新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

新版「歴史とは何か」

2022年09月01日 | 日記

 ゴルバチョフ氏が死んだ。神さまのように崇めた人だった。ペレストロイカ、グラスノスチを唱え、伝統と権威に甘んじていた旧ソ連社会を崩壊へと導いた。ゴルバチョフ氏がいなかったら、いまの世界はなかったかもしれない。「たられば」の話はやめておこう。この後を継いだエリツィン氏もりっぱだった。こういう人たちが国のトップの座にいたら、ウクライナへの侵略戦争などしていなかっただろう。
 ロシア国民はゴルバチョフ氏をどのように評価しているのか。われわれの評価とはまるで逆のようだ。かくも激しく価値観が対立する構図をはたしてほかに見ることができるだろうか。
 E・H・カー「歴史とは何か」は歴史家によって歴史は変わってしまうことを教えてくれる。歴史を研究するまえに歴史を書く歴史家を研究せよという。歴史は現代と過去との絶え間ない対話だとも・・。E・H・カーが現代を生きていたら、ゴルバチョフ氏をどう書くだろう。いまロシア国内ではどのようなロシア史が書かれているのだろう。気になるところだ。
 日本では百田尚樹「日本国紀」が売れているようだ。学校では教えてくれない、日本人が誇りにしてよい歴史上の事実を書き連ねてある。竹田恒泰「検定不合格日本史」は中学校の教科書なのに何百ページもある大部なものになっているようだ。いずれも戦後日本の歴史教育を、進駐軍に押しつけられた史観に基づいたものであり、是正する必要があるとする立場で書かれている。
 世界共通の歴史教科書など永久に望めないのだろうか。E・H・カーはそのような教科書はありえないといっているように読みとれた。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