不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

アメリカの金融破綻とグラス=スティーガル法

2008年09月18日 | 経済

『破綻したカジノ経済』

米証券会社(投資銀行)第4位のリーマン・ブラザーズが15日、連邦破産法11条の適用を申請すると発表した。
米投資銀行ベアー・スターンズに続き、またも100年以上の歴史を持つ老舗の破綻。
158年の歴史を持つリーマン・ブラザーズがサブプライムローン問題に絡む巨額損失で倒れた。
リーマン・ブラザーズの株価は最近1週間に77%も下落していたが、最終的に破産すれば同社株や債権を保有する他金融機関に巨額損失が発生する恐れがある。

一方、米銀2位のバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)が14日、証券3位のメリルリンチの買収を発表した。
アメリカでは業界第4位が倒産し、3位と5位の証券会社(金融銀行)も吸収合併されており、1位と2位の証券会社(金融銀行)は辛うじて残っているものの大変な事になっている。
リーマンブラザーズは、アメリカの大手預金銀行や日本の三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行ファイナンス、果ては韓国産業銀行(KDB)とまで売却交渉していたが、リーマンの業務(資産)内容が余りにも悪すぎて、アメリカ政府当局の支援が取り付けられないと判った段階で打ち切られていた。




『グローバル・スタンダードがアメリカ経済も破壊』

日本の金融ビッグバン(グローバル・スタンダード)は日本経済を停滞させたが、今回アメリカ自身も破滅させつつある事が証明された。
アメリカでは1929年の株価大暴落を引き金とする世界恐慌の教訓の結果、金融(銀行)と証券会社の兼業を厳格に禁止するグラス=スティーガル法(Glass-Steagall Act)を作って金融からの不況が起こらないに様に防止していた。

『グラス=スティーガル法』

世界大恐慌の反省から、預金者保護・銀行経営の健全性確保を目的として1933年に成立した米国銀行法では、銀行の証券引受業務や株式の売買を禁止するなど、銀行業務と証券業務の分離を定めていた。

しかし。1999年のGLB法(グラム=リーチ=ブライリー法)によって、この銀行と証券の分離条項は廃止されてしまう。
金融機関(銀行)は規制緩和で、異業種である証券や株、各種の保険債権など色々な金融派生商品(デリバティブ)を届出さえすれば幾等でも自由に販売出来る事となった。
主に投資家を相手に株を売り買いする証券会社と、預金者から金を集め企業に融資して金利と利息との利ざやを稼ぐ銀行業務という全く性格の違う異業種の相互乗り入れが行われリーマン・ブラザーズの様な投資銀行が出来上がる。

確かに、僅かの金利差を稼ぐ従来型の預金銀行よりも投資銀行の方が、バブル経済では稼ぎは大きかった。
またこの時期は次々と新しいデリバティブ(金融派生商品)が発明され、実体経済からかけ離れた無から有を生む錬金術経済が持て囃されていた。

当たり前ですが博打は勝つときもあれば負けるときもある。
投機での儲けは大きいが、儲かる時もあれば損をする時も有るのは常識で、大切な預金者の金を儲かるからとカジノ(投機市場)で使うなどは資本主義の邪道中の邪道である。
実体経済である「ものづくり」を疎かにした投機と規制緩和の『金が金を生む』仕掛けの米国標準のグローバルスタンダードは世界を不幸にしただけではなく、アメリカ経済自体の土台をも腐食していた。

コメント (7)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 9・11attacksアルカイダ説... | トップ | 共和党はなぜペイリンを副大... »

7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
リーマン・ブラザーズ破綻 (恒久)
2008-09-18 17:52:50
まだまだアメリカ経済破綻の序章なんでしょう… 

またまた日本経済にも悪影響を与えるのでしょうね。
返信する
ID認証制 (恒久)
2008-09-18 23:32:42
書き忘れました。

このところのコメ欄の荒れっぷりは見ていられません。全エントリを認証制にしておくべきでしょうね。
返信する
新自由主義の破綻 (ブログ主)
2008-09-19 09:24:24
コメント有難う御座います。
リーマン・ブラザーズだけでは済まないでしょう。
アメリカは全般的な金融システムの崩壊に向かって突き進んでいます。
今まで、銀行間取引では3%以下だった金利が、突然10%を越す高利に跳ね上がり『貸し渋り』どころか銀行全体がが高利貸し状態になっています。
これは駄目です。
マトモな金融システムではありません。
今回米連邦準備制度理事会(FRB)とニューヨーク連銀が行うAIGへの9兆円の貸付ですが、銀行間取引の金利に8・5%上乗せした11・4%の高利でしかの2年間の限定です。
AIG救済と言うよりも即死させず2年間で安楽死させる計画のようです
日本でも苦しいからといってサラ金から大金を借り受けたサラリーマンとか、商工ローンの高利に手を出した中小企業は数年以内に破産します。
博打とは違い普通のカタギの企業の利益率は数%ですよ。
優良企業でも十数%の金利の金を借りて 返せる商売は何処にも有りません。
ただ同然の低利で貸し付けて大手銀行を史上最大の大儲けさせた日本の話とは大分違う。
この話は救う話ではなく、2年かけてゆっくりと巨大企業を解体する話ですね。
余りに負債が大きすぎていっぺんに倒産させれば周りへの影響が多き過ぎるんでしょう。
どちらにしろ業界最大企業が倒産する事態は、グリーンスパンでは無いが、1929年の世界恐慌依頼の100年に一度の経済危機ですね。
29年時には当時の資本主義のシステム全般が根本的に機能不全に陥りニューディール政策のようなケインズ主義が導入される、それでも解決しないので第二次世界大戦を引き起こす。
恐ろしい話です。



何やら当ブログのコメント欄に恥ずかしい落書きを何度もする礼節を知らない輩が出没し、御心配をかけ申し訳有りません。
ID認証制の完全導入ですか、どうでしょうか。?
掃除は修行の基本、第一歩ですので落書きを消すのは苦にならずムパンバ効果時には毎日毎日数百掃除してID認証制は導入せず、騒動が一段落後に一部記事を認証制としました。
あれは、あれ以上コメント数が増えると読者に迷惑になると思い、コメント数の削減が目的です。
ですので、もう少しコメント数が増えた段階で完全ID認証制導入を考えています。
返信する
情報です! (恒久)
2008-09-20 09:55:48
こんなの見つけました。なんだかなぁ(笑)

「布引洋」は極左冒険主義のコミュニストだった

http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20080410/1207755185
返信する
kojitaken氏はホントに御馬鹿ですね (ブログ主)
2008-09-20 11:58:13
2年前に共産党参議院議員の筆坂氏がセクハラ問題で辞任した事件で、当時共産党系のブログで筆坂非難のキャンペーン紛いの事が行われていた事が有るんですよ。
本当に困った事です。
これ(筆坂非難キャンペーン)が選挙にプラスになると思いますか。?
絶対にマイナスに成る。
共産党の票が減ることはあっても増える事は絶対に無い。
辞めた党員が色色いうのは当たり前で、会社を辞めた社員や別れた恋人達まで、ある程度の悪口は覚悟しなければならない。
つい最近まで最高幹部だった人物批判は、厳禁で自分自身に跳ね返ってくる。
創価学会の竹入、矢野両委員長批判のようで見苦しい。
何とか自粛できないものかと幾つかのブログにコメントを送った事が有るんですよ。
当然の忠告なので理性的に対応してくれると思ったが結果は残念ながら大失敗。
此方の物言いにも問題が有ったかも知れませんが、余りにも頑なな態度で現実の日本社会を無視した自己正当化以外には無かった。
それでつい多少キツイ事も書いてしまった。
全部では有りませんが、一部党員は赤旗に書いてあれば何でもかでも全部正しく宣伝しなければならにと思っている。
『共産党の為にならない』と幾等言っても聞き入れない子供のような態度の人が少数ですがいる。
その時の私のコメントを記事に纏めたものが下記の記事です。
シンドラー社製エレベータ事故での内外文化摩擦 社会 / 2008年06月04日
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/5d5b924f15f800459735fa1791672d20

筆坂 秀世セクハラ問題『謝罪と責任の文化論』 政治 / 2008年06月15日
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/504ab8b21410414008dbefd97b712001

筆坂セクハラ事件に見る共産党の道徳感と弱点 政治 / 2008年06月25日
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/fc7a58be1260b6265c08885e13c4f13e

2年前の文章ですが、自分ではなかなかの良い記事になっていると思うんですが当時は相手に悪質なアラシ或いは反共分子と思われたらしい。
論破した相手が彼方此方に私の悪口を書き散らした、困った事です。解同のkojitaken氏はアホなので信じたんでしょうね
余程私に護憲派ブログでの水騒動を解放同盟の糾弾闘争の変形の集団イジメと見破られた事が堪えて、慌てふためいて書き散らしたお笑い雑文のたぐいです。
ズバリ核心を突かれたので 、余裕が完全になくなっていますね。

極左系に殴りこんだ解同系の仁義無き戦い『水からの伝言』
解放同盟 / 2008年04月07日
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/6e7af0675cd9bbdd63920f1053dcbf3b
返信する
米財務省とFRB ( 農婦)
2008-09-29 17:20:44
金融会を救済のために米国民の税金を投入するか否かでずいぶんもめていますね。何かカラクリでも存在しているのでしょうね。
返信する
コメント有難う御座います (ブログ主)
2008-09-29 18:44:34
元々規制緩和と民営化の新自由主義の本山であるアメリカは、他所の国には公的資金の注入で破産企業を救うのは掟破りと主張する
市場原理主義の考えでは、全ては自己責任。
業績の悪い企業が倒産し、強い企業だけが生き延びるのが正しいのです。
弱いもの、悪い倒産企業に出資していた投資家の完全なる自己責任論が正しいとされいます。
ところが今回は、民営化とは正反対に大赤字のAIGは国有化してしまった。
日本のやっていた解決法と同じですが、あれは採算を無視した旧ソ連の大赤字の手法と同じようなものかも知れませんね。
ソ連は長年にわたって、赤字を垂れ流す国営企業を倒産させず結果的には最期に国家が破産(解体)してしまった。
反対が有るのは当然で、新自由主義の建前に違反するからです。
しかし注入ししないとアメリカの金融システム自体が崩壊する。ジレンマですね。
返信する

コメントを投稿

経済」カテゴリの最新記事