名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(532);四間飛車に35歩急戦(桐山清澄)

2017-05-27 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170527
昭和55年3月、桐山清澄先生と第38期名人挑戦者リーグです。


大山先生の四間飛車に桐山先生は急戦です。

ななめ棒銀を狙いますが、大山先生は32金と受けるので

38飛には43金。これで35歩と打つ、わけのわからない急戦です。

どちらからも狙いのはっきりしない戦いです。少し組み合って、大山先生の65歩からほぐれてきます。

桐山先生は1歩持てば、28飛~26歩で銀が殺せます。だから大山先生は動いていくしかないです。

とにかく戦いにしたくて

桐山先生としては抑え込みたい。

ここで大山先生は55角と出たいのですが、56銀で後手を引きます。46歩に

桐山先生は連打して銀を引きました。

先手玉が堅くなったのでチャンス。

ずいぶん悩んだでしょうが、飛切から両取りをかけました。大山先生も何かありそうなのですが、25銀がひどいので手がないのです。

角を守りますが、飛車を取られて

守りきれませんでした。角を逃げておけば取られることはなかったのですが。

角と桂香の交換ですが、玉の堅さで劣りますし、25銀21桂11香は働きがなく、かなりの苦戦です。

41香から底歩を取って先手玉に迫ります。

金と交換できて

玉頭に迫れば勝負になりました。

桐山先生の力の見せどころです。手順に角を逃げて

攻防に働きそうな底香を打ち

戦力不足は歩を使います。71金には53角成か52角か、61歩成とできれば寄せが見えます。

51金にも52歩がありました。大山先生は銀を使って

角金の取り合いで勝負です。桐山先生は守らないで61歩成。まだ詰めろではないので、何か受けそうなものですが怖がらないで寄せ合いです。

攻めさせた調子で桂を取れば後手玉に詰み筋が生じます。

玉をかわして詰めろ。先手玉は詰みません。

91玉の早逃げにも金を打って

詰みました。

これが今でいうA級最終戦で、勝った桐山先生は名人初挑戦となりました。
大山先生以上に桐山先生はわけのわかりにくい将棋を指します。強い時にはいつの間にか勝ちにもっていきますし、不出来なときもあります。他人と違う感覚を持っていることが大事で、昔の棋士は棋風を大切にしていたのです。
互いの序中盤は真似をしないほうが良さそうですが、桐山先生の将棋の不思議さを感じられればよいと思います。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:桐山清澄8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 8二玉(72)
15 6八銀(79)
16 4三銀(32)
17 3六歩(37)
18 7二銀(71)
19 5七銀(68)
20 6四歩(63)
21 2五歩(26)
22 3三角(22)
23 3五歩(36)
24 3二金(41)
25 3四歩(35)
26 同 銀(43)
27 3八飛(28)
28 4三金(32)
29 3五歩打
30 2五銀(34)
31 4六歩(47)
32 9四歩(93)
33 4七銀(48)
34 5四歩(53)
35 1六歩(17)
36 2四歩(23)
37 1五歩(16)
38 6五歩(64)
39 6六歩(67)
40 同 歩(65)
41 同 銀(57)
42 4五歩(44)
43 同 歩(46)
44 6五歩打
45 7七銀(66)
46 6二飛(42)
47 4六銀(47)
48 5五歩(54)
49 同 歩(56)
50 4四歩打
51 6八銀(77)
52 4五歩(44)
53 同 銀(46)
54 6六歩(65)
55 4八飛(38)
56 4六歩打
57 6三歩打
58 同 飛(62)
59 6四歩打
60 同 飛(63)
61 6五歩打
62 同 飛(64)
63 5六銀(45)
64 6三飛(65)
65 4六飛(48)
66 4四金(43)
67 同 飛(46)
68 同 角(33)
69 5四金打
70 5七歩打
71 同 金(58)
72 4九飛打
73 6三金(54)
74 同 銀(72)
75 4二飛打
76 5二銀(63)
77 5九金(69)
78 2九飛成(49)
79 4四飛成(42)
80 1九龍(29)
81 4九歩打
82 4一香打
83 6四龍(44)
84 4九香成(41)
85 6九金(59)
86 4八成香(49)
87 6三歩打
88 7二桂打
89 6六龍(64)
90 6五歩打
91 同 龍(66)
92 6四歩打
93 6七龍(65)
94 5八歩打
95 同 金(57)
96 同 成香(48)
97 同 龍(67)
98 8四桂(72)
99 6七銀(56)
100 6五金打
101 5四歩(55)
102 7六桂(84)
103 4四角(88)
104 6三銀(52)
105 5九香打
106 5七歩打
107 同 銀(68)
108 5四銀(63)
109 6二歩打
110 5一金(61)
111 5二歩打
112 4三銀(54)
113 5一歩成(52)
114 4四銀(43)
115 6一歩成(62)
116 8八金打
117 7七玉(78)
118 8九金(88)
119 7六銀(67)
120 同 金(65)
121 同 玉(77)
122 5四角打
123 6五歩打
124 同 角(54)
125 8六玉(76)
126 9二玉(82)
127 8二金打
128 同 玉(92)
129 7一角打
130 9二玉(82)
131 8四桂打
132 同 歩(83)
133 8二金打
134 9三玉(92)
135 8一金(82)
136 8三玉(93)
137 8二金(81)
138 投了
まで137手で先手の勝ち



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20170527今日の一手(その514);角桂の頭は弱点

2017-05-27 | 今日の一手
20170527今日の一手

4月22日の名南将棋大会から、IさんとTさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒角1枚。
後手の攻め駒は64角1枚。

