sachiclinic's blog

すこやかな毎日を迎える日のために

第13回アトピー性皮膚炎に対しステロイドを使わない治療を考える会に参加して

2011-02-26 23:03:50 | サロンド・アト
かぐや姫です 3月を前にして、急に暖かくなってきました。昼との気温差が大きいですが、花粉と共に春がやってくる~

去る2月20日、兵庫県で行われた第13回アトピー性皮膚炎に対しステロイドを使わない治療を考える会に参加しました。

第1演者の佐藤健二 (阪南中央病院皮膚科)先生の「入院生活の実際」のお話から、私がメモしたことをお知らせします。

入院目的は、安静にし、合併症を防ぎ、規則正しい生活を送り、家族の身体的負担と精神的負担を軽くし、悪化要因を見つけ出し、理論を学び、正しいスキンケアを実践し、適切な食事をとり、ストレスを除去することです。

ステロイドの使用を中止すると、リバウンド現象が起きます。通常中止後7日後にピークがきます。
その後の生活で、保湿剤・軟膏・水・布団・衣服・化粧・UV化粧品はすべて保湿の役割をして、皮膚の回復を妨げます。できるだけ避けるようにします。痒くて掻いても大丈夫。脱保湿で皮膚は掻いても傷つかなくなる。

傷口を覆うガーゼは水道水で選択し、乾かして柔らかくして使用すると良い。

皮膚の痛みが減れば、リハビリ開始。普通の速さでの散歩から始めて、連続30分は散歩できるようにする。

食事制限はなし。ただし、浸出液や落屑が多い時は、タンパク質を意識して摂取すること。塩分は控えめに。水分は食事も含めて1日1500mlを一日の排尿量や尿色をチェックしながら飲む。

入浴は、冬は少なめ、夏は毎日。湯船にはつからず、陰部と発汗部のみ洗う。

衣服は、綿素材のものを着用し、厚着はしない。上着の裾は出して着る。下着はタグや縫い目を避けるため裏返しに着る。

布団は薄めのものを何枚もかけるほうがよい。

アトピーはアレルギーではない。

決まった時間に起床・就寝することが大切。昼寝はしない。どうしても眠たい場合は、椅子に座ってうたたねをする。

手袋はしないほうがよい。どうしても着用する場合は、夜間のみ。

プロトピック、ステロイドを初めとする塗る治療はしない。

第2演者の藤澤先生によると、ステロイドは治療はできるけれど治すことはできない。ステロイドの使用をやめることで、自然治癒力がアップする。ステロイドを使用しない人のほうが、した人よりも完治する割合は高く、完治するまでの時間は短い傾向にあることが患者さんの追跡調査で明らかになっているそうです。

いかに自然治癒力を高めて自力で治していくかが、治療のポイントのようです。



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小児における、成人型アトピー皮膚炎②

2011-02-18 23:07:59 | サロンド・アト
かぐや姫です 2月も残すところあと10日。 1月は行く、2月は逃げる、3月は去るの通り、あっという間に春が近づいている感じです。

今日は、先々週の続き「ステロイドにNO!を 赤ちゃん・子どものアトピー治療」子どもの未来社よりお伝えします。

皮膚にステロイド依存状態は存在しないのでしょうか。日本皮膚科学会をはじめ多くの医師は、皮膚はステロイド依存状態にならない根拠として、次のように考えています。

全身に長期に大量のステロイドを外用すれば、ステロイドは全身的に吸収され、血流を通じて副腎に到達し、副腎抑制から視床下部・下垂体・副腎系の機能不全を起こします。このようなことが報告されてはいますが、現在ではこのようなひどいステロイド外用治療をする人はいないので、ショックなどの副腎不全は起こりません。副腎不全が起こらないので、皮膚でのステロイドホルモンの欠乏状態、すなわち「皮膚での副腎不全症状」=「皮膚のステロイド離脱症状」はありません、と。したがって、ステロイドに依存している皮膚などというものは存在しないと考えています。

しかし、脱ステロイドをした人々の臨床経過からは、成人型アトピー性皮膚炎患者の皮膚には、ステロイド依存状態は存在すると言わざるを得ないのです。この考えを裏付ける実験研究はほとんどありませんから、実験データとして何かを提示することはできません。

けれども、ステロイドをいくら外用しても皮疹がよくならないという状態でステロイド外用を中止すると、一時的にひどく悪化し、その後に皮疹が消えるのです。まるで麻薬依存患者とまったく同じ経過をたどるわけですから、これほどの根拠はありません。これに対して、日本皮膚科学会などは、この経過の評価として、ステロイドである程度抑えていたアトピー性皮膚炎の活動性が、ステロイドがなくなったために解き放たれてひどくなり、そのあとで自然に治っていったというものです。しかし、ステロイドを中止した後、どの症例も、ほぼ1カ月で症状がよくなるという時間的経過は、偶然では説明できません。

また、成人型アトピー性皮膚炎患者では、アトピー性皮膚炎の好発部位(皮疹のよく起こる体の部位)の皮膚は症状が軽いれども、好発部位でないところの皮膚症状が重症であることがあり、脱ステロイドをすると、時間経過とともに好発部位以外はよくなり、好発部位は後からゆっくり悪くなるということが多いということです。この悪化した好発部位も、さらに時間がたてばよくなっていくのですが、このことは、アトピー性皮膚炎の活動性が解き放たれたということでは説明できないのではないでしょうか。

私たちは、ステロイド外用剤による皮膚のステロイド依存というのは、皮膚で吸収されたステロイドが血流を介して起こす、視床下部・下垂体・副腎系の機能不全とは全く別の機構で起こっていると考えます。

すなわち、皮膚だけでステロイドホルモン系の機能不全が、外用ステロイドの副作用として起こっているということです。皮膚には、視床下部・下垂体・副腎系のほとんどの代謝系があります。ですから、ある程度の推測はできますが、現時点では十分な証拠があるとは言えません。今後の研究に期待したいです。
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(再告知) 講演会のご案内

2011-02-13 21:53:25 | サロンド・アト
第13回アトピー性皮膚炎に対しステロイドを使わない治療を考える会

 「第13回アトピー性皮膚炎に対しステロイドを使わない治療を考える会」を、開催します。今回は同一の乳児湿疹の赤ちゃん、成人アトピーの症例を「私だったら、こういうふうに助言して、情報を提供して、こういう薬を使って、治療していく」企画を考えました。アトピー性皮膚炎の原因はいまでもはっきりしません。治療を語っていく中でおのずと原因に目を向けた話が聞けるかもしれません。実際に診察室で行なっているようなことを20分間でまとめてもらって、その後互いに討論して深めていきたいと思います。ステロイドを使わない治療も脱軟、脱保湿、風呂断ちなども医者が何もしないわけではありません。なかには何もしなくても、知らない間に勝手に治ってしまったように見える例もありますが、それには正しい情報と温かい見守りが必要です。
「ステロイドを使わない治療」となると胡散臭い、アトピービジネスと批判されるような物までありますがそういうまがい物ではない、科学に裏打ちされたステロイドを使わない治療をお聞きください。また討論に参加してください。

副代表世話人 尼崎医療生協病院皮膚科 玉置昭治
日時 2011年2月20日(日曜日) PM1:00~3:00
場所 尼崎医療生協病院隣 あおぞら会館 兵庫県尼崎市南武庫之荘12-16-1 ℡06-6436-1701
新大阪駅からJR各駅停車西明石行きに乗車、立花駅(4駅目)徒歩15~20分。タクシーならほぼ基本料金。
参加費  無料

テーマ「アトピー性皮膚炎・私の治療」
座 長  玉置昭治  (尼崎医療生協病院)
演 者
1)佐藤健二 (阪南中央病院皮膚科)
        「入院生活の実際」
      2)藤澤重樹 (藤澤皮膚科)
     「ストレス緩和と不安の少ない治療による自然治癒力の活用」
3)隅田さちえ (さち皮ふ科クリニック)
        「小児の生活スタイル」と「皮膚を水にぬらさないということ」
4)玉置昭治 (尼崎医療生協病院皮膚科)
      「当たり前のことを、当たり前にやりましょう」

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2月のサロンド・アト

2011-02-12 18:39:50 | サロンド・アト
かぐや姫です 今日は朝から大雪で、とても寒い一日でした 明日は晴れるようですが、気温はどうでしょう・・・

今日は、2月のサロンド・アトがありました。 久しぶりの成人女子会で、おしゃべりモードのアトでした

まずは、5年前に大学生の時にはじめてアトに参加してくれた方 今は社会人となり、毎日を大切に自分と向き合い新しい自分にリセットして5年間を過ごされた結果、とても良くなられていました。なかなか良くなられると、アトに参加してくださる方はおられないのですが、彼女のように体験や現状を今頑張っておられる患者さんに伝えてくださる方に会えると嬉しくなります 彼女が実践していることをご紹介します。

◎下着や直接皮膚にあたる状態できる衣服、パジャマや枕カバーやシーツなどはシルク製をご愛用。皮膚への刺激が少なく、快適。暖かく重ね着もしやすい。洗ってもすぐ乾く。などと身につけると、他には変えにくいと感じるほど。

