新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

COVID-19、PCRは何の略か

2020年04月26日 | 日記

 語学屋としてはこんなことが気になる。新型コロナウイルス感染症のことをCOVID-19といっている。COVIDとは何か、19は何をあらわす数字か。19は武漢ではじめて新型ウイルスが見つかったのが昨年、つまり2019年だったから、それをとったものだろうと見当をつけた。コロナウイルスをcorona virusと書けるからそれぞれの最初の二文字をとればCOVIになる。coronaとは英語のcrown、つまり王冠を意味するラテン語に由来する単語だろう。たしかにこのウイルスの顕微鏡拡大写真は丸く、その周囲に点々があり、いかにも王冠に見える。最後のDはなにか。まったく見当がつかない。インターネットで検索したところ、Dはdiseaseの頭文字であることを知った。感染症の症の意味がかろうじて出ている。新型は19年型と読みかえればよい。
 PCRについては、素人なので何を意味するのかまったく分からない。これもインターネットに頼るしかなかった。polymerase chain reactionの頭文字をとっている。chain reactionは連鎖反応を意味すると想像できる。polymeraseとは何か。リーダーズ英和辞典によれば生化学用語であり、「DNA、RNA形成の触媒となる酵素」と説明されている。どうやらウイルスのなかにある遺伝子を連鎖的に増やして調べる検査のことらしい。
 ここで分かることは、ウイルスにDNAがあることだ。さらにインターネットによれば、細菌は単細胞生物だが、ウイルスは細胞をもたず、他の細胞に入り込んでいくという。菌とウイルスは異なることを漠然とながら知ることができた。




上野原の遊歩道

2020年04月25日 | 日記

 上野原市立病院の裏側に財産区遊歩道がある。細い山道ながらきちんと整備され、これからの時期、ツツジが目を楽しませてくれる。登り切ると下の写真のような休憩所があり、上野原の町が一望できる。歩いていて偶然見つけた。
  

「マリリンが死んだ」

2020年04月12日 | 日記

 1962年8月4日土曜日、ハリウッドは暑苦しい夜を迎えていた。どうにか寝ついた私立探偵フレッド・オタシュの枕元で、けたたましく電話が鳴った。
「フレッド。ピーター・ローフォードだ。大問題が起こった。すぐ行く」。
「どうした?」
「いまはいえない。数分でそちらへつく」。
 電話の相手は俳優ピーター・ローフォードだった。ローフォードとフレッドは仕事上、古くからのつき合いだった。初対面はオタシュがロス警察にいたころだった。ローフォードはMGMの看板俳優だった。そのころローフォードは売春宿に出入りし、ハリウッド俳優が関係する数々の事件で暗躍していた。
 オタシュは警察を辞めたあと私立探偵に転じ、映画俳優に多くのクライアントをもった。なかにはフランク・シナトラ、マリリン・モンローがいた。セレブたちのゴシップ記事を満載する雑誌「コンフィデンシャル」もクライアントになっていた。
 ピーター・ローフォードはジョン・F・ケネディーの妹パトリシアと結婚していた。ケネディーはこのころマサチューセッツ州選出の上院議員だった。スターのセックススキャンダルやらドラッグ使用を暴露することをウリにしているコンフィデンシャルに、ローフォードの売春宿通いを暴かれると、自らの結婚を破局に導くどころか義兄ケネディーの顔にも泥を塗ることになる。オタシュの裏工作でローフォードの暴露記事が世に出ないですんでいた。さらにパトリシアの不倫疑惑を感じとったローフォードが、自宅の電話に盗聴器を仕掛ける依頼をオタシュにしたこともあった。
 オタシュは金で動く男だった。ケネディーが大統領選に立候補したときには、各派の依頼でローフォード家に盗聴器を仕掛けたこともあった。
 1962年時点、ローフォードはケネディーの義弟であり、かつホワイトハウス・スポークスマンの1人だった。政治の中枢にいるのだから身の回りすべてが敵のようなものだった。当然のことながらローフォード家にも盗聴器が仕掛けられていた。
 大統領も弟ロバート・ケネディー司法長官もともにマリリン・モンローと性的関係をもっていることは、ハリウッドの情報通の間で知れわたっていた。カトリック出身の2人がハリウッドの性の女神と関係をもっていることが明るみに出ると、ケネディー政権が吹っ飛んでしまう。それを歓迎する人も多かった。
 8月5日早朝、オタシュ家に現れたローフォードは、酔ったようなラリッたような「フライパンのなかのミミズ」のようだった。
「マリリンが死んだ」。
 これが第一声だった。ロバート・ケネディーとの関係が切れて、マリリンはホワイトハウスや司法省に電話をかけまくっていた。司法省はサンフランシスコにいるロバートに「手がつけられないので、ロスへ向かったほうがよい」と忠告したところだった。
 ローフォードはオタシュに伝えた。警察の捜査で、マリリンとケネディー兄弟との関係がばれると、たいへんなことになる。いま現場を見てきて、やばそうなものを片づけてきた。見落としがあるかもしれない。あとは頼む、フレッド。
「おれが? おれは顔を知られていて、現場から半径4マイル以内に足を踏み入れようものなら・・。そんな役、ごめんだな」。
 オタシュは結局、数か月まえマリリンの家に盗聴器をつけた助手を派遣し、ローフォードがやり残した仕事を成し遂げた。
 こうして「ピーター・ローフォード/秘密を握る男」の伝記が始まる。



