カタカナのタイトルよりも邦訳として『再生の約束』(ジョージとマーカス、あるいは、マーカスと兄との約束)とか『再生の夜明け』というのはどうだろう。死者の声を聞くことができる霊能者のジョージ。その声を伝える場面で、一瞬、向こう側の世界の映像が映るが、すぐかき消え、あとは、暗い部屋で、声を伝えようと懸命なジョージの顔と、依頼者の顔とが交互に映るだけ。このことからも、映画が焦点を当てようとしているのは、あ . . . 本文を読む
時代は遡って、サイレント1925年。
キートンといえば、
30年位前、NHKテレビの午後9時台に15分程度の短篇で
ロイドやらキートンやらいろいろ放映していたのを思い出す。
ちょっとみては、くつくつ笑っていた。
今回のは1時間近くの長編。
クライマックス。
百人以上の花嫁候補者に追いかけられるキートン。
走って、走って、逃げまくる!
だって、彼には、大切な恋人メアリーがいるのだから。
27歳の . . . 本文を読む
いまひとつの作品が続き、風邪までひいてしまったので、この際、最近見せていただいたばかりの凄い映画のことを書いておきたい。こんな傑作をみてしまったら、当分、映画はみなくてもいいぐらい。しばらくずっと、この余韻に浸り、折にふれては、修道士たち一人ひとりの顔を思い浮かべ、彼らが眺めた風景を思う。農耕作業の合間、空を眺め、風を感じて彼らが、何を思い、何を考えていたのか。その心のありようを反芻したい気持ちに . . . 本文を読む
園子温監督の最新作。
グロテスクな作品が多いので、そこそこ心づもりしていたとはいえ、
ここまで凄すぎると、
正直なところ、私は相当ひいてしまった。
埼玉愛犬家殺人事件という実際にあった話や
様々な猟奇殺人事件を元にしたそうで、
冒頭いきなり「True Story」と出る。
でんでん演じる村田は、とんでもない殺人者。
おしゃべりで、カリスマ的で、
人を殺すことを何とも思っておらず、むしろ楽しんで . . . 本文を読む
連休の初日。朝から雪が降りしきる中、
午前10時からの映画祭でTOHOシネマズなんばへと急ぐ。
雪がひどいし、予約していても、来ない人が大勢いるのではと思いきや、
意外にも、予告が終わり、本編スタート時には、満席。
いかに期待が高いか、よくわかった。
実は私は、今回が初見で、
USJのE.T.のアトラクションで
甥っ子と自転車に乗ったことはあるが、
肝心の映画の『E.T.』は見ておらず、
全くス . . . 本文を読む
木曜に再見して、書きかけだった感想をまとめたい。
パチンコ屋で、「この台出ない~」とヒサシに甘えた調子で言う
だぶだぶの白いつなぎを着たジュンコ。
あまりに強烈なキャラは忘れがたく
数年前に一度みて以来だったが、すぐ思い出した。
ヒサシとジュンコのだらだらした浮遊感。
パチンコの新装開店で、
二人のどっちが並ぶかを、布団の中で寝ぼけまなこで言い合う。
ローンで大枚借りて、パチンコにつぎ込む生活 . . . 本文を読む
今日、3連休の締めに前売券を買っていた
『白夜行』に行ってきた。
目下、業界では引っ張りだこで、
『狼少女』で期待の若手、深川栄洋監督とあって
期待で胸膨らませて行ったのだが、
さすがの深川監督も、原作あり、ホリプロ制作とあって、
力を発揮しきれなかったのでは?
2時間半の長尺、ちょっと苦痛に近かった。
原作は東野圭吾による、児童虐待も入った悲惨な話で、
そのまま映画化するしかない、というのも理 . . . 本文を読む
連日、京都国立近代美術館へ。
1949年の作品(白黒)。
韓国の山寺。
階段が多くて、大変だろうが、とてもきれいなところ。
赤ん坊の頃、母親に捨てられた小僧さんは、
近所の子ども達が遊んでいるのを横目に
和尚さんに叱られながら、懸命に働く。
心の支えは、お正月にはお母さんが迎えにきてくれること。
でも、毎年、期待はあっさり裏切られてばかり。
ちょうど、息子を亡くしたばかりの若くて美しい未亡人が . . . 本文を読む
1940年に清水宏監督が朝鮮総督府鉄道局から依頼を受けて
つくった国策映画のドキュメンタリー。
京城とは、今のソウルのことで、
市内の朝から夜までの、
いろんな風景を次から次へと撮っていく。
なんだかどの人たちも、どの光景もすてきで
なかば夢見心地だった。
日本人もいれば、韓国の民族服を着た韓国人もいる。
街を往来する人々をふかんで撮ったり、フルショットだったり
働く人たちの手元をアップにしたり . . . 本文を読む
おもしろかった~。
ヌーヴォのレイトショーで特集上映されている空族(くぞく)特集の1本。
やくざのボスたちが、
シャブを横取りして逃げた若者をつかまえ、
トランクに押し込む。
(捕まえるシーンはあっさり省略、
いきなり押しこむシーンという鮮やかさ)
車が動き出し、トランクでどんどんやっているのが
うるさいからと、ラジオをつける。
懐かしの薬師丸ひろ子の「あなたをもっと知りたくて」が流れる。
. . . 本文を読む
噂に聞く爆音映画祭がとうとう関西にやってきた。
知人から伝え聞いて、どんなものかと思っていたが
やっぱりすごかった。
時々、びりびりと振動が体に伝わってきた。
爆音上映というのは、
音が一律に大きいだけじゃなくて、
普段、気付かないような音を大きくしたり
いろいろ仕掛けをしているそうだ。
とはいえ、とにかく
全体に音は相当に大きくて、
冒頭、いきなりびっくりしたが、
終わってみると
うるさい、 . . . 本文を読む
ブルース・リーの師としても知られる
武術の達人イップ・マンの生涯を描いた人間ドラマ。
実は、「序章」があって、その続編。
様々な事情で、こちらが先に公開されてしまったというわけ。
後半の西洋人ボクサーとイップ・マンとの戦い。
相手の卑怯な戦法を前に
ヒーローのはずのイップ・マンも
思ったほど強くもなく、
もうやめてくれ~と目をおおいたくなった。
でも、前半の、
イップ・マンが自分の流派の道場を . . . 本文を読む
NHKラジオ第2放送を流し聞きしていて、
先日、講演の録音放送で、
かつて、人間は、家族に見守られ、
自然とのつながりを感じながら
死へと旅立っていた。
きっとそのときには、
命の連鎖、受け継がれていくものみたいなことを感じ
完全なる孤独ではなかったのではないか。
でも、現代では、
そういうつながりは失われ、
死は、人間という一個の個体の消滅としてしか
感じ取れなくなっている。
だから、ますます . . . 本文を読む