私の姪から宮本浩次という歌手の歌を紹介された。エレファントカシマシとかいうロックバンドのボーカルという触れ込みだったので、正直「どうかな」と思っていた。「あなた」とか「異邦人」や「喝采」という女性ボーカルの曲をカバーしていることにも違和感を感じていた。彼女の友人に貸しているCDが戻ったら借りることにして、YouTubeを探してみた。「木綿のハンカチーフ」や「赤いスイートピー」などは、若い女の子の曲なのだが宮本浩次が歌っても違和感がなかったばかりか、独特の雰囲気を醸している。「いとしのエリー」や「時の過行くままに」は感動した。映画でもそうだが「リメイク作品」に成功したものはないのが鉄則。彼の歌唱力は成功どころか原曲を凌駕している。敢えてバイブレーションを抜きにした「高音域」とステージやテレビを意識した「熱いアクション」が成功している。
彼の歌唱力やパフォーマンスもさることながら、改めて「昭和の歌謡曲」のレベルの高さに思いをはせた。
「昭和の歌謡曲」には作詞家・作曲家・編曲家がかかわっていた。現在はシンガーソングライターの時代。いつのことからか、作曲をプロデュースと言ったり、歌手をアーティストと呼んだりするようになった。
楽曲を家の建築に例えてみる。家のデザインを作詞、施工を作曲、内装・電装・水回りを編曲とする。シンガーソングライターの場合はそれらを全部自分でしてしまうことになる。すると曲全体の表現を「自分に優しく・歌いやすく」してしまうきらいがある。つまりは「自己満足」になりやすい。やはり「餅は餅屋」それぞれの得意分野で作り上げてほしいものだ。そのことが最終的には音楽のすそ野を広げることになるからだ。