後日談

2020年04月11日 | 日記

 のちにワシントンポスト紙のコラムニストとして有名になったアーサーは、ノースカロライナ大学の卒業式のスピーカーに招かれた。大学はすでに男女共学になっており、陳腐な演題を与えられてはいたが、アーサーはそれを無視し、上の出来事を包み隠すことなく演壇で話した。聴衆は静まりかえり、ひとことも聞き漏らすまいと耳を澄ました。「この話は一生忘れません」と感想を語ってくれた人もいた。フロッシーからは「もうなんとも思っていません」という謝罪めいた手紙をもらった。

 自らの失敗談を語ることは、名エッセイスト、名コラムニストの真骨頂を発揮する場でもある。日本では松任谷正隆氏を名エッセイストにあげたい。毎月送られてくるJAFMATEに氏のエッセイが載っている。毎月楽しく読んでいる。やはり自分の失敗談を書いてくれるから親しみを感じるのだろう。このJAFMATEは日本自動車連盟が発行する機関誌で、会員になると自動車が故障したときなど頼りになる。かなり多くの会員がいるはずで、その会員全員にJAFMATEが毎月送られているのだから、かなり多くの読者がいるはずだ。松任谷氏がエッセイストとしてもっと有名になってもよいはずだが、ご本人の謙虚な人柄がそれを妨げているのかもしれない。(完)



失態とごまかし

2020年04月10日 | 日記

 ダンスパーティーのあと、道路沿いの酒場へ出かけた。フロッシーと彼氏がコンバーチブルの前の席に乗り、アーサーとレンタル彼女が後部座席を埋めた。酒場ではハンバーガーとミルクシェーキを注文した。食べ終わり、勘定を払う段になる。みな自分の分をテーブルに置く。黙ってグラスを見つめるアーサー。払うお金がない。だれかがお金を置いてくれた。憤るフロッシー、恥ずかしい思いをするレンタル彼女。宿泊所YMCAに戻るさい、車にあったウィスキーボトルを1本、アーサーはくすねた。

 翌土曜日、海軍入隊受付事務所は郵便局内にあった。入隊には親のサインがいる。自分の実の父はけっして許してくれないだろうが、アーサーには秘策があった。町で酔っ払った浮浪者を見つけて声をかける。「うまくやってくれれば、ウィスキーをごちそうするよ」と誘い、入隊受付まで連れていく。係官には父が病気で手がうまく動かせないと偽り、ペンを握らせた浮浪者の手を自分で上から動かしてサインさせる。まんまと父のサインを偽造してしまった。めでたく海軍入隊を勝ち得たのだった。
 バスで海軍訓練所があるパリス・アイランドへ向かうことをフロッシーに電話で告げる。フロッシーは「きのうは悲しい思いをしたし、それにあなたウィスキーを盗んだでしょ。もう二度と会いたくない」といわれてしまう。それでもひょっとして「あなたを待っているわ」といいながら、バスを追いかけてくれるフロッシーを期待して、アーサーはバスの窓から後ろを振り返った。だれも追いかけてくれる人はいなかった。(つづく)