松丸俊彦氏・ セキュリティコンサルタント
防犯カメラを恐れない“無敵の強盗”の多くは、闇バイトの募集で集められた素人と、指揮役の玄人とで構成されている。2024年1月19日に滋賀県草津市のトレーディングカードショップで発生したポケモンカード盗難事件も、犯行をとらえた防犯カメラの映像を見ると、実行犯の1人は明らかに動きがどんくさく素人であることは明らか。
素人のほうが手加減してくれそう、と考えるのは間違い。2023年1月19日に東京都狛江市で発生した強盗事件では、抵抗する力が弱いはずの90代の女性が殺害された。犯行に及んだ10代から50代の実行犯4人は、全員が闇バイトで集められた素人。物取りに徹するプロは刑罰の重い強盗殺人を犯すことを避けるが、場慣れしていない素人は感情のコントロールが効かず、パニックから凶行に及ぶ危険がある。本当に怖いのは、素人のほうなのだ、とある。
原文では、不審なメールのリンクをクリックしたりしない、とか、知らない番号からの電話は出ない、怪しいと思ったら電話をすぐ切るなどの対策を述べている。そして、、個人情報を完全に守ることは不可能。「情報は流出している」という前提で防犯対策をしなければならない。そして“無敵の強盗”への対応策では、“無敵の強盗”は、事前に入手した侵入先の情報をもとに短時間で犯行を終わらせるつもりだからこそ、防犯カメラの存在をものともしない。防犯カメラという心理的障壁を突破してくる以上、“無敵の強盗”から資産や家族の身の安全を守るためには、物理的に屋内に侵入させないということが重要になる、という。まずは、主な侵入経路となるドアと窓の2カ所を対策する。強化ガラスにしたり防犯フィルムを貼ったりすることでガラスの強度を上げ、ドアは鍵を増やして二重ロックにしたり隠しロックを設置したりする。
こうした策もむなしく、侵入を許すケースもある。そうなってしまった場合は、なにより自分と家族の命を守ることを最優先に行動すること。鉄則は、相手を刺激しないこと。そのためには、相手が覆面をしているかどうかを問わず、絶対に目を見ないこと。目を直視すると、「顔を見られた→捕まる→殺さなければ」という強盗犯の思考も引き起こしかねない。相手のボディランゲージを見逃さないように、胸か腹あたりを見るように。
強盗犯と鉢合わせてこう着状態になった場合も、自分から事態を打開しようとアクションを起こすのは危険。一刻も早くその場を立ち去りたいのは犯人のほう。相手が行動を起こすのを待つこと。
強盗は進入時に使用したバールやハンマーといった凶器になりうる道具を持っているケースがほとんど。もし犯人が襲いかかってきたら、とにかく攻撃の動線から外れることを意識する。具体的には、犯人に対して体の側面だけを向けながら、攻撃をかわし続けること、とある。
もっともな内容ではあるが、大いなる違和感を感じる。「相手の目を見てはならない」とあるが、剣道でもボクシングでも空手でも相手の目を見ている。相手の目を見ていないと「攻撃を察知」できないからだ。武器を持った賊に素人が「体の側面だけを向けながら、攻撃をかわし続けること」などできるわけがない。「自分と家族の命を守ることを最優先に行動すること」と言いながら、最後には全速力で逃げる」ことを説いている。自分だけが逃げ切れればいいのか。家族とどうやって連携しながら逃げるのか。矛盾が多すぎる。それよりもYouTubeにアップされている「木刀でもバットでも振り回す」ほうが説得力はある。
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