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 光画繚乱

映画と写真、どちらも「光」が関わるので、そしてそれが「錯綜し合う」ということから、ブログタイトルを光画繚乱としました。

ホッキョクグマは実は増えている

2025-04-16 19:50:03 | 私見偏在

 
               president onlineから
 地球温暖化の影響を受けているのは誰なのか。キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の杉山大志さんは「温暖化によって生態系が破壊された象徴として取り上げられてきたのがホッキョクグマだ。しかし、動物学者たちの公式統計では頭数はむしろ増えている」という。
 環境運動家たちは、何十年もの間、「地球温暖化が起きると、北極の氷が解けてホッキョクグマの生息域が脅かされ、ホッキョクグマが絶滅する」と言っていた。
 しかし、最も信頼できるデータによると、絶滅の危機に瀕しているどころか、その数は増加していることがわかる。
 このように、ホッキョクグマは、地球温暖化による生態系破壊の象徴的なキャラクターとされ、絶滅の危機にあるとされてきたけれども、実は、ホッキョクグマの頭数は減っておらず、むしろ増えている。
 頭数が変化した理由は、気候とは関係がない。1976年に制定された国際協定によって、ホッキョクグマの狩猟が制限されるようになったことが、大きな効果をもたらした。動物学者のスーザン・クロックフォードは、ホッキョクグマの頭数の増加は「動物保護の大成功事例だ」と述べている。
 地球温暖化の影響が見られなかったことは、別に驚くに値しない。なぜなら、ホッキョクグマは、現在よりもはるかに温暖だった13万?11万5000年前の最終間氷期や、やはり現在よりも温暖で北極圏の氷も少なかった8000年前ごろから4000年前ごろ(日本で縄文時代にあたる時期)にも生き延びてきたからだ。北極圏の氷が減ると絶滅するということは起きないのだ。
 ロンボルグは、米国のウォールストリート・ジャーナル誌上で詳しく説得力のある反論をしている。
 AFPは、代替となる推定値を提示することもなく、単にホッキョクグマが絶滅の危機にあるという自分たちの政治的な主張に合わないという理由から、入手可能な最良の公式データの利用を否定したのだ。
  地球温暖化が進行すると、海面が上昇して砂浜が消失したり、都市が水没したりするという報道もよく見かける。環境運動団体であるクライメート・セントラルは、2300年には英国の国会議事堂が水没するというコラージュ写真をウェブ上で公開している。
それでは、過去の地球温暖化によって、どの程度そのような水没が起きたのだろうか?
 過去100年間の世界平均の海面上昇は、累計で20cm程度となっていることがわかる。だが、この程度の海面上昇であれば、他の理由による海面変動によってかき消されてしまう。
海面の高さは、毎日の潮汐(ちょうせき)による満潮時と干潮時に2mぐらい高さが変わることはごく普通で、東京でもそうだ。海外では、フランスのノルマンディー地方など10m以上の潮汐差があるところもたくさんある。
 また、低気圧が来ると高潮になり、地震が起きると津波がある。1912年に発生した高潮は、東京湾で3mにも達したという。津波は、東日本大震災のときのように、広範囲にわたって15mを超えることもある。
 以上は、短い時間幅における変動であるが、数十年という時間幅でも、地球温暖化による海面上昇をかき消してしまう大きな変動が2つある。
 まずは地盤沈下だ。昭和年間には、日本各地で地盤沈下が観測された。東京都の江東区では、50年間の間に4mも沈下した(図表3)。
 太平洋の島嶼(とうしょ)国というと、地球温暖化によって海面が上昇することで「水没の危機」にさらされているという報道がある。本当だろうか?
 サンゴ礁の砂浜にある白い砂は、サンゴの骨格や殻の破片でできている。
 貝が動物であり貝殻を作るのと同じように、サンゴも動物であり骨格や殻を作る。海面が上昇すれば、その分、海面に合わせて生息する場所も上に移動するので、水没などしない。
 そもそも、海抜の低い平べったい島々が存在するのも、そのようなサンゴの性質によるものだ。海面上昇に追随できないようでは、平べったい島が存在することもない。
 地球温暖化で海面が上昇するといっても、100年かけて数十cmという話なので、サンゴが成長したり、土木工事で土地を造成する時間はたっぷりある。南沙諸島では中国が人工島を数年で造成したぐらいだから、もともと島があるところを維持するのは技術的にはまったく難しくない。いま盛んに行われている土木工事の延長上で十分に対応可能である、と述べている。
 マスコミは「地球温暖化」はすでに学術的に既成事実のように報道している。また、気象予報士も「地球温暖化」に疑義を持つことは、自分の職業を否定するような考えで絶対に認められない性格のものだろう。「地球温暖化」に疑問を持ち、討論しようとしても肯定派は応じないようだ。豊富な資金をバックに「法廷闘争」に持ち込むようだ。苦し紛れに「名誉棄損」を主張し、議論を避ける傾向にある。
 物理化学の分野では、数字によって自分の定理・学説を主張すべきなのに……。
 そもそも物理化学の問題は「法廷闘争」にはなじまないはず。物理化学の定理・学説を法律に基づき判断することはあってはならないことだ。ガリレオを牢獄につなぐ愚行を「地球温暖化」の学者・マスコミはまさにしようとしている。

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「耐え抜け」 関税発動で国民に檄

2025-04-09 19:26:49 | 私見偏在

 
         YAHOO Japanニュース
 ドナルド・トランプ米大統領は5日、ほぼすべての貿易相手国に対する一律10%の追加関税を発動したのを受け、国民に忍耐を求める一方、歴史的な投資と繁栄をもたらすと約束した。
 トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に、「われわれはこれまで愚かで無力な『むち打ちの柱』だったが、もう違う。かつてないほどに雇用と企業を取り戻している」と書き込んだ。
 「これは経済革命であり、われわれは勝利する」とし、「耐え抜け。簡単ではないが、最終的な結果は歴史的なものになる」と付け加えた。
 国際緊急経済権限法に基づく、メキシコとカナダを除くほぼすべての貿易相手国に対する一律10%の追加関税は5日午前0時すぎ、発効した。
 9日には欧州連合(EU)や日本、中国など約60の貿易相手国を対象に、上乗せ関税が課される。
 中国には34%の関税が適用される予定で、同国政府も10日から米国製品に34%の関税を対抗措置として導入すると表明した。
 中国はまた、米国を世界貿易機関(WTO)に提訴するとともに、医療や電子技術に使用されるレアアース(希土類)の輸出を制限する意向を示した。
 トランプ氏は投稿で「中国は米国よりもはるかに大きな打撃を受けている。比較にならないほどだ」「彼らや他の多くの国々はわれわれを耐え難いほどひどく扱ってきた」とまくし立てた、と述べている。
 これに対して、エコノミストの門倉貴史氏によると、中国やEU、日本など主要な貿易相手国に想定を上回る高率の関税をかければ、貿易相手国も大きなダメージを受けるが、最も大きなダメージを受けるのは米国経済だ。
 トランプ大統領は、米国民に短期的には経済的困難に直面してもそれを耐え抜けば、中長期的には米国の繁栄が約束されているかのような説明をしているが、その保証はどこにもない。現実には、米国経済はかつて経験をしたことがないほどの長期に渡る低迷を余儀なくされる可能性が高い。
 短期的には輸入物価高騰をきっかけとしたスタグフレーション(物価上昇と景気低迷が同時に進行する現象)に見舞われ、米国民は物価高に苦しむ。中長期的には、高コスト体質が温存された米国の輸出産業が国際競争力を失うことで国力そのものが衰退していくことになるだろう、と述べた。
 また、同志社大学教授・三牧聖子氏によると、トランプが今回打ち出した「相互関税」は算出根拠や戦略性に極めて乏しいもので、もはや精神論でしか正当化できない、ということなのだろうか。この発言とともに、トランプ大統領が自身のSNS、Truth Socialに「トランプは意図的に市場をクラッシュさせている」という趣旨の動画を投稿したことが話題を呼んでいる。
 自身の関税政策によって引き起こされた世界的な経済的混乱は、「意図」したもので、それゆえコントロール可能で、一時的なものにとどまる、その後はアメリカ経済の「黄金時代」が訪れるのだ、と強弁する趣旨とみられるが、これをそのまま信じる人は少ないだろう。多くの市場関係者は、トランプ関税が、長く続いてきたアメリカ中心の経済秩序の崩壊の端緒になるという悲観的な予測をしている。トランプ関税を最も強く支持してきたはずの自動車の労働組合も「相互関税」への不安や戸惑いを口にしている、という。
 現代でも為政者は「独裁」にあこがれる。数字や事実とは無縁の「思い込み」だけで物事が進められるからだ。いったん権力者になったら、ちまちまとした「裏付け」や「エビデンス」などは無視して、力強く「強引」に物事に取り組むことができる。そして歴史に名を残したい「独裁」者は、時には邪魔なものを排除したい欲求にかられる。自分を残すために、自分の能力に障害になるものをなくす方向に向かう。これが「粛清」である。
 民衆は最初の華々しさにかまけていると、「独裁」者に加担することになる。危うさに気が付いたころは、もう遅い。
 歴史的に見れば、「独裁」者は自国民を大量に殺したがるようだ。いくら殺したかが「独裁」者のステータスなのだ。選挙で選ばれたからといって民主主義とはならない。歴史がそれを語っている。
 日本ではたとえそうなったとしても、抵抗した歴史が乏しいので、緩やかに独裁を認めることになろう。しかしアメリカは銃社会。市民戦争の経験もある。やりすぎると「歴史は繰り返す」ことにならないか。 
 
 

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安全保障の要職に「素人」起用

2025-04-02 19:47:14 | 私見偏在

 
          CNNニュース
 (CNN) 筆者は24日の時点ですでに、ニュースレター「ワット・マターズ」向けの記事でこう伝えていた。トランプ米大統領が政府業務の刷新と縮小のために実業家や政治的盟友を選んだことによって素人のような雰囲気が醸成されたと。
 しかし、筆者が集めた事例はすべて、アトランティック誌のゴールドバーグ編集長が24日に報じた暴露に比べれば見劣りする。その記事の見出しは「トランプ政権、戦争計画を誤って私にテキスト送信」だった。
 より具体的に言えば、ジャーナリストに戦争計画をテキスト送信した当局者はヘグゼス国防長官のようだ。同氏は公務経験の不足について深刻な懸念があったにもかかわらず、上院で承認された。ヘグゼス氏の直近の前職はFOXニュースの司会者だ。
 この記事には、トランプ政権の国家安全保障を担当する大物全員の名前が挙がっている。
どういうわけかゴールドバーグ氏はウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)によって非公開の暗号化通信アプリ「シグナル」のグループチャットに追加されたようだ。
 このグループには、バンス副大統領、ルビオ国務長官、ヘグセス氏、ギャバード国家情報長官、ベッセント財務長官、ミラー次席補佐官、ラトクリフ中央情報局(CIA)長官らに関連すると思われるプロフィルが含まれていた。
 国家安全保障会議の報道官は後に、このメッセージのやり取りが本物のようだと確認し、ゴールドバーグ氏の番号が追加された経緯を調査していると述べた、とある。
 周りに専門家よりも素人を置くということは、大統領個人の要望が通りやすいことを意味する。大統領制においては、国会の決議を通さずに、大統領令を頻発しても問題がないらしいのだ。一期目の時も、軍や国際関係の専門家を退かせた経緯がある。今回は二期目、最初から素人を周りに侍らせれ、「よいしょ」の専門家たちに取り囲まれていれば、「裸の王様」の面目躍如。ますます民主主義国家の独裁化が進む。共和党として、結果的には国益を損なう一連の行為に、見て見ぬふりを決め込むのだろうか。
 また、何の権利があるのかイーロンマスクが我が物顔で、トップシークレット情報に首を突っ込み、政府機関の解体・職員の解雇に躍起となっている。解雇された職員の反感が相手国の利益になることを考えないのだろうか。どこかの国では喉から手が出るほど「その手の情報」が欲しいはず。また化学部門の研究費の削減もしかり。研究者はどこかの国へ移住したら先端技術が流出する。
 周りに素人集団を侍らせている大統領。大統領自体素人なのではないでしょうな。
 表向きはアメリカファーストを唱えながら、実は、ロシア・中国の利益になっていた、というコメディを演じているようにしか思えない。「そこそこ成功したコメディアン」という脚本の主役気取りなのか。

