臆病なビーズ刺繍

 臆病なビーズ刺繍にありにしも
 糸目ほつれて今朝の薔薇薔薇

「栗木京子第二歌集『中庭(パティオ)』」鑑賞

2017年04月25日 | 諸歌集鑑賞
○ 扉の奥にうつくしき妻ひとりづつ蔵はれて医師公舎の昼闌け

○ 女らは中庭につどひ風に告ぐ鳥籠のなかの情事のことなど

○ 天敵をもたぬ妻たち昼下がりの茶房に語る舌かわくまで

○ 庇護されて生くるはたのし笹の葉に魚のかたちの短冊むすぶ

○ やすやすと抱かれてしまふ女をり体温もたぬ劇画のなかに

○ 粉砂糖ひとさじ掬ひわたくしに足りないものは何ですかと問ふ

○ 茹でし黄身の周りわづかに緑色帯ぶるほどの羞恥か生くるといふは

○ 馬鈴薯の凹凸にナイフ添はせつつ意地悪さうにわが指動く

○ 夜の壁にサキソフォンたてかけられて身をふた巻きにする吐息待つ

○ 標的となるまでわれは華やがむ花びらいろの傘まはしあゆむ

○ 傘の先新芽のごとく空に向け春雷とほく鳴る街をゆく
   
○ ひらきたる傘を支へて漆黒の柄はぬめぬめとをみなの器官
  
○ 濡るることいまだ知らざる傘の花ひしめきてショーケース華やぐ
  
○ 傘の上を雨はななめにすべり落ち結末を知りつつも夢追ふ
  
○ レート高き賭してみたし夕風にすすぎ物あたま取り込みながら

○ 失せし物ふるさとの部屋の机の上に届きをらむと思ふ夕暮

○ サーカスにたとふればいかなる見せ場かといさかひののち夫に酒注ぐ

○ 夢のなかにいつか棲みつきし人をりて雪ふれば冬の表情をもつ

○ ひらかなを子にをしへつつ調教師は猛獣よりもさびしとおもふ

○ 真昼間のタモリの艶めくくちびるに舐められゐたりテレヴィに向きて

○ 耳かたむける仕種はなべて愛を帯び調律師光る絃に近づく

○ 思ひきり男の頬を殴りゐる少女照らして痩せぎすの月

○ 素直なる言葉はみじかき言葉なり夫に寄り添ひ夜の病舎出づ

○ 灯の下にあはき化粧をひき直す 罠と知りつつ蜘蛛は巣張るや

○ 葉洩れ日のをどる車窓にひとり坐す飼はれて泳ぐ身は晶しけれ

○ 止まりたる掛時計はづし裏返すなまなまと恥多きわが身は

○ 青年の右肺に管を送り来し夫の手夜更けのベッドより垂る

○ 若き脳ひらき見し手か爪まるき外科医の指をおそれつつをり

○ 背をかがめ子を抱くときの長身よ外科医の指はやはらかき鈎

○ 病巣を抉り来し夫の手の温さ魚を裂きたるわが掌冷ゆるを

○ 夕焼のもゆる広さはわづかにてもはや産まざる肉叢の冷え

○ わが四肢をマリネ漬けにせむ降りつづく雨にはかすか鬆き匂ひす

○ 春寒や旧姓繊く書かれゐる通帳出で来つ残高すこし

○ かじりゐるウェハース溶け前歯溶けわれも溶けゆく小春日の午後

○ 高層のオフィスにひとつ灯は残り遺影のごとく人かげ嵌る

○ 夫婦してダブルスを組み打ち交はす球の行方よ 退屈な雲

○ 踏切のむかうも小雨 煤けたる壁にE号棟とふ文字見ゆ

○ 海に沿ふ車窓にほくろと薄紅き唇昏れ残り女は泣きをり

○ せつなしとミスター・スリム喫ふ真昼夫は働き子は学びをり

○ 雛のすしに散らすみどりの絹さやのほろ苦きほどの愛保ちきぬ

○ あざやかに塗り分けられし人体図の臓腑を呑みてうつそ身昏し

○ 夜に入りてやうやくに雪やみしかな泣きて勝ちたるいさかひのはて

○ 粉砂糖ひとさじ掬ひわたくしに足りないものは何ですかと問ふ

○ 子のために面接試験に連れ立てりジオラマめきて冬の家族は

○ 飢餓感にちかき空腹感きざす雨のひと日を吾子とこもれば

○ 風落ちて平たくなれるゆふぞらにぎんがみかざし子は切りはじむ

○ 光れるは水のみとなる真夜中にしろがねのごときわが渇きあり

○ ひらかれし手術室(オペしつ)のごと明るくて高速道路の果ての給油所

○ いくつもの把手にふれしゆびさきは夜更けて吾子の耳たぶを撫づ

○ をり鶴のうなじこきりと折り曲げて風すきとほる窓辺にとばす

○ サンタナのハンドル握る朝々よ配所に夫と子を送るべく

○ つぎつぎにもの裏返し陽に晒す酷さを糧とし妻の日々あり

○ 悲しいとアイロン掛けがしたくなる衿先揃へピンと尖らせ

○ 実家にて寝坊してをり母の手がつぎつぎに生む音を聞きつつ

○ 浴身を清むるごとく冷蔵庫の内外ゆたかに磨き上げたり

○ 鍋に火を入れて酒精を逃しやる夏のただむきまだ白きまま

○ 大ばさみの男の刃と女の刃すれちがひしろたへの紙いまし断たれつ

○ 子の描きしクレヨンの線ひきのばし巻き取り母のひと日は終はる

○ 白あぢさゐ雨にほのかに明るみて時間の流れの小さき淵見ゆ

○ ゆで玉子銀のボールに冷しおき頭をよせてしばし吾子とねむらむ

 [反歌]  電子式返却装置をくぐりぬけ無菌化されたか『中庭(パティオ)』一冊
 
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「角川『短歌』平成20年2月号」を読む

2017年04月14日 | 古雑誌を読む
 神作光一作「京都界隈ー『源氏物語』千年紀(ミレニアム)」を読む

○ 六条の御息所が幻に顕つかと思ふ雪の嵯峨野は
○ 黒木なる鳥居くぐるや簡素なる小柴垣にも雪降りかかる
○ 生き霊となりて取りつき本妻の葵の上を苦しめし女人
○ 「北山のなにがし寺」に擬す古注あるゆゑ立ち寄る大雲寺へと
○ それぞれが旅での無事を祈れるや街道沿ひの寺の鞋は
○ 姫君と共に明石の御方が移り住みしは此処ら辺りか
○ 嵐山は「絵合せ」以下の三巻に関はり深き地と知り歩む
○ 山裾にひそと建ちゐる石仏に霰たばしる容赦もあらず
○ 竹の幹に次々積もる雪を分け奥野の宮への細道たどる
○ 公園にあまた建ちゐる歌碑のなか紫式部の一基を探す
○ 紫の色にて石に彫られをり紫清ふたりの百人一首は
○ 「由良の門」の歌碑を見しのち二尊院前の茶屋にてひと休みする
○ 廬山寺の「源氏の庭」の白砂に桔梗咲く頃再び訪はむ
○ 境内を抜けて只管登りゆく小塩山への一筋道を

