新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

ブラウンのシェーバー

2022年04月27日 | 日記

写真は兵庫県宍粟市、大歳(ださい)神社境内の藤棚
 藤の花がきれいに垂れている。たつのから北へ車で30分ほど、宍粟市中心部にこじんまりした神社がある。県内有数の藤の名所のようだ。
 
 ブラウンのシェーバーを愛用している。小型のものを買ったのはもう40年ほどまえのことだったか。単3乾電池3本で動き、替え刃を代えながら使い続けてきた。40年間、一度も故障したことがない。20年ほどまえ、もう少し大きめな新しいシェーバーを買い、旧型を旅行用にしてきた。今回の旅行中、替え刃の表面に傷があることが判明し、そのまま使うと皮膚を傷つける心配があるので、近くのYAMADAに替え刃を買いにいった。店の人はシェーバーを見るなり、「古い型のもので替え刃はありません」といった。八王子まで戻り、ビックカメラであらためて替え刃を探した。店の人がブラウンに問い合わせてくれた。ブラウン4000がすでに原盤を廃棄した商品であることが分かった。40年間、消耗品のみを取りかえながら一度も故障なく使い続けたシェーバーに、いよいよ別れなければならない時期が迫っている。皮膚を傷つけないように用心すれば、もうしばらく使い続けられる。
 ブラウンは故障せず長持ちする。これは定説だ。ドイツ製品の真骨頂だ。私がふだん愛用するボールペンを作ったモンブランもドイツに起源をもつ企業だ。30年以上にわたって使い続けている。
 ドイツ製品の優秀さを示すエピソードはいくつもある。第二次大戦中、ナチスドイツからフランスを解放した米軍兵士が、ドイツ兵がもっていたピストルを入手した。本国の自宅へそのまま送りたいが、送ろうとしても軍に没収されるだけだ。それならと部品に分解し、部品を一片ずつ家族へ手紙を書くたびに同封することにした。家族は気を利かせたつもりで、部品を組み合わせ、完成品のピストルにして戦場の送り主あてに返送してきた。もちろん軍に没取されてしまったというオチがついていた。ほかにもドイツ兵が乗り捨てていったBMWのバイクを、米兵が嬉しそうに乗り回したという話も伝わっている。それほど米兵たちにとってドイツの機械類は憧れの的だった。




教員免許更新制度

2022年04月22日 | 日記

 八王子のAさんから近況を知らせるメールが届いた。今年度は巣鴨にある高校で週4日、非常勤講師をしている。さらに週4日、塾で教えているとのことだった。空き時間にはパーソナルジムで体を鍛えているはずだ。70歳を過ぎると高校での仕事を見つけにくいので、来年からは予備校で就活するつもりだという。Aさんは働くことこそ健康維持の秘訣だという考えの持ち主であり、たしかにお元気で動き回っておられるようだ。
 そのAさんから先日、仕事のお誘いをいただいた。八王子の高校の非常勤講師の仕事だったが、お断りした。私のほうはすでに週4日、高校で英語を教える仕事をしているし、他の諸々の事情により責任ある仕事を引き受けることができない。他の人からもたまに非常勤講師の仕事のオファーを受けることがある。すべてお断りしている。
 仕事のオファーがときどきある原因が、教員免許にある。教員免許を10年ごとに講習を受けたうえで更新しなければならなくなったのは10年以上まえだった。私の年代の教員はもう先が短かかったせいか、その適用を免れた。したがって更新する必要なしの永久免許になっている。だから「○○さんなら確実に教員免許を保持しているから」と仕事のオファーをくれるようだ。
 ことしから教員免許更新制度が廃止される。めでたい。この制度でどれほど現場の教員が迷惑を被ったことか。夏休み返上で5日間の講習を受けなければならない。部活指導や合宿引率など多忙を極める人ほど、教育に熱心な人ほどついうっかりして講習受講を失念する。しかもその講習たるや、たいした内容がないものが多いと聞く。講習する側の大学の先生でさえ、疑問を感じながら義務的にやっていることが多いようだ。
 制度導入当初は、教育に熱意のない教員を排除する目的があったはずだが、その役割は果たせていない。無意味な制度を廃止できたことに快哉を叫びたい。