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アメリカの存在感は消滅する

2025-03-26 19:34:09 | 私見偏在

 
          wedge onlineから
 バイデン政権の国務次官補代理エリック・ジェイコブスタインが、2025年2月20日付のニューヨーク・タイムズ紙で、トランプはこの1カ月間に、中南米の歴史的同盟国を怒らせただけでなく、中国に大きな好機を与えていると指摘している。
 ルビオ国務長官は今月、中南米5カ国を歴訪した際、西半球に対するトランプの新たなアプローチを「アメリカ大陸第一主義」の外交と喧伝しようとしたが、それはトランプの近視眼的外交によって台無しになり、中国に好機を作り出した。アルミニウムと鉄鋼への関税、北米近隣諸国に対する関税の脅し、対外援助の凍結、国外追放政策、不条理な領土主張等、トランプが脅しと最後通牒で近隣諸国を遠ざけようとする時、中国はその隙間に割って入る構えだ。
 過去25年以上、中国と中南米の経済関係は目覚ましい速度で発展してきた。2000年当時、中国は南米にとって第7位の輸出市場に過ぎなかったが、現在、中国は南米の主要貿易相手国となり、中南米全体でも米国に次ぐ第2位の貿易相手国となっている。
 中南米の対中輸出は、13年の1120億ドルから23年には約2080億ドルに急増した。同時に、中南米全域のインフラや政治的に有用な建築物に資金提供する中国のやり方は、非常に魅力的である。ただし、中南米における中国の建設プロジェクトは、現地の労働者の権利や環境基準を無視することが多い。
 23年、中南米に米国際開発庁と国務省から20億ドル以上の援助が行われたが、第二次トランプ政権の全面凍結方式は、近隣諸国に米国は信頼できないと映るだけでなく、米国の安全保障をも危険にさらす。米国の援助金は、グアテマラ、ホンジュラス等からの非正規移民や国際犯罪組織を抑制してきた。
 中南米諸国への移民送還は、トランプがコロンビアに対する関税とビザ発給禁止で脅したことで明らかになった。短期的には、コロンビアのように、報復を避けるためにトランプの要求を多くの国が受け入れ、トランプ政権は勝利を主張するだろう。しかし長期的には、政権の脅しが裏目に出て、長年の同盟国が米国以外の国との関係強化を模索することになるだろう、と述べている。
 何とか「ファースト」という言葉は日本でもアピールしている自治体がある。もっともなフレーズでありながら、どことなく「胡散臭い」響きがある。連呼されると「ほんまかいな」と疑いたくなる言葉だ。地球上に「ファースト」と名乗る集団が一つであれば問題はないが、ほかにも集団がある場合、何とか「ファースト」だけで生きていくには無理がある。他とのかかわりで成り立っているのに、「関税」を恐喝の手段として振り回したり、前政権までのかかわりをチャラにしたりするだけでは政治家ではない。政権が変わるたびに「ガラガラポン」をやられたら、条約も約束もまるで意味をなさないことになる。つまり自治体だろうが国だろうが、関係した国との関係は信用を失っていく。
 企業も同じ。社長が変わるたびに「社風」が変わったら、「本田イズム」も「豊田イズム」もあったものではない。
 なんとか「ファースト」を提唱している人たちは、自分は「特別」な存在と見られたいだけなのではないか。だから「なりふり構わず」突飛な「政策」を豆鉄砲のように打ち出し、自分より前に行った人たちの政策をぶち壊す。やってる「アピール」はできるが大丈夫かどうかは疑問符がつく。
 トランプは一流国の証と言われているプレゼンス(presence)という単語を知っているのだろうか。すべてを壊し、思い付きを叫び、
関税を連呼する。関税によって自国の産業が育つことはない。今やアメリカのプレゼンスは地に落ち、同盟国には亀裂が入った。対中国を意識した政策が、あろうことか中国を利する結果になるとは……。
 アメリカの政界も「人材不足」なのだろうか。プレゼンスなき統治は世界を混乱させるだけだ。 

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あの国の「かたち」

2025-03-19 19:37:27 | 私見偏在

 司馬氏が喝破していた、あの国の「かたち」 司馬遼太郎『ロシアについて 北方の原形』(文春文庫)。この本は、1982(昭和57)年に「文藝春秋」に連載された「雑談・隣りの土々(くにぐに)」がもとになっている。
 その一章「ロシアの特異性について」
 〈外敵を異様におそれるだけでなく、病的な外国への猜疑心、そして潜在的な征服欲、また火器への異常信仰〉。
 〈それらすべてがキプチャク汗国の支配と被支配の文化遺伝だと思えなくはない〉。
 キプチャク汗(ハン)国とは、13世紀にロシア平原を支配したモンゴルの遊牧民国家だ。ロシア人諸国の首長を軍事力でおどし、農民から徹底的に税を搾りとった。首長が抵抗しようものなら軍隊が急行して町を焼き、ときには住民を皆殺しにして、女だけを連れ去ったという。
 その支配の影響が現代のロシア人にまで及んでいるかもしれない。
 〈体制がどうであれ、その国が、固有の国土と民族と歴史的連続性をもっているかぎり、原形というものは変わりようがない〉。
 〈強悍なアジア系遊牧民族が、東からつぎつぎにロシア平原にやってきては、わずかな農業社会の文化があるとそれを荒らしつづけた。
 平原にあってつねに外敵におびえざるをえないというのが、ロシア社会の原形質のようなものになっており、いまなおつづいている。
文化も、他の生物学的組成と同様、しばしば遺伝する。ロシア人の成立は、外からの恐怖をのぞいて考えられない。
 〈それまでのロシア平原は、つねに東から西へ通過してゆく遊牧民族にあらされつづけたのだが、この十三世紀において、かれらにはじめて居すわられてしまい、帝国をつくられるはめになった。
 以後、ロシアにおいて、「タタールのくびき」といわれる暴力支配の時代が、二百五十九年のながきにわたって続くことになる〉
 〈このモンゴル人による長期支配は、被支配者であるロシア民族の性格にまで影響するほどのものだった。十六世紀になってはじめてロシアの大平原にロシア人による国ができたのだが、その国家の作り方やありかたに、キプチャク汗国が影響したところは深刻だったはずだ〉
 キプチャク汗国の後、史上初めてツァーリ(皇帝)となって、ロシア国家の基礎をつくったモスクワ公国のイヴァン雷帝について、
〈貴族に反逆のうたがいがあれば住民まで大量虐殺するという恐怖政治を布(し)いた。貴族や人民あるいは統治下の異民族に恐れをもたせることこそ当時のロシアにとって統治の本質的な秘略というべきものだった〉
 なにがロシア帝国をつくったか。それはむろん無制限の独裁政治であった。無制限の独裁であったればこそ大ロシア帝国は存在したのだ〉、と論じている。
 司馬遼太郎という人物について、改めて教養や含蓄の深さ・先見の明を知らされた思いがする。司馬遼太郎は40年以上前に、今日のロシアを言い当てていたのだ。何百年ものその国の歴史を遡ることによって、初めて得られるものがある。彼らの「歴史によって形成されたDNAは変わらない」というのが司馬遼太郎の民族・歴史観なのだ。
 福沢諭吉の脱亜論もしかり。何百年にわたる、その国の歴史を研究することによって導き出された賢者の「壮大な結論」を無駄にしてはならない。
 今から見れば、26回に及ぶ「ウラジーミル・シンゾウ」会談は何をもたらしたのか。親中派か媚中派かのドンの言う「先人の苦労を無駄にしてはならない」とか「大統領が変われば日韓関係もよくなる」という言葉などは、いかに浅いかがわかろうというものだ。「日本の政治家の実力」には唖然とさせられる。
「一寸先は闇」が日本の政治家の座右の銘。
私だって7センチ程の先は考える。一寸しか考えられない政治家。そんな政治家に「国家百年の計」など言ってほしくない。
 「北方の原形」は難解だが司馬遼太郎の計り知れない懐の深さを感じることができた。

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「いいかげんにしなさい」

2025-03-12 19:51:07 | 私見偏在

 
           YAHOO Japan ニュース
 小学校低学年の男子児童2人の頭を平手で叩いたとして61歳の男性教師が3月11日付けで、減給1か月の懲戒処分となった。
 北海道釧路市の小学校の男性教師(61)は2024年5月、授業中に教室を飛び出した低学年の男子児童2人を教室に連れ戻しましたが、その後も児童が教室内を走ったことで感情的になり、右の平手でそれぞれの児童の頭を1回叩いた。児童にけがはない。
 北海道教育委員会によると男性教師は、当時「いいかげんにしなさい」などと叱ったが、児童がいうことを聞かなかったため叩いたという。別の児童の保護者から話があり学校側が把握した。
 男性教師は「ケガにつながる危険な行為を止めたかった。感情のコントロールができなかった」などと話しているという。
 この事案に対して
〇今度授業中に同じ子供が教室から飛び出したら、学校に報告した上、保護者を呼び付けて一緒に帰宅させましょう。
 教師は子供に「勉強を教えるのが仕事」であり、静止を無視して走り回る子供の安全まで責任を負えるものではありません。教室の外に追いかけて行ったら、教室の中の普通の子供たちを放置することにもなる。
 小学校は都合いい託児所じゃないし、最低限の子供のしつけも済んでおらず、授業妨害し他の子供に迷惑かけるなら保護者に連絡して帰らせるのが一番合理的だと思います、という意見が一番的を得ていると思った。
 そもそも、日本の義務教育自体、その役目を終えたのではないかと思う。勉強したくない者は少数ながらある程度いるはず。義務教育なので邪魔をするなら「学校に来るな」とは教育者側は絶対言えない。その者が勉強したくないために、多くの生徒が迷惑を被る事態は避けなければならない。就学時に大雑把に、本人と家庭に面接して将来を語らせたらどうだろう。何が何でも義務教育制度を守れば、こういう事態は増えてくる。そのたびに教師たちは「勤務評定」を気にしなければならない。
 教育とは本来、自由で歓迎されるものであるべき。戦争などで国が乱れている子供たちは勉学意欲に燃えている。義務教育の果ての教育費無償化などを考えると、学びたくない・働くのもいやという若者の天国になってはならない。授業の邪魔をする者のために義務教育制度が隠れ蓑化させてもならないはず。
本人と保護者の自主性に任せれば、教師の言うことを聞かない事案は、学校だけの問題ではない。親は学校にクレームを言うだけの存在はよくない。親は子供の勉強は学校、躾は親、という役割分担を考えるべき。なんでも「先生に相談」は親権の放棄につながる。

 

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ワレサ氏、トランプ大統領を非難

2025-03-05 19:48:16 | 私見偏在

 
            共同通信より
 1980年代、共産主義下のポーランドで民主化運動を率い、ノーベル平和賞を受賞したワレサ元大統領(81)が、トランプ米大統領への書簡を公開した。ウクライナのゼレンスキー大統領との会談に「恐怖と嫌悪感」を覚えたとし、物質的支援に敬意と感謝を期待するのは「不快だ」と非難したことをポーランドメディアが3日報じた。
 ワレサ氏らは「自由世界の価値を守るために血を流した英雄である、ウクライナ兵にこそ感謝すべきだ」と強調。「会談中の大統領執務室の雰囲気は秘密警察の尋問や法廷を思い起こさせ、恐怖を感じた」と記した。
 書簡はトランプ氏に対し、ソ連崩壊後、ウクライナが国内に残った核兵器を放棄する見返りに、米英とロシアがウクライナの安全保障を約束した1994年の「ブダペスト覚書」を履行するよう求めた。ワレサ氏らは書簡で「この保証は無条件であり、支援を経済的な取引として扱うとは一言も書かれていない」と指摘した、という。
 ワレサという名前に懐かしさを感じてしまった。当時ニュースでは、ポーランド・ワレサ・連帯・自由という構図が渦巻いていた。共産主義は「暴力」抜きでは存在できない。なのになぜ日本の知識豊富な識者たちが左巻きなのか未だに理解できない。共産主義と独裁は相性がいい。
 歴史を見ると、革命の後は必ず共産主義の道をたどり、独裁体制を取らなければ国がまた分裂する。
 政治家は独裁の魅力から逃れることはできない。選挙に選ばれても独裁の道を模索する。選挙民は選挙の後に、望まない体制を悔やむことになる。いったん、権力を持つと政治家は「歴史に名を残したい」らしい。歴史に名を遺す唯一の道は戦争をすること。どの国の歴史も戦争を抜きに考えられないからだ。
 国のリーダーには「懐刀」という知恵袋・参謀・シンクタンクが必要だ。アメリカもロシアにも「懐刀」がいないようだ。イエスマンはいるようだが……。
 二人のリーダーも「帝王の罠」にかかっている。つまり裸の王様状態。「良薬は口に苦し」と言うが、真のリーダーは苦々しい進言にも耳を傾けねばならない。
 世界がアメリカの大統領の一挙手一投足に右往左往する姿は見苦しい限り。それも「懐刀」なしの思い付きやでたらめに動かざるを得ない状況ならばなおさら。
 良識のあるワレサ氏の言葉に救われた。よくわからないノーベル平和賞ではなく、ワレサ氏に与えられたものは本当の平和賞なのだ。
 翻って二人のリーダーは「恥知らずの下品な人間になるな」ということを、反面教師として世界に教えているのだろうか。
 

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これ以上権限与えるのは危険すぎる

2025-02-26 19:54:57 | 私見偏在

 
         日テレニュースから
 アメリカのシンクタンクピュー・リサーチ・センターが先月27日から今月2日にかけて5086人を対象におこなった調査で、アメリカの諸課題についてトランプ大統領にこれ以上の権限を与えるのは危険すぎると答えた人が65%に上った。民主党支持者などの間では90%が危険すぎると答えている。
 トランプ大統領はバイデン政権時代の政策からの転換を進め地球温暖化対策や多様性への取り組みなどが後戻りすることへの危機感が世界に広がっている。
 アメリカの「出世地主義」の修正をめぐる大統領令については明白な憲法違反だとして、裁判所から一時的に差し止めが命じられるなど波紋が広がっている、という。
 トランプ大統領は「バイデン憎し」から、ことごとく前政権のやり方を「修正」しまくっている。彼のやり方は民主党を毛嫌いする勢力から見れば、小気味よく映るかもしれない。しかし、「何とかの一つ覚え」ではないが、「関税」という単語ををあたりかまわず連呼していればいいものでもあるまい。そもそも、アメリカの輸入超過・貿易赤字はなぜ起こったのかの検証を忘れてはならない。アメリカ人は額に汗して働くブルーカラーを嫌い、高校で株投資の授業を行うなど、汗のかかない仕事に就くことを望んだことによるからだ。そのため国内の製造業は衰退し、粗鋼生産では価格面で中国に負けてしまった。
 「日本が中国に鉄の生産を教えたから」ではない。
 1970年代、「マスキー法」という排気ガス規制法がアメリカで法制化されようとした時、クリアできない、としてアメリカの自動車メーカーが政府へのロビー活動で「先延ばし」させた。これに対して日本は排気ガス規制法をクリアする数値を出した。このことが日米の自動車産業の明暗を分けた。「アメリカファースト」を声高に叫び、美しい言葉と称する「関税」をかけまくれば、相手国もそれに呼応する。これは「天に向かって唾す」ように、やがて自国の国民に高い関税というプレミアムのついた商品を買わせ、アメリカのインフレ率を加速させることになる。
 トランプ大統領はロシアや中国・北朝鮮から「独裁の魅力」を学んだのだろう。議会抜きの大統領令乱発がそれを示している。独裁こそが政治家が考える理想の姿なのだ。それとマスク氏に多大な権限を持たせた。有無を言わせぬ手法はアメリカに何をもたらすのだろう。民主主義を標榜してきたアメリカは独裁国家への道を歩み始めたのか?

 

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米国はもはや「恐喝集団」?

2025-02-19 19:54:43 | 私見偏在

 
                 Wedge onlineから
 約20年中国は平和的台頭原則を守ってきた。この概念は鄭必堅国務委員の作で中国が国際システムに従い他国の脅威とならず権力と繁栄を強めていくことを意味する。この戦略は90年代から2010年代中頃まで成功し、中国の国内総生産(GDP)と影響力は驚異的に拡大した。
 しかし習近平は方針を変えた。17年以降彼は後に戦狼外交と言われる戦術を始めた。中国の外交官は中国の国益をより攻撃的に主張し数年で中国は平和的台頭による善行の積み重ねのほとんどを失った。
  23年に習はその方針から後退したが中国の国益の攻撃的伸長は既に国際的地位を悪化させ対中不信を招き多くの中国のパートナーは対中リスク回避のため対米関係を強化した。
今や、トランプとテック大企業の仲間達は「西部開拓時代外交」を推進している。それはシリコン・バレー的傲慢さが加わり開拓時代よりも悪い。
 その特徴は、至高の自信とあらゆる種類のルールの無視、短期的自己利益を増進する限り誰とでも取引することだ。トランプ自身、自分が最高位に居る世界に生きており、カリフォルニアの新たな友人たちと同感覚だ。権力に上り詰め技術革新で想像を超える富を持つ多くの男性は米国の他国に対する優越性は技術セクターの他の米国経済分野に対する優越性と同様自明だと考えている。
 習が気付いたように、中国の好戦的態度は米国と欧州連合(EU)内の対中強硬派を強化し対中支持者に不信の種を撒いた。
 米国が以前と異なり、自らの意に沿った世界秩序形成に動く、大国の横暴がまかり通る世界になる、ということが問題意識になりつつあるといえよう。
 追加関税はさておき、一番の問題は、グリーンランドやパナマ運河の米国による支配を主張し、その実現のために軍事的威圧の使用さえ否定しないということだ。ロシアや中国とどこが違うのか。
 ロシアはウクライナに武力侵攻しルールに基づく秩序を武力で一方的に変更したからこそこれだけ批判されているのだが、今の米国は実際の武力行使に至っていないという一点でしかロシアと異ならない。既に武力による威嚇はしているので、国連憲章違反とさえ言いえるだろう。
 日本もやるべき3つのこと
 トランプ就任直後のこの時点で指摘したいことは、次の3点である。
 第一に、「同盟は特権ではない」ということだ。ルビオ国務長官は公聴会で「国務省の今後の行動や支出は、それが米国を『より強く、安全に、より繁栄させるかどうか』で判断される、と述べた。
 第二に、換言すれば、同盟国であろうがなかろうがこの判断基準に当たらない国、トランプ政権関係者の関心外の国は見捨てられるということだ。米国を除いたインド・インドネシア・日本・豪州からなる「アジア版クアッド」を作るのことだ。
 第三は、米国が友達を失っていく以上、それを補うだけ友達を作っていくことは日本のような同盟国の責務であり、グローバル・サウスの取り込みの具体化は待ったなしの課題だ、と述べている。
 トランプ氏もマスク氏も、ともにビジネスマン。しかし政界に出てきた。二人とも「金はあるが名誉はない」。欲しいのは名誉。
 貿易赤字を解消するために、トランプ氏に言わせれば「関税」という美しい言葉を振りかざし、世界を「意のまま」に牛耳ろうという算段だ。そこには「民主主義」を高らかに謳う文言など無用。政治を「商取引」と同じレベルまで下げても構わない思想が見える。
そもそもアメリカの貿易赤字はどうして生まれたのか、考えないのだろうか。
 アメリカは額に汗して働くことを嫌い、楽に、とは言わないまでも、エアコンの利いた部屋で、白いワイシャツに汗が滲まないうちに帰宅したいと考え出したのだ。そのため、産業の空洞化は進み、物理的に汗をかくことのない弁護士が街に溢れることになる。重厚長大産業は影を潜め、日用品まで外国に頼るようになった。自動車産業もかつての面影はない。高校の授業に株取引とか投資を導入したのは、汗をかく仕事を嫌った結果ではないのか。日本でもアメリカの真似をしようとする動きがあるが、断固止めたほうがいい。彼らは産業が空洞化しても庶民の購買意欲は高いし、資源が豊富にある。日本はどうだろう。貯蓄にまい進し資源のない国なのだ。あくせく働く以外生きてはいけない。
 この記事の提言の三番目、米国が友達を失っていく以上、それを補うだけ友達を作っていくことは日本のような同盟国の責務であり、グローバル・サウスの取り込みの具体化は待ったなしの課題、とあるが「外交下手」で定評のある日本の取るべき道は、トランプ氏の任期満了を首を潜めてひたすら待つのみだと思うのだが……。

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ガザ住民の日本受け入れ検討

2025-02-12 19:27:25 | 私見偏在

 
             JIJI.COMから
 石破茂首相は3日の衆院予算委員会で、パレスチナ自治区ガザの住民を日本で受け入れ、医療や教育分野の支援を提供する方向で検討していると明らかにした。
 「政府として実現に向けて努力したい」と語った。公明党の岡本三成政調会長への答弁。
 これに対して様々な意見が寄せられている。
〇エコノミスト 日本がガザ地区住民の受け入れをすれば、ガザ地区住民の滞在費や食費、医療費、子供の教育費といった財政負担が重くのしかかってくる。
 財政運営が厳しさを増す中で、また物価高で国民生活が窮乏化する中にあって、今の日本にはガザ地区住民を受け入れる経済的余裕はないというのが実情だろう。
〇ちょっとまて。どこまでのことをいつまでやるつもりなんだ。
他国を見れば移民政策や難民政策は軒並み失敗している。ドイツがどんな目に合っているのか知らんのだろうか。
〇日本にも貧困層や困っている人々がたくさんいる中で、海外からの受け入れに焦点を当てるよりも、まずは自国の人々に対する支援を強化するべきです。
〇何故にパレスチナ問題に無関係の日本が受け容れを早々に表明するのか意味不明だな。
国民の意思を確認もせずに勝手なことをするなよ。
〇国民に返す税金はないし減税もしない、それなのにテロリストが混じってるかもしれないパレスチナ人には金を使うと。日本国民の生活はどうなるんですか?等々のコメント。
また、宮城県の村井嘉浩知事は、土葬が可能な墓地を県内に設ける必要性に言及した。宗教的に土葬を望むイスラム教徒を念頭に「外国人が増えていくと、結婚して家庭を持つ人もいる。日本人でイスラム教に改宗し、土葬を望む人もいると思う」などと説明した。   「多文化共生社会といいながら、そういう所に目が届いていないのは行政としていかがか。批判があってもやらねばならない」と強調した。
 このままだと、なんだか日本が日本でなくなるような気がする。日本に来て生活し、日本国籍を取得するのは問題はないだろうが、その前提として「郷に入っては郷に従え」を厳守しなければならないはず。「多様性の容認」も度を超すと「標準・standard」が狂ってくる。民族が育んできた「標準・standard」を崩すことなく、「異民族」を受け入れる。そのためには「新参者」としての覚悟が必須だ。「新参者」は先住民に対しての「尊敬の念(hommage)」がなければならない。問題が対立した場合、退くべきは「新参者」でなければならないはず。最初からそういう気持ちでいれば何の問題もない。いろんな理由をつけても、この「原則」を守らなければ軋轢が生じる。
 日本の指導者はとかく近視眼的発想しかできない。なにもかも「詰め込み暗記教育」の弊害なのだが、そんなことよりもまず「余計なことをするな」と言いたい。頼まれもしないのにパレスチナ問題なんかに首を突っ込むな。日本の外交下手は国民の知るところ。まず目の前にある問題・宿題を片付けることだ。
そして「軒を貸して母屋を取られる」ことだけはあってはならない。
「ならぬことはならぬものです」。理屈はいらない。

 

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高学歴でも考える力のない人

2025-02-05 20:00:20 | 私見偏在

  
        ゴールドオンラインから
 高校時代「一番を目指せ」といわれ東大合格の女生徒。胸弾ませ入学も…議論の輪に入れず、いつもニコニコその場にいるだけ。高学歴でも“考える力のない人”が「授業後に出る感想」。
 長すぎるタイトル。これだけで日本の教育の実態を如実に表している。筆者は大学の教員。実体験を述べている。大学の教員だけに学術的に表現しなければならない、と思っているのだろう。タイトルだけで読者はわかってしまうのだが、「学校で成績のいい人が実社会では仕事ができない」と言われているのは、あながち都市伝説などではない。学校では「丸暗記・詰め込み」こそが頭のいい人の証明。以前から私は「丸暗記・詰め込み」教育の弊害を指摘し続けてきた。日本の教育は考えたり・議論したりは必要としないからだ。
「沈黙は金・雄弁は銀」などと言われ、「不言実行」を旨とするならばまだいいのだが、
未だ「読み書きそろばん」から脱却していない。英語教育がその最たるもので、中学・高校・大学と10年かかってもまともに話すらできない。日本の学校に英語を教えに来ている外国人の先生と、日本人の英語の先生は「そりが合わない」らしいのだ。日本では英語の成績のいい人が英文科に入り英語の先生になる。しかしnativeとの交流が少ない。
 例えば会話で相手がどう言ったのかを聞かずに、単語を紙にかいてもらうことが多いらしい。会話だったら何度も訊くなりして理解するほうがいいのに、どう「書く」ほうが理解できる、では会話は途切れてしまう。やはり「読み書きそろばん」が根底にある。そのため日本の英語教育は文法の得意な先生が多く、英会話はさして重要ではない。外国人が学校を訪問すると「いい機会」と思うよりも、「死んだふり」をする先生が多いという。突然いなくなったり、体調不良を訴えたりするらしい。英語に限っての話ではなく、学校教育全般が「丸暗記・詰め込み」で構成されている。
 今はどうか知らないが、私が義務教育を受けた当時。授業中「先生、それ何の役に立つんですか」などと質問する生徒がいたものだ。すると教師は「頭の悪い奴に限ってそんな質問をする。黙って覚えろ」などと言っていた。
また別の時間には「何か質問ないのか」と教師。みんなが黙っていると「理解してないと質問もできない」と嘆く。そして「教員室まで来て質問するようでなければ頭はよくならない」などと言う。なので教員室まで行って質問しようとすると、今度は「お前、授業中何を聞いていたんだ。わき見ばっかりしているからわからない」などとほかの教員にも聞こえるように大きな声で言う。教員室で恥をかかされた生徒は教師に怨みを持つしかない。こういう「やり方」だと「艱難汝を玉にす」どころか「艱難汝をダメにす」ことになる。
昨今の日本の経済状態も「丸暗記・詰め込み」式日本教育の弊害と行き詰まりの帰結ではなかろうか。文科省のこれまでの「やり方」も考えたほうがいい。

https://gentosha-go.com/articles/-/66080
 

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高砂の掛け軸

2025-01-29 19:49:02 | 私見偏在

 
 昔から「めでたさ」を絵に表わした「高砂の掛け軸」なるものがある。
 高砂の掛け軸は、兵庫県高砂市にある高砂神社に伝わる言い伝えに由来している。高砂神社の境内に生えていた「相生の松」という松の木に、老夫婦の姿をしたイザナギ・イザナミという二神が現れ、夫婦の在り方を説いたという言い伝え。
 高砂の掛け軸には、夫婦の末永い円満や長寿を願う意味が込められている。結納や長寿の祝いの席で飾られる慶事掛として用いられる。
 高砂の掛け軸の意味は次のとおり。
 夫婦が末永く仲睦まじく過ごしてほしいという願い。
 夫婦が力を合わせて寿福を集め、厄払いをして家庭を守ってほしいという願い。
 女性側の親が男性側の家族に、娘に素敵なご縁ができたことに感謝し、これから幸せな人生を送ることを願う、等々の意味が込められている。
 絵柄は一組の老夫婦、翁と媼。媼の足元には「亀は万年」生きると言われる亀が、翁が見上げた松の枝には「鶴は千年」の鶴がとまっている。柔和な顔立ちの老夫婦は、ささやかな善行を重ね、夫婦愛和し、穏やかな老後を迎えたことだろう。古来から日本の夫婦のあり方を教えてくれる掛け軸として知られている。
 ささやかであっても善行を重ねれば、年老いてからも人生の幸せを感じることができる。そういう戒め・教訓を絵画にしたものだろう。
翻って、こういう生き方とは無縁の人々がいる。立法府の国会を「裏金作りと綱引き」に変えた政治家や、大企業の経営者でありながら自らの保身に走り、「あること」を避けながら意味不明の説明に10時間もかける人々。
こういう人々のご尊顔を見ると、本当に日本を代表する方々とは思えない顔つきをしている。何を考え・何をしてここまでやってきたのか。いい「顔つき」とは到底言えない顔なのだ。車で言えば、その人の顔は「インストルメントパネル」略して「インパネ」なのだ。走行中の車の「インパネ」を見ることによってスピード・回転数・油圧・充電状態を確認できる。人の「顔つき」は過去にどんなことを考え・してきたのかを探ることができる。
いいことを考え実行し、人の役に立てればおのずと「インパネ」ではなく「顔つき」に現れる。信用のできない政治家や、能力に欠ける経営者は押しなべて、「顔つき」に精彩がない。「目が泳ぐ」・相手の「目を見ない」
・朴訥ならまだしも「たどたどしい」などのしぐさが見られる。
 人間は40歳ぐらいから「人となり」が完成に近づくようだ。それまでのすべての経験が「その後」を作り上げる。
 「高砂の掛け軸」にある、翁と媼のような顔立ち・「顔つき」になるのは、公明正大・善意・無過失でならなければならない。
 「イケメンやツンデレ」などと安っぽいものではなく、年齢を重ねるにつれて、顔立ち・風貌・佇まいが、やがて存在感へと昇り詰める。

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葬儀場の安置室で女性の遺体に……

2025-01-22 19:50:57 | 私見偏在

 
        朝日新聞の記事から
  女性の遺体にわいせつ行為をする目的で葬儀場の遺体安置室に侵入したなどとして、建造物侵入と東京都迷惑防止条例違反の罪に問われた葬儀会社元従業員の判決公判が3日、東京地裁であった。判決は「偏った性的嗜好(しこう)で、根は相当に深い」として懲役2年6カ月執行猶予4年(求刑懲役2年6カ月)を言い渡した。
 判決によると、被告は2021年11月~22年6月、勤務先だった東京都大田区の葬儀場の遺体安置室や冷蔵室に3回侵入した。約3年前から「女性の遺体に触ってみたい」という欲求を抱き、遺体を繰り返し触っており、判決は常習的な犯行だったと認定した。
 また22年1~10月、葬儀場の女子トイレ内に携帯電話を設置し、女性計25人を盗撮したことも認定した。
 一方、被告が専門医から「性嗜好の障害」との診断を受け、今後再犯防止のためのプログラムに参加することなどをふまえ、執行猶予が相当と判断した。
 強制性交罪など性犯罪は生きている人に対する犯行を前提とし、遺体には成立しない。死体損壊罪も物理的な損壊が必要で、遺体へのわいせつ行為はあてはまらないとされている、という内容。
 「偏った性的嗜好(しこう)で、根は相当に深い」としながら、執行猶予4年(求刑懲役2年6カ月)という判決をどう考えたらいいのだろう。法では「死者に権利はない」ということか。ならば、90歳の母と同居する60歳の息子が、母が亡くなったことを年金目当てに隠ぺいして、自宅にそのまま放置していたような事案。死体遺棄で逮捕されるのはどう説明するのだろう。息子は母が亡くなったことを役所に届けてはいない。年金詐取なのに死体遺棄で捕まることはおかしい、ということにならないのか。母の遺体は家の布団の中、息子は別に、遺棄した、という認識がない場合はどうだろう。それでもテレビなどでは、年金詐取ではなく死体遺棄事件と称される。
「死者に権利はない」ということは、法では「死者は物以下」ということになる。このような法がまかり通る世の中は狂っている。物ならば「物損事案」で賠償責任がある。賠償責任には、物損を受けた精神的苦痛・物損に会わなかった場合の、そのものを使った推定利益などが含まれる。
 別のネットの記事によると、神奈川歯科大学を退学処分となったのは無効として、元大学生の男性=当時(44)が同大に1500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁は「退学処分は重すぎる」として同大に約1200万円の支払いを命じた、という。判決によると、男性は解剖学実習で、献体の女性に対し不適切な行為をしたことなどから、「学生の本分に著しく反した」として、2週間後に退学処分を受けた、そうだ。判決を見ると、しかしやっぱり、「死者は物以下」という考えに変化はないようだ。
 「献体の前で笑顔でピースサイン」という医者にも、そんな考えからの行動だったのだろう。医師でさえそうなのだから、変態を裁くことは現行の法ではできない。
 献体をした遺族が民事訴訟を起こしても、「死者は物以下」なので無理なんだろう。これが日本の実情なのだ。だったら、墓参りとか菩提寺とか死者の尊厳などは何なのだろう。法がすべてを支配しているわけではないが、法曹界に所属している人たちは、葬式とか墓まいりを「物以下」のための行事と認識していることになる。これでいいのか。日本人には宗教心が外国に比べて薄いのに道徳心は強い。それが文化だ。法はそれを否定する方向で動いている。憂慮すべき事態だ。
 せめて国が医師免許を交付する際に、医師となる者が亡くなった際に「母校への献体」を法で義務付けてほしい。これにより医療関係者の「献体を愚弄する行為」は減るだろう。
 

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法政大学ハンマー殴打事件

2025-01-15 19:48:16 | 私見偏在

 
       マネーポストwebから
 1月10日、東京都町田市の法政大学多摩キャンパス内で、女子学生が学生8人をハンマーで殴り負傷させたとして逮捕された。現場は100名のほどが授業を受けていた教室内だった。女子学生はは「いじめを受け、我慢できなかった」などと供述していると報じられている。
 大学生にもなっていじめがあるのか、と感じる人もいるかもしれない。ところが、この事件に限らず、いじめ問題や対人トラブルで悩みを抱える学生は少なくないのが現実だ。
  都内の私立大学で学生相談に対応しているカウンセラーの女性・A氏は、昨今、多く寄せられる相談内容についてこう語る。
 「新入生への啓発活動の効果もあってか、ここ数年、相談室に来る学生の数は増加傾向。とくにコロナ禍以降は、学費が払えない、アルバイトができなくなったという経済的な状況に関する相談に加えて、SNS上の人間関係トラブルの相談が目立つようになった。
 大学に入学したものの友人ができない、人間関係がうまく構築できないという相談や、LINEグループでうまく立ち回れず、孤立感を感じているという。
 たとえば、『グループLINEで発言をしても、自分だけが無視されている気がする』『LINEグループを抜けたいが、抜けると大学の課題や試験で友人協力が得られなくなる、どうしたらよいか』といった相談は印象に残っている。大学生になると、ある程度は“大人”になるというイメージがあるが、実際には中学生や高校生と同じ類の悩みを抱えている学生が少なくない。
 「今回の法政大学のニュースを見た瞬間、『他人事ではない』と身が引き締まる思いだった。学生同士の対人関係の悩みの相談が後を絶たないから。たとえば、3年生になりゼミの所属が決定した際には、『ゼミが決まったが嫌いな子がいたので他のゼミに移りたい』、『あの子と同じゼミが嫌で、ゼミの日に不登校になってしまうので単位が心配だ』といった悩みが寄せられる。
  このような対人トラブルは、ゼミの指導教員に相談してもなかなか解決できない。最近では人間関係のトラブルを自分で解決しようとせず、学務課や学生課といった事務室や相談窓口に来て、第三者に解決してもらおうとする学生が増えた。『退職代行サービス』のように、友人や知人との直接の軋轢を避けたいと考えるのかもしれない。
 「サークル内でのいじめの問題はよく耳にする。目の前で行われるような、明からさまな行為ではなくて、『その子のSNSにだけ反応しない』『(Instagramの)ストーリーの投稿を全部スルーする』『本人にだけわかるように、X(旧Twitter)に悪口やいじり投稿をする』とか。本人だけが察するような、小さないじめが横行している、という記事。
 これらの記事を読んで、「最高学府」の意味を考えてしまった。ほとんどの人は18才以上のはずだが、精神年齢が伴っていないのだろう。小さい頃からの親の「育て方」に問題があるような気がする。昔はほとんどの家庭が「子だくさん」だった。それで、いちいち子供のしつけに手が回らないこともあったはず。しかし各家庭にしつけの時間があったわけではない。「親の背を見て」とか、ひどい親の場合は「反面教師」として育ってきたのだろう。いずれにしても「引きこもり」という言葉も認識もあった時代ではない。どうにもならなきゃ引きこもり、という選択肢はなかった。「親ガチャ」という責任転嫁の言葉もなかった。社会に出る時刻が迫ってくるにつけ、自分からも周りからも期待や激励や脅し文句を聞かされたものだ。それに耐えクリアしていくことが自分の「身のため」と思って受け止めた。「あの子と同じゼミが嫌」だとか「自分だけが無視されている気がする」など、なんと繊細な心なんだろう。デリカシーはもちろん必要だが、生きていく上には「鈍感力」もなければならない。「あの子と同じゼミが嫌」などと言っているうちはまだかわいいが、これから就職したり結婚したり、転居したりで、いろんな人間と接しなければならない。その先々で「あの子」たちが待ち受けている。「友人や知人との直接の軋轢を避けたい」とかの「やわな精神」では引きこもりしか道はない。人前で「恥をかきたくない」と思っていても「引きこもり」が恥だとは思わないのだろうか。

今回の事件は「いじめ」が原因だという。「いじめ」の定義をはっきりさせることが必要だ。

言葉だけによるものか、暴力が伴うのか、明確にすべきだ。言葉だけだったら無視するか、言葉で返すことが必要。

「鈍感力」で無視を決めるか、議論する必要があるのか。とかく今の若者は議論が苦手のようだ。「和を以て貴しとなす」とディベートは相反するものではない。議論が紛糾しても熱を帯びてもかまわないが、最初に手を出したほうが負けだ。

暴力を伴った「いじめ」は単純に暴力事案だ。暴力には暴力で対峙するしかない。そこには話し合いはない。

あの「ハンマー女子」もその見極めができていたのか、その後の報道を待ちたい。

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同盟国をこのように扱うのか

2025-01-08 19:58:07 | 私見偏在

 
           江南タイムズ
 国家安全保障の弱体化を理由に、日本製鉄によるUSスチール買収を不許可とする決定を下した。これに対し、日本政府は「理解しがたく、遺憾である」との反応を示した。
 武藤洋治経済産業相はバイデン大統領の決定について、「国家安全保障上の懸念を理由に、このような判断が下されたことは理解できず、遺憾に感じる」とのコメントを深夜に発表した。武藤経産相は「両国の経済界、特に日本の産業界では今後の日米間の投資に対する強い懸念が示されており、日本政府としてもその重要性を深刻に受け止めざるを得ない」とし、「今回の判断に関する説明を求めるとともに、懸念を払拭するための具体的対応をバイデン政権側に求めていく」と強調した。
 日本製鉄とUSスチールは共同声明で「今回の決定は明らかに政治的判断だ」と批判的な立場を示した。両社は「法的権利を守るためにあらゆる措置を講じる」と述べた。また、「同盟国である日本をこのように扱うのは衝撃的で、非常に懸念される。米国に大規模投資を検討する同盟国を拠点とするすべての企業に対し、投資を抑制する強いメッセージを送るものだ」と批判した。日本経済新聞によると、日本製鉄は米国政府を提訴する方針だが、今回の判断自体を覆すのは難しいとみられる。
 一方、日本製鉄は2023年12月にUSスチールを141億ドル(約2兆2,230億円)で買収することで合意していた。ただし、買収が実現しない場合には違約金を支払う条項もあり、買収が最終的に無効となれば、単なる契約失敗にとどまらず、890億円規模の違約金を支払う可能性もある。NHKは、バイデン大統領の今回の不許可決定が、日本の企業が米企業買収するのを大統領令で阻止する初の事例だと指摘した、という記事内容。
 この大統領「決定」は記事にある通り、日米安保という「軍事同盟」と、民主主義を標榜する「同盟国」同志の関係に、微妙な影を落とすことになりそうだ。バイデン大統領は任期終了間際に、死刑囚への恩赦や国家安全保障上の懸念を理由に、同盟国へのこの「仕打ち」。これを日本では「鼬の最後っ屁」という。アメリカの偉大な「国と国民を守る」という考えよりも、選挙での「支持母体」を優先させた大統領という評価が下されよう。
民間同士の経済活動に、時の権力者がしゃしゃり出る。これは果たして民主主義だろうか。
日米安保という「軍事同盟」を結んでおきながら、国家安全保障上の懸念を表明する。同盟国を信用していないことを露わにしたもので、日米のリーダーが営々と築き上げてきた「同盟」関係を、一瞬で反故にする愚行と言わざるを得ない。誰が得をするのだろう。
 翻って、日本にも「政治的落ち度」はないだろうか。思い出したように出てくる自民党の「親中派・媚中派」と言われる国会議員たち。
 岩屋外相の訪中、「ゼロ回答」でも日本からの〝土産〟多く……。こんなことをしているとアメリカからは「反米国家」と見られてしまう。今の政治家に足りないところは「断固として超然」たる姿勢だ。ウロチョロし過ぎで首が座っていない。政治家は一様に「国会軽視」などと言う。しかし巷では、国会議員の仕事は「裏金作りと綱引き」だと思われている。無理を承知で言うが、「古武士然」として、毅然とした政治をしてほしいものだ。

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