名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(506); 三間飛車に居飛車穴熊(有吉道夫)

2017-05-01 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜
昭和54年11月、有吉道夫先生と第6回名将戦決勝第1局です。


久しぶりに大山先生の三間飛車です。加藤一二三先生相手なら棒銀、少なくとも急戦だと思うので先手三間飛車を採用していたのですが、他の棋士には何か月ぶりか。

有吉先生は居飛穴です。位取りはうまいのですが、居飛穴はうまくはないです。でも玉を固めてから攻めるのは大好き。火の玉流と呼ばれました。

大山先生は4筋の位を取って

46銀。若い方はコーヤン流か、と思うかもしれませんが、大山先生が指し始めて、弟子の中田功先生が受け継いだのです。将棋界では師匠の将棋をまねることは珍しい例ですが。

有吉先生の攻め駒の配置が遅く、大山先生の作戦勝ちです。5筋からいきます。

53歩は54歩同歩同飛53歩84飛ですから仕方ないとはいえ、飛成を42金寄と受けるのはつらいかぎり。

26角からあっさり角を切って一丁上がりです。

二枚換えで十分の形です。有吉先生は反撃せねばなりませんが

角を切って57飛成では寄せ合い負け。57銀と絡みますが

73角に58銀成では望み薄。64角と合わせて同角成同歩でどう受けるかを見たほうが良かったと思います。

57角に期待したのですが、大山先生は駒得なので銀を埋めた形がしっかりしています。

あとは52飛を使わせなければよく

この銀は変な手ですが、57成銀に69香を見ています。68成銀とそっぽに行かせて

馬をぶつけ

両取りです。

あとは43銀と打ち込んでいく筋で寄せていけばよいです。効果を上げるために飛車の位置をずらして

投了図。

有吉先生は位取りの名手ですが、居飛穴は勝手が違います。穴熊は堅さを主張することもありますが、互いの玉の距離感がものをいうこともあります。玉の堅さを優先するので、有吉先生の攻めは細くなりがちなのでしょう。位取りは玉頭から攻めることもできるので、この棋風とはうまくあっているのですが。
大山先生の序盤感覚の良さを学びましょう。有利になったあとも手堅いです。
この三間飛車の指し方を開発していたので、三間飛車の採用が少なくなっていたのかもしれません。中飛車がでるのはいつでしょうか。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.30 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十五世名人
後手:有吉道夫9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 7八飛(28)
6 8五歩(84)
7 7七角(88)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5四歩(53)
15 2八玉(38)
16 3三角(22)
17 3八銀(39)
18 2二玉(32)
19 5八金(69)
20 1二香(11)
21 5六歩(57)
22 1一玉(22)
23 1六歩(17)
24 2二銀(31)
25 4六歩(47)
26 3一金(41)
27 5七銀(68)
28 5一金(61)
29 3六歩(37)
30 4一金(51)
31 4五歩(46)
32 4二角(33)
33 8八飛(78)
34 3二金(41)
35 4七金(58)
36 7四歩(73)
37 5九角(77)
38 6四角(42)
39 4六銀(57)
40 7二飛(82)
41 5五歩(56)
42 同 歩(54)
43 5八飛(88)
44 8二角(64)
45 5五銀(46)
46 7五歩(74)
47 4六銀(55)
48 4二金(32)
49 2六角(59)
50 7六歩(75)
51 6二角成(26)
52 同 飛(72)
53 5一飛成(58)
54 5二飛(62)
55 8一龍(51)
56 4六角(82)
57 同 金(47)
58 5七銀打
59 7三角打
60 5八銀成(57)
61 3九金(49)
62 5七角打
63 3七銀打
64 6六角成(57)
65 5六歩打
66 9二香(91)
67 5五桂打
68 5三飛(52)
69 9二龍(81)
70 5四歩打
71 4七銀(38)
72 6八成銀(58)
73 4三桂成(55)
74 同 金(42)
75 6二角成(73)
76 4二金(43)
77 3八金(39)
78 3三飛(53)
79 4四馬(62)
80 6七成銀(68)
81 6六馬(44)
82 同 成銀(67)
83 7五角打
84 4一歩打
85 6六角(75)
86 7八角打
87 4四歩(45)
88 6七角成(78)
89 9三角成(66)
90 8九馬(67)
91 6六馬(93)
92 5三桂打
93 3五歩(36)
94 同 歩(34)
95 3四歩打
96 3二飛(33)
97 2六香打
98 7四桂打
99 7六馬(66)
100 9九馬(89)
101 5四馬(76)
102 3四飛(32)
103 5五歩(56)
104 8九馬(99)
105 4三銀打
106 4五香打
107 3二歩打
108 投了
まで107手で先手の勝ち
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20170501今日の一手(その501); 互いの持ち駒が関係する寄せ合い

2017-05-01 | 今日の一手
20170501今日の一手

4月2日の名南将棋大会から、KさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
桂と銀歩の交換で、後手に持ち歩があるので歩はカウントせず。と金もあるので先手の駒得ですが、終盤なのでこれくらいは損得なしと思っておいたほうが良いです。
玉の堅さは同程度。(こういう時は相手の攻め駒は考えないで、玉と金銀2枚なので同じくらい。)
先手の攻め駒は32飛63金と持ち駒角銀銀で5枚。
後手の攻め駒は49飛と持ち駒角桂桂で4枚。互いに十分です。

総合すれば互角です。

寄せ合いですから何手で詰めろか数えてみます。
後手玉はまだ詰みはなく、1手で詰めろも難しいですね。52同金~61金なら詰めろですから現状は3手すきです。
先手玉も1手では詰めろにならず、76桂~57角で詰めろ、現状3手すきです。
先手番ですからこのまま進めば先手の勝ち、形勢判断としては先手有利です。

