世界の市場においても強力な競争力を備えている。この「日本のアニメ」という日本のソフトパワーに関して、官民一体となった競争力育成の必要性が必要なのだが、日本政府の支援・対応はどうなのだろう?
 世界最大の市場といえる中国での「テレビドラマの影響力」は低下したが、「日本のアニメドラマやアニメ映画、漫画」の人気は依然として高い。中国国産のアニメの制作は、国家の政策もあってかなり増加してきている。しかし、『漫動作』の調査によると、「中国の青少年」が愛する20のアニメ―キャラクターのうち、ほとんどが日本のもので、中国アニメは「孫悟空」や「喜羊羊」など2〜3と少ない。また、「最も愛するアニメ作品」においては、日本アニメが50%を占め、欧米アニメが30%、中国アニメ(台湾・香港を含む)は、20%となっている。
 その理由は、日本のアニメは①そのテーマは幅広く、②想像力に満ちており、➂魅力的なストーリー、④精巧に製作されているなどが挙げられている。このため、「青少年層だけでなく幅広い層に受け入れられてきた。」30年以上の歴史がある。

 1980年、中国のテレビ局において日本のアニメが初めて放映された。手塚治原作の『鉄腕アトム』(中国名『鉄臂阿童木』)である。その後の1980年代、『ジャングル大帝』や『一休さん』(中国名:『聡明一休』)、『花の子ルンルン』(中国名:『花仙子』)などが放映され、その後 日本のアニメは中国大陸の数世代に渡る人々を惹きつけてきている。

 1990年代に入り、中国人の国民的アニメキャラクターともなっている『ドラえもん』(中国名:『机器猫』)が放映開始され、爆発的な人気アニメとなり現在に続いている。また、『ちび丸子ちゃん』(中国名:『櫻桃的小丸子』)も大人気となった。『名探偵コナン』(中国名:『名探偵柯南』)や『ウルトラマン』も長い人気を持ち続けている。(※「四大アニメ」)
  特に『ドラえもん』は、現在に至るまでの各時代の児童に最も愛され親しまれ、多くの文房具やおもちゃ、衣服などにデザインされたり各種ゲームが開発されている。イベントなどの際にも全国各地で「ドラえもん」が登場する。日本以上に国民的ともいえるキャラクターとなっているかもしれない。
 『セーラームーン』(中国名:『美少女戦士』)、『ドラゴンボール』(中国名:『龍珠』)、『クレヨンしんちゃん』(中国名:『蝋筆小新』)なども、多くの視聴者があったアニメーション・ドラマとなった。小学校から自宅に戻ってしばらくした午後6時台に、中国のテレビで放映され、これ(10アニメ)を視聴するのが楽しみな中国の小学生が激増した。
 また、『キャプテン翼』(中国名:『足球小将』)や『タッチ』などのスポーツ系も人気だった。テレビ放映本数では、1999年が最も多く、年間476本にのぼった。その後は、中国製作アニメを育成する中国政府の方針化のもと、「外国アニメ」の放映は減らされてきた。しかし、2000年代から現在に至るまで、年間100本を越える日本アニメの放映がされ続けている。

 「80后」、「90后」、「00后」という中国語がある。いずれも、1980年代生まれ1990年代生まれ、2000年代生まれを意味する。これらの世代は「日本のアニメを見て育った」と言っても過言ではないかもしれない。中国の世代としては、特に15才から35才までの年代が該当する。1990年代から始まる「反日教育」を受けながら、「日本のアニメ」を見て育ってきた年代でもある。
 2000年代に入り、『ワンピース』、『ナルト』(中国名:『火影』)、『スラムダンク』(中国名:『灌藍高手』)、『銀魂』、そして『新世紀エヴァンゲリオン』などが人気を博した。これらのアニメ作品やアニメキャラクターは現在でもファンがかなり多いようだ。

 2005年ころより、テレビよりもインターネットを通じての視聴が多くなり始めている。そしてこの頃から、中国国産の人気アニメが出現し始めて現在に至っている。そのアニメとは、『喜喜羊羊与灰太狼』(※一匹の羊が、仲間たちと協力しながら、狼から守り合う物語。なにか『アンパンマン』のストーリーなどを彷彿させる。)と『熊出没』(※森を伐採しようとたくらむ銃を持った人間たちに対して、二匹の熊が、森の動物たちとも協力して追い払う。環境問題教育ともなつているかもしれない)。
 アニメ作品を主に扱うチャンネルもある中国中央テレビでは、連日放送されている。特に最近では『熊出没』がよく放映される。それぞれ100話以上が製作され、今後も新しく製作放映されていくだろうと思う。特に「喜喜羊羊(シーシーヤンヤン)」は、中国で最も愛されている国産アニメキャラクターである。けっこう可愛い。

 2013年9月、日本のアニメ界の巨匠「宮崎駿」氏が引退表明をした。連日、反日報道が多かったこの時期、このニュースは、中国中央テレビなどでも大きく報道され、新聞でも数多く報道された。中国人にとっても、宮崎駿の存在の大きさがうかがえた。日本のアニメが大好きな日本語学科の学生の一人は、「スタジオ・ジブリ作品は哲学性があります。」とも言っていた。2000年代に中国で放映され、映画上映され、パソコンでのインターネツト視聴を通じて、改めて「日本のアニメーション」のすばらしさを実感した中国人は多い。

 2010年代に入り、最近では『NO,6』、『青の祓魔師』、『坂本ですが?』、『進撃の巨人』などが、中国のアニメ・漫画オタクの間で人気だが、これらは日本人でもアニメ好きのオタクが知っているくらいだろうか。『進撃の巨人』の映画は見てみたいと思うが、中国では「暴力性が高い」との理由で上映禁止措置が取られている。
 最近、日本に於いて、「国民に愛されるアニメ」が新しく創られなくなってきているのではないかと、心配になる。アニメがオタク化されてきているのではないだろうか。
 日本語学科の学生の中にも、「日本のアニメを研究したい」という学生がいて、「日本のどこの大学がいいですか。」と聞かれることもある。大学院で「アニメ・漫画」の研究科をもっている大学はそう多くはない。勧められる大学の大学院としては、「東京芸術大学(国立)」、「京都精華大学(私立)」、「京都造形芸術大学(私立)」などがある。中国の大学でもアニメ学科を設置する動きがでてきている。「中国アニメソフトパワー」は、まだまた日本に較べると作品力は弱い。しかし、日本も「国力をもって」このパワーを 予算を増やして育成しなければ そのうち弱くなるだろう。「ソフトパワー」はとても重要だ。

 ◆前回のブログで、「GTO」(1989年)と記しましたが、「GTO」(1998年)の間違いです。訂正します。









1 コメント

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進撃の巨人を知っているのが「アニメ好きなオタク」 (夏休み中の暇人)
2017-07-31 14:05:15
進撃の巨人はユニバーサルスタジオジャパンでコラボしているのでそんなことはないと思います。 (;´д`)
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