◎食事は和食中心。食事の時には最低でも30回は噛む。便秘がちだったお通じが改善。食事のおいしさを実感できるようになり、食べられることに感謝できるようになった。噛むことで食べる量も少なくて済む。

◎水分は1時間に一口程度であまりとり過ぎないようにしている。お白湯を飲むことが多い。飲み続けると、お白湯が美味しいと感じられるようになった。

◎症状が再び出ると、『アトピー革命』の本を読んで、対処法などを確認している。

◎洗顔、洗髪、入浴は極力控える。洗顔や洗髪もできるだけ素洗い。体も含め、過剰に皮脂をとり過ぎないように気をつけている。

◎脱ステ最中は、歩くようにしていた。

などなど。毎日の生活の小さなポイントの積み重ねが体と心をリセットしていくことが証明されていると思います。

もう一人の方は、30年以上もステロイドを使い続け、脱ステに失敗したり、健康食品をしっかりたべたり、整体なども挑戦したけれど改善されず、さち皮膚科と出会えたご縁で年末年始の2週間、豊富温泉に湯治に行かれた方 皮膚もお顔も先月のアトの時に比べたら、とてもすっきりされていました。手を始め、あちこちにできていたかさぶたが取れ、随分楽になられたようでした。「2週間でちょうど良かったという感じですが、時間がない方は1週間でも行かれれば随分楽になると思います。」と言われていました。

今の時期は風も乾燥していて強く吹き、皮膚が乾燥しやすく、体も冷える季節です。冬に悪化しやすい方は、冷え対策を大切に 私のお勧めは、靴下の重ね履き できればシルクの5本指靴下+綿の靴下の最低でも2枚は履きます。家にいるときは、さらに重ねて履くと暖か~い あとは歩いたり筋肉を使うように努力することですね 自分から熱を発することができるようにすることが大切です
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小児における、成人型アトピー皮膚炎

2011-02-04 22:36:49 | サロンド・アト
かぐや姫です 今日は立春、暦の上では春になります 寒さも暦を知っているかのように、一段落。 少し過ごしやすくなっています

今日は、『赤ちゃん・子どものアトピー治療』 佐藤建二・佐藤美津子著 子どもの未来社より 一部をご紹介します。

小児においてなぜ「成人型」なのかと不思議に思われるでしょう。しかし、成人型アトピー性皮膚炎は、本来のアトピー性皮膚炎にステロイド依存症皮膚症を合併したものですので、年齢には無関係なのです。

本来のアトピー性皮膚炎とは、ステロイドやプロトピックで治療されたことのないアトピー性皮膚炎です。ステロイド依存症皮膚症とは、ステロイド外用剤を塗布し続けなければ正常に機能しない、ステロイドに依存状態となった、言いかえれば、ステロイドに中毒になった皮膚の状態です。

ステロイドに中毒になった皮膚の状態を、麻薬中毒と比較してみましょう。コカイン等の麻薬に対する中毒患者は、麻薬を使用している間は苦痛を訴えたり凶暴になったりはしません。麻薬を使い続けていると、少しずつ効きが悪くなり麻薬の量が増えて来ます。それでも効いている間は、正常人のようです。しかし、薬物がなくなると、激しい離脱症状が出現します。そして、時には狂暴にもなります。

これと同じように、ステロイド外用剤には皮膚はツルツルでかさつきもなく、一見健康そうな皮膚に見えます。治療がうまくいっていると考え、外用を続けていると少しずつ薬の効きが悪くなり、薬の強さを強くしないと効かなくなってしまいます。しかし、いったんステロイド外用を中止すると、激しいかゆみが出現し、ビラン・滲出液・痂皮・亀裂などの離脱症状を示し、痛みも加わるために精神的にも不安定となります。ステロイド依存性皮膚症とは、このような状態を抱え込んだ中毒状態と言えます。

ステロイド外用を始めてどのくらい経てば依存状態になるかには、個人差があるようです。あるお母さんは、赤ちゃんに3~4日外用するだけで依存状態になったといわれました。一般的には、次のように考えられます。外用中止で外用部位だけが悪化するならば、依存状態であるとは断定しにくいですが、一日外用しないだけで外用部位が悪化するならば、可能性は高いでしょう。外用中止で外用部位以外も悪化すると、すでに依存状態になっていると考えるべきです。(続く)

成人型アトピーは、要するにステロイドを使用した治療を行うことで引き起こされる症状だということでしょう。それ故に、深刻化し長期化する恐ろしさがありますね
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