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「栗木京子第五歌集『夏のうしろ』」鑑賞

2017年04月12日 | 諸歌集鑑賞
○ 大雨の一夜は明けて試し刷りせしごと青き空ひろがりぬ

○ 風景に横縞あはく引かれゐるごときすずしさ 秋がもう来る

○ 死真似をして返事せぬ雪の午後 生真似をするわれかもしれず

○ 雨降りの仔犬のやうな人が好き、なのに男はなぜ勝ちたがる

○ 書き終へて手紙となりしいちまいのこころに朝の日は照り翳る

○ さびしさに北限ありや六月のゆふべ歩けど歩けど暮れず

○ 竜胆の咲く朝の道この道を歩みつづける復員兵あり

○ 九月来て昼の畳に寝ころべばわがふとももの息づきはじむ

○ 反則で少し使ふ手にんげんの手は罪深くうるはしきかな

○ ふうはりと身の九割を風にして蝶飛びゆけり春の岬を

○ この寺を出ようとおもふ 黄昏の京を訪へば彌勒ささやく

○ 国家といふ壁の中へとめり込みし釘の痛みぞ拉致被害者還る

○ 音出さぬときレコードは垂直に立てられて夜の風を聴きをり

○ チンパンジーがバナナをもらふうれしさよ戦闘開始をキャスターは告ぐ

○ 夏のうしろ、夕日のうしろ、悲しみのうしろにきつと天使ゐるらむ

○ 舟遊びのやうな恋こそしてみたし向き合ひて漕ぎどこへも着かず

○ 晴れわたる卯月の空よわが一生ひとを殺さぬまま終はれるか

○ どうでもよいことはきちんとやり遂げて海峡を渡る恋などもせず

○ ぶらんこを真すぐに止めて降りしのち二十年は過ぐ恋もせぬまま

○ 指に合ふ手袋はめしことのなき生かなしみぬ聖夜の街に

○ 崩れゆくビルの背後に秋晴れの青無地の空ひろがりてゐき

○ のりしろに紙を重ねて平らかに身ゆる世界よテロより半年

○ 靴下をはきたる救助犬あまた火災の熱のこもる地を嗅ぐ

○ 大統領の妻はなにゆゑいつ見ても笑顔であるか次第に怖し

○ 晴れわたる卯月の空よわが一生(ひとよ)ひとを殺さぬままに終はれるか

○ 隣室に武器の音聞くこともなく生き来て春の菜を刻みおり

○ ほほゑみにレースの縁取りあるやうな若さを遠き二十歳と思ふ

○ いのちより明るき色を身ぶるひて絞り出したるのち紅葉散る

○ 「逢ひたい」から「忘れたい」まで恋ごころ容れて楕円の枇杷熟したり

○ 日だまりに坐せば腰湯のあたたかさとろりとわれは猫になりゆく

○ 音すべて蒸発したるのちの世の明るさよいちめん菜の花ばたけ

○ 苦しみののちに来る夏 真ふたつに背中が割れて飛べる気がする

○ 午前より午後へと秒針移りたりかかるとき人は恋に落つべし

○ 夫宛ての郵便渡しに部屋へゆく雲より柔きとびらをあけて

○ 普段着で人を殺すなバスジャックせし少年のひらひらのシャツ

○ ねむたさよ春の子供のかばんにはカスタネットがあくびするらむ

○ 霜柱のやうな小部屋の並びゐてハモニカはつんつんさびしき楽器

○ 苦しみののちに来る夏 真ふたつに背中が割れて飛べる気がする

○ 児を抱きて虹を見せゐる人ありぬ児はただとほき青見るのみに

○ 梅の香に立ちどまりたり税務署への、恋への、死への、道順忘れ

○ 女優の写真あまた売らるるバザールに自由はむつと匂ひ立つなり

○ 赤き布縫ひ終へしのち湯に入れば身よりほつれて赫き糸浮く

○ 亡き祖母の時計はめれば秒針は雪野をあゆむごとく動けり

 
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「角川『短歌』2017年1月号」を読む

2017年03月22日 | 古雑誌を読む
    「うたびとの墓」  吉田隼人


胸郭のうちにも月ぞ昇りゐむふるき仏蘭西の雑誌よむころ

闇に眼はいよいよ冴えて宙空に息詰まるほど花のまぼろし

かげろふのあをき慄へに存在のあさきゆめみし炎熱の夜を

絶滅の危機に瀕してわが書架に収められゆく旅の蝶たち

筆擱きてなほものぐるひしづまらぬ暁烏その聲のみ聞こゆ

あをあをと揺るる夏の田 詩歌へのおもひ萎えつつ白鷺飛ばず

鳥類のこぞりて墜つる蒼空のふかみに風の鉱脈あらむ

うたひつつうたを棄つるか白昼に影ひとつなく咲く夏の花

熱風にさらす身にしてたましひの底ひに夏の花散りやまず

植ゑもせぬ百合ひとくきの咲きて枯るおろかきはまる詩論に傷み

  かすみ草は英語にてBaby's breathと称す由。
わがうたの殯も為さむそののちのわれに手向けよ霞草(みどりごのいき)

かなしみに似て白き夏びようしんを天使に抱かることもなく過ぐ

夏の最期のひかり浴びけむひさかたの天使住居街(ロス・アンジェルス)の浜田到も

夏草やうたを棄つればうたの墓 となりに白きうたびとの墓



