2009年/イタリア=スペイン/127分
原題:IO,DON GIOVANNI
監督:カルロス・サウラ
出演:ロレンツォ・バルドゥッチ、エミリア・ヴェルジネッリ、リノ・グワンチャーレ
映画好きな友人が最近『オーケストラ』と『ドン・ジョヴァンニ』を鑑賞したと話してくれた。どちらもいい作品だけれど『ドン・ジョヴァンニ』は殊に面白かったとのこと。
『ドン・ジョヴァンニ』!モーツアルトのオペラの中では特に好きなんだよなぁ~
TVで見たチェコの歌劇場の『ドン・ジョヴァンニ』、ヤン・シュヴァンクマイエルがチェコの人形劇で見せた『ドン・ファン』(1970年/33分)が今まででは特に印象深い。友人があんなに面白いという作品であるし機会があれば是非観てみたいと思った。
と、何たる偶然!!近くのLet'sシネパークで一週間限定で上映されたのだ。
何の予備知識もなく、ドン・ジョヴァンニを描くか、モーツアルトを描くかだろう、など思いつつ、監督がカルロス・サウラ!!とそれだけは知ってこれは期待大~!と勇躍出かけた
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ところでこの作品の主人公はドン・ジョバンニでもなくモーツアルトでもなく、モーツアルトのオペラ『フィガロの結婚』『『ドン・ジョヴァンニ』『コジ・ファン・トゥッテ』の台本を書いたロレンツォ・ダ・ポンテ(Lorenzo Da Ponte, 1749年3月10日 - 1838年8月1日)、その名は知っていてもその人については全く知らなかったダ・ポンテ。彼はユダヤ人の家庭に生まれ、ユダヤ教からキリスト教に改宗しロレンツォ・ダ・ポンテとなる。その後、聖職者となるが、放蕩の末ヴェネツィアから追放されウィーンに赴きそこで台本作家として認められていく。
この中でダ・ポンテとモーツアルトはいかにして『ドン・ジョヴァンニ』を創り上げて行ったのかが明かされる。台本に投影されるダ・ポンテのそれまでの生活、その台本に協力したジャコモ・カサノヴァの人生、そしてモーツアルトの姿。そうした作品を生み出す過程そして葛藤のすべてが、彼らの活躍したウィーンの宮廷とその時代を背景に色濃く目の前に写し出されるのだ。そして劇中劇として演じられるドン・ジョバンニの面白さ。そういえばちょっと出ただけのツェルリーナも印象に残った。ドン・ジョバンニとの掛け合いが何ともリアルで、だからこその可笑しさを誘われた。
素晴らしい映像と音楽に浸るあっという間の127分だった~
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