タイトルが、地名なのですが覚えにくい上に
なんというか、刺激強い系ではないチャーミングな恋愛映画で、
このあと→キム・ギドク「殺されたミンジュ」を見たので、
感想とか考える暇もなく、記憶がふっとんでしまって勿体無いことをした映画。
でもちょっと思い出して何か書こう。
メニルモンタンはパリ北東部の高台にある庶民的な町です。
あまり観光客が行くようなところじゃないみたい。そこでのお話。
冒頭、主人公は、33歳の誕生日を迎えて、って出てくるけど、そうは見えない。
髪が・・・額もかなり後退して、後頭部はほぼ剥げてるのに、
落ち武者のように残りの髪をよれよれと肩まで伸ばして
情けないというか、汚らしいというか、みすぼらしいというか、
そういう髪でヒゲもあるので、もっと老けて見える。
33歳って、すごい若者ですよ、わたしの周りの子たち。
女の子なんて大学生に見えちゃう子もいる年なのに、
この主人公も33歳・・・。(上の予告編でご確認ください。笑)
でも、見てるうちに、実はきれいな目をしてて案外ハンサムで
感じもいいということがわかってきて、好感を持ちました。
なんか、かわいいというか・・・。
でも好感持てば持つほど、髪、なんとかしたら?とばかり思ったけど。笑
そういえば、フランス男のセクシーさっていうのも、時々よくわかりません。
前に→「サラの鍵」という映画で(ナチスのつけた傷跡を描いたシリアスな映画です)
ヒロインが夫のことを、セクシーすぎて別れられないと言うんだけど、
どう見ても、しょぼい中年男にしか見えないし、特に面白い魅力もなくて、
ええ?どこが??セクシーってわからん!と悩んだのを思い出しました。
あの役も、髪型が微妙なんだった・・・。
でもその役よりは、メニルモンタンの主人公の方がかわいげがあって
親しみを感じ、好ましい気がしてくるので、
それをセクシーとまで拡大解釈していいのかだけが問題。
まあ、髪型の話はともかく、お話は、
主人公のアルマンがジョギング中に、ある女性アメリと知り合って好意を持つ。
その後別の場所で偶然彼女を助けることになり、
彼女の代わりに大怪我をして、親しくなり付き合うことに。
その2つの秋と3つの冬の、たくさんの断片、という映画です。
2、3分でひとつの短い章になってて、それが50個くらいある構成で
こういう作りは、わたしの好みです。
映画全体にゆるくて軽やかでこじんまりとしていながら、
なんだかサブカル度は高くて、フランス映画やアート音楽などからの
引用がちりばめられていたりするけど、
いきったオシャレ映画っぽいわけでもなく、どことなく
おっとりとした抜け感があるのは、主人公のキャラクターでしょうか。
それとも、登場人物がきらきらした若者ではなく、30前後の、
なんだかもう新しく夢を持つこともなさそうな、ぼんやりした人たちだからか。
でもアルマンはだんだんチャーミングに見えてくるし、
自分の可愛過ぎる名前が嫌いなアメリは、美人なのかそうでないのか
よくわからない雰囲気の女優さんで、役にあってると思います。
アルマンの友達のベンジャマンは、あまり特徴のない整った顔で
すらっとしてるのに、なんでこんなに、オタクくさくてダサいのかわかんない、
絶妙なダメさがあふれ出てて、これもいいです。
ときどき出てくるベンジャマンの妹が、とても変でいい。
あと、アルマンとベンジャマンと一緒にルームシェアしてたハヅキという
ちょっと過激な日本人の子が、また変なキャラクターで味があります。
そういう、なんだかさえない人たちのちょっとした日常を描いてるだけなんだけど
なんか、これぞフランスの小粋映画、って感じがする。
「小粋な映画」ではなく「小粋映画」という感じ。
「小粋な映画」はおしゃれな作品っぽいけど、
「小粋映画」というと、むしろダサくてダメな人たちが
ゆるゆる日常的な感じで出てるのに、どことなくチャーミングって感じ。
映画としては→「フランシス・ハ」のフランス版って感じかなぁ。
なんでもないちょっとダメな人の何でもない恋愛や日常。
いろんなオマージュとサブカル風味。
こちらは知り合いの、映画をものすごくたくさん見る人のブログ
とても参考になるし、うまくまとまってます。
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