☆ 大局観として
先手有利なのでそのまま進めればよく、2手分かけて詰めろなら勝ちのはず。でも問題があって、実は後手に57角と打たれた局面(あるいは69角でも)は、金を渡すと詰めろになっているのです。
つまり、金を渡さずに2手分で詰めろをかければ勝ち、ということなのです。金を渡すと話がややこしくて、しっかり受けるか、攻防の手を指さないと負けになります。いかにも63の金を渡しそうな形なので、注意が必要です。(形勢はともかく)後手の52歩が好手だったということがわかりますね。


△ 実戦は72金と取りました。後手が72同金なら61銀

が詰めろ、後手が受けても一手一手で詰めろが続きそうです。

よって72同玉と取って73歩

と進みました。玉に迫るのが一番厳しい手で、寄せのセオリーに則っています。ただし駒を渡すのでうまくいくかどうか。73同玉もありましたが(あまり違わない)63玉31飛成51桂42と

駒を渡してと金を使うのではちょっと怪しい寄せ方です。57桂不成51と69桂成33竜43歩61と

後手玉は詰めろ。でも先手玉には詰みがありました。79成桂同金に78銀(あるいは88金でも)同玉77金と追っていけば詰みます。
それを79成桂同金に77桂98玉89角と追ったので詰みがなく、67角成は攻防でしたが、72角73玉62銀84玉と追ったところで

86銀としばっておけば先手の勝ちでした。73銀打で追いかけてしまったので入玉模様になり後手Yさんの勝ちに終わりました。


途中先手は61と と金を取る前に81角

と打って、後手玉は逃げると詰みで、72桂などと合駒を使わせれば先手玉が詰まず、勝ちでした。

もっと戻って、後手は57桂不成~69桂成では2手かかります。57角

ならば1手で詰めろだったのです。(79角成同玉78銀以下。98玉でも87銀成同玉75桂でぴったり。)
でもそれに気が付けば先手は受けることができ、81角73玉を決めて88銀打76桂77銀打

は桂を持てば85桂があるので先手の勝ち筋です。88桂成同銀引68銀85桂84玉86銀

というのが一例。

また、後手は57角ではなく69角も詰めろ。これにも68銀打の受けでどちらが良いかという選択です。
72金として金を渡すのは難しい変化です。実戦も逆転の連続でした。


○ 金を渡さないなら31飛成を思いつくでしょう。

63銀には61竜が詰めろ。72金には

62銀、62角、71銀同金73銀など、どれも先手玉がほぼ詰まない(ゼットに近い)ので簡単に寄せられます。

31飛成に77桂同金57角なら

(77桂に88玉や98玉もあるのですが、取って良ければ簡明です。)88銀と受ければ千日手。でも桂をもらったので、73銀同銀同金同玉85桂

と追いかけていけば後手玉が詰みます。

後手が77桂同金を入れずに57角なら61竜

が詰めろ、先手玉は金を渡していないので詰みません。先手の勝ちです。


○ 手筋は62銀で

63銀なら73銀打92玉61銀不成

で簡単に詰めろが続きます。

62同金同金57角も

ぎりぎり先手玉は詰めろではないですし、71角92玉(73玉は詰み)82金93玉72金左84玉86銀

としておけば確実です。

62銀に単に57角なら61銀成

63銀71角73玉62角成82玉73銀92玉の時に93金

という派手な捨て駒があって、93同玉は詰み。93同角成に63馬で先手の勝ちです。

62銀に77桂同金57角なら

先手玉は詰めろ。でも72金同金73銀打

で桂をもらったので後手玉が詰みます。


△ 52同金は負けそうな手に見えます。

というのはこの瞬間後手玉はゼットですし、金も質駒です。77桂同金57角

88銀打なら千日手かもしれません。

88玉と頑張ると76桂

97玉88角同銀同桂成79銀

とすれば後手は詰めろが続かないので61金で勝ちです。実戦なら間違えそうですけど。

後手は金を入手するには52同金しかないので(57角の変化はなく)、52同竜61金に62銀

というのが寄せの手筋。62同金同竜71銀73銀

から寄せてしまえます。


△ 他には58銀

と1枚入れてしまえば1手は稼げます。79飛成同金63銀が嫌なら(41飛があるので構わないのですが)、72金同玉に58銀かもしれません。
どちらにせよ1枚受けに使ったので形勢はやや先手有利ですが、59飛成に52金以下、先は長いです。

いっそのこと72金同玉59歩同飛成68銀打、というほうが手堅いのかもしれません。



☆ まとめ
今回も寄せ合いでしたが、互いの将来の持ち駒が関係すると複雑化します。後手は金が欲しくて、先手は桂が欲しいのです。それで3手すきと3手すきの関係が、2手すきと2手すきに近いことになります。金を渡す渡さない、桂を渡す渡さない、でかなり難しいですね。

金を渡さないなら31飛成が一番わかりやすい勝ち方です。63銀と取られても61竜で、先に詰めろがかかります。後手が金を取らないで攻めても、次に61竜の詰めろまで読んでいればよいでしょう。

62銀も手筋なのですが、金か銀を取られても大丈夫、というのは人によっては見えにくいかも。少し複雑で、変化も多いです。

実戦の72金というのは、他によい手が見えないと、つい仕方なくで指してしまうのですが、72同玉で攻めにくい感じです。それでも形勢は先手有利でしたが、負けになっていてもおかしくないです。

52同金は後手玉がゼットになるので嫌な感じです。なんとか先手の勝ちのようですが。

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