総合すればやや先手が指しやすいか。

☆ 大局観として
(多分)後手一手損角換わりで、先手が早繰り銀の将棋です。飛車先を交換して、後手が2筋を盛り上がって受けて、先手は中央に転戦して、55歩に63銀と引いた、という局面です。
先手が指しやすい、作戦勝ちだというのは、玉の堅さの違いです。本来は後手としては45の位を取って抑え込むというのが方針ですが、55歩を取りきれず(取って指したい、あるいは取れるように駒組みをしたかった)銀を引くのでは、64角がぼけています。ただ角がぼけているというだけではなく、角を移動するところがないので、追われて悪くなりそうなのです。
64角は打たずに、35の位も取って手厚く指したかったわけで、後手は序盤で失敗しています。

さて問題図で先手はどこから攻めますか?あるいは待ちますか?


△ 実戦は26銀と出ました。

35歩や35銀で攻めようという意味です。15歩に一回59金と待って(後の69銀を避けて)81飛に35銀

35同銀同歩43銀に34銀

駒を埋めたり剥がしたりというやり取りです。34同銀同歩に44銀と打っておくくらいが正しかったのですが、後手は34同金と取ってしまったので(実戦では見逃しましたが)23銀

がありました。23同玉に41角で優勢です。

こういう両取りは私も見えないのですが、22歩同玉41角

ならば気が付いたかもしれません。後手の金銀が離れていて何かありそうなところでした。

実戦はこれに気がつかず35歩

(35同金には44角)44金28飛23銀34銀

でまた埋めて剥がしてというやり取りです。34同金同歩に55角が悪手。

角を出ずに44銀とか52金とかで互角でした。ここから58飛54香55飛同香44角

が厳しく、先手有利になりました。
しばらく進んで、おまけの問題図

ですが、この回答は最後に。きれいな寄せ方が見えましたか?


○ 66歩と角を攻めるのもあります。

角を攻めるというよりは桂を攻めることになるのですが、66同歩に65歩同桂66銀

これで桂取りを受ける手段も反撃の筋もありません。

66歩には85桂

これで銀を逃げて66歩ではやぶ蛇です。65歩77桂成同金73角

銀桂交換ですが、44角がありますね。馬を作れば有利です。


○ 59金と待つ手も有力です。

実戦でも26銀の後で金を寄って自陣の傷を消していましたね。(戦いながら自玉を固めることができるのはたいしたものです。)これでも66歩の筋を見ています。
85桂(66歩の筋を避けた)86銀52金ならば、85銀同歩44桂

と攻めることはできます。

じっと68金上

のほうが本筋で、46歩から右の銀桂を使いたいです。あるいは穴熊にしてしまうのもあります。

後手は85桂を跳ねるのは良し悪しなのですが、跳ねないのなら44角の筋(66歩85桂65歩77桂成同桂73角に44角)を避けておく33金くらい。跳ねなくても

これくらいなので似たようなものです。


× すぐに46歩もやりたくなりますが、42飛

と4筋に飛をまわられる形は避けたいです。


△ 16歩と端を受けておく。

持久戦にするつもりなら端を突いておくのは大きいかもしれません。


○ 他には56飛として

52金に66歩85桂86銀

銀はかわしておいて、66歩65歩73角58金

から57金~66金で抑え込む、という構想もあります。後手からの54歩には44角で返せるので、実現できるかもしれません。


☆ まとめ
角換わりで位を取って64角(46角)と据えるのは有力なことが多いのですが、それでも角頭を反撃されて悪くなることがあります。54銀や73桂や62飛が間に合っていないときに生じるのですが、問題図では54銀を引いてしまったので、角頭の守りが弱くなっています。
角桂の頭は弱点なので、その弱点を狙って局面が動いていくということが多いです。

すぐに66歩と動くか、一回59金と備えてから66歩を狙うか、というのは難しい比較ですが、棋風によるでしょうね。
すぐに角を追えば44角が両取り(両狙い)になります。
チャンスを見送ると備えられてしまうかもしれません。ただ59金なら52金が普通で、それなら銀桂交換から44桂を狙えるかも。

56飛は大模様です。本当は57に銀あるいは右金を進出して56銀(金)としたいのですが、55角と取られるので飛車を浮いて考えます。65の位を奪還できれば指しやすくなるはず。相手の65歩を無駄な手にできるのですから。

本筋としては37銀や29桂を使いたいのです。46歩や26銀が候補で、相手の反撃(46歩に42飛、銀交換で69銀など)を警戒しながら進めます。



おまけの問題


○ 32馬同玉35桂

が明快な勝ち方です。54銀右43香成同銀44銀

詰めろが続いてあっという間に寄ってしまいます。


○ 先に35桂として

54銀右に32馬

でもよいです。馬を切らずに清算するのは難しくなります。


△ 実戦では34桂

と打ちました。これも取れば寄りなので(34同歩に32馬)見えたら指しそうですが、52玉43香成同玉32馬同玉

これで詰めろはいくらでもありそうに思うのですが、ないのです。81飛の利きが大きいです。後手玉を逃がして、結局は逆転してしまいました。

途中34桂52玉に32馬

32同銀42桂成61玉22馬

と軌道修正すればまだよかったです。(香を渡していないし、桂香で攻められる。)


○ すぐに43同香成は自然です。

43同玉なら35桂44玉32馬

11飛43馬55玉44銀56玉48銀

まで見えていれば勝ち。

43同銀には

31銀(これを取れない)52玉33馬54銀右55歩

と駒を取りながら攻められるのでこれも優勢。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする