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「見合った手当がない」救命士資格、希望者減少

2015年12月07日 00時00分19秒 | 行政
「見合った手当がない」救命士資格、希望者減少

行政・政治 2015年12月3日 (木)配信読売新聞

 横浜市で救急出動件数の増加が続くなか、救急救命士の資格取得を希望する人が減少している。

 労務負担の大きさなどが背景にあるとみられ、将来的に救命士数が足りなくなる恐れもあるという。市消防局は今年度から、救命士限定の採用枠を新設するなどして対策を進めている。

 市内では高齢者の搬送増加が目立ち、救急出動件数は昨年まで4年連続で過去最多を更新した。今年の出動件数も11月29日現在(速報値)で16万1495件(前年同期比3276件増)に上り、最多の更新は5年連続となる見通しだ。

 国家資格の救命士は、医療機関への救急搬送中に、医師の指示で点滴や気道確保などの救急救命措置を行う。市消防局では救急隊1隊あたり2人以上の救命士を配置しており、最低必要数は約400人。現時点で485人の有資格者がおり、運用に問題は出ていないという。

 一方で、救命士の受験資格を得るために必要な養成課程の受講希望者の倍率は、2012年度の4・4倍から下落が続き、今年度は1・17倍にまで下がった。市消防局は「なり手が減り続ければ、有資格者の退職などで将来的に救命士数が足りなくなる可能性がある」と懸念する。

 希望者が減った背景には、肉体的、精神的に負担が大きい仕事の内容に加え、06年4月に救命士への特殊勤務手当が廃止されたことなどがある。

 市消防局が今年6月に実施した職員アンケートでは、救命士の有資格者461人のうち、「今後も救命士として従事したい」と回答した職員は221人(47・9%)にとどまり、約半数は業務の継続を希望しなかった。理由(複数回答)としては、「診療の補助という責任の重さに見合った手当の支給がない」(187人)、「救急出場のほかにも調査や報告の事務処理があり、業務量が多く負担」(121人)などの回答が多かったという。

 労務環境の改善に向け、市消防局は今年度から救命士の有資格者に限定した採用枠を設けたほか、人員配置を見直して勤務形態の緩和を図る方策などを検討。さらに救急搬送の際に求められる報告書類の電子データ化を進め、事務処理の負担減にも取り組んでいる。

 市消防局は「救急出動件数は今後も増え続けることが予想される。救命士や救急隊員の労務環境の改善に加え、予防救急などによる搬送の抑止にも力を入れていく」としている。(加藤高明)
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