濡れ縁を撤去する

2022年04月09日 | 日記

 木製の濡れ縁が腐食し、ボロボロになっている。アルミ製のベンチに代えようと濡れ縁の撤去作業を始めた。
 これまで腐食の激しい部分のみを新しい木材に代えて使ってきたが、下の土台も腐食してきているので、思い切ってすべてを撤去することにした。撤去とアルミ製ベンチの購入、設置だけなら自分でできるだろう。大工仕事に詳しい城山のMGさんに相談したところ、濡れ縁は撤去しても家屋本体に影響がおよぶ構造にはなっていないはずだという。バールを1本購入して仕事にとりかかった。ネジ釘を抜くにはインパクトドライバーを使用する。
 大工仕事ができるようになりたい、とかねがね思っている。必要な道具を買いそろえる必要性も感じている。ただある程度の知識がなければ、どのような道具を買えばよいかが分からない。
 大工仕事に対する興味を掻きたててくれたのは、20年ほどまえ炭置き小屋を作ったときだった。飯能のKさんの指図のもと、炭焼き作業に集まった人たち全員で力を合わせて建築した。基礎としてはコンクリートブロックを並べるだけの簡素な小屋だったが、炭遊舎の倉庫として、また薪炭クラブの炭置き場として20年あまりにわたり十分にその役目を果たした。
 小屋の建築に必要な材料と道具類はすべてKさんがトラックで運んできた。さまざまな道具があることを知ったのはそのときだった。具体例は忘れてしまったが、大工さんたちが道具にそれぞれおもしろい愛称をつけて使っていることを知った。「セメントがかぜをひく」という表現があることを知ったのもそのころだったかな。ちなみに建築材料は建設現場で出た廃材が多かったがKさんが自腹で買ってきたものもあったようだ。経費を請求して欲しいという炭遊舎代表STさんに「おれだって楽しみでやっているんだから」といっていた。
 炭遊舎の隣りの土地を借りて畑作業をし、木枠でビニールハウスを作っていたSさんからも刺激を受けた。本業は屋根屋さん、つまり家屋の瓦を置くのを仕事にしている人だった。Sさんは「おいら屋根屋だから、家が棟上げされるまで仕事できないので、じっと待っている。その間、見ていると家の建て方が分かっちゃうんだ。滋賀の故郷に自分で別荘作っちゃった」といっていた。見よう見まねでできるのだろう。
 私が作った唯一の工作物はウサギ小屋だ。子どもが小さかったころウサギをもらい受けることになり、木と釘と竹、金網、波板を使って簡素な小屋を作った。雨風によく耐えた。
 さて濡れ縁の撤去作業を始めるまえに、廃材をどう処分するかも考えておかなくてはいけない。木材だから細かくしてゴミ収集に出す。いろいろなことをシミュレーションし、やれそうだと判断してはじめて仕事にとりかかる。計画し、MGさんに相談してから3か月が経過した。その間MGさんが心配して何度かメールをくれた。あす本格作業に入る。


神代桜の説明板

2022年04月08日 | 日記

 朝、西八王子の床屋へ行ったついでに富士森高校前の桜を観てきた。入学式、始業式を迎えたこの時期にちょうど満開だった。

 さて、写真は山高神代桜前にあった説明板だ。環境の変化により樹勢が急激に衰えたこと、2001年から調査と対策をはじめたこと、弱った根に活力を取りもどさせるために土を入れ替えたこと、屋根つきの櫓を撤去したことが書かれている。なかでも根の活力を取りもどすために土を入れ替えることは効果大だったに違いない。平地に生えている木だったから土の入れ替えが可能だった。山のなかの木なら難しい。
 炭を焼いていたころ、炭の粉を木の根の周辺に埋め込むことが樹勢回復に役立つことを知った。炭の粉は土のなかの微生物を再生させる。その微生物が仲介して木の根に養分を吸わせる。
 2005年ごろだったと思う。日影原、レストハウス前のつげの木が枯れかかった。STさんと二人で、つげの木の根の周辺を掘り返し、小さく砕いた炭を入れ、水をかけておいた。半年ほどするとつげの木はみごとに生き返り、集ってくる人たちに優しい木陰を提供し続けた。
 山のなかの枯れかけた木の場合、根元に炭の砕片を入れることならそれほど難しくない。松枯れなどの病気を、寄生虫のせいだとして空から薬剤を散布する方法をとろうとする傾向があるが、根が十分に養分を吸収しないからこそ樹勢が衰え、そこへ寄生虫が群がると考えれば、対策は違ってくるはずだ。微生物が豊富に住む土壌、ミミズが這い回る土壌こそが植物の根には望ましい。
 山高神代桜の説明板は、この貴重な、正しい考え方を思い起こさせてくれる。


マイクロプラスチック

2022年04月07日 | 日記

 樹齢2000年といわれる山高神代桜を拝んできた。釈迦堂パーキングエリアの花桃畑も観てきた。

 以前、このブログでわれわれの身の回りがプラスチックだらけであることを紹介した。スーパー、コンビニのレジ袋に留まらず、身の回りにあるあらゆるものがプラスチック製品であるといっても過言ではない。パソコン、ボールペン、ゴミ箱、インターネットの接続ケーブル、石油ストーブ、USBメモリー、加湿器などがいま私の周りにあるが、すべてプラスチック製だ。これらがゴミとして捨てられると、ゴミ捨て場はプラスチックだらけだ。地球全体では年間3万5000トン以上のプラスチックが生産されている。なかでも5ミリに満たないプラスチック片をマイクロプラスチックという。
 海洋生物がプラスチックに汚染されていることが分かっている。海鳥の胃袋から大量のプラスチックが出てくる。ウミガメがプラスチックを飲み込んで窒息する。これらはすでに知られていることだが、さらに深刻な懸念があちこちの学者の研究で分かってきた。
 まずは土壌汚染だ。多くの国では下水中のヘドロを畑の肥料にしている。化粧品に含まれるマイクロビーズが、シンクに洗い流されたときに下水へ入る。化学繊維でできた衣類を洗濯したときには繊維が洗濯機から下水へ放出される。それらが下水中のヘドロに混じって畑に肥料として撒かれる。マイクロプラスチックに汚染された土壌中のミミズは、成長が遅く、死亡率が高いことが報告されている。
 アイルランドの学者は、自国内の水道水にマイクロプラスチックが混入していることを発見した。また世界に広まっているペットボトルの水にもマイクロプラスチックが見つかっている。
 ロンドンでは、大気中にマイクロプラスチックが見つかった。これは土壌中のマイクロプラスチックが風に舞い上がったためとみられている。
 家のなかでさえ安全ではない。カーペットから繊維が舞い上がるし、衣類を脱ぎ着するときにも繊維片が舞い上がる。
 海洋生物についての研究は以前からおこなわれているが、土壌、水、大気に含まれるマイクロプラスチックについての研究まだ緒についたばかりだ。人体への悪影響がないはずがない。