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「角川『短歌』2017年2月号」を読む

2017年03月21日 | 古雑誌を読む
   橋本喜典作「芸に遊ばむ(31首)」より抜粋

身弱くも数限りなき恩愛を享けて八十八年の生      

籠らむと最晩年を意識してつくりし書屋にわれの椅子あり

祝はるるわれ立ち上がり声に言ふ喜寿の君らに乾杯をせむ

聞こえざる耳傾けて聞かむとし目の前にある天婦羅食へず

日の脚の退きゆく見つつ背のびして洗濯物を取り込みてをり

久久に往還に見つ目的をもちて車の疾駆するさま

ご近所のいつも笑顔の人に会ひ立ち話ながくなりさうな妻

誘眠剤効かざることを幸ひに一首にむかふ暗きなかにて

師の墓に参らぬ三年晩秋の雑司ヶ谷墓地を思ひゑがくも

新しき己に会ふをたのしみに吾はも古き芸を遊ばむ
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一読三嘆!奇々怪々!

2017年02月03日 | ビーズのつぶやき
 例に依って例の如く、退屈任せに古雑誌を飛ばし読みしていたのでありますが、本日は、短歌総合誌「(角川)短歌」の1014年11月号の誌上で、大凡、短歌に関わる者としては決して見逃す事が出来ないような記事に出逢いましたので、件の記事に関連して、一言二言、私自身の老いの繰り言を述べさせていただきます。
 同誌は、「第六十回・角川短歌賞」の入選者発表号であり、入選者や次席者などの所属結社や氏名や当該作品が掲載されているのであるが、それらの記事と共に、その選考に当たった選者の方々に拠る「選考座談会」の記事もされている。
 その選考座談会に於いて、「短歌人」の小池光氏、「まひる野」の島田修三氏、「かりん」の米川千嘉子氏、「未来」の東直子氏といった、現代歌壇のお歴々とも思われる選者の方々が、その道に永年携わって来た方々、即ち、プロの歌人とは思われないような内容の、お粗末なご発言をなさっていらっしゃるのである。
 それと言うのは、当概年度の予選通過作品・三十二篇の中に選ばれ、前掲の選者四名の中の、島田修三氏及び東直子氏から候補作の一つとして推薦された作品、結社誌「未来」所属の若手歌人・山階基さん(二十二歳)の連作五十首「寒い冬」の中の二十三首目の「振り返らんことも増えたさ人波に知つた匂ひがまたひとつあり」に就いての、四選者の方々の発言内容である。
 私は本日、本文に於いて、それら四名のプロ歌人の方々の発言内容が、「如何に常識外れのものであったか」と、〈悲憤慷慨、慨嘆の意〉を述べさせていただく所存でありますが、その目的を果たすためには、当該記事の当該箇所を引用した上で論旨を展開する必要があります。 
 就きましては、掲載誌「(角川)短歌」の版元及び、前掲の四名の選者の方々には、大変失礼ではありますが、以下、同誌から関連箇所を引用させていただきます。

 米川  (前略)二十三首目〈振り返らんことも増えたさ人波に知つた匂ひがまたひとつあり〉の「振り返らんこと」も引っかかる。
 島田  「振り返らん」の「ん」って何なの?
 米川  分からないです。
 島田  婉曲か希望だよね。「振り返るようなことも増えた」、あるいは「振り返りたいことも増えた」のか。
 米川  七首目〈冷え込みにひたしたぎこちない素手をひらいて両頬をつつまれる〉の「冷え込みにひたした」も微妙に引っかかる。
 島田  この人の持っているある違和感の表明がこのように歪むんだろうなと僕なんかとる。掴みどころがないけど、この人なりの最大の自己表出をしているような気がする。
 小池  こういうタッチで歌を作るなら新仮名だと思う。旧仮名の部分がすごく不自然でその部分だけぴょんぴょん飛んでくる。
 島田  かっこいいらしいんだな、旧仮名が。
 東   「振り返らん」みたいな文語っぽいものを入れようとしたんですね。
 島田  「振り返らん」なんて、すごい変な言い方ですよ。「振り返りたい」のか、「振り返るような」なんて婉曲で言うわけないしね。
 東   もしかしてこれ、「振り返らないこと」じゃないですか。話し言葉では、「そんなもん振り返らんよ」と言う。
 島田  「ん」って意思だよ。「む」だから。「振り返ろう」と。
 東   韻律については、トラディショナルな短歌的な流麗な韻律は避けたいという意思があるんじゃないですか。四十六首目〈ごく細い棒を差し込む労力のリセット機能は日常の隅〉、普通だったら「労力」というごつごつした散文的な言葉は入れない。
 島田  「振り返らん」は口語か。四十五首目〈よくわからんまま持たされてひきずってまだ破れない丈夫な袋〉、「よくわからん」と言っている。これと同じなんだ。「振り返らない」と言ってるんだ。でもそうとれないよな。表記では。
 (以下、省略)

 本ブログの愛読者の方々に於かれましては、今更、私ごとき若輩が講釈を垂れるまでもなく、既にご存じの事でありましょうが、件の山階基さん作中の「振り返らん」の「ん」の正体は、〈口語の打ち消しの助動詞「む」の連体形「む」が転化したもの〉であり、我が国有数の万葉学者であり、結社誌「まひる野」のご重鎮であり、愛知淑徳大学の学長でもあられます島田修三氏が、この一連の喜劇的な対話の結論としてお述べになっているが如く、「振り返らん」の意は「振り返らない」である。
 しかしながら、この程度の文法知識は、出来の良くない中学生や高校生でさえも、日常生活で取得した経験則から取得している、基本的な知識なのでありましょう。
 従って、民放テレビのくだらないお笑い番組のネタにも値しない、この一連の珍妙な対話の元凶が何方かと特定して申すならば、それは、彼の愛知淑徳大学の学長殿でありましょう。
 だが、他のご三方に於かれましたも、「その責任は私にはありません」などと、大口を空けて言われない事は、前掲の引用部分を詳細にお読みになられますと、歴然として証明される事なのでありましょう。
 我が国を代表する国文学者でありながら、〈口語の打ち消しの助動詞「む」の連体形の「む」が転化した「ん」〉の存在に気付かなかった島田修三氏の文法知識のお粗末さは、大凡、プロ歌人や万葉学者を名乗るには値しませんが、彼の〈一読三嘆の放言〉に適切なアドバイスも出来ずに、彼・島田修三先生に無駄な論の展開を許した、小池・米川・東のお三方も、あまりと言えばあまりにも無気力な〈選者振り〉ではありませんか!

 それにしても、「『振り返らん』なんて、すごい変な言い方ですよ」なんて言い方は、国文学者の言い方とは思えないような〈すごく変な言い方〉ではありませんか!




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「歌会始の儀(平成二十九年)の御製など」に就いて

2017年01月18日 | ビーズのつぶやき
天皇陛下
 邯鄲の鳴く音(ね)聞かむと那須の野に集ひし夜をなつかしみ思ふ

 「邯鄲」とは、「直翅目カンタン科の昆虫であり、秋に鳴く虫の代表種で、コオロギの一種であるが、コオロギの中では例外的な淡黄緑色ないし淡黄褐色をしており,雄は昼間からルルルルル……という繊細であまり強くない連続音を出して鳴く。」
 「邯鄲の鳴く音聞かむ」と秋の一夜に「那須の野に集ひし」とは、さすがにご皇族の方々ならではの優雅さである。
 同じ昆虫の鳴く音をお聞きになられるにしても、それが蟬や轡虫やオケラや地虫では無くて、「邯鄲」である点が頗る奥ゆかしいところであり、同じコオロギの仲間であっても、ツヅレサセ
コオロギの場合は、その名前からして貧乏たらしいし、タンボコオロギの場合は、「ジャッ、ジャッ、ジャッ、ジャッ」 と蛙のような声で鳴くので、ご皇族様の集いの場で鳴く昆虫の音色としては、かなり下卑た声というべきでありましょう。
 ところで、作中に「集ひし夜をなつかしみ思ふ」とありますが、天皇陛下と皇后様と、他に何方様がいらっしゃったのかしら?ご皇族からご離脱なさったご息女様はいらっしゃったのかしら?
 一介の庶民に過ぎない私ではありますが、斯かる事柄に就いては、頗る興味の湧くところではあります。
 [反歌] 邯鄲の夢の枕に過ぎざればしもじも吾の労苦は言はじ


皇后さま
 土筆摘み野蒜を引きてさながらに野にあるごとくここに住み来し

 「土筆」は「摘み」、「野蒜」は「引く」ものである、との、日本語の言葉使いのテキストの如き表現は、さすがに美智子皇后様ならではの一首である。
 少し冗談を言わせていただきますが、「さながらに野にあるごとくここに住み来し」とありますが、「野」と言っても様々の「野」があり、私たち庶民の棲む「野」は、アベノミクスの暴風が吹き荒れている「野」であることを、美智子皇后様はご承知でいらっしゃいましょうか?
 冗談です!冗談ですから、皇后様には、何卒、お気遣いなさらないになさって下さいませ。
 [反歌] 野花摘み草を食ひつつ永らへて喜寿を迎へる吾にかあらむ


皇太子さま
 岩かげにしたたり落つる山の水大河となりて野を流れゆく

 一首全体の、奥行が深くゆったりした趣と歌柄の大きさは、さすがに皇太子さまの御作である。
 [反歌] 岩陰にしたたり落つる清き水やがて庶民の暮らしを潤す  


皇太子妃雅子さま
 那須の野を親子三人で歩みつつ吾子に教ふる秋の花の名

 「こんな時代もありましたか!」という気持ちになった一首である。
 「吾子」さま共々ご療養なさっておられるかと拝察致しますが、歌会始の儀の会場・皇居宮殿松の間に、そのお美しくもご聡明なるお姿がお見えにならなかった事は、一国民としての私・鳥羽省三にとっては、とてもとてもとてもとても残念な事でありました。


