goo

No1475『ヒトラーに盗られたうさぎ』~亡命生活の中で、たくましく生きる少女アンナ~

随分どころか、一年以上前に観た映画かもしれませんが、とても印象的な作品だったので、ご紹介します。ナチス政権下のユダヤ人の子どもの物語というと、一人で逃げて、必死で生き延びる映画が多いのですが、本作は、大きく異なり、アンナとその家族が、ベルリンからスイス、パリへと苦難をともにしながら、亡命を繰り返すお話で、いわば家族の物語です。息の詰まるような辛い時期もありますが、幼いアンナの目線で描かれていて、決 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No1474『奥様は妊娠中』~夫婦とまわりの人々の奮闘ぶりをコミカルに描く~

つい最近「青春アドベンチャー」というNHKラジオの朗読ドラマで、「当面の間、変身します」というシリーズの中に、男と女が入れ替わる「俺、妊夫です」があった。妊娠した妻と夫が入れ替わるもので、ある日起きると、夫のお腹に赤ちゃんがいたという話。ありえないけど、夫が妊娠体験を通じて、妻の気持ちに気付いていくのがおもしろく、女性脚本家(笹峯愛)ならではと楽しく聞いた。本作では、そんな突拍子もないことは起きな . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No1473『チャンシルさんには福が多いね』~飄々としたチャンシルさんが醸し出すユーモア~

先日、アカデミー助演女優賞を受賞した韓国のユン・ヨジョンさん。映画『ミナリ』では、幼い孫に花札を教えたり、親しみやすいおばあちゃんを好演。内に秘めた芯の強さを感じさせ、忘れがたい印象を残した。 本作は、随分前に観て以来、独特な世界観があって、忘れられない。ユン・ヨジョンさんが、ヒロインが間借りするお家の主人として出演している。 タイトルが饒舌な気がして、あまり期待せず見始めたが、おもしろくてど . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

音楽の散歩道117「初めてのゴスペル」~すてきな音楽家の方々に出会えた話~

友達に誘われ、一昨年の7月末にゴスペルのワークショップに参加した。数回の練習を経て、1か月後、梅田の某劇場のメインホールで、200人の仲間と一緒に歌う機会に恵まれた。お腹の底から、思いきり大きな声で、万感の思いを込めて、 200人で一緒に歌うのはおもしろい体験だった。その感想を書いて校正しないまま、2年近く経ってしまった。 今、こうして思い出してみると、大勢で舞台に立った本 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No1472『第七天国』~ピアノが寄り添い、胸迫る純愛サイレント映画~

その瞬間、思わず息をのんだ。ピアノも止まった。静寂が場内に広がる、ほんの数秒。青年から贈られたドレスを、少女が初めて着て見せる。その可愛らしさ、初々しさに驚く青年。一瞬の無音の空間の中で、二人の喜びを場内の皆が共有した…。3月、アップリンク京都で、サイレント映画ピアニストの柳下美恵さんによる「柳下美恵のピアノdeシネマ2021」があった。 「映画が誕生して120年あまり、映画はライ . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No1471『バーニング・ゴースト』~一風変わったゴースト映画~

映画批評月間「フランス映画の現在をめぐって」の一本。 夜半、横たわっている青年が起き上がるところから、物語は始まる。予備知識ゼロで見始めたので、一体何が起きているのか、最初、よくわからなかった。どうも、青年が見えている人と見えていない人がいるようで、青年は幽霊なのだとわかった。 まだ現世に残りたい青年は、白衣を着た女性と面談の結果、死者をあの世に導く仕事を言い渡されたようなのだ。 青年は、街 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

夜半の訪問者

土曜の晩ということで、のんきにやっていたら、11時半頃に、インターホンが鳴った。何者かと思って、おそるおそる「どなたですか」と尋ねると、「間違いでした」と男の声だった。部屋でも間違えたのかなと思ったけれど、なんだか気持ち悪かった。あとで、出なければよかったと思った。12時頃、また鳴った。さすがに今度は居留守を使った。でも、一体、何者かと思い、足を忍ばせて、のぞき穴から見てみたが、もう誰もいなかった . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No1470『ピクチャレスク・ジャパンー世界が見た明治の日本ー』~あの時代の人々の表情にときめいて…~

明治時代の日本を訪れた外国人がとらえた記録フィルムの上映会「ピクチャレスク・ジャパン」が2月、京都国立近代美術館で開催された。どれも10分以内の短い、音もない映像ばかり。「ピクチャレスク」とは、現代美術用語辞典によると、「絵のような」、「絵の主題としてふさわしい」といった意味の言葉で、上映会で観た映像は、どれも、絵のように美しく、見事な映像でした。『日本の学童たち』(1904/英/2分)では、幼い . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

文楽「国姓爺合戦」~断末魔に残した言葉~

文楽を観に行った。友の会に入った知人からお得な価格で観れるよとお薦めいただき、久しぶりに足を運んだのが、昨年のこと。人形遣いによる、人形の微妙な仕草の色っぽさやあでやかさに心奪われ、その魅力を再確認したものの、なかなか行けなかった。先日、吉田簑助さんという人間国宝の人形遣いの方が本舞台で引退されると聞き、これは見納めしなければと観に行ってきた。初めて観た「国姓爺合戦」は、中国、明の臣下が日本に渡り . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No1469『ミナリ』~父の愛、母の愛、祖母の愛~

こういう映画を観たかった。久しぶりに、新作を数本映画館で観たが、一番好きな作品。(と観た当時に書いていたが、このあと、『水を抱く女』を観て、全く違う世界だけれど、同じくらい好き) 土のにおい、風のささやき、太陽のやわらかい日差し、大地の息遣いが感じられるようで、引き込まれる。家族が生活する大地の力がしっかりと伝わる。 アメリカの片田舎で農場を始めるため、妻と娘、息子を連れて、韓国から移住してき . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No1468『水を抱く女』~愛の神秘の泉を深く潜っていく~

ラストシーンの美しいこと。夫婦が去ってゆく欄干を水面からロングショットでとらえたカメラは、そのまますうっと水中に沈んでいき、エンドロールとなる。まるで、ヒロインの視線であるかのように。 バッハの協奏曲ニ短調(マルチェッロのオーボエ協奏曲による)BWV974の第2楽章アダージョの美しい旋律をピアノが奏でる。心の奥底へと、少しずつ深く潜っていくような思いに浸る。→音楽はこちらhttps:/ . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

子どもの時から驚くほどの苦労を重ねてきた人~浪花千栄子さん~

NHKの朝の連続テレビ小説「おちょやん」のモデルとなった女優の浪花千栄子さんについて話す機会があり、今までに観た、印象深い映画を思い出してみた。内田吐夢監督の「宮本武蔵」シリーズの、おばば。跡継ぎの息子の又三を、武蔵がかどわかして、戦に連れて行ってしまい、行方知れずになる。そのうらみを武蔵にぶつけ、武蔵を執拗に、どこまでもつけまわし、恨みをはらそうと、命を奪おうとする。 なんてひどい婆さんだと思 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )