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文楽の世界にも見つけた、力強いヒロイン~ファンタジーと文楽の接近~

文楽に出てくる姫といえば、赤い着物に、きれいな髪飾りをつけ、少女のように可憐で、女性らしいたおやかな仕草で、観客を魅了する存在。 だれかに助けてもらのではなく、自分の力と、強い意思で、窮地を抜け出すという、しっかり者の姫が文楽という、日本の古典芸能の世界にもいたことを知った。 『祗園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)』の絵師雪舟の孫娘、雪姫。結婚もして、夫もいるから少女とはいえないけれど、 . . . 本文を読む
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塚口のサンサン劇場にて

夕方から、塚口のサンサン劇場まで出かけた。『わが母の記』を観て、外に出ると、すっかり真っ暗。劇場の人にコンビニの場所を教えてもらいおにぎりを買いに出た。サンサン・ビルの裏側は、さびれた感じで、おじさんたちが、薄気味悪い感じのビルに吸い込まれていった。よくみると2階に「パチンコ」と小さな灯りがあった。派手さもなく、やっぱり薄気味悪い感じ。駐車場の車の出入口があったり、少し怖かったが、サンサン・ビルの . . . 本文を読む
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No921『ビースト・ストーカー/証人』~かなしき獣たち…ただ守りたい者のために~

頬をつたう涙。かすかに動く女の細い指。灰色の瞳。抜けるような青い空を走る雲。赤に変わる信号。通り過ぎる市電。スローモーションでクラッシュする車と車。飛び散るガラス。頭上を交差する電線…。サスペンスなので、多くは語れません。印象的なイメージを並べると、こんな感じです。今日、映画館に向かう途中、「さびしい獣」というフレーズがふいに思い浮かんだ。自分のことのつもり…でしたが、 . . . 本文を読む
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No920『少年と自転車』~“強情さ”という殻に隠した“寂しさ”~

タルデンヌ兄弟の最新作。観た時は、あまりに期待が大きすぎて、音楽の使い方が気になったり、ドラマとしても、クライマックスのような頂点もなくて、するりとかわされたような気がしていた。でも、観終わってからもずっと残る余韻が映画の底力、心の奥深くまで届いていたことを教えてくれた。劇的なことを期待してはいけない。ここにあるのは、ひたすら寂しく、切ない少年の心だ。下手に手を差し出せば、かみつかれて傷をしかねな . . . 本文を読む
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No919『真夜中のカーボーイ』~不安と孤独と~

主人公ジョーを演じるのはジョン・ヴォイト。観ている間、ずっと笑った顔、はにかんだ顔が日本人の俳優の誰かにすごく似ている気がしていた。ファンの方には怒られるかもしれないが若い頃の中村錦之助の笑った顔、寂しい顔に少し似ているのだ。少年のような無邪気さ。調べてみると、1969年製作の本作は彼が30歳前の作品で、ダスティン・ホフマンは1967年の『卒業』の次作品に当たる。ジョン・ヴォイトはあの『チェンジリ . . . 本文を読む
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No918『フラメンコ・フラメンコ』~歌の、踊りのエネルギーがあふれる~

2週間前に観て少し書いておきたい作品。監督はスペインのカルロス・サウラ。カメラはヴィットリオ・ストラーロ。ということで、思わず期待してしまう。21曲のフラメンコの歌やギター、踊りが次々と披露されていく。会場となっている巨大な倉庫のような空間にスペインのいろいろな絵画を展示し、それをバックにしたりして、おもしろい。前半、歌い手たちが、己を突き詰めるような表情で歌うのが、少し重苦しくて、あまり入り込め . . . 本文を読む
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No917-2『ピナ・バウシュ 夢の教室』~発表という鍛錬の場~

久しぶりに映画を観た。2週間ぶり。はじめの1週間、桜に興じた。といっても、ひとりだけど。帰り道、毎晩、詩人になった。言葉のかけらが、ノートに散らばった。打ち止めは、日曜日。桜に誘われて、何ヶ月ぶりかで大阪城公園に走りに行った。ビジネスパークのあたりは、バーベキューを囲んだり、相当の賑わい。人混みの中を、ぜいぜい言いながら、走り抜けるのはかっこよいものではないが、それでも、つい平常以上の速さを出して . . . 本文を読む
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No917『ピナ・バウシュ 夢の教室』~教えること、育てること、踊ること~

庭のベランダの鉢植えのチューリップが咲いた。ピンク、黄色、白と色鮮やかで、花が咲いただけで、こんなに嬉しくなるなんて。球根を植えてから5ヶ月、週末だけとはいえずっとどきどきしながら見守り、育ててきたからちゃんと花を咲かせてくれて、喜びもひとしお。育てるといえば、ビナ・バウシュ。踊りを経験したことのない十代の少年少女たちに10ヶ月かけて、毎週土曜に集中レッスンをし、「コンタクトホーフ」の舞台を発表し . . . 本文を読む
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映画の合い間に~春の中で~

日曜日のお昼間。青空は冴え冴えと澄み渡り、人々は満開の桜の下で、笑いと語らいに興じる。世界中が笑いであふれたような歓びのひととき。 ボクのくたびれた腕にも春が載る。もう何回目の春だろう。初めて大阪を訪れたとき。知らない町、知らない通り、聞いたこともない地名にボクはとまどうばかり。ただ闇雲に自転車を走らせた。あれから何年経ったのだろう。今日もまた自転車に乗る。いつもと同じ道、変わらない景色。昔と変 . . . 本文を読む
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No911-2『ひかりのおと』~農の営み、生きる営み…~

馬の次は牛ということで、昨日7日から大阪シネ・ヌーヴォで公開された日本映画『ひかりのおと』。岡山県真庭市で自らトマト農家を営む山崎樹一郎監督の初長編。アジアン映画祭での客席との質疑の内容については既に紹介したところ。作品の感想について全然触れてなかったので、あらためて綴ってみたい。 仕事(農業)、家族、恋、生きがい(音楽)のことで悩み、葛藤を抱えながら生きる主人公雄介の姿は、どこか共感できるとこ . . . 本文を読む
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No916『戦火の馬』~なにがなんでも生き抜くこと…~

第一次大戦中の馬の話と漠然と想像していたら、なんともすごいお話で圧倒された。仔馬のジョーイと、名付け親で彼を手なずけた少年は、開戦とともに離れ離れとなってしまい、それぞれに戦場へ向かう。一頭の馬ジョーイが、戦火をくぐり抜け、果敢に生き抜く姿を戦地という過酷な中にあっても、兵士たちが馬にみせる温かみとともに描き、壮大な抒情詩となって、心に押し寄せてくる。 イギリスの緑あふれる牧場で仔馬が生まれると . . . 本文を読む
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No915『ブエノスアイレス』~交わったり、離れたりを繰り返す二人の軌跡は…~

トニーに心底惹かれているくせに、ちゃんと愛し続けることのできないレスリー。ひとりぼっちになってしまったレスリーが、思い出のランプ台を見つめる…。カメラは、ランプ台のきれいなきらめきを大きく映しこんでいって、部屋の灯りのきらめきをとらえ、イグアスの迫力のある滝を目前にしているトニーの姿へとうつる。切なさがあふれる見事なシーン。今日やっと初めて観ることができた。シネ・ヌーヴォでの日本最終 . . . 本文を読む
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No914『あ、春』~家族のつながりが心にしみる~

相米監督作品を観ると、生きててよかったと思う。寝不足で途中眠ってしまった『ションベン・ライダー』『台風クラブ』だって、ちゃんと観れた部分では、楽しめた。どうしてこんなに魅力的なんだろう。音のつかいかたが絶妙。家族の妙、人と人の出会いをここまでみごとに、観る者の心に、しんとしみ通るように描くなんて、相米監督は、独身を貫いたそうだが、すごくあたたかな思いやりをもった人だったのだなあと勝手に想像してみる . . . 本文を読む
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No913『夏の庭 The Friends』~ひと夏の出会い~

相米監督が神戸を舞台に老人と少年の出会いを描く。最後には、やっぱり、キラキラする音とともにすてきなファンタジーのシーンがあって監督からの贈り物のようにも思える。 こどもの時、初めて行った祖父のお葬式や、火葬場とか怖かった。死んだらどうなってしまうのか、考えだしたら、眠れなくなって泣いたのを覚えている。映画の中の三人の少年が老人と出会ったのも、そんな思いがきっかけ。死んだらどうなるのか知りたいと考 . . . 本文を読む
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No912『お引越し』~やっぱり大・大・大好きな相米作品~

相米監督の名前を知るきっかけになった作品。数年ぶりに、スクリーンで再会して、やっぱり、すごいと圧倒された。今日は、映画の日。あれこれやることが多く結局、相米特集2本しか観れなかった。でも、十分満足。映画をみながら、少女の頃、こどもの時代から、経験したことのない夫婦の亀裂、そして老人まで、人生を何年も生ききったような充実度。 数年前に観たとき、後半、琵琶湖で、母と別れてからのレンコの放浪に圧倒され . . . 本文を読む
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