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弘前の校舎

2013-03-02 17:12:51 | 津軽のいろいろ
先日の体育館の続き。
公立学校の校舎の設計には、各自治体の方針(好み?)や建設当時の建築業界の流行が反映されているらしいことを、秋田市立学校(この記事など)を例に見てきた。
弘前市立の学校では、秋田市では見ない屋根がある校舎など、古めのものがまだ多く残る気がしていたが、最近は建て替えが進んでいる。中心部で見たものをいくつか。
●最新型
まずは、体育館の記事でも紹介した2校。校舎も体育館と同時に建てられた最新型。
弘前市立第三中学校
1997~1998年築だから、秋田市で盛んに新校舎が建てられていた頃である。秋田市立保戸野小や桜中と“同期”か。

外壁はあずき色というか暗めのピンク(秋田市の勝平中学校ってこんな色だったような?)。
上の写真の道路に面した、西向き中央の正面玄関部分だけ、色が濃く、やや装飾的なデザイン。電気時計は掛け時計タイプ。
道路から見ると、横に長い校舎がどっしりと構えながら、中央の飾りがいいアクセントになっている。


弘前市立大成小学校
現在は弘前駅からいちばん近い小学校かな。
大成小は、2002年に第一大成小学校と第二大成小学校が統合、旧第二大成小の場所に新校舎を建てて開校した。※関連した話題がこの記事中ほど
「創立10周年」と看板が出ているものの、さかのぼれば明治時代に「大成小学校」として開校し、後に分離した経緯があるそうで、“再統合”と言えるのだろう。

秋田市でいえば、勝平小学校(2003年)と同時期の校舎。
クリーム色と茶色を組み合わせた外壁。箱型だが、正面玄関部分は緩やかにカーブし、右には円筒形のもの(給食室関係?)がある。
形でも色でもメリハリが効いていて、かつ落ち着いた印象がする。

正面の3壁面上部に、校章と校名が示されている。その下には秋田市と同じような「塔時計(埋込み式電気時計)」が設置されている。文字盤には数字なし。

なお、「第三大成小学校」もあり、現在も存続している。
1990年代に新校舎ができていて、クリーム色と青系統(紺色?)というドラえもんみたいな配色だが、これも悪くなかったと記憶している。(上空から見ると校舎がブーメランみたな「く」の字形なのも珍しい)


秋田市の新しい校舎もいいとは思うが、単調で汚れやすい色合い、メリハリのないデザインの中に現れる無意味な(?)塔もどきや柱、よく分からない壁画などは気になる。
弘前市立の学校のほうが、落ち着いていて機能的に感じて、好き。(あくまで外観です。内部は知りません)



●建設中
現在、秋田市では校舎改築(建て替え)はひと通り済んで落ち着いたが、弘前市では建築中のものも。
雪の中、工事中(横断歩道橋から)
第三中の真向かいの、市立文京小学校が改築中だった。第三中寄りにある、現在のグラウンド部分に校舎が建つらしい。
工事看板
昨秋から今年いっぱいかかるようで、工費は約9億円。設計は弘前市内にある設計事務所が行ったようだ。(電気や水道設備の工事は別発注)
秋田市の場合、山王中や北中は設計を公募したが、他は市が自ら(建築職職員が)設計することもあるはず。

文京小の今の校舎は、見るからに古かった。
 北側から
1964(昭和39)年開校だそうだから、その時の校舎を使い続けているのだろうか。とすれば49年!
東西方向に長い校舎が、団地のように南北に5本並んで(実際にはうち2本は短くて陰に体育館がある)つながっている構造。

青い屋根があり、集合煙突(後述)が並ぶ
(屋根の有無や校舎の配置は別として)2階建てだったり壁面の感じなどは、1960年代に建てられた、秋田市立旭北小や牛島小の鉄骨造(S造)の先代校舎に似ていると思う。

窓枠は鉄製
秋田市でも、昭和30年代建築の校舎では鉄の窓だったが、昭和50年代には順次アルミサッシに交換していた。鉄窓は、開閉時は重く、ゴロゴロと音がうるさかった。

文京小の新校舎は鉄筋コンクリート造3階建て、延べ面積5149.65平方メートルとのこと。どんなデザインの校舎ができるだろう。
※続きはこの記事後半



●元校舎と集合煙突
上記と以前の記事でも紹介した、旧第二大成小と統合された、旧市立第一大成小学校。弘前市立病院の向かい・土手町商店街の裏側にあった。
旧校舎はそのまま残され、「弘前市役所土手町分庁舎」として活用され、区画整理課、市民生活センター、市民課駅前分室が入っている。(グラウンドは病院の駐車場になっているのかな)
土手町からも病院向かいからも入っていけるが、校舎は奥まった場所。
病院側から入った風景
窓口の案内板が立っているが、それ以外は現役の学校かと錯覚しそう。
校舎はコの字型だが、
間に雪山が!
屋根付きだけに、中庭には落雪でできた雪がたまっていた。
まだ屋根から落ちてきますよ
上の写真右上の時計の所に、小さいベランダがあり、棒が2本立っている。掲揚塔のようだけど、地上にないのが珍しい。

「コ」の右下・病院の通り寄りに、体育館がつながっている。今は使われているのかは分からないが、残っていた。
切妻屋根で小さい体育館
校舎よりも古いようにも見える、かわいらしい体育館。形や色合いが秋田市立中通小のものに似ている。
中通小と違い、3階建て相当の高さで、アリーナは2階にあるようだ。1階はどうなっているかというと、
「大成小学校 児童昇降口」という看板が残っていた。「第一」が抜けている?
体育館は市立病院の通りのイトーヨーカドー側。体育館の下を通らないと登下校できなかったのだろうか。
土手町商店街側から通う児童や、教室とグラウンドの行き来には、遠回りだ。(現在は体育館下は閉鎖され、校舎本体に直接出入りできる)

上の各写真でも分かる通り、旧第一大成小校舎にも、集合煙突があった。FFストーブの給排気筒もあったので、現在は使われていない模様。※秋田市立学校の集合煙突
その集合煙突が、変わっていた。

屋上の煙を出す先端部はコンクリート製で、これは集合煙突として普通。
だが、そこから真下に、金属製らしきパイプが伸びている。そのパイプは、各フロアの窓に向かって枝分かれしている。
パイプは地面までつながっていて、そこに小さな扉(掃除用か)があるようだ。

鉄筋コンクリート造の建物の集合煙突では、建物自体の壁の中に空間を設けて煙突とするのが普通のはず。
それにより、煙突のメンテナンスが軽減され、窓に煙突穴を付けなくて済むからすきま風も防げる。
しかし、旧第一大成小校舎では、わざわざ校舎の外に煙突(パイプ)を作り、窓に穴を開けて接続している。木造建築で集合煙突を付けるには、こうしないといけない(でないと火事になる)が、鉄筋コンクリート造なんだから…
これだと、集合煙突のメリットがあまりなく、各教室から直接煙を出すのと違わないような気がする。見映えも良くない。校舎完成後に後付けで集合煙突を設けたのだろうか。

ちなみに、
文京小の集合煙突
文京小は、外から見て壁の煙突相当の部分が出っ張っていて丸わかりだが、コンクリート製。これなら分かる。(でも、今はFF式のようだ)


なお、弘前市役所土手町分庁舎の機能は、7月にリニューアルオープンする、近くのジョッパル改め「ヒロロ」の「(仮称)駅前分庁舎」に移転するため、用途廃止。当面は倉庫などとして活用するとのこと。(2月13日東奥日報より)



●円形校舎
最後に、弘前市立ではなく、私立学校の校舎から。弘前で「校舎」といえば、これでしょう。
どーん(正面の北側)
学校法人柴田学園 柴田女子高等学校の「円形校舎」。
場所としては、市立第三中と背中合わせの敷地だが、道はやや入り組んでいて、僕はこの辺でいつも方向感覚・距離感覚が惑わされて、迷いかける。
弘前に引っ越して間もない頃、ここにこんな建物があることを知らずに、迷いかけて(いや、迷って)偶然ここにたどり着いたことがあり、その時は、驚くとともに不思議な感覚にとらわれた。
初めて遭遇した時はこのアングルだったか(南東側)

ここで、「円形校舎」を説明しないといけません。
円形校舎とは、円筒・円柱の形をした校舎のこと。昭和30年代に流行し、国内で100程度建設されたという。学校によって「円型校舎」表記や「円筒校舎」と呼ぶこともあるが、「円柱校舎」とは呼ばないようだ。
各教室は窓を背にする扇型で、それが切り分けたバウムクーヘンのように配置され、中心に廊下と螺旋階段が配置されるのが標準。校舎外周にベランダが設置されて廊下的に使われたり、屋上にドーム状の屋根が付くタイプも少なくないようだ。
教室の採光や音響に優れ、建設コストが安く、土地を有効活用できるメリットがあったものの、部屋によっては日当たりが悪い、増築に対応できない、避難経路が限定されるといった問題点もあり、廃れてしまったという。
それらが老朽化し、近年は解体される円形校舎もあり、現役で使われているものは少ない。

秋田で円形校舎といえば、秋田市立秋田南中学校が有名。(秋田市広報紙では「円形」「円型」両方の表記が見られる)
1961年に落成し、1977年頃まで校舎として使用。以後は、秋田市楢山地区コミュニティセンターに転用され、2005年に解体された。
1960年7月1日付広報あきた147号では「円形校舎は、県内小、中学校では初めてという珍らしいもの。」「市立の小、中学校舎のテストケース。」と紹介している。
計画段階は2階建てだったらしいが、3階建て15教室で竣工。屋上は運動場だったそうで、高いフェンスが張り巡らされていた。ベランダはなく、窓枠の格子が細かい。コミセン転用の時点では、アルミサッシに交換されており、印象が少し変わった。

1961年といえば、秋田市立学校初の鉄筋コンクリート造校舎とされる、土崎中も同じ頃にできたはずだが、南中のほうが少し後だったのか?
秋田市では、円形校舎はなじまないと判断され、建設は南中だけで終わってしまい、生徒増加に対応できずに15年ほどと早期に転用されてしまったのだろう。
1963年には、森吉町立(現・北秋田市立)前田小学校にも円形校舎が落成したが、2006年に新校舎ができて解体されている。
以上、秋田の話。弘前に戻ります。


青森県内にもいくつか円形校舎はあったようだが、弘前市内では柴田女子高だけではないだろうか。そして、それが現存している。いつ造られたかは、不明。
4階建てだが、最上階にはほとんど窓がなく、体育館や講堂のような場所らしい。3階以下には、外周にベランダがある。撮影位置や雪が積もって分かりにくいが、屋根はドーム状(赤いようだ)。
ピンクと水色の配色が女子高らしく(一般的に円形校舎はグレーが多いようだ)、最上階の窓が互い違いの格子になっているのが凝っている。
最上階が“頭でっかち”で、上水道のタンク(秋田市豊岩浄水場とかにある)のようにも見え、写真で見るよその円形校舎とは若干趣が違う。

初めて見た時、不思議な感覚がしたと上に書いたけれど、円形校舎ならではの丸い形やほぼ全面ガラス張りであることに加え、細い道を挟んで隣接する周囲の住宅とのスケール感の違いがそう感じさせたのだろう。周りが広々としていたり、敷地の奥のほうにあれば、あまり驚かなかったかもしれない。


現在、使われているかも分からない。
訪れたのは休日だったが、少なくとも内部はフルに使われているようには見えない雰囲気が漂っていた。(この後ろに新しい校舎があるようだ)
窓が開きっぱなし?
でも、
一部の部屋からはストーブの煙突が出ている
部分的には、現役で使われているのだろうか。

ちなみに、近くに建つ、同校の体育館も変わった形。
工事中?
正方形に近い形で、4辺ともカーブした屋根のようだ。カマボコ屋根の変化形ということだろうか。落雪する場所が四隅に集中しそうだが、どうなんだろう。
2014年撮影・更新のグーグルストリートビューで、この体育館が解体されて自転車置き場になったことが分かった。


城下町弘前の入り組んだ狭い道の中に、でーんと構える円形校舎は、巨大UFOが着陸したようにも見えるし、そのままずりずりと動き出しそうにも感じてしまう。
※2018年に反対側・第三中越しに円形校舎を見ることができた。この記事中ほど。また、2019年度から柴田女子高が男女共学化され、柴田学園高校となる。


以上、弘前市中心部だけでも、いろんな校舎があるものだと実感した。
ところで、文京小の建設工費は本体が約9億円。
中学校だったかの社会科で「学校1つ建てるのに10億円かかる」と習ったのを覚えているが、現代でも変わらないのか。新幹線1両が約3億円(7両編成のスーパーこまちだとその7倍)、秋田中央道路地下トンネルの700億円などと比べれば、大した額じゃない気がするけれど、歴史ある古い校舎は大事に使って残してほしいとも思う。

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14 コメント

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おはようございます。 (たむたむ)
2013-03-04 08:10:00
円形の学校と言えば、茨島にあった
(旧)経法大付属高校が
思い浮かびました!

昨日まで秋田にいたのですが、
大住小学校、校舎塗り替えられていて、
若干きれいになっていましたよ~!

