頭の中で、バーナード・ハーマンの勢いある音楽が
繰り返し鳴っている。
荒唐無稽なおもしろさ。
もちろん、これはほめ言葉。
映画という虚構、でっちあげを、ほんとに見事に、
ここまで楽しくおもしろい世界をつくりあげてしまった
ヒッチコック大先生。
映画をおもしろくしようとする心意気にかけては
マキノ雅弘監督を思い出した。
(全然ちがう~!!と言われそうですが)
ヒッチコック監督の方が、もっと映画の中 . . . 本文を読む
3連休、早起きしてせっせと「午前10時からの映画祭」に通った。
ヒッチコック監督は、
いかにおもしろく映像でみせ、おもしろく物語を語るかの名手で、
本当に観客を楽しませてくれる。
映画の冒頭、オープニングの音楽とともに
窓のブラインドが順に上げられていき、
カメラは主人公ジェフの部屋から前進して外に出て
アパート群のあちこちの部屋を窓越しにパンしていき、映画が始まる。
終わりも同じ。
外をパンし . . . 本文を読む
春のきざしが訪れ、沈丁花の香りがどこからか漂ってきて、白い木蓮の花が目につきだすようになると、もう春の訪れは間近だ。
でも、私の頭には「ちょっと待って」と黄信号がともる。
春が来るにはちと早い。もう少し冬の寒さを味わっていたいと本気で思う。
寒いのは嫌いじゃない。でも、それより何より、
まだ何もできてないという焦りだ。それが私にとっての3月終わりの気分。
でも春はやってくる。とにかくもう走り出さ . . . 本文を読む
お金を返してもらために、同棲している恋人(主人公)を相手に
狂言誘拐を企む女性。
いまどき、こんな設定で映画になるのだろうかという心配をよそに、
映画はひたすら突き進む。
のほほんとした主人公は、
観客の予想を何度となく裏切り、
誘拐されたとの報を受けても、
ポテチをかじったり漫画を読んでいる。
この感じは、なんだかおもしろくて、
一体、この男、いつになったら、本気を出すのだろうと、
心配をしそ . . . 本文を読む
「午前10時の映画祭」でTOHOシネマズ西宮へ。
ヒッチコックの名作を遂に映画館で観ることができた!
片足を骨折した主人公のカメラマンが、
手持ち無沙汰に窓からのぞいていて、殺人らしき事件をかぎとる。
この主人公のところに毎日世話に来るおしゃべりな中年の看護婦さんがいい。
彼女は、主人公に恋人との結婚を薦めるが
主人公は、彼女は完璧すぎるんだとご不満な様子。
お金持ちで美人で知的でって、どんな女 . . . 本文を読む
大阪アジアン映画祭も終わり、少しだけ落ち着き、新作を。
といっても「抵抗と人間」をテーマにした岩波ホールセレクションの第一弾で
1947年のジャン=ピエール・メルヴィル監督作品。
ナチス・ドイツの占領下のフランスで
1942年に地下出版された小説の映画化。
ドイツ人将校が2階の部屋を間借りすることを余儀なくされた老人とその姪は
将校に対し沈黙を守り続けようとした・・。
この将校が、とても内的な . . . 本文を読む
今日、ヤスミン・アハマド監督の遺作『タレンタイム』が、大阪アジアン映画祭によりシネヌーヴォで関西初上映されました。前作『ムアラフ 改心』に続いて、すばらしい大傑作です。
いろんな人が登場しますが、どの人もすごく存在感があり、魅力的で、物語が進むにしたがい、交錯し、変わっていく人もいる。そのドラマの凄さ、そこから伝わる人生観に圧倒されました。中でも、病院に入院中の女性をめぐるドラマのすばらしいこと。 . . . 本文を読む
うってかわって、20歳代の学生監督真利子哲也監督の大学在学中の作品。
監督自身が前面に出たパーソナル・ドキュメンタリー。
マリコの苗字の祖先が海賊だと大学の先生に教えられ、
その妄想がどんどんふくらみ、監督自身が自分だけでなく
マリコの海賊であった祖先も演じる。
海が映っていると
沖から、監督を筆頭に、
20人ほどの全裸にふんどし一丁の男たちが
わあわあとやってきて、砂浜に上陸。
旗には「マリコ . . . 本文を読む