時空を超えて Beyond Time and Space

人生の断片から Fragmentary Notes in My Life 
   桑原靖夫のブログ

耳に残るあの響き:We shall overcome

2017年02月21日 | 回想のアメリカ

 

Joan Baez, LP  Jacket cover
ジョーン・バエズ 


 世界は急速に保護主義へと向かっている。震源は、BREXIT の渦中にあるヨーロッパであり、トランプ大統領就任後のアメリカだ。単純に考えると、世界は分断化されて、自分の住む世界も狭まり、小さくなっているように思えるかもしれない。保護主義の動きは、伝染病のように次々と他国は波及する他方、我々は次第に小さくなって、ほとんどひとつになった別の世界に生きていることに気づく。世界のある場所、地域で起きたことが、あまり時間をおかずに日本でも起きるようになった。鳥インフルエンザ、口蹄疫、環境汚染、そしてテロリズムの脅威などは考えられる例にすぎない。。

We Shall Overcome

 去る1月21日、アメリカ、ワシントンD.C.で、トランプ大統領に反対する女性の行進 Women's March が行われた。50万人以上が参加したといわれる。さらに世界のいたるところで同様な集まりが行われ、 100万人以上の女性たちが参加したとも報じられている。

 ワシントンD.C.の集会では、”Love Trumps Hate"と書かれたプラカードを掲げ、"We want a leader,  not a creepy tweeter" (「我々は気持ちの悪い、ツイッターではなく、リーダーが欲しい」)と一斉に叫んだ。

 集会に参加するために満員の地下鉄 Metro に乗り込んだ女性のプラカードには、手書きで下記のアッピールが書かれていた

Love is Love.

Black Lives Matter.

Climate Change is Real.

Immigrants Make America Great.

Women's Rights are Human Rights.


 集会では、公民権関連の集まりでよく歌われた We Shall Overcome の歌声が響き渡った。1960年代、あの公民権法案の運動の定番ソングだ。当時、よく聞いたのは、ジョーン・バエズ Joan Baez のギターの弾き語りだった(若い世代の間では知らない人も多い)。反戦運動の旗手だった彼女は、大学キャンパスなどへもしばしばやってきて、熱狂の嵐を巻き起こした。メキシコ系でニューヨークのシュタッテン・アイランド生まれのバエズは、当時のアメリカを代表するアイコン的存在だった。最近の彼女の歌声を聞いた。We Shall Overcome はアドリブも入って、穏やかになり、かなり違った印象ではあった。しかし、あの情熱はしっかりと感じられた。

 1960-70年代はヴェトナム戦争、公民権運動などが、アメリカ社会を分裂させていた。しかし、アメリカはその危機的状況から這い上がり、その後も世界を主導する立場を維持した。今回もアメリカ社会の断裂は深く、厳しい。トランプ大統領はそれをさらに加速しているように見えるのだが。

We shall overcome some day! (「遠い夏の日」)


"We Shall Overcomb" News Week 02/03, 2017

 

 


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