御所野にあるゴミ処理場前付近の信号機
何種類かの信号機が設置されていませんか?
試験的に取り付けたのかな~?って思いながら
これは、お伝えせねば!って思いました。(笑)
(もうご存知かもしれませんが、一応~)

秋田、雪多めですね~。
大通りは良いのですが、小路はすごいことに
なっていますね(汗)
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こんばんは (taic02)
2013-03-04 20:20:31
茨島の附高ですか!
そういえば、変わった校舎だったという話を聞いたような気もしますが、ネット上には南中以上に情報が残ってないですね。

大住も御所野も、最近は行ってないので知りませんでした。
雪が消えた頃(?)でも、行ってみないと。

今日などは多少暖かくて、けっこう雪は減ってはいるのですが、それでも多くて…
大通りは大丈夫だけど、1本中に入ると人も車もホントに大変です。あと少しの辛抱(のはず)ですけれど。

たむたむさんも、あちこちとお忙しいようですね。どうぞお気をつけて!
返信する
こんばんはー。 (弘前の第一大成卒です!)
2015-11-07 19:41:04
初めてコメントします。
母校の画像を検索していた所たまたま見つけました。
体育館の下に下駄箱があって、転勤族だった私は2階に体育館がある学校は初めてだったのでとても斬新なイメージがあった気がします(笑)
コの字になっている辺り撤去済みなのか雪で隠れているのか、ブランコがあったんですが全く見えないですね(笑)
もう卒業自体が20年ほど前の話なので懐かしい気持ちになれました。
画像をありがとうございます。
返信する
こんばんは (taic02)
2015-11-08 20:44:50
初めまして。コメントありがとうございます。
転校した経験がないので、転校生の気持ちが少々うらやましくも、とても大変そうにも思えます。転校した数だけ、違う校舎を体験できるのは確実ですね(笑)

秋田市では、2階が体育館でその下が教室という学校がいくつかあります。それだと下のフロアに振動が伝わりそうですが、玄関ならさほど影響はないので、その点をうまく考えた設計なのかもしれません。

現地を訪れたのはこの時1回だけですが、ブランコは記憶になりません。学校でなくなったこともあり、安全のために撤去されたのかもしれませんね。
第一大成小の元校舎は耐震性が低いようですし、用途も限られており、いずれ解体されてしまうでしょう。もし、その前に機会があれば、訪れてみてはいかがでしょうか。
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第一卒の者です (カービィ)
2015-11-11 21:59:51
名前書くの忘れてました^^;
来年父親が弘前市に居ますのでちょっと覗いてみようと思います。
ちなみに秋田県は明徳小学校も行きました。赤っぽいベースの校舎でこれもまた斬新でした。今はどうか知りませんが、プールまで校内から出て少し坂を歩いた記憶も…(笑)
勉強中に教室から千秋公園のカモシカが見えたのも鮮明に覚えてます。
子供の頃の話を見聞きしたりする機会がなかったのでここのブログはとても楽しいです♪
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明徳にも! (taic02)
2015-11-12 00:19:06
明徳小にも通われたんですか。弘前市と秋田市、それぞれの伝統校ですね!
個人的には、秋田から弘前に行って、学校に「屋根」があるのに驚きました。最近の新築ではなくなっていますが。
明徳小は、当時とほぼ変わっていないはずです。児童数は減っているでしょうから、数十年後には大成小と同じように、他校と統合…となってしまうかもしれません。

気が向いた時、思い出したように昔のネタをアップしています。気が向いたら、どうぞお付き合いください。
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Unknown (文京小卒業生の者です)
2016-04-16 16:43:20
あの古い校舎6年間学び育ちました。
年始に帰ったとき、道路側より全く見えずとうとう建て替えたのかぁ~そしてグランド、スキー山もなくなってしまったかぁ~と嘆きました。
当時20周年でお祝いしたものです。
マーチングバンドは全国で1,2位を争うほどだったが、今はどうなのか知りません。
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文京小学校 (taic02)
2016-04-17 20:02:45
グラウンドと校舎の位置が入れ替わった形ですから、昔の面影が薄くなってしまいましたね。
そう言われれば、旧グラウンドに築山(つきやま)があったような記憶があります。「スキー山」なんですね。
マーチングのことは知りませんでした。近くに住んでいたのに、関わりがないと知らないことが多いものです。
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文京小学校様へ (カービィ)
2016-07-04 05:48:17
通学してたわけではないのですが文京小学校知ってます!
東北のグランドには必ずと言って良いほどスキー用の山ありますよね(⊃∀`* )
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スキー山 (taic02)
2016-07-05 00:10:44
秋田市内の小学校には、スキー用の山はほとんどないので、文京小の山を見ても目的が分かりませんでした。
内陸部など積雪地で土地に余裕があればあるのでしょうね。
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