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No189「あおげば尊し」市川準監督

~「人」、「命」をみつめる無言のまなざしの深さ~ 映画のラスト。「仰げば尊し」の歌を聞きながら、一緒に歌いたくなった。 小学校のときの大好きな先生に会いたいと思った。 中学校の卒業式でこの歌を歌わされた時、まるで意味がわからなかった。 とりあえず教えられるままに歌った。 でも、今は、この歌のすばらしさがわかる。 心をこめて、誰かに向けて歌いたいと思う。 あこがれた先生、先輩・・。 その人との出会いに、その人に教えてもらった全てに感謝をこめて、 この歌を歌いたいと思う。 人は、人に教えられ、いろんなことを受け継いで、生きていく。 その尊さ。暖かみ・・。 思い出すだけで涙がこみあげてくる作品。 . . . 本文を読む
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No188「博士の愛した数式」小泉堯史監督

~他者に受け継がれるこころ~ 昨日になってしまいましたが、 2月20日は、この作品に登場する家政婦(深津絵里)さんの誕生日です。 博士(寺尾聡)は、この誕生日の220という数字と 博士の時計に刻まれた数字284とが、 友愛数(220の約数の和は284。284の約数の和は220。)だと語ります。 博士の優しい説明を聞いていると、 数字が身近で優しくおもしろいものにみえてきます。 原作にある美しい言葉の数々が、 役者たちの体をろ過して、話し言葉となって、心に流れこんできます。 映画が終わってすぐには気づかなかったけれど、 映画館を出て、家に帰り、一人になったときに、はじめて 感動が静かに心の中にひろがってくる気がしました。 とてもおだやかで、多くを語らない、それだけに味わい深い作品です。 . . . 本文を読む
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No184-2「わたしの季節」小林監督の語り

~「命」のエキスがあふれる世界~ 今日、映画友達のAprilさんと滋賀県竜王町まで、 小林監督の語りを聞きに行ってきました。 竜王町は、映画「わたしの季節」の第二びわこ学園のある野洲市の隣町です。 昨年の野洲市での上映会で、映画をご覧になった学校の先生が ぜひ、わが町でも上映したいとの念願がかない、 まちの人権教育、PTAの事業として催された上映会と語りの場に、 大阪人の私たちも、参加することができました。 「わたしの季節」をみるのは、2度目。 今度も暖かく熱い思いで、胸が一杯になりました。 . . . 本文を読む
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No187「花つみ日記」石田民三監督1939年~おおさかシネマフェスティバル報告その2~

大阪宗右衛門町を舞台に、15歳の高峰秀子主演で撮られた本作。 50年ぶりに上映されるとあって、2月4日(土)、会場には、お年寄りの姿がめだった。 花街の置屋の娘(高峰秀子)と東京からの転校生(清水美佐子)との友情物語。 宝塚少女歌劇のスター、葦原邦子が、生徒たちがあこがれる教師役で出演し、 劇中で美しい歌声を披露。 上映後、評論家の川本三郎氏と上倉庸敬大阪大学教授とのトークが行われた。 川本氏は、映画評について、テーマを大所高所から論じるよりも、 どこで映されたのか、といった細部が大事で、 小さな記憶を積み重ねていくのが大切とコメントされた。 . . . 本文を読む
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No186「るにん」奥田瑛二監督~おおさかシネマフェスティバル報告その1~

~ラスト15分の思わぬ展開、迫力に息を呑んだ 恐るべき松坂慶子の女優魂~ 2月3日から5日まで、第1回おおさかシネマフェスティバルが鶴見区民センターで行われた。 最終日の5日には、 主演男優賞の藤竜也さん、新人監督賞の李闘士男さん、脚本賞の渡辺あやさんのほか、 新作「るにん」の公開間近(大阪では3月4日から)の奥田瑛二監督らが駆けつけた。 渡辺あやさんは、 「シナリオを書く時は、物語がどこかにすでにあって、探しにいく感じで書く」そうだ。 すらりとして、おとなしそうにみえるが、周りに影響されることなく、わが道をいく感じ。 もう少しお話を聞きたかった。 . . . 本文を読む
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No185「天使」宮坂まゆみ監督

~天使、深田恭子の不思議な魅力~ そっと大切に心の底にしまいこんでおきたいような作品。 大竹佑季が歌う主題歌がとてもすてきなファンタジー。 必要とするとき いつでも、天使は、心のそばにそっと寄り添ってくれる。 まるで守護神のよう。 . . . 本文を読む
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No184[わたしの季節」小林茂監督

~濃密な空気。じっくりと、あわてずあせらず、見つめ続けるカメラの暖かさ~ 滋賀県野洲市にある重度心身障害児(者)施設の第二びわこ学園で撮影された ドキュメンタリー。 すばらしいです。一人でも多くの人に観てほしいです。 特に関西の人に。 というのも、こんなすてきな施設が関西にあることを知ってほしいから。 最後のシーン。次から次へと現われる施設の人たちの笑顔、笑顔、笑顔。 暖かく、明るい表情と、主題歌「帰ろかな」の青木カナさんの歌に 私はびっくりしながらも、涙が止まりませんでした。 . . . 本文を読む
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No183「男たちの大和/YAMATO」佐藤純彌監督

~生き残った意味を見つけるまで~ 一台の空軍の援護もなく、沖縄へ向かう途中、米軍の猛攻撃を受ける大和。 渡哲也演じる司令長官の「一億玉砕の象徴」という言葉がよみがえる 映画は、この最後の戦闘シーンを、延々とうつしだす。 目を覆いたくなるほど、悲惨な光景の連続。 主砲も副砲も、人間の手で一つ一つ砲弾を運んで、込める作業を伴うもので、 機銃も、弾倉をこめて、角度を調整して、撃つ、と リアルな描写が続く。すごい迫力だ。 中村獅童と反町隆史の演技にも熱がこもる。 しかし、作品全体としてみた時、どうも何かが足りないような気がした。 違和感のようなもの。 . . . 本文を読む
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No182「疾走」SABU監督

~少年の孤独な魂の走りぶりが心を撃つ~ まぎれもない傑作です。 SABU監督といえば、「走る」イメージ。 監督デビュー作「弾丸ライナー」の三人の男(田口トモロヲ、堤真一ら)のひたすら走り続ける姿が、 「ポストマン・ブルース」で郵便局員の堤真一が、大杉漣らと自転車で爆走する姿となり、 「幸福の鐘」で、ひたすら歩く寺島進の姿になった。 そして、「疾走」・・。 みごとな走りぶりをみた。 . . . 本文を読む
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No181「チキン・リトル」マーク・ディンダル監督

~宇宙戦争まで起きるわりには、平板な展開~   がんばっても裏目に出て、周りを騒がせるだけ。 失敗続きで、父の信用をすっかり失ってしまった主人公のチキン・リトル。 それでも、優しい心を失わないリトルが、仲間のために勇気をふりしぼり、 最後には、父の信頼を勝ち取り、街のヒーローとなる。 しかし、冒頭から話がみえすぎていて、予定調和のような展開がおもしろくない。 宇宙戦争のような大仕掛けのわりには、物語自体は平板。 主題となる父と子の関係が単純すぎて、深みがない . . . 本文を読む
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