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米英での脱ステロイドに関する重要な記述 2021.4.29発

2021-05-18 11:53:48 | 日記
阪南中央病院の佐藤健二先生のブログから、一部の記事を転送しご紹介いたします。

米英での脱ステロイドに関する重要な記述 2021.4.29発


 英国で国立湿疹協会と皮膚科学会がTopical Steroid Withdrawalについて共同声明を出しました。
 イギリスのDaily mailに出たJonathan Roweさんなどの脱保湿療法の記事や
日本から出しているTokukoさんの英語のブログなどが大変影響したようです。


 アメリカの皮膚科の有名な教科書、Fitzpatrick’s Dermatology (第9版、2019年)には
Topical Steroid Withdrawalがステロイドの副作用として記述されています。


【アメリカ】

 世界的に有名なアメリカの皮膚科の教科書の2019年の第9版(Fitzpatrick’s Dermatology, p.377)に
「ステロイド離脱症候群(steroid withdrawal syndrome)」の記述がありました。
 以下にその部分の拙訳を記します。


 「外用グルココルチコイドの副作用は局所の作用と視床下部下垂体副腎系の抑制による
全身的な作用に分けることができます。
 局所の副作用には皮膚線条、皮膚萎縮、口囲皮膚炎、酒さ性痤瘡の発生が含まれます。
 外用グルココルチコイドを日常的に長期に使用すると、特に顔面では、
ステロイド離脱症候群(steroid withdrawal syndrome)をも起こし得ます。
 その症状は、外用グルココルチコイドを中止すると、強い紅斑形成、むくみ、
焼けるような感覚が起こるという特徴をもっています。」


 【イギリス】

 2021年1月にイギリスで「外用ステロイド離脱に関する国立湿疹協会と英国皮膚科学会の共同見解声明」
が出されました。以下に要点を記します。


 外用コルチコステロイドは湿疹やその他の炎症性皮膚病変に対する効果的な治療薬ですが、
他の治療薬と同じく副作用を持ちえます。
 湿疹を持っている多くの人々は外用コルチコステロイドの使いすぎや
それの使用を止めるときに起こりうる影響に関心を持っています。


1. 外用コルチコステロイドの使用過多の結果

 副作用は強力な外用コルチコステロイドの長期にわたる日常的な使用によって起こります(通常は12ヶ月以上)。
 赤皮症Red Skin Syndromeや外用ステロイド嗜癖(しへき)Topical Steroid Addictionという用語は
過剰な外用コルチコステロイドの使用によって起こりうるいくつかの異なった病的状態を記述するために用いられています。
 もし人々が下記の問題を経験すれば、自分たちの健康管理の専門家に助言を求めるべきです。
 ほとんどの場合、外用コルチコステロイドは中止されるべきです。

 a.萎縮、b.酒さ、c.痤瘡、d.口囲皮膚炎---(略)

2. 外用コルチコステロイド治療の中止で起こること

 a. リバウンド紅斑 
   外用コルチコステロイドは血管収縮剤として知られています。
   それは小さな皮膚血管を閉鎖させ、それによって皮膚は蒼白になります。
   治療を中止すれば血管はリバウンド拡張します。そして発赤と腫れが起こります。
   これは普通、時間とともに落ち着きます。

 b. 顔面の発赤 
   外用コルチコステロイドの過剰使用で起こった酒さ、痤瘡、口囲皮膚炎は
   その治療中止で悪化します。これはステロイドが炎症を抑制しているからです。

 c. 急激に悪化する発赤、痛み、痒み、落屑、リンパ節腫脹 
   これらは抗炎症ステロイドがなくなった後に起こる基礎にある湿疹の再発か悪化であるかもしれません。
   代りの抗炎症免疫抑制治療や薬が必要です。

 d. 副腎機能低下 
   これは深刻ですが非常にまれです。
   長期にわたって広範に非常に強い外用コルチコステロイドを外用するとそのいくらかは血流に吸収されます。
   これはない憎悪副腎皮質からのステロイドホルモンの自然な産生を抑制し得ます。

3. 湿疹に対する一つの治療方法としての外用ステロイド離脱 
    (Topical Steroid Withdrawal as a treatment approach for eczema)
   外用コルチコステロイドの使用に関する関心は何人かの人々に外用コルチコステロイドなしで
   自分たちの湿疹を治す試みに向かわせている。最初、湿疹は悪化しがちである。
   しかし何人かの人々は次のことを見いだしている。
   その後しばらくすると湿疹は落ち着き、単純な軟化剤あるいは非薬物治療と、ストレスのような
   悪化誘発因子を減らすように生活スタイルを変えることで湿疹には対処できます。
   もし湿疹が持続あるいは再発するなら、そしてその人が外用コルチコステロイドを再び使いたくないのなら
   皮膚科学的治療の選択肢としては以下のものがあります。

 a. 保湿剤の継続使用で乾燥皮膚を治療し、自然の皮膚防御機構を修復し予防すること
 b. 悪化時の冷浴、包帯使用
 c. プロトピックなどの使用
 d. 光線治療
 e. 全身に影響のある免疫機構を抑制する経口あるいは注射薬の使用 
   これらは外用コルチコステロイドより深刻な副作用を持ちえますし、
   普通外用コルチコステロイドを使ってでは治療できないより重傷の湿疹患者に普通に処方されています。


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