監督の妹や母親、義母、妻などイランの女性が料理をしながら
カメラに向かってあれこれしゃべるというだけの映画で、
台所と食卓しか出て来ないのに
イランという国の夫婦や家庭のことがよくわかります。
妹や妻は若い世代で、
母親は伝統料理を何時間もかけて作る世代ですが
世代ではっきり違うわけでもなく、夫達もいろいろです。
理解があり、妻はたいへんだと感謝する男性もいれば
何時間もかけて作った料理を1時間くらい?と言い
女はラクだ、当然の仕事だと言い切る男性もいる。
結婚当時、姑に虐め抜かれた話を、今その姑の前で
もう水に流すけどと言いながら全然ながせてなくて(笑)
ひどい目にあったわ、何であんなに虐めたの?と
料理しながらずけずけきく女性。
夜中に友達を急に連れて来る夫へ文句を言いながら
缶詰のシチューを温める女性。
夫の好物なのと言いながら手際が悪く
予定より何時間もかかって料理する女性。
(この人子どもに甘過ぎ?。台所の作業テーブルに
子どもが上って、素手でべろべろつまみ食いしても
ひと言も叱らんー!笑)
ラマダン明けのごちそう夕食を親族総出で一日かけて作る
すっかり料理に慣れたプロ主婦の女性達。
思うことも言わないこともいろいろありながら
なんとかやっていってるのだな、ふうむとほのぼの見てたら
最後の最後に驚く字幕が出て、びっくり。
(以下ネタバレ)
「その後、監督の妹と妻は離婚した」と。
わー。
なんか、急に違う映画を見たような気分になりました。
うーん。そういう現実もあるのだなぁと
世界の多様性と同時に世界の普遍性を感じながら、
結論は何も出さないまま、共感と優しさを持って見れば
いいのかなと、思うんだけど、
隣に座ってた年配の多分ご夫婦が(映画の最中もやたら
ぶつぶつしゃべる夫婦だったわ~)映画が終わって立ち上がる前に
「イランってこんなとこやねんね~」とこわそうに言うので、
なんだかなぁ・・・。
日本だっておんなじやん。
同じようなことが今もあるし、同じような人がいるし
同じようなことで悩む人もいて同じような離婚する人もいる。
同じように料理を受け継ぐ人もいて、
受け継がずに缶詰をあたためる人もいる。
イランは男女の役割分担や、男尊女卑的意識が強い
マッチョな国かもしれないけど
それはどの国にもあることで、どこにもあることと、
イランならではの料理や習慣とが、不可分に混じり合った世界を描いていたのに
そんな他人事みたいな感想で納得されるのは、映画が気の毒だな。
大好きな映画、ではないけど
とても興味深く見ました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます