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ヨーロッパで存在感を増す金(ゴールド)⑤

2012-11-29 00:00:06 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 まず考えられるのは、これらの(ゴールド)が現在も外国でしっかり保管されているのかについての疑念がぬぐえない、という点が指摘できると思います。

 欧米各国の中央銀行は1990年代から2000年代半ばくらいまで、「金キャリートレード」と呼ばれる金準備の貸し出しを行っていました。これは、中央銀行が自ら保有する金をブリオンバンク(金の売買を行う市中銀行)に低利で貸し出すとともに、ブリオンバンクはそれを市場で売却等してキャッシュを得、それを債券などに投資して利ざやを稼ぐというもの。この取引は金価格が下がっている局面では大きな利益が上げられるのですが、逆に上昇するとブリオンバンクは金を買い戻すことが困難となり、結果として中央銀行にも貸し出した金の回収ができなくなるリスクが生じる・・・。

 そんなわけで、金の価格が高騰するなか、ドイツは、他人に預けた自分たちの金が、こうしたプロセスを経てひょっとしたら減っていたり、最悪の場合、無くなっているのではないか?との疑いを募らせ、いてもたってもいられなくなったのかも、と推察しています。すでに外国に保管してあった自国の金の大規模な国内への引き戻しを進めているベネズエラなどの動きにも刺激されたのかもしれません。

 そしてやはり重要なのは、これまでも何度かここに書いてきたように、金(ゴールド)の通貨としての価値が世界的に高まってきたこと。各種バブルの崩壊や各国で実施されている金融緩和策により、ユーロはもとよりドルなどの実質的な不換紙幣全般に対する信認が揺らぐ一方、金の万能通貨としての位置づけが再認識されるとともに、多くの国々や中央銀行が外貨準備としての金の買い増しを続けています。

 そうしたトレンドのなかで、金保有大国・ドイツとしても、この貴重な自国の金をさらにしっかり管理するために、「検査に必要だから」という大義名分を掲げながら、できるだけ多くの金を外国から手元に取り戻しておこうとしているのかもしれないな、と思っています。

 ということで、今回のドイツの対応は、アメリカに次ぐ膨大な金準備を持つドイツまでが、金を自国に送還・確保しようというアクションを開始したという点で興味深いと思います。ドイツが金の送還量をさらに増やそうとしたり、ベネズエラやドイツ以外の国々にもこうした動きが広まるのかどうか、今後に注目しています
(ドイチェ・ヴェレ[ドイツ国際放送局]の関連記事のURL:http://www.dw.de/germany-to-check-gold-reserves-stored-abroad/a-16329995

(続く)

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