予告見ると見たい気がしてたけど
まあ子ども使った泣かせる話とかかな~くらいに思ってたのに、
丁度時間があって見てみたら、どひゃっ!すごくよかったです。
もうね、出てくる子どもたちが素晴らしすぎる。
家のお手伝いもよくして、勉強も一生懸命する素直で元気な子たちばかりだけど
いい子くささはないの。
だって、そうやってみんなで生きて行くのが当たり前の環境だから
ごく自然にやってるだけな感じで、しかもたくましい。
それぞれ小さいながら心が自立してるなぁと思いました。
何か起こった時に自分でなんとか切り抜ける賢さと強さがある。
もう、胸がきゅんきゅんしっぱなしだった。
悲惨な現実ではなく、変えるべき不正でも、知っておくべき矛盾でもなく
そういう告発的要素がなくても、
ドキュメンタリーというものは素晴らしい仕事をするんだなぁと思いましたよ。
作り手が一つのわかりやすい感動や答えに誘導するのではなく、
いいことも悪いこともただ見せる、そういう答えのないドキュメンタリー。
この映画を啓蒙的な見方で見るのも、何か教訓を得ようとするのも、
過酷な通学をしている子どもたちに同情するのも勝手だと思うけど、
映画自体はそういう見せ方を排除して、淡々と、
この素晴らしい子どもたちを追っています。
そこで、ずっと感じるものは、何より、希望です。
希望ばかりあふれてくる。
陳腐な言い方ですが子どもって希望だなぁと思う。
内容は→公式サイトより
日本をはじめ、先進国では子どもが教育を受けることは義務であり権利とされている。学校は徒歩圏内、もしくはスクールバスや公共交通機関で通える範囲に設置されているが、本作に登場する4人の子どもたちの教育環境は全くそうではない。
野生のキリンや象が生息するサバンナを駈け抜けるケニアのジャクソン。山羊飼いの仕事を終えてから、愛馬で学校へ向かうアルゼンチンのカルロス。女子に教育は不要とする古い慣習が残る村から、寄宿学校に通うモロッコのザヒラ。生まれつき足が不自由で、弟たちに車椅子を押されて登校するインドのサミュエル。 通学路は危険だらけで、大人の足でも過酷な道のりなのだ。それでも子どもたちは学校へまっしぐらに向かう。ひたむきな彼らを見て気づかされるのは、教育とは将来を切り拓くためのパスポートだということだ。
教育が肩書き、それもたいして役に立ちもしない肩書きでしかなくなったような
小さな行き詰まった先進国に住んでいるわたしは、
教育というものを無邪気に信じて必死で邁進できる子どもたちに
これが、あるべき希望というものだよなぁと、しみじみ思わされました。
4人の子どもたちの中で、
特にアンデスのカルロスが好みでかわいくてたまりません(笑)。
つばの広い帽子をかぶり、
青い空を背景に、子やぎを抱えてすっくと立ってるシーンは
もうこれ、たった11歳の男の子なのに恋に落ちそうになった。
かわいくて、かっこよくてたくましくて、すごく素敵です。
インドの兄弟にも色々考えさせられました。
長男のサミュエルは足に障害があり歩けない。
プラスチックの椅子をリヤカーに乗せたような手作りの車いすに乗って
弟二人ががたごとと毎日学校まで連れて行くんだけど、
この家族も友達も素晴らしいです。
サミュエルが、学校でも家族の中でも、自然に生きていて、
弟たちも毎日往復3時間近い道をオンボロ車いす押して通学するのも、
ごく自然なことと受け入れていて、
困ったことが起こっても決してサミュエルに文句は言わない、というか
そういう概念自体ないくらい、当たり前のこととしてやっているのです。
何かをしてあげてる感が全くどこにもないし、
してもらってる感もなくて、すべてが当たり前のことのようにされている。
弱い者、保護される者は申し訳なさそうにしていなければいけないような、
弱者切り捨ての空気ばかり濃くなって行ってる世の中で
こういう寛容さって、中々見ないので、すごくほっとして気持ちが洗われます。
最後の方でサミュエル自身が言います。
お金持ちでも学校をやめさせられる女の子もいるのに、
彼の家は貧乏だし、彼は障害があるけど、それでも学校に通わせてくれる、
だから一生懸命勉強したい、と。
貧しくて教育を諦める人も、障害などがあって教育を諦める人も多い中、
それでも自分の人生に希望があってきらきらしているサミュエルの瞳に
本当に、子どもはみんな希望だ!としみじみ思いました。
映像的にも楽しめる映画です。
野生動物を避けながら草原を早足で駆け抜けるケニアの兄弟の物語は、
アフリカの大地がとても美しく撮られています。
モロッコもアンデスも、自然が壮大できれいなドキュメンタリーなんだけど
特にアフリカの草原を駆け抜ける子どもたちの姿が、
横から、後ろから、高いところからの俯瞰でと、
いろんな角度と距離感で撮られていて、すばらしいカメラです。
細い足の小さな兄妹が黄色い大地を風のように走る、何度でも見たいシーン。
手で砂を搔き出しているオープニングのシーンもすごくいいです。センスがある。
77分の短い映画で、レディースデイで1100円で見たけど、
1800円でも見に行ったほうがいいよ、と思います。
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