名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
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大山将棋研究(514);四間飛車に加藤流袖飛車急戦(米長邦雄)

2017-05-09 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜
昭和54年12月、米長邦雄先生と第38期名人挑戦者リーグです。


大山先生の四間飛車に米長先生は急戦ですが、昨日と同じことで46歩には54銀からの玉頭銀が嫌です。

でもかなり早い出だしだったので、大山先生はいつもの32金で手堅く守りました。米長先生は38と寄って

普通は中飛車に対する戦法ですが、加藤(一二三)流の袖飛車急戦になりました。これはかなり優秀な戦法です。

大山先生も袖飛車でけん制。これをやるのは大山先生だけですが。

中央で駒がぶつかり、飛車は戻ります。

結局は大山先生の2手損で中央に位を取られました。

普通の急戦に比べると居飛車のほうが玉が堅いのですが、ツノ銀なので後手の守備力も高く、攻めるのは大変です。どうするのかと思ったら

米長先生は54歩と突きだして銀をぶつけました。銀を持ったら61銀ということなのですが、これで指せるとみるプロは少数派でしょう。アマチュアなら(手順はともかく)やりたくなりますが。

これで歩切れ。まるでだめに見えるのですが、飛車をどこに逃げても銀を打てます。

52飛に61銀からはがして、また金を打ち(これも後手の応手が多くて難しい)

金銀を交換してまた銀を打ちます。

後手玉はずいぶん薄くなりました。35銀に

飛車を切って43歩成。こうなれば勢いですが、玉が堅くて攻めているので先手十分です。

大山先生は と金を払う余裕はなく、攻め合いです。

が、桂は食いちぎって銀を打てば、一目先手の一手勝ち。

大山先生は薄い玉でも粘るので、米長先生も慎重です。角をぶつけ(73歩や55角や33角成、どれでもよさそうに見えますが)

75銀同角同歩で84角の利きを止めてから寄せます。

飛車を取って投了図。

米長先生の快勝譜です。加藤流袖飛車の優秀性は、玉が堅くて攻めが十分続くことにあります。角筋が止まってどうするのかと思ったら、中央から強く駒をぶつけていくだけで勝てました。ただ、それで指せる、とはだれも思わないでしょう。こういう攻め方は切れてしまうことのほうが多いです。そこまで読んで踏み切った米長先生の強さをたたえて並べてみましょう。
基本的には自分の手駒を打って相手の守備駒を剥がす、という指し手は相手の守備駒が減るものの、相手の持ち駒を増やしてしまうマイナスもあります。自分の攻め駒は増えないので、まずい場合のほうが多いです。しっかり(手順よりも何手か先の局面の形勢を)読んでから指しましょう。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.30 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:米長邦雄王位
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4三銀(32)
9 6八玉(59)
10 4二飛(82)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 5八金(49)
14 7二銀(71)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 3六歩(37)
18 7一玉(62)
19 2五歩(26)
20 3三角(22)
21 4六歩(47)
22 3二金(41)
23 5七銀(48)
24 8二玉(71)
25 3八飛(28)
26 6四歩(63)
27 6八銀(79)
28 7四歩(73)
29 3五歩(36)
30 同 歩(34)
31 同 飛(38)
32 6三銀(72)
33 3七桂(29)
34 3四歩打
35 3六飛(35)
36 7二飛(42)
37 6六銀(57)
38 5四歩(53)
39 5五歩(56)
40 5二飛(72)
41 5四歩(55)
42 同 銀(63)
43 5五歩打
44 6三銀(54)
45 5七銀(68)
46 7二金(61)
47 5六銀(57)
48 5一角(33)
49 4五歩(46)
50 3三金(32)
51 6八金(69)
52 6二角(51)
53 5四歩(55)
54 同 銀(43)
55 5五銀(66)
56 7三桂(81)
57 5四銀(55)
58 同 飛(52)
59 5五歩打
60 5二飛(54)
61 6一銀打
62 5一飛(52)
63 7二銀成(61)
64 同 玉(82)
65 5四金打
66 5二銀打
67 6三金(54)
68 同 銀(52)
69 4二銀打
70 8一飛(51)
71 5四歩(55)
72 同 銀(63)
73 3三銀(42)
74 同 桂(21)
75 4四歩(45)
76 3五銀打
77 同 飛(36)
78 同 歩(34)
79 4三歩成(44)
80 5七歩打
81 同 金(58)
82 6五桂(73)
83 同 銀(56)
84 同 銀(54)
85 5三銀打
86 8四角(62)
87 6四銀成(53)
88 5六歩打
89 5八金(57)
90 7六銀(65)
91 6六角(88)
92 7五銀打
93 同 角(66)
94 同 歩(74)
95 7三歩打
96 8二玉(72)
97 7二金打
98 9三玉(82)
99 8一金(72)
100 投了
まで99手で先手の勝ち

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20170509今日の一手(その505);どの展開が勝てるか

