小中英之歌集『過客』より
芹つむを夢にとどめて黙ふかく疾みつつ春の過客なるべし
嗟嘆にはことわりあらず月明の連翹一株ひたすら黄なり
ランタナの花衰へてゆくときをいろ濃くなりし罪の匂いす
蘭を売る店には寄らず帰りしがわがひとりごと蘭花のごとし
佐美雄死後秋立つ朝の桔梗のふたたび咲きてつねより白し
ぎんなんの散らばりてゐん革命をいへば必ず広場のありて
いろいろと木の実を置きてながむればわが感情も銀河のごとし
椿には椿のいのちくれなゐのふかきに耐えて孤独なりけり
海よりのひびきあつめて咲くやうな椿に逢へば合掌したし
山茱萸の花明るくて相聞歌ふさはしき花水ぬるみたり
そのうちに来るものとしてよろこばん柊の花は死のにほひして
芹つむを夢にとどめて黙ふかく疾みつつ春の過客なるべし
嗟嘆にはことわりあらず月明の連翹一株ひたすら黄なり
ランタナの花衰へてゆくときをいろ濃くなりし罪の匂いす
蘭を売る店には寄らず帰りしがわがひとりごと蘭花のごとし
佐美雄死後秋立つ朝の桔梗のふたたび咲きてつねより白し
ぎんなんの散らばりてゐん革命をいへば必ず広場のありて
いろいろと木の実を置きてながむればわが感情も銀河のごとし
椿には椿のいのちくれなゐのふかきに耐えて孤独なりけり
海よりのひびきあつめて咲くやうな椿に逢へば合掌したし
山茱萸の花明るくて相聞歌ふさはしき花水ぬるみたり
そのうちに来るものとしてよろこばん柊の花は死のにほひして