goo

No1091『マーヴェリックス 波に魅せられた男たち』~怒涛のような波の迫力と音~

七芸と神戸映画資料館で始まった濱口竜介監督特集が気になりながらも、この春退職された方のお祝いや早く書いておきたい原稿やら、ワイン会やらが重なって、今日も七芸に行き損ねてしまいました。ということで、この週末観た貴重な映画1本は“海の映画”です。DOOMの方がツイッターで感想を書いておられて、海が見たくて、即反応してしまいました。 10メートル以上もの高さの、怒涛のような波の . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No1090『リアル 完全なる首長竜の日』~現実を受け止める力、現実を生きる力~

久しぶりに、映画を観終わって、まともに現実に戻れなくなった。軽いショック症状?というと、大げさだけれど。現実と自分との合間に、皮膜があるというか、自分にとって、何が現実なのか、よくわからなくなってしまった。私の身体は、映画館から大阪駅に向かって人ごみの中を歩いて帰る途中なのに、心は一体どこへいってしまったのかよくわからない、そんな浮遊したような錯覚。まわりの人たちの喧噪がやけににぎやかで、駅の構内 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No1089『はじまりのみち』~母の愛、家族の愛~

「映画の元に戻りなさい」病床の母が、息子、木下恵介監督に言う言葉がぐっと迫ってきた。「ここ(疎開先の田舎)は、あなたのいるべき場所じゃない、私は大丈夫、心配いらない。家出までして、なりたかった映画監督になったのでしょう、私は木下恵介の映画が観たい」 母(田中裕子)は病気のせいで、ほとんどしゃべれない。代わりに、息子(木下恵介監督 加瀬亮)に手紙を書いて手渡しし、目前で読んでもらう。つっかえながら . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

音楽三昧の日曜日~日常から百万光年遥か離れて~

日曜日、びわ湖ホールに、クラシックを聴きに行った。ロシアのピアニスト、ヴァレリー・アファナシエフさんの演奏会。ピアノの残響音が消えていく数秒まで手にとるように感じられ、すばらしい音。演奏もすばらしく、どう言葉にしたらいいのかわからない。あんなふうに弾けたらいいなあと思いながら、うっとり眺めた。ムソルグフスキーの「展覧会の絵」では、音楽劇ということで、アファナシエフさん自身が、役者のように作曲家を演 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

コメディ学入門第4講~3ばか大将に学ぶ楽しく生きるコツ~

神戸映画資料館の人気定番講座となりつつある「コメディ学入門第4講」は、前回に引き続き、3ばか大将について。映像を観ながら、お話を聞いた。語り手は、喜劇マニアで作家のいいをじゅんこさん。3ばか大将といえば、牡蠣との戦い「Curly vs. the Oyster Soup」(4分ほどのyoutube映像にリンク、笑えます) (よろしければ、前回の第3講の感想も)今回も、紹介があった。何回観ても爆笑もの . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No1088『嘆きのピエタ』~心に刻印されるのは…~

映画が自分の心の中に深く刻印される…そんな感じだ。観終わった後も、深い余韻がいつまでも消えない。 キム・ギドク監督の映画は“痛い”。暴力性も強く、観ていて、痛いと感じる。でも、その痛さを我慢してでも、観たいと思う。どうしてそこまで思わせるのか。寡黙で孤独な主人公がいて、現実は、主人公に、冷たく容赦ない。非情な仕打ちにどんどん追い込まれていく中で、むきだしにな . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

OPEN MIC NIGHT~音に触・れ・た~

「いやあ、音楽っていいもんですねえ」ギターを抱えた若者が満面の笑顔で嬉しそうに言った。彼が映画解説者の水野晴郎さんを知っていたかどうかはわからない。映画もいいけど、音楽もいいよね、と心からうなずきたいほどにすてきな居心地のよい舞台だった。 堺筋本町のClub MERCURYというライブハウスでは「OPEN MIC NIGHT」というイベントを月に一回やっていて音楽好きな人なら、だれでも舞台に立つ . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No1087『朝カラ夜中まで』~観客それぞれの心の中で舞台の幕が開き…~

ドイツの『朝から夜中まで』(1921年製作)というサイレント映画をサイレント映画ピアニストの柳下美恵さんの伴奏と升田学さんの身体表現で舞台に蘇らせた。日曜日、川西市の旧家を生かしたギャラリー&カフェのHANAREでのイベント。 天井には、新聞紙でつくった札束がテグスのような糸で、たくさんぶらさげられ、主人公は銀行員の男。銀行に訪ねてきた妖艶の美女に心奪われ、お金と女に目をくらまされ、退屈な生活を . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

つれづれなるままに

〈能のある一人の人間が、その能を生かすためには、能のない幾十人という人間が、眼に見えない力を貸すんだよ〉。山本周五郎著『さぶ』のなかで老人与平が語った言葉として6月15日付け読売新聞朝刊の「編集手帳」に紹介されていた。(孫引きですみません)この記事は、「読者が一人増えれば、世の中が一つよくなる。そう思わせる作家である。」と結ばれている。小説でも、音楽でも、映画でも、ファンと作家、つくり手の距離は遠 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No1086実験映画集Ⅰ~寺山修司流“映画ライブ”を体感~

大阪シネ・ヌーヴォでの寺山修司映像詩展。「ぼくの涙で水力発電をつくって、世界中に電気を送ってやる」という『一寸法師を記述するこころみ』(1977年)の一寸法師のモノローグがいい。(正確には字幕)恋するエネルギーも、ここまで壮大だと、圧巻だ。 恋する女性の映像が映し出されていて、その映像を、一寸法師と称する男性が縛ってみたり、破いてみたり、くしゃくしゃにしたり、最後は、映像を切り裂いて、その裂け目 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No1085『言の葉の庭』~雨の降る日が待ち遠しくて…~

「孤悲」と書いて、「こい」と読ませる。雨の日の切ない出会い。雨が本当にきれいで地面にはねる雨、水たまりに降る雨、空を見上げた時、天から降ってくる雨、いろんな表情の雨、その音のどれもに心奪われる。 それ以上に心にしみるのが電車の風景。毎朝の混雑した電車に乗る風景や、街を通っていく電車、線路、車窓の風景、それらは、私たちの日常の象徴でもある。 変わらない日常。雨だって日常。雨の降る公園で、不思議な . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No1084『ジャンゴ 繋がれざる者』~夢中で見入ってしまうおもしろさ~

ついに観た。久し振りの映画館。3時間近くの長丁場ながら、眠気を一切感じなかったのはおもしろくつくられているから。すごかったといいたいところだけれど、うーん、と思わずうなってしまう自分もいる…。塚口のサンサン劇場での35ミリフィルム上映。公開時期に見逃していて、今、一番観たい『言の葉の庭』よりも優先して、やっとつかまえた。 南北戦争直前のアメリカ。南部では、黒人(劇中ではあえてニガー . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

青の権現さんを観た。

東京の友達とこの週末、吉野に泊りがけで行ってきた。特別開帳の金剛蔵王大権現を観るため。3体並んでいるうち、まん中の権現さんは、顔は怒っていて怖いけれど、手と指がふっくらと柔らかな感じが、ひどく印象に残った。帰りがけ振り向くと、大きな裸足の足を高く上げていて、その足も、なんとなくふっくらしていて、意外な感じがした。 目を見張り、眉をつりあげ、怒った顔の迫力、肌の青色のきれいさ、バックの燃え盛る炎や . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No1083『ボーイ・ミーツ・ガール』~お月さまのような目線~

この週末、疲れがたまっていたのか、現実逃避というのか、思い切り一日中寝ていた。土曜日、ずっと寝て、日曜日も昼過ぎに起きてブランチの後、また、なんとなく畳の上に寝転がると窓からそよ風が吹いてきて、遠くでカラスが鳴いている。こんなふうにゆっくりするのもいい気分だと再び、夢の中へ。夕刻、『ボーイ・ミーツ・ガール』(1984年)の上映時間が近づいてくると、迷う。ずっと観たいと思っていたレオス・カラックス監 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )