sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:お嬢さん

2017-04-04 | 映画


パク・チャヌクの「オールド・ボーイ」は手放しで大絶賛した映画。
ああいうサスペンスというかアクションというかダークな話、好みじゃないんですよ。
でも映画として面白すぎる、素晴らしすぎる。
キムギドクくらい驚かせてくれるのに、彼のような稚拙な端折り方や力技はなく
丁寧で繊細な描き方をする監督で、「イノセントガーデン」などは
映像的に非常に完成されてて、欧米の巨匠が撮ったといわれても納得する。

そういう監督の新作で、内容がまた怪しい話っぽいので楽しみで楽しみで。
あまり楽しみにすると期待を裏切られるのがつらいのですが、
3時間弱の長い時間、期待は裏切られず、あー面白かった〜。

話はちょっとややこしいです。
冒頭、詐欺師によって背景を早口でだーっと説明されるところがあるんだけど
耳も頭も悪いからよく呑み込めないまま、話は進む。
なんだか、お金持ちの家のお嬢さんの財産を同居の叔父が管理してて、
叔父はお嬢さんと結婚して財産を奪うつもりなんだけど、
詐欺師はそこに入り込んでお嬢さんと結婚してからお嬢さんを精神病院に入れ
自分が財産を奪うという計画を
そのお嬢さんや叔父さんの背景や事情をだだだーっと説明するの。
えっと誰が伯爵で、お母さんはどうなって、おばさんはなんで、おじさんは何?
と、きょとんとしてても、お話はちゃんと分かります。
3部構成で同じ話を別の人の視点から語るようになってるんだけど
いやはや、一つの出来事も違う人のほうから描かれることで
鮮やかなどんでん返しがちりばめられていて、面白いったらない。
しかも女性としてわりと気のすくような面白さです。
女も男もだまされますが、最後は男が負けかな。気持ちいいです。笑
ただ、詐欺師はそこまでひどい目に合わせなくても、と思うのと
最大の悪役の人は、もっと痛めつけてから・・・とは思った。

薄暗い和洋折衷の絢爛な屋敷、お嬢様の白い肌、謎の地下室。
キャスティングもいいんですが、叔父さん役だけはもっと老けた人がよかったかな。
若い人が無理に老けメイクしてるみたいで、
もっと怪しい、いやらしさのある年寄りじゃないと、嘘っぽくなるなと思いました。
でも美しいというよりあどけなく可愛い顔のお嬢様と、
詐欺師の仲間でメイド役で関わる女の子の役の対比は非常にいい感じ。
脱ぐとさらに分かるんです、お嬢さんの肌はなめらかでしっとりして
曲線も美しく柔らかく、選ばれた者の体を持っている。
メイドの方は、顔立ちは可愛いんだけど肌はやや浅黒くキメ細くもなく
ちょっと平板な体つきで、お金持ちの家で箱入りで育った女と
社会の底辺でたくましく育った女との違いが、脱ぐとますます良くわかる。
微妙な差だけど、うまいキャスティングだなぁと思います。

あと、友達もツイッターでもみんな、エロいエロい連発してるけど
まあ確かにエロいけど、わたしはエロさはあんまり記憶に残らなかったなぁ。
映画の面白さが、エロさを凌駕してしまった。
いや、本当に好きな感じのエロさではあるんですけどね。
あと、中盤のベッドシーンは本当にエロいんだけど
終わりの分は、なんか笑える感じで、
そういえば最初から、ちょっと笑えるところはたくさん仕込んであって
本当に退屈させないいい映画でした。
喜怒哀楽全部手を抜かず楽しめた。
こういう傑作は感想やあらすじ書くより何より見るしかないです。見てください。