2017-05-09 | 今日の一手
20170509今日の一手

4月22日の名南将棋大会から、IさんとTさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
金と角歩歩の交換で、後手に持ち歩があるので歩はカウントしません。それでも先手の駒得です。
玉の堅さは後手のほうがかなり堅いです。(元は穴熊ではなくて、32玉の形を先手から12歩22玉11歩成同玉と誘って、後手は持ち駒の金を23に投入した。)
敵玉に利きがあるものだけ数えて
先手の攻め駒は64飛と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は持ち駒銀1枚。

総合すれば2つ上回っているので先手有利、といいたいところですが、玉の堅さが違い過ぎるのでやや先手不利でしょう。

☆ 大局観として
62銀や84銀がひどくて、こういう局面には持って行きたくないですね。56に歩を垂らされた局面ですが、受けるのがかなり難しいのです。2手指せれば38玉~47玉で優勢ですが、その余裕がありません。
問題図の前に、変なところに銀を打って駒得を目指さないで(後手の角を封じて取りに行った)、玉を固めるか逃げ出すかを考えておくのが良かったのです。

後手から57歩成がかなり厳しい手で、まだ攻め駒が2枚になるだけなので、早くはないけれど確実なのです。端に逃げにくいというのも関係しています。つまりこの図から勝てるとしたら
①受けずに寄せ合いで勝つ
②28玉の位置で固める
③玉が左に逃げ出す
④1筋に逃げ出して粘る
のどれか、と想像します。どれを思い浮かべますか?


× 実戦は61銀成でした。57歩成とされて

57と のほうが大きな手ですよね。前に打った銀を使うというのはひどい手だということではないのですが(質駒を避けたということもあります)。
62歩成53金66飛12飛13歩同飛

ここまで利かせたのですが、これ以上の攻めも難しく受けるしかないです。(①の構想が破たんした。)どうせ受けるなら早く受けたほうが易しかったのですが。まだ83角56歩54歩同金63飛成

くらいでしたか。(これでも勝つのは難しい。)

実戦ではひとつ前の図から46飛47銀83角56歩

で、48と~38銀成18玉28歩とゆっくり確実に寄せられました。(④もうまくいかず。)


× 61銀不成のほうが1手早く飛車を攻められます。

53金の時に飛車を取り合えるか?というのも自信がないですが(52銀不成53金41銀不成64金57歩成)

18香とか18玉とかで粘り様はあります。(④の構想)

後手は飛の取り合いではなくて、51飛62歩成61飛同と57歩成

のほうがわかりやすそう。大駒しかなくて歩も使えないので、先手はかなり受けにくいです。(④で粘れない。)


× 57歩成を受けるなら、66角が普通ですが

57歩成同角に55飛と出られます。58歩85飛

までぴったり飛車をさばかれました。(②だが負けそう。)2枚の銀がひどいです。


× 67飛と受けても48銀と打たれます。

75角57歩成同角同銀成同飛78角

これも前よりもましになった気がしますが、先手が悪いです。(②での最善か。)


× 75角でも46銀で

67飛として前と同じ変化になりそう。


△ 66角打も同じようですが

46銀に54歩57歩成53歩成

で寄せ合いです。(実は①を考えていた。)53同金同銀成同飛14飛

14同飛は後手玉が詰んでしまいます。22玉にも25香が厳しく、飛車を渡さないように5枚で攻めれば寄せ合い勝ちです。

ところが66角打には65歩が厄介。

角を逃げると先ほどの筋になりません。65同飛には46銀でもよいですが、57歩成

のほうが軽く、取れば56銀が両取り。失敗です。


○ 47角というのも①寄せあいを見ています。

24歩と受けたら56角

駒得で長期戦なら先手有利。後手玉は堅いですが、ゆっくり入玉を目指します。

戻って47角には57歩成。14角同金同飛22玉15飛

後手玉が薄いので寄せ合いも望めます。その際に18玉の形が心強い(④になる)のでかなり勝ちやすいです。

後手は14角に22玉

のほうが難しいです。角を逃げるのはちょっと悪そう。61銀不成82飛を入れて23角成から攻めることになるのでしょう。やや先手有利です。


☆ まとめ
やや苦しい時に考えることは、どういう展開になったら勝ち目があるか、ということです。
相手玉が堅くて攻められるだけ、というのは相手の攻め間違いを誘いにくいです。
玉を逃げ出して、出来れば入玉を目指すとか
相手玉に嫌味をつけて、寄せ合いにもっていくか
その過程でまずは自玉を固めておくか
を考えます。

問題図では57歩成を受けなければいけない、というのが普通の考え方で、61銀成や61銀不成では負けそう。
受けるなら66角、67飛を考えて、受けきれず。
持ち駒の角を打っても少し悪い。
ならば攻防の手が必要なのです。66角打や47角が攻防です。後手が攻め続けようとすれば、14の香を取る筋で攻め合いに持ち込めます。
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