秋篠宮さま
 山腹の野に放たれし野鶏らは新たな暮らしを求め飛び行く

 「山腹の野に放たれし野鶏ら」と異なり、「新たな暮らしを求め飛び行く」ことが出来ないのが皇族の方々でありましょうか?
 でも、秋篠宮様に於かれましては、結構のびのびとなさって居られるようにお見受けしますが、その点に就いては如何でありましょうか!
 [反歌] 山腹の野に放たれし猪の新田四郎に名を成さしめき


秋篠宮妃紀子さま
 霧の立つ野辺山のあさ高原の野菜畑に人ら勤しむ

 私ども庶民のよく行くスーパーの牛乳売り場の一郭に「野辺山牛乳」という銘柄の特売牛乳が山を成して積み上げられている事を、本作の作者の紀子さまはご存知でありましょうか?
 また、野辺山高原産の大根は「沢庵漬け」として出荷され、私たち庶民にとってのお馴染みの味になっているのであり、野辺山高原産のレタスやキャベツやトウモロコシなども、今となっては欠かすことの出来ない黄緑野菜として、私たち庶民の食卓を朝な夕なに賑わわせて居ります。
 あれもこれも、秋篠宮妃・紀子様のご清潔及びご聡明の余慶なのかも知れません。
 [反歌] 霜冷ゆる朝の道ゆく昆布屋の「こんぶ、こんぶ」の振れ声わびし


秋篠宮家長女眞子さま
 野間馬の小さき姿愛らしく蜜柑運びし歴史を思ふ

秋篠宮家次女佳子さま
 春の野にしろつめ草を摘みながら友と作りし花の冠

常陸宮妃華子さま
 野を越えて山道のぼり見はるかす那須野ヶ原に霞たなびく

 皇族の方々は、皆様それぞれ「歌会始の儀」の場でご披露なさるに相応しい御作をお詠みになって居らっしゃるものと思いつつ拝読させていただきました。
 「歌会始の儀」でご披露になられる皇族の方々の御作は、本質的には、この年一年の世界平和と我が国国民の生活の穏やかならん事を祈願する御歌、即ち・祝詞に近いような性質を帯びたお言葉でありましょうから、その出来如何に関わらず、それぞれおめでたく有り難いお言葉として、私・鳥羽省三は拝し奉りました。
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「歌会始の儀(平成二十九年)の召人・選者の詠進歌」に就いて

2017年01月18日 | ビーズのつぶやき
召人
 久保田淳さん
 葦茂る野に咲きのぼる沢桔梗冴えたる碧に今年も逢へり

 本年、めでたく召人に選ばれた久保田淳さんは、中世文学研究・和歌史研究に永年に亙って勤しみ、平成25年度文化功労者として顕彰された国文学者である。
 作中の「沢桔梗(サワギキョウ)」は、「キキョウ科ミゾカクシ属の多年草であり、濃紫色の花が美しい山野草であるが、有毒植物としても知られる。」


選者
 篠弘さん
 書くためにすべての資料揃ふるが慣ひとなりしきまじめ野郎

 三枝昂之(さいぐさたかゆき)さん
 さざなみの関東平野よみがへり水張田(みはりだ)を風わたりゆくなり

 永田和宏さん
 野に折りて挿されし花よ吾亦紅(われもこう)あの頃われの待たれてありき

 今野寿美さん
 月夜野(つきよの)の工房に立ちひとの吹くびーどろはいま炎(ひ)にほかならず

 内藤明さん
 放たれて朝(あした)遥けき野を駆けるふるさと持たぬわが内の馬

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「渡辺松男第8歌集 『きなげつの魚』」を読む

2017年01月05日 | 諸歌集鑑賞
   渡辺松男第8歌集 『きなげつの魚』

ひまはりの種テーブルにあふれさせまぶしいぢやないかきみは癌なのに

手をたれて(いま手をたれて病むひとの手の数に慄然と)われあり

幾山河花の承けたる足のうら靴下はかず焼かれたりけり

てのひらのぬくみつたふるためにのみ永遠のきよりよをなきひとは来る

あしあとのなんまん億を解放しなきがらとなりしきみのあなうら

わがいまのすべてはきみの死後なればみる花々にかげひとつなし

亡き妻の素肌のやうな雲海をベッドとおもふ曙光を受けて

亡き妻は牡丹となりぬみづからを隠す牡丹のたれにも見えぬ
 
をみなてふあをいかがみに逢ひにけりおもてながるるせせらぎのおと

死にしゆゑわれより自在なるきみのけふたえまなくつばなとそよぐ

なき妻もこはるびよりにぴんぽんの球ほどとなりかるらかに跳ね

うづ銀河うづまくかなたいづみありくりすたるりんごを妻ともふとき

みえぬところはいかなるところ亡妻を恋ひみえぬひばりをまぬる口笛

世にたつたいちまいの空ひるがへり黒あげはみゆ君なきわれに

亡ききみへプレゼントだよ鶯を藪にしまひて藪ごとあげる

亡ききみのまなつのゑみのすがしさのみえて湖畔にやなぎらんゆる

なきひとのあなたとゐると落ちつきて透きとほつた池は底のもみぢ葉

耳のおくのみづうみ荒れてゐるけふはまゐつたな死が憎くてならず

かなしみは深空となりてあが瑠璃のかがみのからだヒマラヤ映す

みづからを花とし知らぬ花あまたまひあがらせてこの世の無人

墓石は群れつつもきよりたもちゐてしんしんと雪にうもれてゆくも

あさやけとゆふやけ孤悲の両翼をたたみてterraに添ひ寝をせむや
 
千年の牧場はたえず牛の雲おりきて牛となりて草はむ

無力はもいかなるちからすずしさをおもひぬシラネアフヒのいろの

こほりたる枯蓮の沼日のさせば氷のしたを機関車がゆく

あたたかにひと浮かぶれば木瓜の咲き庭の隅からあからみてきし

葉桜となりて道ゆくひと減れどあるくひとみな歩きうるひと

あはれみな名づけられたるものは死す いちえふらん こんな深山の花も

鈴がなり河骨咲きぬおもひでになるまえのここ水惑星に

蟬しぐれまひるあかるき球なれば蟬しぐれのなか木々くわいてんす

蟬が松おほひつくしてはげしかるゆふまぐれどき首の重たき

樹は港しらざるままに逝くべきを鳥は港とおもひて樹に来

おほきなるめまひのなかのちひさなるめまひかなこのあさがほのはな

みえぬみづながれてゐたり竹伐りてあかるくなりし分のせせらぎ

ちかごろ視野にむらさきゆたゆたゆれゐしがはつと気づけば藤もなにもなし

あぢさゐのみえざるひかりうけて咲みひかりさやげばあぢさゐのきゆ

おそろしきことながら紅葉ちりゆくはむしろ歓喜として個をもたず

ひえびえと紅葉のひと葉わがうちに立ちぬればそのひと葉がすべて

だんだんとわたしに占むる死者の量ふえきて傘にはりつくさくら
 

円墳にかかりしわづかなるかげの円墳すべておほふ掌となる

タイルの目朝のひかりにうきあがりタイルひとつにわれはをさまる

押上につまやうじ建つと聞きたればつまやうじの影に泣くひとあらめ

いろいろのこゑのなかみづいろのこゑのやがて死ぬ子のちゑのわあそび

がうがうたる華厳滝をおもへども滝を背負ひてゐる山しづか

をりづるの鶴のきらひなわれなればすさまじき西日ベッドにあびす

蹠の虚空にくひこむかんしよくをあぢはひにつつくわんおんあゆむ

なまづの肉いただきましたやがて無とならむといはれこさめふるひに

繊い枝にも蔓にも草にもつかまりて鳥類の趾のやうに不安だ

タイルの目朝のひかりにうきあがりタイルひとつにわれはをさまる

足の爪ふかくこごみて切りながら小雨と気づきてゐたり背後は

歯をみがき歯のかがやきをいかにせむ除夜の鐘鳴りをはるころなり

地下ふかくある美術館振子の絵いちまいありて振子の静思

とうざいなんぼく一月一日この世などうそのやうなあの世のやうなあめつち

白昼そのものをおとなしくみてゐしはまなつもふゆもガスタンクの目

寝釈迦また死者のひとりかあしもとにすみれの咲きて時のながれず

こくこくとあとのまつりのくりかへし火のゆれは火のかぜにおくれて

絶滅といふことは最後のオホカミがあつたのだ、その死後の銀漢

一生のあつみに似たるいちまいのうすら氷のうらおもての宇宙

いちぬけしときゆなんばんぎせる愛しやまひえて天球秘曲もきこゆ

いくど日は弧をゑがききやわうごんのその弧のなかに一本の松

臼ここにあるゆゑなんのわけもなくかなしいここにあるといふこと

われはわれ以外にあらずとめちやくちやなことおもへる日臼は石臼

臼をただ臼とし永くみてをれば臼のかたちの無のあらはるる
 
たれからも理解されざる哲学はわれひとりのとき臼はばけもの

青空は大莫迦だから頭入れあたまは五月の空の大きさ

ぢつとしてゐる石臼に追ひつけぬわれのあせりは木の葉ちりやまず

タイルの目朝のひかりにうきあがりタイルひとつにわれはをさまる

てのひらのあらざる鳩は手をかさねあふこともなく雪に二羽ゐる

てのひらにおほみづたまりあるゆふべてのひらを吾は逆さにしたり

むきだしのそんざいならぬもののなき炎昼をつりがねの撞かるる

めじろ眼を閉ぢておちけりわがいのちひとひのびなば鳥いくつおつ

ただ死ねばいいだけのこととどろける夕焼け空に大車輪みゆ

ひとに見せなば壊るるこころと知りながらときどきは人に見せては壊す

むかう岸へとどかむとする橋なればむかう岸からいとどしぐるる

くだけしはきなげつの魚 しろがねのクリップ都市に散乱したり

あッあッとかすかなるこゑ切株の銀河にのまれゆける蜻蛉の

旻天に遠くちひさく一生の反射のやうな銀のひかう機

たましひのありか教ふる雨音にこんなにうすく鼓膜はありて

われの呼気われともいへぬそよかぜのえながやまがらこならとあそぶ 

みじかかる世を鳴きたてし春蟬のすべてがわれかおちて仰臥す
 
くうかんを ちぢめ くうかんを ひろげ 銀河に芥子にわがみひびく身
 
春昼といふおほけむりたちぬればたゆたひてたれもゆめのうちがは
  
日ごと鐘空に澄めどもわがやまひきのふよりけふよくなるはなき

はるかなるみづうみにこころ置きながらすすりてゐたり薄霧の粥

どろりとせるなみだなかなかおちざれば初日といふに世界のゆがむ
   
あはれ蚊のしよぎやうむじやうのひらめきは掌につぶされしかたちとなりぬ
 








 
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「蒔田さくら子第11歌集『標のゆりの樹』」を読む

2017年01月04日 | 諸歌集鑑賞
   蒔田さくら子第11歌集『標のゆりの樹』


片靡く大すすき原風すぎておのもおのもに立ち直りたり

もつれあふごと濃やかな鳥のこゑ憂ひなく鳴くこゑとおもはむ

散りて乱るることなくいのち終へし花提げしづかに立つ花菖蒲

一線を越すか越さぬかきはどかる瞬いくたびか超えて永らふ

おさへ込みしづかに内に巻き締めし怒りもありぬ捩花の紅

おさへこみ多くを云はぬはつつしみと矜持にあらむみちのくの人

人ごころ複雑にして心根はわれひと共にあやめもわかぬ

としどしにさくらうたへど足らはざり足らはざるゆゑ生き継ぎうたふ

折り返しかへらむ標と見放け来しかのゆりの樹を誰か伐りたる

おそらくはこれが最後の一花なれ月の雫のごとく 夕顔

過ぎゆけばうするるものと時を経てみえくるもののあるにおどろく

ときに自恃ときに自虐といろ変へて老いの心身あやしつつ生く

死に後れたりとも或るは生き残りたりとも一つ身のをりふしに

泣きたいやうな夕焼けのいろ 日暮れにはこんな素直な衝動ありぬ

袈裟がけに空切るやうな数条の筋雲何の兆しかと見き

ルビありても解せぬ子の名の多き世に業平読めぬと駅名変はる

濡れ衣を着せらる着することもあれこの湿潤の風土に生きて

過ぎゆけばうするるものと時を経てみえくるもののあるにおどろく

またの春恃みて今年のさくら散り変はらぬものと変はりたるもの

誰もみな不安と怖れを抱きゐむと一体感もて立つ交差点

つくづくと言葉の無力を思ひ知るさあれ知るまで深く惟ひき

ことなげに歯科医の説きゐるレントゲン写真はまさにわがされかうべ

二人ありて心強きはいつまでか老い先おもふも二人分なる

またひとり逝きておもへばこの世とふ場に行き合ひし過客ぞ誰も

ああけふは友の祥月命日と夜半に気付きぬゆきてかへらぬ

さるすべり夾竹桃は夏の花 敗れし国を彩ひゐし花

面会の礼と短歌とダリアの絵送り来しのち処刑されけり

詠草に添へ来し赤きダリアの絵いかなる赤ぞ死罪負ふ身の

死刑の是非いふたびおもふ短歌とダリアに執せし人の処刑ははるか

かがまりてもやしのひげ根をとる厨些事にこだはる日は平和なれ

山鳩を聞くゆふぐれをさびしめど帰るべき家まだわれにある

もう少しもう少しといひのぼりゐしかの夢いづこに誘はむとせる

なに色とよばむかひつたりうつそみのひとの命に添ふ影の色

かがやかに没り陽が浄むたましひも五臓六腑もなき人の影


 
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迎春福笑い!『昭和の女優を詠む』特番!

2017年01月01日 | 我が歌ども
〇  新珠の三千代、本名戸田馨子、昭和五年の正月生れ

〇  勲四等宝冠章と紫綬褒章、両手に花の故・京マチ子

〇  八千草の薫いまだにお元気で皇潤飲んで階段昇る

〇  意外にも山本富士子は丈低し富士を名に負ひ五尺三寸

〇  お相手は中井貴一のパパでした「君の名は」主演・岸恵子

○  今風の「君の名は」ならアニメだが一字違ひで真知子とアクメ

〇  富司純子、寺島しのぶのお母さん、夫は音羽屋・尾上菊五郎

〇  久我美子、畏れ多くも元華族、村上源氏の末裔なりき

〇  司葉子 夫は陣笠議員にて相田翔子は愚息の嫁女

〇  銀幕の華と言はれし原節子、今は何処の高嶺の花か

○  銀幕の華も虚しく原節子 去年の九月三日に逝去

〇  李香蘭こと山口淑子こと大鷹淑子は三段跳びで国政壇上

○  往年の李香蘭こと大鷹淑子氏の死亡記事見ゆ時事ドットコムに

〇  『とんがって本気』を著し自らの小悪魔ぶりをあからさまに

○  「媚びない女優」の加賀まりこさへ『シクラメンの香り』に酔ひ痴れたとか

〇  愛称はデコちゃんだとか『二十四の瞳』の熱演いまも語り草

〇  度々のスキャンダルにも臆せずに未だ健在、母・三田佳子

〇  「君の美しさはバロックだ!」と若尾文子へのプロポーズの言葉

〇  薄命は女優を神の座に据へて、夏目雅子は今や精霊

〇  「見違えるほど肥えたね!」と言われても当然である!松坂慶子

○  「見違えるほど痩せたね!」と言つても宜しい!今の松坂慶子

〇  「ああ倉本さん、倉本さんに褒められましょ!」と恐悦至極の田中絹代は

〇  シカトされた裏番のやうな頬つぺたで浅丘ルリ子はどつこい生きてる

〇  二股の練馬大根泥塗れ北原三枝も洗へば食へる

○  狂態は天然なのか大竹しのぶの熱演に脱帽せり

○  都の西北早稲田の二文卒 大卒女優の草分け小百合

〇  わたくしもサユリストですなよたけの吉永小百合よ輝け永遠に

  
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今週の「朝日歌壇」から(12月26日掲載分・其のⅢ)書き込み中

2016年12月31日 | 今週の朝日歌壇から
[馬場あき子選]
○ 口閉ざしゐし蛤のやはらかき朝光にふとくちびる開けぬ (前橋市)荻原葉月

○ 真っ暗な殻にこもれる「すずめの担桶」刺蛾よ凍みる冬はこれから (岐阜県)棚橋久子

○ 白き山羊みどり少なき川べりに冬のごとくに立ちおるが見ゆ (岡山市)奥西健次郎

○ 水槽に入りゆくごとき美術館冬のアリアの低く流れて (福島市)美原凍子

○ へこんでも大学芋でよみがえる妹は強いそしてしなやか (富山市)松田梨子

○ 邪魔があることが恋だと悟りけり君と暮らして愛育めば (筑後市)近藤史紀

○ 大根はずぼんと抜けてほの暗い穴の底から気魂が昇る (蓮田市)斎藤哲也

○ まだ少し黒髪残る母の髪をボランティアさんがやさしくカットす (佐世保市)近藤福代

○ 柊の白く小さき花咲けり師走の香り濃く漂わせ (名古屋市)諏訪兼位

○ 今朝もまた小鳥集いて囀れり壊さずにある廃線の駅 (石川県)瀧上裕幸

○ 息白し一番ホームの蕎麦屋からようやく湯気が揺らぎ始める (秦野市)関美津子

○ あららぎの大樹にのぼりくれなゐの実をむさぼりて食ひゐし戦後 (埼玉県)酒井忠正
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今週の「朝日歌壇」から(12月26日掲載分・其のⅡ)書き込み中

2016年12月30日 | 今週の朝日歌壇から
[高野公彦選]
○ 十一月三日日本晴れなり自由とは一人のドライブひとりのランチ (佐伯市)泥谷貞子

○ 来る年の日記帳求めひとわたり捲りて家族の記念日しるす (福岡県)城島和子

○ 整然たるデモに驚く感情の起伏はげしき民族なれば (大阪府)金 亀忠

○ 今日はもう起きたくないとおもう日の雨の中でも小鳥はうたう (丸亀市)金倉かおる

○ 出すことを今年でやめる年賀状に夫の描きたる南天の赤 (盛岡市)山内仁子

○ 藷の蔓末生り南瓜食べた獣いまはきつねのうどんをすする (八王子市)相原法則

○ マグカップの取っ手にひとさし指をかけすこし未来とゆびきりげんまん (神奈川県)九螺ささら

○ 雪吊りの景整ひて人夫らはいつ雪きてもといふ顔をする (福井市)甘蔗得子

○ トラクタの後追ひゆけりくちばしで深く掘り得ぬサギとセキレイ (宗像市)巻 桔梗

○ 何歳になっても男は自転車を選んでいるとき少年の顔 (東京都)上田結香

○ 3キロの仔ねこをいだきおもいだすあのひうまれたちいさなきみを (新潟県)熊木和仁

○ 道草でいつもとちがう帰り道とこやのうらにいっぱいタオル (東金市)矢口由依
   
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今週の「朝日歌壇」から(12月26日掲載分・其のⅠ)書き込み中

2016年12月29日 | 今週の朝日歌壇から
[佐佐木幸綱選]
○ 秋深し日本農業新聞の広告に「罠」の字の多きこと (兵庫県)福本 都

○ じりじりと忍耐の糸が炙られる子よパンツはけ、こらズボンはけ (高崎市)笠井真理

○ フクシマの被災地のごみは除染し移染し果てしなき未来 (東京都)松崎哲夫

○ 窓口に「くじょうの会」と呼ばれたり十三年目の九条の会が (岡崎市)佐野都吾

○ 髪ゆらしキラキラネーム呼び合うてジャングルジムに冬日あまねし (横浜市)高橋嘉子

○ 杖をつき大型船の船底の事故死の現場に行きて経読む (三原市)岡田独甫

○ 老眼に丸き眼鏡をしてみても性根は四角と娘ら笑う (茅ヶ崎市)大川哲雄

○ 娘二十歳溢れる髪を後ろ手に編み込んでいる姿美しい (牛久市)久保田和佳子

○ 日暮どきのドライブたのし北狐、鹿、狸に出会うわが峡の村 (北海道)斉藤洋子

○ 冬の朝川から湯気の立つ中で鴨たちは食む浅瀬の草を (東久留米市)関沢由紀子

○ そのクエは歯磨き好きでお目当ての飼育員の前口を開け待つ (千葉市)鈴木一成

○ さまざまな赤や黄色に窓染まるバスに見ている君の横顔 (春日部市)五十嵐和子

○ 脚光を浴びたる人が又一人麻薬に溺れ年暮れるなり (前橋市)船戸菅男
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今週の「朝日歌壇」から(12月19日掲載分・其のⅢ)書き込み中

2016年12月28日 | 今週の朝日歌壇から
[高野公彦選]
○ 成り立ちを知れば恐ろし民の上に网をかぶせて罠と読ませる (大和郡山市)四方 護

○ 青森より花咲く房総に越してきて冬に働く蜜蜂一億 (松戸市)猪野富子

○ 生きてるか死んでいるかも分からずに年賀状書く季節となれり (筑紫野市)二宮正博

○ パジャマ売場もう着る母はいないのにまた立ち止まる新柄を見て (宝塚市)河内香苗

○ 撒く塩が土俵の上に交叉して力士たたかう時近づけり (高松市)菰渕 昭

○ ガラス窓孫の手形の鮮やかに置きみやげとて拭かずそのまま (豊中市)佐々木綾子

○ 点滴のみ一0日間で七キロのダイエットになり罪もながせり (ホームレス)坪内政夫

○ 順繰りに鉢植えを覗き込んでゆく起き抜けの母はミツバチのよう (長野市)小山美由紀

○ 来て困る三日続けて来なければ案じる不思議猪の身のうえ (久留米市)塩山雅之

○ 朝を急ぐ快速列車 通過駅に警笛ふぉんと零してゆけり (熊本市)垣野俊一郎

○ 医者にしか行けぬ自分にぬくぬくの安価な赤いシャツ買いてみる (飯田市)草田礼子

○ 友や子にみかんを送る宛名書き今年も我の字が行く幸せ (磐田市)海山綾子

○ 駐車場が広く取れると過疎の地に移転を決める市立図書館 (上尾市)清水昇一

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